/ 妊娠にまつわる疑問/

双子を妊娠する確率とは?双子妊娠を正しく理解し、安心して出産を迎える準備をしよう

双子を妊娠したとき、その期間をどのように過ごすかや出産方法にどのような差が出てくるのか、また母子ともにどのようなリスクがあるのかをきちんと理解し、安心してお産を迎えるための準備をしましょう。

双子を妊娠する確率ってどれくらい?

多胎妊娠とは同時に複数妊娠していることを言います。

その確率はおおよそ1%前後になっています。

すなわち100人に1人の赤ちゃんが多児妊娠により出生しています。

双子を妊娠しやすい人の傾向

双子を授かりやすい方には、いくつかの傾向があります。

1.高齢出産

母親の年齢があがるほど、卵胞刺激ホルモンの数値が高くなるという傾向があるというものです。そのため、1度の妊娠でいくつかの受精卵ができる可能性があります。

2.遺伝

一卵性双生児と二卵性双生児の2種類があります。

このうち、二卵性双生児に関しては遺伝による影響があると考えられております。

3.不妊治療による影響

正常に排卵が起こらないときには、排卵誘発剤を使用して排卵を誘発させる方法を取ります。

その際に、複数の卵子が排卵されることがあり、その結果多児妊娠の確率が上がってくるのです。

そのほか、体外受精を行う際にはより妊娠確率を高くするために2個以上の受精卵を移植することがあるため、この場合にも双子や三つ子を妊娠する確率があがるといわれています。

双子が欲しいと思ったら

双子に憧れていたり、1度の出産で2人を産みたいと思う方もいらっしゃると思います。

ただ、現状では双子を産み分ける方法は確立されていません。

前述での双子の妊娠確率でもお伝えしたように、あくまでも双子の妊娠は運命的なものであるといえます。

双子であることが判明するにはいつ?

双子だと判明する時期は、一卵性か二卵性なのかにより変わってきます。

二卵性の場合は、それぞれに異なる胎嚢(たいのう)に入っているため、
エコー(超音波)検査による画像診断で妊娠5週目ごろから確認できます。

一方で一卵性の場合は、1つの胎嚢に2人一緒に入っていることがあるので、
妊娠初期にエコー検査では確認することはできません。
妊娠6週目ごろからは胎児の心拍が聞こえ始めるので、心拍が1人分か2人分かどうかで、
双子であるかの判断をおこないます。

一卵性・二卵性の違い

双子の中でも一卵性・二卵性があります。

以下ではそれぞれの違いに関してお話していきます。

一卵性双生児とは

一つの卵子と一つの精子が受精し、それが2つに分かれて育ったもののことを一卵性双生児と言います。

元々一つの受精卵であるため、ほとんど同じ遺伝情報のもとで成り立っており、

血液型、性別が同じであったり容姿が似ているなど、共通点が多いのが特徴と言えます。

二卵性双生児とは

二つの卵子にそれぞれ別の精子が受精し、一度に二つの受精卵が育ったものを二卵性双生児と言います。

したがって、一卵性とは異なり遺伝情報は異なり、血液型や性別、容姿も異なるという場合があります。

双子妊娠の初期症状

つわりの症状は個人差があり、初期症状の段階で双子の妊娠を判別することは難しいです。

しかし、双子出産経験者の方には、特徴的な症状があったという方もいます。

ここからは、双子を妊娠しているときに現れやすい初期症状を紹介します。

1.腰痛

二人が同時にお腹の中にいるので、お腹が大きくなるスピードも上がるため、

腰痛の症状が早く出たり重いということが起きる場合があります。

2.吐き気

吐き気や胃のむかつきといったつわりの症状についても、双子を妊娠している場合の方が強くなる場合が多いです。

つわりは個人差が大きかったり、また第一子の妊娠の際にさほどひどくなくても、第二子の時にはかなりつらかったというような同じ人の妊娠であっても変わってくるものであるため、なかなかこれだけでは双子の妊娠を確認するのは難しいかもしれません。

3.胸の痛み

双子妊娠の場合は、ブラジャーを付けているのがしんどいくらいの痛みを感じることがあります。マタニティブラの着用は、特にいつからと決まっているものではありませんので、必要に応じて早めに準備・着用することで痛みの緩和にもつながります。

双子妊娠のリスク

双子の妊娠には母体・胎児それぞれにリスクを伴う場合があります。

リスクと聞くと不安を抱えてしまう方も多いかもしれませんが、

あらかじめ起こり得るリスクを知ることで急な体調の変化や、

リスク回避につなげることができます。

母体のリスク

・切迫早産

双子妊娠の場合は早産の可能性が高くなる傾向があります。

二人がお腹にいることで一人の妊娠よりも早くおなかが大きくなることから、

早産の確率が高まってしまう可能性があります。

・妊娠高血圧症候群

双子の場合、胎児に流れる血液量が多くなることから、

妊娠高血圧症になるリスクが高まります。

胎児のリスク

・バニシングツイン

双子のうちの1人が亡くなり子宮に吸収されてしまうという現象です。

・胎児発育不全

双子の場合、お腹の中に二人いるので単胎妊娠のように発育しきれずに低体重で生まれることがあります。

・胎児先天異常

出生前に起こる身体的な異常が、双子の場合には起こる確率が高くなります。

双子を妊娠してから出産する場合の流れ

双子を妊娠した場合の出産までの流れをおさえましょう。双子妊娠ならではのポイントもありますので、ご確認ください。

双子の妊婦健診について

双子の場合、妊婦検診が単胎健診に比べて多くなる場合が多いです。

それは、双子妊娠のリスク回避や、トラブルの早期発見を目的としています。

普通分娩は可能?

双子を出産する場合にはほとんどが帝王切開によるものになります。

実際に双子出産は必ず帝王切開で行うという医療機関もあります。

しかしながら、双子であっても経腟分娩が可能な医療機関で、なおかつ妊娠の経過が順調である場合にはその選択を行うこともできます。

希望する場合には、多児であっても経腟分娩可能な医療機関を探してみましょう。

出産の時期はいつ?

単胎妊娠の場合には妊娠37~41週が正産期と呼ばれ正常な出産の時期とされていますが、双子妊娠の場合にはその時期が狭く妊娠37~38週となっています。

リスクが高い双子妊娠であるために、出産時期も限定されることで安全な出産につなげることができるといえるでしょう。

双子の生まれ方

双子を出産する場合、ほとんどは帝王切開での分娩方法になります。

ただ、出産環境が整っていれば以下のように経腟分娩の方法で出産することができます。

具体的に経腟分娩の場合には、

1.双子の自然分娩を取り扱っている病院を選択

2.2度目以降の出産であれば、前回以前の出産も経腟分娩であること

3.母子とも経過が順調で問題がない

という条件がそろっている必要があります。

これらの条件がそろわない場合には、帝王切開が選択されます。

場合によっては、1人目は経腟分娩、2人目は帝王切開になることもあるように、

出産の経過次第でその方法は変わってきます。

いずれの場合も、母体及び胎児の安全面を最優先させた方法での出産が選ばれることになります。

双子の出産費用

一般的に、単胎妊娠の際の出産費用は50~60万円程が相場と言われています。
一方双子の場合は赤ちゃん2人分の管理費やさまざまな医療の介入があるケースも多く、
相場は60~80万円程です。
出産育児一時金は2人分支給されるため、それほど金銭的な負担は大きくないという声も聞かれます。
出産費用は病院によっても差が大きいため、事前に出産予定の病院で出産費用の目安金額を聞いておくと資金準備がしやすくなります。

<h4>双子の出産で受けられる補助制度</h4>

双子妊娠の場合、出産育児一時金50万円については2人分の100万円受け取ることができます。

また、産前休業についても、単胎妊娠の場合には予定日の6週間前からとなっていますが、双子の場合には14週間前から取得することができます。

さらに、自治体によって双子などの多児出産をした場合にはヘルパー派遣料金の補助が出るところもあるとのことです。必要に応じて制度を確認してみましょう。

まとめ

双子妊娠は単胎妊娠と比べると負担やリスクが大きいかもしれませんが、二つの命を同時に授かることができる大変神秘的で喜びも大きなものであるといえます。

出産に関しては、今回お伝えしたようなリスク等をあらかじめ理解しておくことで、いざというときに正しく冷静な対処を取ることに繋がるでしょう。

既に双子を妊娠しているという方は、その出産を大いに期待しながら心穏やかに過ごしていただければと思います。

参考文献

・厚生労働省 – 多胎児支援のポイント

・朝日新聞「ののちゃんのDO科学」 – 双子はおなかでどう育つの?

・国立成育医療研究センター – 多胎妊娠外来

・Newsweek日本版 – 「一卵性双生児の遺伝情報は同一ではない」ことが明らかになってきた