/ 出生前診断/

出生前診断の問題点とは?リスクや現状もあわせて解説

出生前診断という言葉、聞いたとこはあるけど具体的には何をするの?妊娠したら検査は必須?などの不安や疑問があるのではないでしょうか?

そこで今回は出生前診断の目的や種類、検査方法から費用、現時点での課題やカウンセリングの有無について解説しています。

ぜひ最後までご覧ください。

出生前診断の種類と費用

出生前診断とは、妊娠中の時点で胎児に異常や病気がないか調べる検査のことです。

出生前診断には「非確定診断」と「確定診断」の2通りあります。

非確定診断はノーリスクで検査できますが、あくまで可能性しか分かりません。

確定診断は、検査を受ければ診断が確定しますが、妊婦さんの病気や胎児の生死に関わるリスクがあります。

ここからは各々の診断方法と、必要な費用について詳しく解説します。

非確定診断と診断にかかる費用

非確定診断とは、胎児が何らかの異常や病気を持つ可能性を調べる検査のことです。

検査方法は、大きく分けて超音波検査(エコー検査)か採血検査の2通りあります。

超音波検査は、妊婦検診のように超音波装置を腹部に当てるか、膣内に挿入して検査します。

この検査によって、胎児の各臓器や大きさに異常がないか診ます。

検査時期は施設により異なりますが、10週~13週、18週~20週、28週~31週としているところが多いようです。

費用は5千円〜5万円程度です。

採血検査には母体血清マーカー検査(トリプルマーカーまたはクアトロテスト)と新型出生前診断(NIPT)の2種類の方法があります。

どちらも採血することで、胎児が13トリソミーや18トリソミー、21トリソミー(ダウン症)など何らかの染色体異常である確率について調べられます。

母体血清マーカー検査は、二分脊椎である確率についても調べることが可能です。

検査時期は15週〜18週、検査結果が出るまで2週間程度かかります。

費用は2〜3万円程度です。

新型出生前診断(NIPT)は「無侵襲的出生前遺伝学的検査」とも呼ばれます。

検査結果は陰性か陽性で表されるため分かりやすいです。

ただし稀に偽陽性(本来陰性であるのに陽性と判定される)が出る時もあるので、陽性が出ても鵜呑みにせず、確定診断も行う必要があります。

検査時期は10〜22週と長く、検査結果が出るまで2~3週間程度かかります。

費用は20~25万円前後と、他の非確定診断より高額です。

確定診断と診断にかかる費用

確定診断には羊水検査と絨毛検査の2通りあります。

羊水検査は、腹部に針を刺して羊水中に含まれる胎児の細胞を採取し、胎児に何らかの染色体異常がないか調べる検査です。

稀に破水や子宮内感染、他臓器損傷などの合併症を発症する可能性があります。

また、流産や死産する確率は0.2%~0.3%程度と大きなリスクが伴います。

検査時期は15週~18週で、検査結果が出るまで2〜4週間程度かかります。

費用は10〜20万円前後です。

絨毛検査は羊水検査の方法と一緒で、腹部に針を刺して絨毛の細胞を採取し、胎児に何らかの染色体異常がないか調べる検査です。

絨毛検査も合併症の発症や、流産する可能性が1%と、大きなリスクを伴います。

検査時期は10〜13週で、検査結果が出るまで2〜3週間程度かかります。

費用は10〜20万円前後です。

費用は保険適用外になる?

出生前診断は全て自由診療であるため、保険は適用されません。

検査を行って染色体の異常が発見されても、現状では治療の施しようがないためです。

同様の理由で、医療費控除の対象にはなりません。

全額自己負担になるので気をつけましょう。

出生前診断のリスクや中絶について

出生前診断では妊婦さんと胎児が危険に晒されるリスクがある他、何らかの異常が発見された時には、精神的ショックを受ける可能性もあります。

産むか中絶するかの選択に直面するかもしれません。

ここでは、検査を受けるリスクや診断後の中絶率、中絶ができる週数について解説します。

検査を受けるリスクは?

出生前診断の種類の話にあったように、確定診断では最悪の場合には流早産するリスクが伴います。

また、もし何らかの異常が発見された場合、産むか産まないかの選択を迫られ精神的苦痛を伴うこともあります。

出生前診断の体験談のなかには、思い悩むあまり精神科の受診が必要になった方もいました。

診断を受けるに伴い、心身ともに負担がかかる可能性を念頭におきましょう。

診断後の中絶率はどのくらい?

日本産婦人科学会によると、何らかの染色体異常が発見された方のうち、約9割が中絶を選択しています。

人工妊娠中絶は何週まで?

人工妊娠中絶は、母体保護法という法律により22週未満(21週6日まで)と定められています。

妊娠22週以降は、いかなる理由であっても人工妊娠中絶は出来ないため、中絶を考えている方はそれまでに決めなければなりません。

出生前診断の現状とこれからの課題

出生前診断の種類やリスクについて理解いただけたでしょうか?
次に出生前診断の現状と今後の課題について紹介します。

高齢出産の増加と検査に対する理解不足

日本では3人に1人が35歳以上で出産しており、出産年齢の高齢化が進んでいます。

一方で高齢出産の場合、何らかの染色体異常を持っているかダウン症の赤ちゃんが産まれる確率が高くなります。

厚生労働省からの報告によると36歳で出産した場合、ダウン症の赤ちゃんが産まれる確率は294人に1人、40歳で出産した場合は106人に1人です。

出生前診断をして事前に異常が分かれば、出産前に情報収集や教育方針について夫婦で話し合う時間も生まれます。

しかし、倫理的な観点から出生前診断を推奨しない医療機関があったり、家族から反対されたりするなど日本ではまだ検査に対する理解が不足しています。

2020年の調査結果によると、出生前診断していない方は35歳以上で65.3%、40歳以上で40.9%です。

現状では、診断を受ける割合は半分程度に留まっています。

出産前に重大な決断に迫られる可能性もある

何らかの異常が見つかった場合、産むか中絶するかの重大な決断を迫られるかもしれません。

出生前診断を受けた方のアンケート結果によると、夫婦で意見が割れ離婚話に発展した方もいました。

診断を受ける前に、何らかの異常が発見された時どうするか、しっかり話し合っておくことが大切です。

一人で思い悩まずに、家族や医療機関、サポート施設などに相談しましょう。

検査後のサポート体制・遺伝カウンセリングの必要性

体験談によると、出生前診断を受けて中絶した後に医療機関側から精神的サポートがなかったという声や、産後のサポートに関する情報も得られなかったという声がありました。

このように、出生前診断前後で医療機関側からのサポート体制が整っていないことが、問題視されています。

そのため出生前診断を受ける方が遺伝カウンセリングを受診できるよう、体制の整備が始まっています。

遺伝カウンセリングとは、遺伝に関わる悩みや不安などを抱えている方に科学的根拠に基づく情報を丁寧に説明し、気持ちや考えを整理する場のことです。

出生前診断を受けるか迷っている時や、診断結果によって胎児に何らかの異常が見つかった場合に、遺伝カウンセリングを受ければ専門の医師やカウンセラーに相談できます。

カウンセリングは、専門のカウンセラーが在籍している医療機関で受けられる他、施設によってはオンラインで相談可能です。

全国の遺伝子医療を実施している施設を検索できるサイトもあるので、活用してみることをおすすめします。

まとめ

出生前診断にはノーリスクだが確率しか分からない非確定診断と、合併症や流産のリスクがあるが確実に分かる確定診断の2通りあることや、現状のサポート体制について解説しました。

出生前診断について理解できたけど、実際に診断された時どうすればいいか不安が強くなった方もいるのではないでしょうか?

不安になる前に、遺伝カウンセリングや信頼できる医師に相談することをおすすめします。

事前に夫婦でしっかり話し合い、どの選択をしても後悔がないようにしましょう。

参考文献

・厚生労働省ーNIPT受検者のアンケート調査の結果について

・厚生労働省ー妊産婦診療の現状と課題

・厚生労働省ー生殖補助医療の現状からみた特定不妊治療助成のあり方

・国税庁ー母体血を用いた出生前遺伝学的検査の費用

・兵庫医科大学ー出生前診断についてキチンと知っていますか?

・NIPT Japanー遺伝カウンセリングとは?NIPTにおける遺伝カウンセリングの流れ・費用を解説