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妊娠初期流産の兆候は腰痛?妊娠中に腰痛が起きやすい原因と共に解説

妊娠初期は心身のコンディションが整いにくく、腰痛をはじめとしたさまざまな不調をともないます。

そのため、「この症状は初期流産の兆候かもしれない」と不安に感じる方は少なくありません。

本記事では、妊娠初期に起きる流産の原因とその兆候、そして妊娠中に腰痛が起こりやすい原因を紹介します。

妊娠初期の流産とはどのようなもの?

妊娠初期は小さな体調の変化にも敏感になり、何かと不安を感じる方も多いでしょう。

辛いですが、流産は一定の確率で誰にでも起こる現象で、複数の原因があります。

ここでは、妊娠初期に起こる流産とはどのようなものなのか解説します。

初期流産は妊娠12週未満で発生する流産

流産とは、妊娠22週未満に妊娠が終了してしまう現象です。

妊娠12週未満で発生する流産を「初期流産」、12週~22週までに起こる流産を「後期流産」と呼びます。

初期流産は、流産全体の約70%をしめ、妊娠8週から10週で起こることが多いです。

種類や処置方法を確認してみましょう。

名前状態処置方法
稽留流産出血・腹痛などの症状がない子宮内容除去手術を行うか、自然排出を期待するかを選択する
進行流産流産が始まり、子宮内容物が外に出てきている経過観察し、必要に応じて子宮内容除去手術を行う
完全流産子宮内容物が完全に外に出た状態経過観察
不完全流産子宮内容物の一部が子宮内にとどまっている子宮内容除去手術を行なう

「早期流産」と診断された場合、妊娠を継続するのは不可能なので、必要に応じて外科的な処置を受けなければなりません。

妊娠初期の流産の主な原因とは?

妊娠初期に発生する流産の約70%は、受精卵の染色体異常が原因とされています。

受精卵の染色体異常とは、染色体が正常なものより1本多い「トリソミー」や、対になっている染色体の数が1つ失われた「モノソミー」などです。

染色体異常の受精卵は育つ力が備わっていないため、流産を防ぐのは難しいとされています。また、染色体異常が起こる理由も、はっきりとわかっていません。

ただし、母体と父親である男性の年齢が高いほど、染色体異常が発生する可能性が高まるとの見解もあります。

なお、流産そのものについては、妊娠全体の約15%の確率で発生するといわれており、誰にでも起こる可能性があるといえるでしょう。

妊娠初期における流産の兆候とは?腰痛も含まれる?

妊娠初期の流産は、兆候としてさまざまな症状があらわれる場合があります。

ただし、症状があらわれたからといって、必ずしも流産しているとは限りません。

ここでは、妊娠初期に流産が起こる際に出やすい兆候について解説します。

流産の兆候で腰痛が起こる場合もある

妊娠初期に発生する流産は、兆候の一つに腰痛があります。流産が起こると子宮が収縮して内容物を体外に出そうとし、腰に痛みが出るためです。

痛みが周期的に出たり、腰痛とともに下腹部痛があらわれたりした場合は、流産の兆候かもしれないので注意してください。

ただし、流産していなくても妊娠中は腰痛が起こりやすくなります。リラキシンやプロゲステロンといった、女性ホルモンの分泌量の増加が原因です。これらの女性ホルモンは、赤ちゃんの頭がスムーズに産道を通過できるように、骨盤の関節をゆるめる作用があります。

そのため、腰痛が出たからといって必ずしも流産とは限りません。

もしも妊娠中に腰痛が発生したら、しばらく安静にして様子を見ましょう。

不正出血や下腹部痛なども起きやすい

腰痛以外に起こる妊娠初期の流産の兆候には、不正出血や下腹部痛なども挙げられます。

不正出血の量はさまざまですが、一定量の出血が長時間続く場合もあります。

また、陣痛のような下腹部痛がともなったり、今まで続いていたつわりが急になくなったりするケースもあるため、症状の変化に注意してください。

一方で、全く症状が現れず、検診で流産が分かるケースもあります。腰痛と同様に不正出血や下腹部痛が起こっても慌てず、安静に過ごして様子を見ることが大切です。

しばらく安静にしていても不正出血や下腹部痛がおさまらなければ、かかりつけの産婦人科病院の受診を検討しましょう。

妊娠初期は腰痛が出やすい?その原因は?

妊娠がわかったばかりの超初期から臨月まで、腰痛に悩む方は少なくありません。

妊娠中はさまざまな要因によって腰痛が表れやすいためです。

そこで、妊娠中に腰痛が出やすい理由や対処法について詳しく紹介します。

女性ホルモンの影響

妊娠中は女性ホルモンの分泌が盛んになり、心身に影響を受けます。

特に、出産にそなえて骨盤やじん帯をゆるめる作用があるのが「リラキシン」です。

ゆるんだ関節やじん帯に負荷がかかるため、つい無理な姿勢をとってしまい、腰痛につながります。

また、リラキシン以外に腰痛に関係する女性ホルモンは「プロゲステロン」です。

プロゲステロンの分泌量が増加すると、出産に備えるために腰まわりの筋肉や関節がゆるみ、腰の重だるさや腰痛が出やすくなるので注意してください。

女性ホルモンの分泌量は、自分ではコントロールできません。

妊娠中は鎮痛薬の服用は避け、骨盤ベルトの使用やストレッチなどで腰痛を和らげましょう。

同じ姿勢を取りやすいため

妊娠初期は体調の変化や今後の生活への不安などが重なり、何かと慎重になりがちです。運動を控え、安静にして過ごす方も少なくありません。

リラキシンの影響で骨盤が緩み、特定の姿勢を取らないと、足の付け根が痛いといったケースもあります。

しかし、同じ姿勢を取り続けると、どうしても腰に負担が集中してしまいます。特に、座りっぱなしは腰に負担がかかりがちです。

また、妊娠初期の激しい運動は控えたほうがよいですが、あまり動きすぎないと腰痛が悪化する原因となります。

下腹部痛や腰痛などの不調がなければ、軽い体操をして筋肉をほぐしてください。

産婦人科のなかには妊婦ができる軽い運動を教えてくれるところもあるので、相談してみるのもよいでしょう。

体の冷えが原因

妊娠初期はホルモンバランス変化やつわりによってストレスがかかり、自律神経が乱れる方が少なくありません。

特に夏場は室内と屋外の温度差が大きく、さらに自律神経が乱れる原因です。

自律神経が乱れると体温調節がうまくいかなくなり、体の冷えを感じやすくなります。

また、冷房の効いた部屋に長時間いて腰が痛くなる場合、体の冷えによるものかもしれません。

身体が冷えると血流が滞って、腰痛が起こりやすくなります。身体の冷えが気になるときは、カイロを腰に貼ったり、一枚上着を羽織ったりして、腰を冷やさないように工夫してください。

冷たい飲食物は避け、温かいものを積極的に摂るのもよいでしょう。

こんな症状が出たらすぐにかかりつけ医を受診

妊娠初期の腰痛は必ずしも流産の兆候とは限りません。

しかし、以下のような症状が出た場合は、至急かかりつけの産婦人科を受診しましょう。

  • 腰の痛みが周期的にあって陣痛のようだ
  • 腰の痛みと共に下腹部痛がある
  • 安静にしていても腰や下腹部の痛みが取れない
  • 下腹部の痛みが腰に広がってきた不正出血がある

診察時間外でも受診の必要性があると判断されれば、診察に応じてもらえる産婦人科は多いです。

「診察時間外だから」と受診を先延ばしにせず、かかりつけの産婦人科に電話をかけて受診についての判断をあおぎましょう。

なお、妊娠初期は流産が急に発生する可能性もあります。

適切な処置をしないと、体調の回復が遅れたり次回の妊娠に影響が出たりするかもしれません。

すぐにかかりつけ医を受診できるように、妊娠初期は遠出を控えましょう。

まとめ

今回は、妊娠初期に発生する腰痛の原因や、腰痛と初期流産との関係などを紹介しました。

初期流産は、いくら気をつけて生活していても、一定の割合で発生します。

妊娠初期に腰痛が起こったらまずは安静にして収まるのをまちましょう。

腰痛が周期的に起こる、痛みが激しくなる、不正出血も出てきたといった症状が出た場合は、早急にかかりつけの産婦人科医院を受診してください。

参考文献

・日本産婦人科学会-流産・切迫流産

・eヘルスネット-流産