羊水とは?いつから作られるの?羊水の異常についても解説します
赤ちゃんを守る大事な羊水はいつから作られるのでしょうか?羊水の役割や成分、羊水の異常、羊水検査について解説します。
この記事の内容
羊水とは
子宮の中で赤ちゃんの周りを満たしている羊水がどんな役割をしているのか説明していきます。
赤ちゃんと羊水の関係性
羊水は赤ちゃんを包む羊膜の中を満たしています。血液循環のバランスを整える成分や、ブドウ糖、アミノ酸、タンパク質などの栄養素、その他にも赤ちゃんの成長に必要なものをたくさん含んでいます。
赤ちゃんは一定の温度に保たれている羊水によって快適に過ごすことが出来ています。お腹の外からの衝撃が直接伝わらないように物理的に守られており、羊水の抗菌作用によって感染からも守られています。
また、羊水は赤ちゃんがお腹の中で自由に動けるように空間を作る役割もしていて、発育を助ける役割もあります。
羊水は何から出来ている?色やにおいは?
羊水は、赤ちゃんの皮膚や肺から滲み出てくる液体で作られます。
妊娠10週頃から赤ちゃんは羊水を飲み込み、尿として排出しはじめます。赤ちゃんが成長するにつれて尿の量が増え、羊水量も増えていきます。
羊水は最初は無色透明です。
妊娠後期になると、赤ちゃんの胎脂や皮膚が混じって乳白色になります。においは無臭か、少し生臭いにおいがします。
pHは7.0-8.5のアルカリ性の液体です。
羊水はいつから作られる?
赤ちゃんが羊水を飲み込み、尿で排出するのを繰り返して、徐々に羊水量が増えていきます。妊娠10週頃は約25ml、妊娠20週頃には約350ml、妊娠30週頃になると約800mlになります。
そして分娩時期が近づくと、量は徐々に減っていきます。
羊水の量の測り方
羊水量は超音波(エコー)の検査で測定します。
羊水の量を測定する方法は2つあり、簡易的な羊水ポケット法と、実際の羊水量との誤差が少ない羊水インデックス(AFI)があります。
羊水の異常について
羊水の異常には、量が多い「羊水過多」、量が少ない「羊水過少」、羊水が濁ってしまう「羊水混濁」の異常があります。
「羊水過多」は、羊水が800ml以上の場合をいいます。
羊水ポケット法で8㎝以上、羊水インデックス法で25㎝以上が診断基準です。羊水が多いため、妊娠週数に比べてお腹が大きくなることがあります。
「羊水過少」は、羊水が100ml以下の場合をいいます。
羊水ポケット法で2㎝未満、羊水インデックス法で5㎝未満が診断基準です。
「羊水混濁」は、赤ちゃんが子宮内で「うんち(胎便)」を排出することで起こります。週数が進むにつれて起こりやすくなり、過期産となる妊娠42週を超えると30%に達するという報告もあります。
羊水過多と診断されたケース
羊水過多の原因や分娩への影響について説明していきます。
羊水過多はいつわかる?原因は?
羊水過多は、妊娠の時期を問わず、羊水量が800mlを超えると診断されます。
妊娠中期以降は羊水はほとんどは赤ちゃんの尿で出来ています。通常は、赤ちゃんがおしっこで排出する量と飲み込む量のバランスが保たれていて、羊水の量は保たれていますが、そのバランスが崩れると、羊水過多を引き起こす場合があります。
原因としては、妊婦さんの糖尿病や赤ちゃんの尿量が増えていることにより羊水の産出量が増える場合と、消化管に異常がある、無脳症や水頭症、二分脊椎などが原因で羊水の吸収量が減る場合の2つが考えられます。
ただし、羊水過多の約70%は原因が特定できず、根本的な治療が難しいケースもあります。
分娩への影響
羊水過多の場合、妊娠39週頃の分娩を計画するということもありますが、症状が軽く、お腹の赤ちゃんの成熟が認められる場合には、自然の陣痛を待って分娩に臨むこともあります。
ただし、破水時には、臍帯脱出や胎盤早期剥離などが起こる可能性があるため注意が必要です。
また、子宮の収縮が上手くできず陣痛が弱い場合もあります。そのときは、陣痛促進剤を使ったり、まれに卵膜を注射針で刺して少しずつ羊水が流れ出るように処置を行ったりする場合もあります。
産後は、子宮壁が伸びてしまい子宮の収縮が十分できず、弛緩出血になることが多いため、子宮収縮剤を早めに使うことも考えられます。
羊水過多の対処法
まず、羊水過多の原因が妊婦さん側の糖尿病・妊娠糖尿病である場合には、減塩食や利尿薬によって治療を行います。
合併症として起こりやすい前期破水や切迫早産を防ぐために、安静にしながら必要に応じて子宮収縮抑制薬の投与が必要になるでしょう。
原因がわかれば早期に治療を開始し、原因が特定できなくても妊娠中・分娩時・分娩後にしっかりと管理を行うことで、妊婦さんと赤ちゃんの健康を守れる可能性があります。
もし、お腹の張りや呼吸困難、足のむくみなどの症状があれば、我慢せずかかりつけ医に相談しましょう。
羊水混濁とは
羊水混濁の原因は?
羊水混濁とは、お腹の中で赤ちゃんが便(胎便)を排泄することにより、羊水が緑色っぽく濁ることです。
全妊娠の10~15%に見られます。
赤ちゃんがお腹の中で受けた低酸素状態などのストレスにより、腸の運動が活発になり、便が排泄されることによって起こります。
ただし、生理現象として胎便が出ることもあります。
赤ちゃんへの影響は?
羊水混濁は胎児の成熟を反映したものと言われており、それ自体は特別な処置が必要なわけではありません。
羊水混濁があっても、赤ちゃんが元気であれば問題はないです。
しかし、混濁した羊水を赤ちゃんが飲み込んでしまうと「胎便吸引症候群」となり、肺や気道に障害を引き起こし、呼吸困難に陥ってしまうことがあります。その場合はNICUでの治療が必要になることがあります。
羊水を調べることもできる?
羊水の異常が気になっている方に向けて、羊水検査についての説明をしていきます。
羊水検査はいつから出来る?
羊水検査とは、羊水の量や羊水混濁などの異常について調べる検査ではありません。出生前に赤ちゃんがなんらかの病気を患っているかを確認する出生前診断の一つです。
羊水検査は染色体異常の有無をほぼ100%診断できる確定診断と呼ばれる検査で、妊娠15週〜16週以降に検査が可能です。
羊水検査の流れ
羊水検査には、染色体を培養するG-band法と、培養をしない簡易的なfish法の2種類があります。
G-band法の流れは、エコー(超音波検査)で胎盤の位置、羊水量を確認し、穿刺(針を刺すこと)ができるかどうかを判断します。穿刺が可能であれば、感染予防のために消毒した針をお腹に指し、羊水を20ml採取します。採取後は、経過をみて、その日に帰宅する場合と入院をする場合に分かれます。
採取した羊水中の胎児細胞を培養、染色し、顕微鏡で異常がないか確認します。約2週間から3週間で結果が出ます。
羊水検査の費用
羊水検査の費用は約6万円〜20万円になります。また羊水検査の費用保険適応がないため、全額自己負担になります。
検査終了後の入院の有無や、G-band法とfish法のどちらを用いるか、または両方を用いるかによって金額は大きく変わってきます。
まとめ
赤ちゃんのクッションの役割を果たしてくれる羊水は、妊娠を継続するために必要不可欠なものです。羊水の異常は原因がわからないこともあり、羊水過多や羊水過少と言われると不安になるかもしれませんが、わからないことは主治医の先生に聞いて悩みを解決しましょう。