/ 妊娠にまつわる疑問/

羊水過多の症状や原因って何?予防策や治った方の治療法をご紹介

皆さまの中には、「羊水過多って何が原因なの?」「羊水過多はどうすれば治るの?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。

そこで、今回は、そんな疑問を持つ方のため、羊水過多の原因や症状、治療法をご紹介いたします。羊水の役割のおさらいから予防策や検査方法もわかりやすくまとめておりますので、お悩みの際は参考にしてください。

羊水過多とは

羊水過多とは何か、どんな症状があるのかご紹介いたします。

羊水とは

妊娠初期と妊娠中期〜後期で主成分が違います。妊娠初期には、胎児の皮膚から出た体液や、母体側の羊膜や臍帯から生産され、妊娠中期から妊娠後期にかけては胎児の尿や肺からの分泌液が主成分となります。

羊水の役割

羊水には以下の3つの役割があります。

  • 胎児を衝撃から守る
  • 胎児が運動できるスペースの確保
  • 肺の成熟を促す

羊水のおかげで妊婦さんのおなかに衝撃があったり、多少圧迫されたりすることがあっても、胎児はほとんど影響を受けません。

また、子宮内に羊水があることによって、胎児は自由に体を動かすことが可能です。胎児が運動することによって、自身の骨格や筋肉が鍛えられていきます。

そして、羊水の最も重要な役割とされるのが肺の成熟を促すことです。胎児は妊娠12週ごろから、羊水を肺に取り込み、呼吸の練習をします。そうすることで、肺が発達し、生まれてすぐに自発呼吸ができるのです。

羊水過多とは

羊水過多とは、羊水の吸収が減ったり、産生が増えたりすることで羊水が基準値を上回ることです。

羊水量の平均値は777mlで、妊娠時期に関わらず、800ml以上を羊水過多、300ml以下を羊水過少とされています。

羊水過多の症状

羊水過多になると、以下のような症状が表れます。

  • 通常よりもおなかが大きい
  • 頻尿
  • 呼吸困難
  • 逆子になりやすい
  • 腹部緊満感
  • 前期破水や早産のリスクが高まる

個人差はあるものの、羊水過多になると通常よりもおなかが大きくなる傾向にあり、そのせいで腹部緊満感があったり、呼吸困難になったり、膀胱が圧迫されて頻尿になることがあります。

また、羊水が多いと、胎児の胎勢も安定しないため逆子になりやすく、子宮内の圧力も高まるため卵膜が破れて破水する可能性が高く、早産のリスクが高まります。

羊水過多における妊婦側の原因

羊水過多における妊婦側の原因は、以下の2つが考えられます。

  • 糖尿病
  • 妊娠糖尿病

では、解説していきます。

糖尿病/妊娠糖尿病

妊娠前から母体が糖尿病と診断されていたり、妊娠後に妊娠糖尿病と診断されたりした場合、羊水過多になる可能性が高く、羊水過多の最も多い原因です。

元々糖尿病であった場合や妊娠糖尿病は、母体の血糖値が上昇することでなりますが、妊娠中は母体だけでなく胎児も高血糖になります。そのため、胎児の尿産量が増え、羊水増加につながるのです。

羊水過多における胎児側の原因

羊水過多における胎児側の原因は、以下の10つが考えられます。

  • 胎児食道閉鎖
  • 胎児十二指腸閉鎖・狭窄
  • 胎児小腸閉鎖
  • 胎児脊髄髄膜瘤
  • 無脳症
  • 胎児口腔内腫瘤
  • 胎児嚢胞性肺疾患
  • 無頭蓋症
  • 腹壁破裂
  • 双胎間輸血症候群

では、それぞれ解説していきます。

胎児食道閉鎖

胎児食堂閉鎖は、先天的に胎児の食道が閉鎖している病気です。食道が閉鎖していることで、羊水が飲めず、羊水過多となります。

胎児十二指腸閉鎖・狭窄

胎児十二指腸閉鎖・狭窄は、先天的に胎児の十二指腸が閉鎖していたり、狭かったりする病気です。十二指腸が閉鎖していたり、狭かったりして、羊水を飲み込むことができず、羊水過多となります。

胎児小腸閉鎖

胎児小腸閉鎖は、先天的に胎児の小腸が閉鎖している病気です。小腸が閉鎖していることで、羊水を飲めず、羊水過多になります。

胎児脊髄髄膜瘤

胎児脊髄髄膜瘤とは、胎児の神経管の閉鎖がうまくいかず、脊髄の一部が体表に出る病気です。脳脊髄液が流れ出ることで、羊水過多になります。

無脳症

無脳症は、両側の大脳半球が欠如している病気です。胎児のホルモンが十分に分泌されないことで、尿産生が増えて、羊水過多になります。

胎児口腔内腫瘤

胎児口腔内腫瘤とは、上部消化管周囲から羊水の通過を妨げる口腔に腫瘤ができる病気です。腫瘤が邪魔して羊水が流れ出し、羊水過多になります。

胎児嚢胞性肺疾患

胎児嚢胞性肺疾患とは、肺実質内に気道以外に恒常的に嚢胞ができる先天的な病気です。合併症として羊水過多になることがあります。

無頭蓋症腹壁破裂

無頭蓋症とは、頭部の皮膚や頭蓋骨が正常に形成されない病気です。髄液が流れ出ることで、羊水過多になります。

腹壁破裂

腹壁破裂とは、先天的に胎児のへその緒より右側の腹壁に穴が空いている病気です。腹液が流れ出ることで、羊水過多になります。

双胎間輸血症候群

双胎間輸血症候群は、1つの胎盤を共有する双子の胎児の循環する血液量のバランスが崩れることで起こる多胎妊婦さん特有の病気です。血液量の多い胎児は、尿量も多くなるため、羊水過多になります。

羊水過多の予防策・検査法・治療法

羊水過多の予防策・検査法・治療法をご紹介いたします。

羊水過多の予防策

羊水過多の予防策は、体重管理です。妊婦さん側の原因は、糖尿病・妊娠糖尿病なので、血糖値を上げないことが大事なポイントとなります。急激な体重増加は、妊娠糖尿病を引き起こすため、バランスの良い食事を摂り、適度な運動をして、体重管理を心がけましょう。

羊水過多の検査法

羊水過多かどうかを調べるには、以下の4つの方法があります。

  • 羊水深度法
  • 羊水ポケット法
  • 羊水インデックス法
  • 色素希釈法

羊水過多の治療法

羊水過多になった場合、入院して安静に過ごして様子を見ることが多いです。

ただし、圧迫症状が強く、呼吸困難などの症状がある場合には羊水を抜くこともあります。

また、母体側が原因の場合は、食事やインスリンで血糖をコントロールすることで羊水量も調節されます。

こんな症状が起きたら病院へ

以下のような症状が出たら、羊水過多である可能性があるため、病院へ行きましょう。

  • 頻繁におなかが張る
  • 出血する
  • 体動が少ない
  • 膣から羊水が出る

では、それぞれ解説していきます。

頻繁におなかが張る

おなかの張りは、正常な妊娠でも起こることですが、頻繁に張る場合は羊水過多である可能性があります。また、おなかの張りは、羊水過多以外にもさまざまな原因が考えられます。

出血する

羊水過多は、常位胎盤早期剥離や胎児死亡を引き起こす可能性があり、そのような場合膣から出血が認められます。

出血が見られた場合は、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。

胎動が少ない

羊水過多は切迫早産を引き起こす可能性があります。

その場合、体動が少なくなります。

膣から羊水が出る

羊水過多は前期破水を引き起こす可能性があり、破水すると膣から羊水が出ます。

前期破水とは、陣痛が来る前に破水することを指します。

まとめ

羊水過多とは、胎児を守るための液体である羊水が多くなってしまうことです。羊水過多になると、妊婦さんに辛い症状が起こったり、妊娠・出産に関する危険性が増したりします。さまざまな原因がありますが、半分以上は原因がつかめません。

羊水過多にならないように食事管理や適度な運動で大樹管理を行い、万が一頻繁におなかが張ったり、羊水が出たり、出血したり、胎動が少ないと感じる際は、早めに受診しましょう。