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NIPTの精度はどれくらい?NIPT以外の非確定的検査もご紹介

お腹の赤ちゃんが健康であるかどうかは、お母さんにとって一番の重要事項です。

昨今ではさまざまな方法で、胎児の疾患があるかどうかを調べることができます。

特に2013年から導入されたNIPTは、妊婦の負担も少なく検査制度も高いと評判です。

では、どれほど正確なのでしょうか。

「NIPTがなんなのか知りたい。」

「NIPTを受けてみたいけれど、精度が知りたい。」

という方のために、NIPTの精度、他の非確定的検査についてご紹介いたします。

もしも病気が見つかった場合に受けられる支援制度や団体もご紹介いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。

NIPTとは

まず、NIPT(新型出生前診断)とはどのようなものなのかをご紹介いたします。

胎児の病気の可能性を知るための検査

NIPT(新型出生前診断)とは、2013年から始まったお腹の中の赤ちゃんに病気がないかを調べるための検査です。NIPTは、お母さんの腕から取った血液の中にある細胞を元に、赤ちゃんの染色体に異常がないかを調べます。

検査方法としては採血をするだけですので、他の検査と比べてお母さんと赤ちゃんに対する負担が非常に軽いのが特徴です。そのうえ、現在は医療技術の発展にともない、全ての染色体に対して欠損がないか、重複していないかなどを詳細に観察することが可能となりました。

通常11~12週目以降からしか受けることのできなかった従来の出生前診断ですが、NIPTは妊娠10週目から行うことができるので、胎児の状態や病気の可能性を早期に発見することができます。

トリソミーとは

トリソミーとは、通常2本ずつペアになっているはずの染色体が3つに分かれてしまい、1本多い異常状態の染色体のことを指します。

このトリソミーが染色体のどの部分にできているかによって、ダウン症候群やエドワーズ症候群、パトウ症候群といった疾患を引き起こすのです。

染色体の数が多いと先天的疾患の可能性がある

通常人間の遺伝子が入った染色体は全部で46本あり、それぞれ2本ずつペアとなっています。しかし、お母さんが高齢であったり、潜在的な要因があったりなど、さまざま要素が合わさった結果、時折この染色体が過剰に分けられて3本になってしまう現象が起こるのです。

なぜ過剰になってしまうのかの主たる原因は未だに解明できていませんが、この染色体の数が多いことで胎児に先天性疾患が現れてしまいます。

NIPTの精度は非常に高い

NIPTは、この染色体異常を発見する精度が非常に高い検査です。

特に21番目の染色体に異常が出たときに出る疾患の21トリソミー、通称ダウン症候群に対してほぼ100%の確率で発見することが可能となっています。

陽性的中率は97.3%

NIPTで陽性と診断された妊婦さんがその後に確定検査を受けた時、胎児がダウン症候群であると判断された確率は97.3%でした。これは従来の非確定的検査のなかでも、大変優れた精度と言えます。

ただし、陽性と判断された方のなかには、まれに胎児にはなんの異常もなかったという方もいますので、100%信頼できる、というわけではないことを覚えておくと良いでしょう。

偽陰性と偽陽性の可能性について

偽陰性は、検査で「なんの異常ないと陰性判断を受けたのに、実は疾患があった」ということであり、反対に偽陽性は「異常があると陽性判断を受けたのに、実はなんの異常もなかった」ということを意味します。

NIPTの精度は大変高いものですが、このように偽陰性と偽陽性が出ることもある検査です。

偽陰性が起こる主な原因は、主に検査を受けたのが早すぎて、赤ちゃんの染色体が十分に育っていなかったことが考えられます。

偽陽性が起こる原因として考えられるのは、実はお母さんに未発見の疾患があったことや双子の多胎であったけれど、片方が早くになくなってしまったことが要因の一つとして挙げられます。

このように偽陰性と偽陽性の可能性があるため、確定的な診断がほしい場合は、羊水や絨毛から細胞をとり、その細胞に含まれる染色体から疾患を判断する確定検査が必要になります。

またNIPTは、21トリソミー以外の病気や疾患に関して偽陽性の確率が高くなる傾向にあり、胎児の状態で他の疾患を疑う場合は、確定検査を受けるのがおすすめです。

NIPT以外の非確定的検査

NIPT以外にも非確定的検査はあり、赤ちゃんの状態を調査することが可能です。

では、NIPT以外の非確定的検査はどのようなものがあるのでしょうか。

それぞれの特徴などについてもご紹介いたします。

超音波検査(エコー検査)について

妊婦健診などで一般的なのが、超音波検査(エコー検査)です。

非確定的検査の時は、通常の健診とは違い30分以上の時間をかけて赤ちゃんの血や骨、内臓などを確認していきます。

病院ごとにガイドラインは変わりますが、およそ妊娠11週目から受けることが可能で、いつでも受けられるというのが魅力です。ただし、検査を実施する医師の技量や経験が要求されやすいという欠点も存在します。

母体血清マーカー検査について

母体血清マーカー検査とは、胎児に繋がるタンパク質やホルモンを読み取り、染色体異常や胎児に奇形がないかなどを調べる検査です。

NIPTと同じく採血のみで負担の軽い検査ですが、NIPTと比べて精度は低いものとなっています。

コンバインド検査について

コンバインド検査は、上記の超音波検査と血清マーカー検査を組み合わせた検査です。

NIPTが世間に出る前までは、広く実施されてきた検査ですが、母体血清マーカーと同じく精度が低いことがデメリットとなっています。

母体への負担が少ないのはNIPT

非確定的検査のなかでも、お母さんと赤ちゃんに負担があまりかからず、精度の高い診断を行えるのはNIPTです。

現在、多くの病院や施設などでは、非確定的検査はNIPTへと移行しつつあります。

陽性だった場合は、確定検査も行うほうが良い

非確定的検査で陽性と判断されたら、羊水検査、絨毛検査といった確定検査を受けることをおすすめします。先述のとおり、優れた精度のNIPTでさえ、誤った診断をくだすことは起こりうることです。

確定検査には、絨毛検査と羊水検査の2種類があります。

染色体の異常による病気があるかどうかを、はっきりと確定してくれるため、非確定的検査で陽性の場合は受けるかどうかを検討してみると良いでしょう。

絨毛検査は胎盤の細胞から調べる

絨毛検査とは、赤ちゃんを守る胎盤にある組織の一部「絨毛」を採取して、赤ちゃんの状態を調べる検査のことです。

絨毛は赤ちゃんとともにある組織のため、ほぼ同じ遺伝子情報を持っています。

羊水検査は胎児のつかる羊水の細胞から調べる

羊水検査は、お腹の中の赤ちゃんがつかっている羊水と呼ばれる水を採取して、染色体異常を調べる検査です。

羊水に浮いている赤ちゃんからはがれた皮膚の細胞などを調べることで、染色体を調査します。

もしも胎児に病気が見つかったら

「自分の赤ちゃんに病気が見つかったら」と思うと不安になる方も多いでしょう。

もし赤ちゃんに病気があったとしても、今後の育児について行政や支援団体の協力が得られるようになっています。

赤ちゃんのための支援制度や支援団体に相談

疾患を持つ赤ちゃんとお母さん、お父さんのために公的なものや企業などがさまざまな支援制度を設けています。

相談窓口もありますので、まずは今後の悩みなどを話してみるところから始めると良いでしょう。

療育手帳と身体障害者手帳がもらえる

「療育手帳」は、知的障害を持つと判断された方に与えられる、さまざまな補助サービスが受けられるようになる手帳のことです。

知的障害にともない、視覚や聴覚、心臓といった内臓にも障害が認められる場合は「身体障害者手帳」などが交付されます。

特別児童扶養手当と障害児童福祉手当が受けられる

「特別児童扶養手当」とは、知的障害がある20歳未満の子供を持つ親に支給される手当のことです。

また身体と精神に重度の障害があると認められた場合には、「障害児童福祉手当」が受けられます。

ただし、これらは疾患の度合いや保護者の所得により支給される額が変動するので、詳細は市役所などの窓口で尋ねてみるほうが良いでしょう。

胎児ホットライン

胎児ホットラインとは、お腹の中の赤ちゃんに病気が見つかったお母さんや家族を支援するサービスです。

助産師やカウンセラーなどの資格を持つ相談員が、妊婦さんの悩みや家族としての向き合い方などの相談に乗ってくれます。

財団法人日本ダウン症協会

財団法人日本ダウン症協会とは、21トリソミー(ダウン症候群)を持つ方やそのご家族を支援する会員制法人組織です。

育児などの相談を始めとした、さまざまな支援活動を行っています。

18トリソミーの会</h4>

18トリソミーを持つ赤ちゃんやご家族を支援するために発足した会員制支援組織です。

18トリソミーを持つ親同士の情報収集や相談窓口を開いています。

出生前検査は受けたほうが良いのか

NIPTなどの出生前検査は、受けたほうが良いのでしょうか。

結論から申しますと、出産年齢が高いのならば、受けたほうが良いでしょう。

出生前検査は絶対受けないといけない検査ではない

出生前検査は、必ずしも受けなければいけない検査ではありません。疾患の有無に関わらず、赤ちゃんを育てるというお母さんもいらっしゃいます。

しかし、高齢であったり、お母さん自身に疾患があったりして不安を感じるという方の中には、安心して出産に臨みたいという気持ちから出生前検査を受ける方もいらっしゃるようです。

また赤ちゃんを授かって嬉しい反面、気になるのは費用のことでしょう。

妊娠出産は病気ではない、という認識から健康保険は適用外となりますので、ただでさえ費用はかさみやすいものです。

出生前検査も全額自己負担ですので、妊婦さんやご家族の経済状況によって受けない方もいらっしゃいます。

赤ちゃんの状態をいち早く知ることができる

医療の進歩により、35歳以上での出産は染色体に異常が出やすく、赤ちゃんに疾患が現れやすいと証明されています。

疾患の有無や障害の度合いを測るためにも、出生前検査を受けることで、赤ちゃんの状態をいち早く知り、育児や準備や心構えなどを備えることが可能です。

お母さんや赤ちゃんへのリスクが少ない

NIPTを始めとした非確定的検査は、羊水検査や絨毛検査の確定検査と比べ、お母さんと赤ちゃんへのリスクが大変少ないのがメリットです。

羊水検査と絨毛検査は、お母さんのお腹に針を通して赤ちゃんの状態をエコーで確認しつつ採取するので時間も労力もかかります。また非常に低い確率ではありますが、流産のリスクもはらんでいます。

まとめ

NIPTは、他の検査よりも安全に赤ちゃんの状態を調べることができます。

しかし、まだ新しい技術でもあるうえに、妊娠出産は保険適用外となるため検査の費用は高額です。

他の検査も検討しながら、リスクや費用など、パートナーや医師とよく相談して検査を受けるようにしたほうが良いでしょう。

また、もし疾患が見つかったとしても、一人で悩まず周囲や支援団体へ相談するようにしましょう。