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切迫流産になったらどうする?症状や原因、安静期間について解説!

妊娠初期は、つわりや切迫流産などの体調の変化が起こりやすい時期です。中でも、切迫流産と言われると不安になる方も多いと思います。

今回は、切迫流産の症状や原因について説明します。

切迫流産とは

切迫流産がどんな病気なのか、原因や症状について解説していきます。

切迫流産ってどんな病気?

妊娠21週6日までに妊娠が継続できなくなり、赤ちゃんが外に出てしまうことを「流産」といい、自然流産、完全流産、進行流産、稽留流産、化学流産に分類されます。

切迫流産は、それらの「流産」になりかけている状態のことを指します。症状は、性器出血や下腹部痛などです。

切迫流産は完全に流産したわけではないので、妊娠の継続が可能であり、出産まで無事に迎えられることもあります。

切迫流産の原因

妊娠12週までに起こる流産の原因のほとんどは、胎児の染色体異常(遺伝子の異常)と言われています。

染色体異常の場合、受精卵になった時点で決まっているので、防ぐことのできない流産になります。そのため、妊婦さんが自分の行動を責める必要はありません。

妊娠12週以降の切迫流産の出血の原因としては、胎盤の後ろに血の塊ができてしまう「胎盤後血腫」、胎嚢と呼ばれる赤ちゃんの袋の周りに血の塊が出来る「絨毛膜下血腫」などが考えられます。

その他にも、お腹の張りなどがなくても子宮の入口が開いてきてしまう「頸管無力症」、子宮頚部の病気を取り除くための「子宮頚部円錐切除」も原因になる可能性があります。

また、感染症が原因のこともあり、腟や頸管が感染して炎症を起こすことで、絨毛羊膜炎となり子宮収縮が起こることもあります。

切迫流産の治療法は?

妊娠12週までの切迫流産には、有効とわかっている薬はなく、安静が第一になります。

自宅安静か、入院が必要かという判断は、症状だけでなく自宅で安静が保てる環境なのかどうかも考慮して医師が決定します。

どれくらいの安静が必要なのかは一人ひとり違うので、医師の指示に従いましょう。

切迫流産になる方の割合は?

切迫流産は、安静などの治療によって治る軽症のものから、流産になってしまう重症のものまでさまざまな程度がありますが、約15%の妊婦さんに見られます。けっして珍しい病気ではありません。

妊娠継続は可能?

切迫流産は、通常よりも流産のリスクが高い状態にはなりますが、妊娠は継続できている状態です。出血や腹痛の症状の程度によっても妊娠継続ができる可能性が変わってきます。

性器出血で、赤い出血が出たり、生理と同じくらい出血量が多かったりする場合や、強い下腹部痛がある場合は、流産へ進行する可能性が高いと考えられています。

おりものシートに付着する程度の少量の茶色~黒っぽい出血で腹痛を伴わないのであれば、流産になる危険性は低いです。

切迫流産と診断された方のうち、90-95%くらいが正常の妊娠に戻ると言われています。

切迫流産の症状

切迫流産の症状は主に3つです。出血や下腹痛、子宮口が開いてきているという症状について、それぞれ具体的に説明していきます。

出血

受精卵が子宮に着床し、赤ちゃんを包んでいる胎嚢が成長していく妊娠初期は、不安定で出血が起こりやすい時期です。

胎盤を作る途中で子宮内膜の血管が破綻することによって出血することがあり、正常な妊娠経過でも少量の出血が出ることがあります。

少量の出血で、夜間や休日に受診する必要はないので、翌日または予定の妊婦健診時にかかりつけ医を受診しましょう。

生理の時よりも出血が多い場合や、真っ赤な出血が出る場合、痛みがひどい場合は異所性妊娠や流産が進んできている「進行流産」の可能性があるので、夜間や時間外でも病院を受診しましょう。

腹痛

片方がひきつれるような痛みの時は子宮の成長痛が考えられ、自然な痛みです。しかし、生理のような腹痛であれば、子宮の収縮による痛みだと考えられます。

腹痛を感じる場合は、まずは横になって休みましょう。

痛みだけでなく出血もある場合や、出血がなくても痛みが強くなっていく場合、1時間の内に何回も痛みを繰り返す場合は病院を受診しましょう。

子宮口が開いてきている

子宮の収縮が頻回に起きることで、出産の時のように子宮口(子宮の出口)が開いてきてしまうことがあります。

原因は、細菌による感染などが考えられますが、不明なことも多いです。

切迫流産の安静期間

切迫流産ではなぜ安静が必要なのか、どのくらいの安静が必要なのか説明していきます。

なぜ切迫流産では安静にしておくべきなのか

切迫流産において、安静が適切な治療だというエビデンスはありません。ですが、安静にしなかったことで、流産の確率を上げてしまうことはあるため、注意が必要です。

切迫流産を引き起こした原因が、赤ちゃんの染色体異常であれば防ぎようがないですが、子宮収縮が原因であれば、安静にすることで子宮収縮が減少します。

安静の期間はどれくらい?

切迫流産で安静が必要な期間は、2~3週間くらいと言われますが、一人一人の状況に合わせて異なります。

仕事を休む必要がある場合は、医師の診断書をもらい、必要な期間だけ家でゆっくり休みましょう。

家族などからサポートが受けられるのであれば、しばらくの間は寝たきりで過ごせると良いです。上の子がいて、自宅では休めないなど、状況によっては入院が勧められることもあります。

切迫流産の安静期間中にやってはいけないこと

安静期間中には家の中で過ごし、外出することは控えましょう。買い物などの外出もネットスーパーを頼るなど工夫してみてください。

また、重い荷物を持ったり、屈伸運動を伴う動きをしたりするとお腹に圧がかかってしまうので負担がかかります。階段も負担になるので、最小限にしましょう。

仕事を休んで家の中で過ごしていても、家事などを頑張りすぎて立ちっぱなしになったり歩き回ったりすることが多いと、安静が保てません。家事も休んで最低限の日常生活で必要なことだけをしましょう。

お風呂もなるべく長風呂は避け、シャワーで済ませるなど短時間で済ませた方が良いです。

切迫流産を予防するためには?

切迫流産を予防するためにできることについてお伝えしていきます。

無理をしないことが大切

切迫流産に限らずですが、妊娠初期は体調の変化が大きい時期になります。

自分が無理をしていないと思っていても、身体には負担がかかっていることもあります。赤ちゃんのために、普段以上に無理をしないように心がけていきましょう。

また、家の中で安静にしているとストレスも溜まりやすいですが、自分が安静を保つことで赤ちゃんが守られているんだというポジティブな気持ちで過ごしましょう。

心配なときは早めの受診を!

切迫流産といっても症状は人それぞれです。出血やお腹の痛みが心配な場合は、かかりつけの病院に相談しましょう。

まとめ

真っ赤な出血が多い場合や下腹痛が強い場合は、夜間や休日でも病院を受診しましょう。出血や腹痛があり切迫流産と診断されると不安になるかもしれませんが、正常な妊娠に戻ることも多いです。

心配な症状があるときは自己判断せずかかりつけ医に相談し、ストレスを溜め込みすぎないことが大切です。

なるべくリラックスして安静に過ごしましょう。

参考文献:公益社団法人日本産科婦人科学会ー流産・切迫流産