日本と海外での出生前診断の違いについて徹底解説
出産前に出生前診断をすることで、胎児の染色体異常の有無などを調べることが可能です。
この出生前診断は、日本だけでなく海外でも広く実施されています。
ですが、日本と海外では法律や習慣、信仰する宗教の違いなどから、どの国の妊婦さんも皆同じように出生前診断を実施できるとは限りません。
ここでは、海外の中でも診断が一般的に行われているアメリカ、ドイツ、イギリスの3か国を例に挙げて、方法や費用など詳しく解説していきます。
この記事の内容
海外の出生前診断の方法について①アメリカ
アメリカで一般的に行われている出生前診断には、どのような特徴があるのかについて解説していきます。
ピックアップしたのは、保険適用の有無や、出生前診断の結果から分かること、結果が出るまでの期間の3つです。
保険適用なのか
アメリカでの出生前診断の実施は保険適用です。
妊婦さんが病院で、妊婦健診を受けると、全員に診断の種類、選択肢、確率について詳細に記載された出生前診断のパンフレットが配られます。
出生前診断を保険適用で実施できるため、拒否をするなどしなければアメリカでは、通常の検査として実施する妊婦さんが多いです。
結果が陽性であった場合には、専門医によるカウンセリングと、赤ちゃんを出産した後に充実したサポートが受けられるのも特徴になっています。
赤ちゃんの性別は分かるか
妊婦さんが出生前診断をアメリカで受けた際には、染色体異常の有無の他に、胎児の性別を知ることが可能です。
妊婦さんが、産まれる前に胎児の性別を知りたいと希望する旨を、医師に伝えるとよいでしょう。
胎児の性別を知りたいかについては、医師の方から確認されることもあるため、希望した妊婦さんへは検査結果とともに告知されます。
胎児の性別を産まれるまで知りたくない場合は、検査結果の説明を受けるときにきちんと断りましょう。
検査結果が出るまでどれくらいの期間を要するのか
アメリカの医療機関で、胎児の出生前診断を受けた場合、診断結果が出るまでにかかる期間は、早ければ1日です。
ただし、診断結果が出るまでに何日かかるかは、検査を受けた医療機関にもよります。
結果を早く知りたい場合は、受診する医療機関へ事前に確認しなければなりません。
検査の結果は、医師から直接説明を受けます。
取り敢えず、診断結果だけを急ぎ知りたいと希望する場合、アメリカではオンラインで確認できるのも特徴です。
海外の出生前診断の方法について②ドイツ
出生前診断を、ドイツで受けた際に分かる内容について詳細に解説します。
ここで解説する項目は、実施する際に保険適用で可能なのかと出生前診断の結果から分かること、その他に結果が出るまでの期間の3つについてです。
保険適用なのか
ドイツの場合は、妊婦さんが受ける通常の妊婦健診のオプションとして、出生前診断の実施が可能です。
そのために、妊婦さんが手軽に検査を受けやすいのも特徴になっています。
しかし、希望しても診断を受けられる期間が、妊娠12から20週の間と決められているので注意が必要です。
また、法律で無料の相談所の設置が義務付けられています。
出生前診断の結果、胎児に染色体異常があった場合など、妊婦さんの悩み相談のサポートも充実しています。
赤ちゃんの性別は分かるか
ドイツの場合も、出生前診断を受けると、出産前に胎児の性別を知ることが可能です。
妊婦さんが、出産前に胎児の性別を知りたいと希望した場合は、検査結果とともに郵送されます。
ドイツで実施した場合は、出生前診断の結果が郵送で送られてくるため、時間を取って検査を受けた医療機関へ出向かずに済むのが特徴です。
忙しく、検査結果を聞くために医療機関を受診する時間が取れない場合など、妊婦さんの負担軽減につながっています。
検査結果が出るまでどれくらいの期間を要するのか
ドイツで実施される出生前診断は、検査結果が出るまでに要する期間が約2週間です。
検査結果は郵送で送られてきますが、医師から直接、詳細な説明を受けることも可能になっています。
このように、検査結果が出るまでに約2週間という時間がかかるため、急いで知りたいという方については対応が難しいでしょう。
出生前診断を受けられる期間も、妊娠12から20週と決まっているために、実施する場合の時間的制約が厳しくなっています。
海外の出生前診断の方法について③イギリス
ここからは、イギリスで行われている、出生前診断についての解説です。
実施の際に保険適用になるのかについて、出生前診断の結果から分かること、結果が出るまでにかかる期間の、3つの項目についての詳細説明になります。
保険適用なのか
出生前診断を、イギリスで実施した場合は、保険の適用外です。
そのため、妊婦さんが診断費用を、全額実費で支払うことになります。
その代わりに、出生前診断ではありませんが、イギリスでは自主選択できる機会を与えるため、妊婦さんへ母体血清マーカーと胎児超音波検査を合わせたスクリーニング検査を行うのが一般的です。
スクリーニング検査は、妊婦さん全員が保険適用で実施可能であり、イギリスでは、この検査の実施を推奨しています。
赤ちゃんの性別は分かるか
イギリスの場合でも、出生前診断を受けると、性別を出産前でも知ることができます。
妊婦さんやその家族が、胎児の性別を確認したい場合に嬉しいサービスです。
胎児の性別の告知を希望しない場合を除いて、出産前に胎児が男女どちらなのか分かっていた方がよいでしょう。
出産前に胎児の性別が分かることで、ベビー用の衣類や食器、家具など事前準備がしやすくなるからです。
赤ちゃんの名前も、焦らず時間をかけてゆっくり考えて決められます。
検査結果が出るまでどれくらいの期間を要するのか
出生前診断を実施して、結果が出るまでの期間は、イギリスの場合も約2週間かかります。
アメリカのように医療機関によってではありますが、1日で結果が出るということはありませんので、至急結果が知りたいと希望しても対応は難しいでしょう。
診断の結果は、こちらもドイツと同様に郵送で届きます。
より詳しい説明や、検査結果に不明な点があった場合は、出生前診断を実施した医療機関の医師から直接詳細説明を受けることも可能です。
海外で出生前診断の需要が高まっている?
海外では、妊婦さんが、出生前診断を受けるのがスタンダードになりつつあります。
妊婦さんが胎児の染色体異常の有無などを出産前に知ることで、出産するにせよ妊娠を中断するにせよ、その後の対応を決めやすくなるからです。
海外では60%以上が出生前診断を受ける
日本とは違い、海外では60%以上もの妊婦さんが、出生前診断を受けています。
国によっては、全妊婦さんに出生前診断の実施を、推奨しているところもあるほどです。
海外では保険適用で受けられたり、妊婦健診のオプションに組み込まれていたりと、実施しやすい環境にあるのも理由でしょう。
また、海外では妊娠中絶に対する規制が厳しい場合があり、出生前診断を受けた結果、胎児に染色体異常があった場合のサポート体制も整っています。
ドイツでは妊婦検診のオプションに
ドイツでは気軽に妊婦さんが出生前診断を実施できるように、通常受診時に行う妊婦健診に、オプションとして組み込まれているのが特徴です。
妊婦さんが希望する場合は、いつでも医師に相談することができます。
出生前診断を受けることに対するハードルが低いドイツでは、妊婦さんは、誰でも希望すれば実施可能です。
このようにドイツの場合は、診断を実施できる環境が整っています。
ただし、実施できる期間が妊娠初期と決められているため注意が必要です。
オーストラリアやオランダでは誰でも受検可能
オーストラリアでは、出生前診断を実施する際に、特に条件はなく妊婦さんが希望すれば誰でも受けられます。
ただし、保険適用外のため、出生前診断の実施費用は全額実費です。
オランダの場合も、オーストラリアと同様に、出生前診断の実施には特に条件はありません。
妊婦さんが希望すれば、いつでも診断の実施が可能です。
オランダで実施されている出生前診断は、保険適用になります。
そのため、実施費用を比較的抑えることができるのが特徴です。
海外では出生前診断の検査費用はいくらか
海外で妊婦さんが、出生前診断を実施するときにかかる費用は、いくらになるのでしょう。
ここからは、アメリカ、ドイツ、イギリスの3か国の場合を例に、出生前診断を実施した場合にかかる費用について解説していきます。
アメリカ
アメリカで実施した場合、出生前診断は保険適用となるため、実施費用の負担が比較的少なくて済むのが特徴になっています。
これは、アメリカでは出生前診断を受けるのが一般的であり、検査後に陽性だった場合のサポートが充実しているからこそでしょう。
また、アメリカでは、シーケノム社が2011年に開発したMaterniT21という、胎児の染色体異常の診断方法の確立により、出生前診断への考え方が進んでいるのも理由の一つです。
ドイツ
ドイツで出生前診断を実施した場合には、医療機関によって多少異なり、300から400ユーロ(日本円で約35000から48000円)かかります。
より詳しい検査をした場合の費用は、2500ユーロ(日本円で約30万円)です。
イギリス
出生前診断の費用が、保険適用外となるイギリスの場合は、約400から900ユーロ(日本円で約47000から約106000円)かかります。
実施費用は全額実費となるため、保険適用となる国と比べると多少割高です。
まとめ
ここまで、海外の出生前診断について詳しく解説してきました。
出生前診断の実施内容については、日本も海外も大差ありません。
しかし、費用の面では保険適用となる国と、保険適用外の国とでは大きな違いがあります。
保険適用となる国では、実施費用を抑えることができます。
保険適用外の国では、実費で支払うことになるため、妊婦さんの経済的負担が大きくなりがちです。
しかし、胎児の状態について少しでも不安がある場合は、まずは病院に相談しましょう。
参考文献
・DNA先端医療株式会社-新型出生前診断 欧米と日本の違い