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これって流産?流産の兆候や対処法を理解し、いざというときに備えよう

出血やおなかの張りなど、一般的に流産の兆候と言われる症状が現れると、大きな不安に駆られることでしょう。

今回は、流産の原因や兆候、そして「流産かな?」と思ったらどのような行動をとるべきなのかについて解説していきます。あらかじめ理解を深めておくことで、いざというときに少しでも冷静に対処できると良いと思います。

流産とは?

流産とは、胎嚢を確認した後に妊娠22週未満までに妊娠が中断してしまうことです。

赤ちゃんを確認した後の出来事であるため、悲しみでいっぱいになり、気持ちの切り替えも難しいことかもしれません。

しかしながら、妊娠全体のうち流産の確率は8~15%ほどです。

したがって、妊娠が分かったら流産の可能性がないわけではないという認識を持っておくことで、万が一の時にほんの少しでも受け入れる覚悟ができるようになるのではないでしょうか。

流産の種類

次に、流産の種類についてお伝えしていきます。

一口に流産と言ってもその種類は多岐に渡ります。

切迫流産

流産する可能性が迫っているという切迫流産は、まだ流産してしまったということではないため、場合によっては流産を避けられる可能性があるものです。

診断を受けた場合には、極力安静にして過ごします。

稽留流産

胎内で胎児が死亡し、子宮内にとどまっている状態のことです。

特徴として、兆候や症状がないために、妊婦健診で初めて気が付くという結果になります。

進行流産

子宮内で死亡した胎児の流産が進行して、流れ出てきてしまうものです。

完全流産

進行流産のうち、胎児を含む子宮内のものすべてが完全に排出されることを示します。

不全流産

進行流産のうち、子宮内に一部が残った状態を示します。

化学流産

妊娠検査薬でhCGが検出されて、陽性が確認出来たにもかかわらず、胎嚢が確認できるまでにいたらなかった状態のことです。

死産とは

妊娠22週以降に胎児が胎内で死亡した状態で分娩されることを言います。

流産の原因及び兆候

続いては、流産かもしれないと思ったときに知っておきたい原因及び兆候をご紹介していきます。

流産には原因があるの?

流産は早期流産と後期流産に分けることができ、それぞれによって原因が変わってきます。

・早期流産

染色体異常によるもので、胎児側が原因となることが多いです。

・後期流産

子宮奇形・子宮筋腫・子宮頸管無力症・絨毛膜羊膜炎といった母体の影響のほか、ストレスや飲酒・喫煙などが原因となることもあります。

体に関わる部分は避けることができないものですが、ストレスやそのほか生活習慣に関しては、リフレッシュや改善の余地があります。

もしかしたら当てはまるかも?と感じた方は、できるだけ早めに対処していきましょう。

流産を繰り返すことがあれば一度検査を

流産を3回以上繰り返すことがあれば、その原因は母体側にある可能性があります。

なるべく早くその原因を突き止めることで、次回以降の流産を防ぐことに繋がるかもしれませんので、医師の判断に基づき検査を受けるようにしましょう。

流産の兆候はどのようなもの?

次に、流産の兆候としてあらわれる体の変化をご紹介していきましょう。

出血

出血があったからといって、必ずしも流産の可能性があるということではありません。

妊娠中は何かしらの原因により出血が起こることが多いからです。

流産はその一つの原因ではありますが、出血=流産と考える必要はないといえます。

ただし、出血が続いたり大量の出血があったりした場合には、病院を受診しましょう。

おなかの張り・腹痛

お腹の張りや腹痛に関しても妊娠中にありがちな症状であることから、流産かどうかの判断はしづらいかと思います。

流産の際に起こりがちな腹痛の傾向として陣痛のような周期的な痛みが挙げられます。

流産であるか否かに関わらずですが、おなかの張り等を感じたら、安静にして過ごすようにしましょう。

そして、痛みが続く場合には出血の時と同様に、病院を早めに受診することをおすすめします。

つわりが突然なくなる

つわりは妊娠8週くらいからはじまり16週頃を目途に治まっていくという方が多くなっています。

辛いつわりが続いていたのに、突然なくなった場合には流産の可能性も考えられるかもしれません。しかしながら、つわりの終わる時期に関しては個人差があり、場合によってはつわりが終わる時期である可能性もあります。

基礎体温が下がる

妊娠中はプロゲステロンの分泌が増え高温期が続きますが、流産してしまった場合にはプロゲステロンの分泌が減ることにより、体温が下がります。

胸の張りがなくなる

胸の張りは妊娠初期症状であることから、張りがなくなったと感じた場合に流産の兆候の可能性があります。

流産した後はどうなる?

ここでは、流産と分かった後の対処法およびその後の過ごし方について解説していきます。

自然排出

自然排出の場合、手術が不要であることから身体への負担や金銭的な負担は軽減されます。

一方で、いつ排出が起こるかわからないことへの不安、また一定期間排出されない場合には手術が必要となってしまうということもあり得ます。

計画的に勧められないというのがデメリットだと言えるでしょう。

手術

手術日を決めて計画的におこなわれる手術は、身体への負担や手術による合併症のリスクがあるというのがデメリットです。

金額的には1万円程度で済むことから、金銭的な負担はさほど大きくありません。

流産後の妊娠について

流産したのちは、1週間程度軽い出血が続くということがあります。強い痛みを伴ったり、出血量が多かったりする場合には医師の診察が必要となりますが、そうでなければ経過を見て問題ありません。

流産後の身体の回復に関しては、その後生理が来れば次の妊娠に向けて進めることができるようになっていると考えることができます。

とはいえ、流産は体だけではなく精神的にも大きな負担を感じるものです。

夫婦で話し合い、次の妊娠を前向きに考えられるようになったうえで望んでいく必要があるといえます。

流産した後のメンタルケア

先にもお伝えしたとおり、流産は心身ともに負担の大きい出来事だといえます。特に、妊娠したいと思っているのに何度も流産を繰り返している場合や、不妊治療をしていた場合などにはなおさら大きな悲しみを感じることでしょう。

流産後は体が回復していたとしても、心が回復していなければ次の妊娠への不安が大きくなってしまうでしょう。

焦らずに少しずつ気持ちを切り替えていき、パートナーと二人三脚で前進していけるようにゆっくりと取り組んでいくことが大切です。

流産の予防法は?

流産には早期流産と後期流産があり、それぞれに考えられる原因があるとお伝えしました。

どちらの時期であっても、胎児側に原因がある場合、それは避けることのできない流産と言えるでしょう。

一方、母体側に原因がある場合で精神的なストレス及び飲酒・喫煙といった環境要因によるものであれば、それをできるだけ避けることが流産の可能性を下げることに繋がります。

しかしながら、母体側が原因であっても防ぎようのない要因ももちろんあります。

妊娠が分かったら、できるだけ体に負担がかからない生活を心がける必要はありますが、こればかりはどうしようもないという原因が流産にはいくつもあるということは理解しておくべきだといえます。

まとめ

以上、流産に関してその種類や原因、兆候などについてお伝えしてきましたが、ご理解いただけたでしょうか?

一度宿った命がなくなってしまう悲しみは大きなものですが、流産は赤ちゃんの染色体異常で起こってしまう場合が多く、その場合には防ぎようがありません。

その現実を受け止め、たとえ流産を経験した場合にも少しずつ前向きに進んでいけることを願っています。

参考文献

・公益社団法人 日本産科婦人科学会ー 流産・切迫流産

・産婦人科診療ガイドラインー産科編 2020