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母体血清マーカー検査で何が分かるの?検査の内容と結果について解説

赤ちゃんができたと分かったら、嬉しい半面、元気に生まれてくれるのか心配になるのではないでしょうか。

妊娠中に先天性の病気がないか調べたいと思っても、どのような検査をするのか、赤ちゃんや母体に負担はないのか不安になる方もいるでしょう。

この記事では母体血清マーカー検査について、検査の内容と結果から分かること、検査を受ける際の注意点について解説します。

母体血清マーカー検査とは

母体血清マーカー検査とは出生前診断の一種で、採血して特定の成分について詳しく調べて、遺伝子や神経管に異常がある確率を示す検査です。

妊婦さんや赤ちゃんにかかる負担は少ないのですが、検査結果だけでは確実な診断は出来ない点には留意しておきましょう。

母体血清マーカー検査の種類や検査を受ける時期、検査を受けるにはどうしたらよいかについて解説します。

検査の種類と検査時期

母体血清マーカー検査にはいくつか種類があり、分析する成分の数によって異なります。

血液中の3つの成分を分析するのがトリプルマーカーテストです。

3つの成分とはAFP・hCG・uE3のことで、これらの分析結果から、対象疾患にかかっている確率を算出します。

クアトロテストではインヒビンAを追加して、4つの成分を分析します。

トリプルマーカーテストの場合は妊娠14週以降、クアトロテストでは妊娠15週以降から受けることが可能です。

検査の方法

母体血清マーカー検査の方法は、妊婦さんから少量の血液を採取して、血液中に含まれるタンパク質やホルモンに関する成分を解析します。

測定するのは、赤ちゃんや胎盤に由来するタンパク質やホルモンに関係する成分です。

確率を調べるには、妊婦さんの年齢・体重・妊娠週数・家族歴・1型糖尿病の有無などの要素も必要です。

結果がわかるには、1〜2週間ほどかかります。

検査をうけるには

検査が受けられるのは、一部の産婦人科医療機関です。

検査を行っていない施設もあるので、検診を受けている産婦人科医院や遺伝カウンセリングなどで紹介してもらうとよいでしょう。

検査にかかる費用は、およそ2〜3万円程とされています。

対象疾患

母体血清マーカー検査でかかっている確率が調べられる疾患には、どのようなものがあるのでしょうか。

検査の対象疾患である21トリソミーや18トリソミー、神経管閉鎖障害について解説します。

21トリソミー

染色体は1対で2本あるのが通常ですが、21番目の染色体が3本あることに起因する症候群です。

21トリソミーのある赤ちゃんは、発達がゆるやかで、筋力の弱いことが特徴として挙げられます。

早い時期から療育を受ければ、知的能力・身体能力ともに向上が可能です。

18トリソミー

18番目の染色体が通常より1本多く、3本あることに起因する症候群です。

18トリソミーのある赤ちゃんは、複数の合併症を起こしている場合が多いので、胎内で亡くなる可能性が高く、生命予後もよいとはいえません。

ただし、症状はさまざまで、自宅療養できる場合もあります。

神経管閉鎖障害

赤ちゃんの先天性の異常で、妊娠4週目から12週目の妊娠初期に起こります。

脳や脊髄のもとになる神経管が形成される過程に異常があり、うまく管の形にならないために発症する疾患です。

運動機能の低下や排泄障害がみられる二分脊椎症や、脳の形成が不完全になる無脳症があります。

母体血清マーカー検査で分かること

実際に母体血清マーカー検査を受けたら、どのような形で結果が知らされるのでしょうか。

検査結果が出るまでの期間や、判定の出方、検査結果から分かることについて解説します。

検査結果が出るまで

トリプルマーカーテストが受けられるのは妊娠14週目から、クアトロテストが受けられるのは妊娠15週目からです。

採血をしてから1週間から2週間ほどで結果が出ます。

羊水検査などの確定的検査を行う場合があるため、検査を受ける時期は妊娠16週までとするのが望ましいでしょう。

判定の出方

対象疾患である確率が何分の1といった形で示されます。

たとえば「1/300」とあったら、同じ結果の妊婦さん300人のうち、1人の赤ちゃんが検査対象の病気である可能性があると解釈します。

それ以外の299人については、妊婦さんの赤ちゃんは対象疾患にかかっていないとの解釈が可能です。

検査対象のそれぞれに基準値が決められていて、検査結果の確率と比較します。

基準値よりも確率が高い場合は陽性とされて、確率は高いが必ず対象疾患であるとは限らないと解釈されます。

基準値と比較して低い場合は、対象疾患である確率は低く陰性であるとされますが、絶対に疾患がないとは言い切れません。

検査結果から分かること

検査の結果から分かるのは、対象疾患である確率です。

検査結果から、対象疾患についての確定診断はできません。

結果の確率は、血液中の成分を分析して得られた数値に、年齢によって異なる確率をかけて算出します。

同じ数値が出た場合でも、高齢の妊婦さんのほうが確率は高くなる傾向にある点に注意が必要です。

NIPT(新型出生前診断)との違い

妊婦さんの血液で行われる出生前検査には、NIPT(新型出生前診断)があります。

NIPTとはどのような検査なのか、母体血清マーカー検査と比較して解説します。

NIPTとは

NIPTとは妊婦さんの血液中に存在する赤ちゃんの染色体のかけらを調べて、染色体異常がないかを確認する検査です。

主な対象疾患は以下の通りで、医療機関によって異なる場合があります。

  • 21トリソミー
  • 18トリソミー
  • 13トリソミー
  • 性染色体・全染色体・微小欠失疾患の異常

母体血清マーカー検査とNIPTの違い

検査時期では、母体血清マーカー検査が妊娠15週目以降であるのに対して、NIPTは妊娠10週目以降です。

母体血清マーカー検査の陰性的中率は21トリソミー(86.67%)、18トリソミー(77.27%)、神経管閉鎖障害(開放性神経管奇形)(82.98%)、NIPTでは99%以上とされています。

検査費用は母体血清マーカー検査では2〜3万円が相場です。

NIPTでは少なくとも5万円以上かかり、医療機関によってはさらに高額になる場合があるでしょう。

母体血清マーカー検査とNIPTの共通点

どちらの検査も採血で調べられるため、妊婦さんや赤ちゃんの負担は少ないといえます。

ただし、両方とも検査の結果が対象疾患についての診断を確定するものではありません。

母体血清マーカー検査を受ける際の注意点

母体血清マーカー検査は負担が少ないので、妊婦さんや家族の方にも受け入れやすいといえるでしょう。

しかし、結果を受けて誤解したり、不安を覚えたりする可能性があります。

検査を受ける前の注意点を解説します。

検査を受ける前

検査を受ける前に、対象疾患の最新の情報や、どういう検査なのかについても知っておくことが必要です。

確定的検査を受ける基準についても、前もって想定しておくとよいでしょう。

結果のとらえ方

確率が高いとされた場合でも対象疾患のない場合が多く、低いとされた場合に対象疾患がある可能性もあります。

母体血清マーカー検査は、年齢によって結果が左右される可能性の高い検査です。

診断を確定的にするには羊水検査などを受ける必要があります。

羊水検査の正確性は高いものの、流産するリスクがあるので注意が必要です。

まとめ

母体血清マーカー検査は妊婦さんや赤ちゃんに負担のすくない検査ですが、結果は確率で示され、診断を確定するものではありません。

事前に検査の詳細や対象疾患についての最新情報を知っておきましょう。

結果によっては不安になるケースもあるので、検査前に結果が出た後の対応も決めておく必要があります。

参考文献

・厚生労働省 – 母体血清マーカー検査に関する見解

・MSDマニュアル-ダウン症候群(21トリソミー)