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出生前診断後の中絶はいつまで可能?中絶できる時期と方法を解説

妊娠・出産は、人生で最も大きな出来事のひとつではないでしょうか?

出生前診断で、異常が見つかり、動揺される方もいるかもしれません。

妊娠は嬉しくても、育てるのが難しい状況の方もいるでしょう。

この記事では、出生前診断で異常が見つかった場合、妊娠何週まで中絶できるのかについて解説します。また中絶時期や方法も紹介します。

出生前診断で行われる診断内容とは?

出生前診断とは、出生前検査の結果を、専門医から医学的・臨床的な判断を経て診断されることです。

出生前検査では、おなかにいる赤ちゃんの状況を、調べることができます。

検査で調べた結果を、専門的な知識をもつ医師が分析し、胎児の異常や出産存続について診断します。

診断内容は、胎児の染色体異常や、障害の有無などです。

出生前診断の方法とは?

出生前検査は、確定的検査と非確定的検査に分かれます。

確定検査は、以下の2つです。

  • 羊水検査
  • 絨毛検査

非確定的検査は、以下の3つです。

  • 母体血清マーカー検査
  • NIPT
  • 胎児超音波検査

確定検査は検査の結果に基づいて、診断が確定します。

非確定検査は、診断が確定できません。

検査結果によっては、確定検査も行い、診断が確定します。

出生前診断でわかる病気とは?

出生前検査では、以下のように、胎児の染色体の異常を見つけることができます。

  • 染色体の数の異常
  • 染色体の構造の異常
  • 遺伝子異常
  • 子宮内感染

染色体の異常を分析すると、以下のような先天性疾患が診断されます。

  • 13トリソミー(パトウ症候群)
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群)
  • 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 神経管閉鎖不全
  • 胎児の奇形・変形

陽性反応が出た場合どうなるのか

非確定検査で陽性が出た場合、確定検査を受けるかどうか、産婦人科医と相談することになるでしょう。

そして確定検査を受けると、診断が確定されます。

先天性疾患や障害があると診断された場合、その後の妊娠継続や出産後の生活について、考える必要があります。

出生前診断後に中絶ができる時期はいつまで?

出生前診断で、なんらかの疾患と診断されたときの衝撃は大きいでしょう。

妊娠を継続するか、中絶するかは、妊娠さんやご家族の意思が尊重されるべきです。

やむを得ず中絶する場合、いつまでに、どんな方法で行われるのか解説します。

中絶手術ができる時期とは

人工妊娠中絶手術は21週6日までと、法律で決められています。

妊娠22週以降は、中絶できません。

妊娠12週未満までは、初期の中絶です。

子宮内除去術といって、子宮の中身をかき出す方法と、機械で吸い出す方法があります。

どちらも妊婦さんの負担が少ない手術です。

短時間で行われ、当日中に帰宅できます。

妊娠12週から21週6日までは、中期の中絶です。

薬で陣痛を起こして、流産させます。

出産と同じように、赤ちゃんが出てくるので、妊婦さんに負担がかかります。

手術後、数日間は入院も必要です。

中絶が認められる条件とは

中絶は、生死に関わるものであり、誰でも認められるものではありません。

母体保護法によって、以下のような条件が決められています。

  • 地域で指定された医師が手術を行うこと
  • 妊婦さん自身とパートナーの同意があること
  • 妊娠の継続・分娩が、身体的または経済的に難しく、妊婦さんの健康を害する可能性がある場合
  • 暴行や脅迫など、断れない状況で姦淫されて、妊娠した場合

中絶を考えるときにするべきこととは?

人工中絶は非常に大きな選択です。

赤ちゃんの生死にも関わりますし、妊婦さんの心身にも負担がかかります。

納得のいく決断をするためにも、中絶を考えるときにするべきことを、解説します。

早めの受診

人工妊娠中絶手術は期限が決められています。

さらに初期中絶と中期中絶とで、妊婦さんの体にかかる負担も異なります。

早めに受診することで、考える時間を十分確保でき、悔いのない決断ができるのではないでしょうか。

また初期の段階で決断できれば、妊婦さんの負担が軽い手術を選択できますね。

家族へ相談

人工中絶を検討することは、妊婦さんの心の負担にもなるでしょう。

ひとりで抱え込まずに、パートナーや家族に相談してみてはいかがでしょうか。

解決策が見つかったり、妊婦さんの心を和らげたりすることが、できるかもしれません。

遺伝カウンセラーへ相談

先天性疾患の診断結果を遺伝カウンセラーに相談することも大切です。

多くの経験や実績を知っているカウンセラーに相談することで、悩みが解決することもあるでしょう。

出生前診断後の中絶手術の費用

中絶手術にかかる費用を調べることも大切です。

人工妊娠中絶手術は、保険適用がなく、全額自己負担です。

初期中絶、中期中絶の費用相場を解説します。

具体的な費用は、施設によって異なりますので、事前に施設へ確認した方がよいでしょう。

初期の中絶費用とは

初期(妊娠12週頃まで)の中絶費用は10万から15万円程度です。

手術費用の他に、診療費、薬剤費など追加費用が発生する場合があります。

基本的には全額自己負担です。

医療費控除の対象になりますので、確定申告で申請できます。

中期の中絶費用とは

中期(妊娠12週以降、22週未満)の中絶費用は40万から60万円程度です。

手術費の他に入院費や証明書発行費などが発生する場合がありますので、注意しましょう。

出産育児一時金の対象となり、48.8万円が支給されます。

また、埋葬料が約2万円発生します。

出生前診断後の中絶手術が母体に与える影響とは?

「中絶手術を受けることはリスクがあるのかな?」

「中絶手術を受けると、不妊になるのでは?」

と心配な妊婦さんもいますよね。

出生前診断後の中絶手術が母体に与える影響を解説します。

合併症のリスクがある

中絶手術がもとになって、合併症が起こる可能性があります。

初期中絶の手術では、子宮の中身をかき出すか、吸引します。

そのため子宮に傷がつき、出血することがありますし、感染によって発熱する可能性も否めません。

発生した合併症の症状によっては、不妊になることもありえます。

中絶手術を受けると、必ずしも不妊になるわけではありません。

ただし、合併症のリスクがあること、症状によっては不妊の可能性があることを知っておきましょう。

次の妊娠に影響があることも

合併症が発生しなくても、中絶手術を何度も受けることで、次の妊娠に影響が出るかもしれません。

中絶手術は妊婦さんの子宮に負担がかかる行為です。

次の妊娠を考えている方は、影響が心配ですね。

ストレス

出生前診断後の中絶は、心にも大きな負担がかかるでしょう。

ストレスによって、体調を崩すこともあるかもしれません。

中絶手術後は、心も体もゆっくり休める環境をつくっておくと良いですね。

心配や不安はひとりで抱え込まず、パートナーや家族、カウンセラーなどに相談することも可能です。

まとめ

出生前診断ではダウン症などの異常を知ることができます。

胎児の状態を事前に知ることで、赤ちゃんの症状について調べたり、出産後のことを予測したりすることが可能です。

生まれてくる赤ちゃんについて知ったうえで、身体的・経済的に妊娠の継続が難しいという判断に至ることもあるかもしれません。

ただし、人工妊娠中絶には妊婦さん自身へのさまざまなリスクがあります。

人工妊娠中絶を考える際には、リスクを考慮し、慎重に決断しましょう。

参考文献

・NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会 ーNIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書

・公益社団法人日本産婦人科医会ー人工妊娠中絶手術について教えてください