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出生前診断はいつからできる?診断を受けた方・受けなかった方の感想とあわせて解説!

皆さまの中には「出生前診断っていつからいつまでできるの?」「受けるべきなのか迷う」といった心配事を抱えている方もいるでしょう。

そこで、今回は、そんな心配事を持つ方のために、出生前診断を受けられる時期と種類を解説いたします。

出生前診断は妊婦さんやパートナーの安心材料になるとともに、万が一陽性と判断された場合には、生まれる前から心の準備ができます。

出生前診断のメリットやデメリットもわかりやすくまとめておりますので、ぜひ参考にしてください。

出生前診断とは

出生前診断を受けられる時期や出生前診断を受ける割合をご紹介いたします。

出生前診断とは

出生前診断は、赤ちゃんが生まれる前に先天的な障害の有無を確認する検査です。

5種類の検査があり、調べられる疾患や対象時期、検査方法などが異なります。

出生前診断はいつからいつまで受けられる?

出生前診断は受ける種類によって、検査可能な時期はさまざまです。

そして病院によっても少し差が生じることがありますが、おおむね妊娠10週〜妊娠18週まで受けることができます。

出生前診断を受ける割合

1998年〜2016年の出生前診断を受けた割合は、出生数97.7万件に対して7.2%でした。

しかし、2016年はNIPTが日本で開始されてから3年目であり、現在はNIPTの浸透とともに、出生前診断を受ける割合は増えています。

では、出生前診断を受ける割合を年齢別に見ていきます。

以下は、とあるクリニックで1万人に調査した出生前診断を受けた年齢別の人数です。

年齢受診者数
10代1人
20代1526人
30代前半3478人
30代後半3768人
40代1233人
50代1人

上記の表からもわかるように、やはり高齢妊婦さんの方が出生前診断を受ける割合は、高い傾向にあるようです。

受けられる時期と出生前診断の種類

受けられる時期と検査の種類、検査内容を解説いたします。

NIPT

NIPTは妊娠10週から受けられる新型出生前診断です。

いつまでに受けなければならないという期限は設けられていませんが、クリニックによっては妊娠15週ごろまでに受けることを推奨しています。

NIPTは、検査結果が出るまでに1〜2週間かかるため、妊娠33週以降に受診すると、出産後に検査結果が届く可能性も考えられます。

対象疾患は、ダウン症候群・エドワード症候群・パトウ症候群で、精度は99%とかなり高いにも関わらず、安全なのが特徴です。

コンバインド検査

コンバインド検査は、妊娠11〜13週に受けられる出生前診断です。

超音波検査と採血を組み合わせて行われる検査で、対象となる疾患はダウン症候群・エドワード症候群です。

精度は83%で、流産や早産の危険性は低く、検査結果が出るまでは約2週間かかります。

母体血清マーカー検査

母体血清マーカー検査は、病院によって多少の差はありますが、妊娠15〜17週に受けられる出生前診断です。

採血のみで行われ、対象となる疾患はダウン症候群・エドワード症候群・神経管閉鎖障害です。

検査結果が出るまでの日数は約10日で、流産や早産のリスクは少なく、安全性の高い検査です。

ただし、精度は75〜85%で、偽陽性が出る可能性も考えられます。

絨毛検査

絨毛検査は、病院によって多少の差はありますが、妊娠11〜13週に受けられる出生前診断で、検査結果は2〜3週間かかります。

対象となる疾患は染色体異常全般で、他の出生前診断に比べると、幅広い疾患を診断できます。

また、胎盤の絨毛細胞を採って検査するため、その精度はほぼ100%となっており、確定診断として検査が行われています。。

ただし、1%ほど流産のリスクがあるため、他の出生前診断に比べると、安全性が劣ると言えるかもしれません。

羊水検査

羊水検査は、病院によって多少の差はありますが、妊娠15〜18週に受けられる出生前診断で、検査結果は2〜4週間かかります。

対象となる疾患は染色体異常全般で、絨毛検査と同様に幅広い疾患を診断できます。

また、羊水を採って調べるため精度はほぼ100%となっており、確定診断が下されますが、流産・死産のリスクが0.3%ほどあるため、こちらも確実に安全とは言い切れません。

出生前診断のメリット

出生前診断を受けるメリットをご紹介いたします。

生まれる前に安心できる

赤ちゃんの状態を生まれる前から知っておけることで、安心材料になります。

妊娠中は精神的に不安定になりがちで、何かと心配になるものです。

そんな不安を取り除くためにもおすすめです。

生まれる前に準備できる

出生前診断で陽性が出る可能性もあります。

陽性が出た場合は、生まれる前から赤ちゃんがどんな治療を受けられるのか、今後どのような行動をしておけばいいのかを事前に調べたり、準備することができます。

また、もし陽性だった場合、結果を受け入れるのに時間がかかるという方もいるでしょう。事前に分かっていれば、生まれるまでに前向きな気持ちで赤ちゃんを迎える準備もできます。

出生前診断のデメリット

出生前診断のデメリットをご紹介いたします。

かえって不安を募らせる

出生前診断では、望んでいた結果が出ないこともあります。

そのため、もし陽性になった場合は、かえって不安を募らせることになるかもしれません。

診断できないものもある

出生前診断では、すべての疾患を診断できるわけではありません。

もし出生前診断で陰性になったとしても、対象疾患以外の障害を持って生まれる可能性も考えられます。

費用がかかる

検査によってかかる費用は異なりますが、最も人気の高いNIPTは20万円前後の費用がかかります。

産むか産まないかの判断材料となってしまう

検査結果によって、赤ちゃんを産むか産まないか判断する方も少なくありません。

実際に、検査結果で陽性が出た場合、97%の割合で産まない選択をするといわれています。

そのため、出生前診断が障害者への差別だとの意見もあります。

出生前診断を受けるか迷ったら

出生前診断を受けるべきか受けないべきか迷った場合は、以下のことを参考にしましょう。

ダウン症や障害を持った赤ちゃんが生まれる確率

700人に1人の割合でダウン症候群の赤ちゃんが生まれると言われています。

また、何らかの障害を持って生まれる割合は、3〜5%あります。

もし出生前診断で陽性反応が出たら

もし出生前診断で陽性反応が出た場合、カウンセリングと相談できます。

もし産むという選択をした場合、どのような生活になるのか、どんなサポートを受けられるのかなどを知ることができ、実際に障害を持っているお子さんを育てている親御さんに会って話す取り組みも行われています。

また、人工妊娠中絶を受けられる妊娠22週未満であれば、産まないという選択肢も可能です。

子供の将来、経済的問題など、未来のことを考えて決める必要があります。

受けた方の感想

出生前診断を受けた理由は、事前に赤ちゃんの状態を知っておくことで、経済面や働き方、心の準備ができるからです。

実際に受けて陰性結果が出た方は、妊娠中の不安が解消されたとの喜びを表す声がみられました。

一方で、高齢出産を懸念して出生前診断を受け、陽性結果が出た方は体に負担がなく、赤ちゃんの状態を知ることができたのは嬉しかったものの、精神的なショックが大きく、検査結果を覚悟した上で受けなければならないと改めて思ったと吐露しました。

受けなかった方の感想

生まれてくる赤ちゃんにどんな障害があっても、我が子はかわいいと思う反面、生まれてみると受け入れられないという方もいます。

出産する前に出生前診断を受けていれば、心の準備ができたのにという声が多くあがっていました。

まとめ

出生前診断は、赤ちゃんが生まれる前に先天的な障害の有無を調べることができる検査です。

検査は5種類あり、対象期間・対象疾患などが異なります。

出生前診断を受ける割合は年々増加しており、特に高齢妊娠・出産の方は、受ける割合が高くなっています。

出生前診断は安心材料になり、生まれる前から心の準備ができるというメリットがある一方で、デメリットもあります。

出生前診断を受ける場合には、望ましい検査結果が出ない可能性も考えたうえで、受けるようにしましょう。

参考資料

・厚生労働省ー女性から見た出生前検査

・厚生労働省ーNIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書

・厚生労働省ー生殖補助医療の現状からみた 特定不妊治療助成のあり方

・公益社団法人日本産婦人科学会倫理委員会ー母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針

・厚生労働省ー小児科医からみたNIPTの課題と今後

・厚生労働省ー21トリソミーのある方の くらし