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バニシングツインはよく起きる?赤ちゃんやお母さんにどんな影響があるのか解説

双子の赤ちゃんがお腹にいると、まれに双子だと告げられていたはずなのに一人が消えてしまう「バニシングツイン」が起きることがあります。

バニシングツインの原因や起きる確率、生き残った胎児や母体の影響、気になる事柄を解説します。

バニシングツインとは

「双胎一児死亡」ともよぶ妊娠初期におきるバニシングツインは、双子のどちらか一人が消える(死亡)場合をいいます。

すでに胎児は亡くなっていて、子宮に吸収され、子宮の中からいなくなったように見える現象です。

一般的に妊娠したときの胎児が一人の場合は、妊娠初期に流産すると自然に排出されます。
自然排出ができない場合は子宮内容除去術(流産手術)を行うケースもあります。双子を妊娠した場合は、片方の胎児が亡くなっても自然排出されず母親の子宮内に残り、そのまま吸収されます。

ふたごの種類とバニシングツインの関係

双子の種類とバニシングツインの関係性は、胎児を包んでいる絨毛膜と羊膜の数(部屋)に関係しています。

一つの胎盤に二つの部屋をもった「一絨毛膜二羊膜」とよばれる種類と、一つの胎盤に一つの部屋をもつ「一絨毛膜一羊膜」の場合に多く起きています。

双子の種類

①絨毛が2つで羊膜が2つの「2絨毛膜2羊膜双胎」

②絨毛が1つで羊膜が2つの「1絨毛膜2羊膜双胎」

③絨毛が1つで羊膜が1つの「1絨毛膜1羊膜双胎」

・絨毛の数とは胎盤の数です。

・羊膜の数とは胎児が成長している部屋の膜の数です。

※羊膜とは胎児や羊水の入っている膜は卵膜と呼ばれています。

卵膜は3層からなっていて母体の子宮側が脱落膜、真ん中の層が絨毛膜、胎児側が羊膜です。破水は3層からなる卵膜が破れることで起こります。

ふたごが生まれる確率

双子が生まれる確率は、約1%といわれています。

バニシングツインが起こる確率

二卵性よりも一卵性の双子の胎児に多く、バニシングツインは自然妊娠の双胎で18.2%、体外受精の双胎が12.6%です。

体外受精は妊娠率を高める処理がいるので自然妊娠の方に多く起きていることは納得できる結果です。

妊娠の週数別では、妊娠6〜8週の時期では一卵性双生の50%と半数に及びます。

二卵性双生児は21%におきていて、三つ子の場合はさらに多くなります。

羊膜と絨毛膜の数に関係しているため、二人で共有している場合の確率が高いと考えられます。

バニシングツインが起こる確率についてはこちら

バニシングツインは妊娠6~8週に起きやすい

バニシングツインの原因は染色体異常に関係しているといわれていますが、明らかではありません。

多くが妊娠初期の早い段階で起きることも分かっています。

双子の一人がお腹の中から消えてしまうと聞くと、珍しい現象と思われがちですが、バニシングツインは珍しい現象ではないことが近年で分かってきました。

近年、多く発見される様になったのは、超音波検査の医療技術が進歩したことによるものといわれています。

妊娠初期のバニシングツイン

胎児心拍は妊娠6週になると超音波検査(エコー)で確認できます。

超音波検査(エコー)では妊娠6〜8週になれば胎児の様子が分かります。

この頃にバニシングツインがおきる割合は多く、胎児の数と心音が一致しない場合があっても経過を見ることになります。

胎児のからだが重なってきれいに観察できない時があるからです。

胎児心音は子宮に吸収されるにつれ、段々と聞こえなくなってきます。

妊娠中期のバニシングツイン

妊娠中期は初期と違い1つの心臓の活動がわかるだけです。

もし不幸にも妊娠12周目以降で起きてしまった時は、12週以前と同じように自然吸収を待つことになります。

妊娠15週〜20週に起きていることが分かった場合は、消えた胎児が紙様になって残っていたりしますが、時間の経過とともに自然排出されることもあります。

お母さんに対するバニシングツインの影響

亡くなった胎児が胎内に残っている間に感染源になることはありません。

胎児が子宮に吸収されてもお母さんの体に影響はなく、残った胎児はそのまま育ってくれます。

稀におこる症状

双子の種類によって違いはありますが、双子を失った時に出血がみられるケースや、生き残った胎児に消えた胎児の組織の残骸から「奇形腫」が発生することがあります。

 hCGの値が低い

妊娠中のhCGの値は正常に発育している双子の値と比べ、hCGの値が低ければバニシングツインを疑うことになります。

 妊娠糖尿病になりやすい?

バニシングツイン後は母親に妊娠糖尿病の発生が多いという研究報告があります。

消えた胎児の影響がどのように作用しているかは不明ですが、多胎妊娠は妊娠中にだけに発症する「妊娠糖尿病」が多いことが分かっています。

妊娠と糖尿病の関係はインスリン抵抗性が上がるためだと言われています。

分娩の影響はない

前期破水の原因になること(早産)や低出生体重児(2500g以下)の出産など、妊娠後期にバニシングツインが起きたときの影響はいくつか報告されています。

しかし妊娠14週以前に起きた場合は、この比率は正常時と変わりがなく、妊娠14週後に起きた場合は、これらのリスクは高くなります。

その他には一卵性は二卵性より分娩に影響することや、亡くなった胎児の数やお母さんの年齢も影響すると言われています。

亡くなった胎児の再吸収が起きることで炎症が起き、その作用から、胎盤の血流に変化が起きて「胎盤形成不全」となると考えられていますが、亡くなった胎児が胎内に残って感染源になることはありません。

赤ちゃんに対するバニシングツインの影響

赤ちゃんに影響のない、心配が少ない妊娠初期と違って、妊娠中期を過ぎてのバニシングツインは、亡くなった胎児のからだが完全に吸収されない可能性があります。

「二絨毛膜二羊膜」では、残された胎児は自分だけが使える胎盤と、自分だけで過ごせるお部屋のおかげで影響はほとんどなく、生き続けられると言われています。

しかし、胎盤と羊膜が一つの「一絨毛一羊膜」や「一絨毛二羊膜」の場合は、一つの胎盤を共有しているので、残された胎児は低出生体重や脳の障害、死産の可能性がでてくるので早めの対応をこころがけましょう。

完全吸収されないとき

完全吸収でない場合は、吸収されないバニシングツインの胎児に、ごく稀な出来事が起きます。

吸収されたはずの胎児の一部が発見されるなどです。

その胎児の一部が生き残った胎児のからだの一部として存在する症例があります。

「寄生性双生児」と呼ばれるきわめて珍しい現象です。

 寄生性双胎児

「寄生性双胎児」の不思議な現象がおこることがあります。

「寄生性双胎児」は吸収されたはずの胎児の歯や髪、指などが子どものからだから見つかったり、稀に残された組織が栄養を得て大きく育ってしまうことで、分離手術をする場合もあるというものです。

 親と異なる血液型の可能性がある

2014年、アメリカで父親と母親のDNAを2セットもった「マイクロキメリズム」の赤ちゃんが生まれました。また両親の血液型を受け継がない不自然な血液型を持った赤ちゃんが生まれています。

バニシングツインの予防や対策

健康な赤ちゃんを誕生させるために、親として何か対策をとりたいと考えるものですが、現段階では対策法がありません。

これは胎児の染色体異常の可能性があるからであり、予防する有効な手立てはありません。

バニシングツインを予防することは難しい

胚の発生段階や受精卵の成長発達の過程で、遺伝子の働きが中断された結果と考えられています。

染色体異常は胎児側の問題であるので、「胚」の遺伝子操作は倫理上の問題もあってバニシングツインを防ぐのはとても難しいことなのです。

バニシングツインの経験をした方には、妊娠をすることに不安をもつこともあります。

バニシングツインの原因とされる染色体の異常が気になるときは、体外受精の時に行う「着床前診断」を利用する方法で調べることができますが、バニシングツインは母体や胎児に影響がほとんどないといるので、思い過ごすことが最善の方法です。

赤ちゃんへの思いを育む

消えてしまった赤ちゃんのことを思うと心が痛みます。

母親にできることは、残されたもう一人の我が子を大切に育てていくことです。

今、からだの中で育っているわが子に目を向けて過ごしていくのが良いのではないでしょうか。

まとめ

確率からすればバニシングツインがおきることは珍しくないのかもしれません。

それでも授かった命が消えたことは心の沈む出来事です。

予防するのも困難となっているため、心を穏やかに生きている命を大切にしていきたいものです。

参考文献

・国立療育医療研究センター-多胎妊娠外来

・NPO法人SIDS家族の会-死産について