/ 出生前診断/

羊水検査後から産後までの正しい過ごし方とは?羊水検査の内容や流れについても解説

妊娠中の検査の一つとして、羊水検査という言葉を聞いたことのある方は多いでしょう。

名前の通り、妊婦さんのお腹に針を刺して、羊水を採取することで、お腹の中の赤ちゃんの染色体異常を調べる検査です。

しかし検査の内容を聞いたことがあっても、その後の過ごし方まではあまり知られていません。

お腹の赤ちゃんのためにも、検査の内容だけでなく、検査の後どのように過ごした方がよいかまで知ったうえで検査を受けることが大切です。

そこで、ここでは羊水検査の内容と産後までどのように過ごせば良いのかを説明していきます。

羊水検査後の過ごし方①羊水検査の方法は?

羊水検査は染色体異常の確定診断として行われるものです。

検査の方法も一つではなく、3つの方法があります。

染色体分染法、マイクロアレイ検査、FISH法という3つの検査について、ここではご紹介します。

染色体分染法

染色体分染法は「Gバンド分染法」とも呼ばれるものです。

染色体には縞模様(バンド)があり、この縞模様を見えるようにしていきます。

現在ではさまざまな分染法が開発されていて、人間の46の染色体すべてを正確に分類することが可能です。

染色体の数の異常や、大きな欠損や重複、逆位や転座など染色体の構造異常といったものがわかりますが、検出の感度は高くありません。

そのため、顕微鏡で確認ができないような細かい染色体異常は見つけることができないです。

マイクロアレイ検査

マイクロアレイ検査というのは、赤ちゃんの染色体を細かくバラバラにして、蛍光物質をくっつけて調べる検査です。

「マイクロ」は小さい、「アレイ」は配列という意味を持っています。

細かくした染色体にはたくさん点の配列があり、細かい領域にわかれているため、その領域に細胞がいくつあるか調べて診断するのです。

細かさは分染法よりも100倍とされています。

fish法

fish法は「fluorescence in situ hybridization」の頭文字を取ったもので、染色体の特定の場所だけを蛍光染色して光らせる方法です。

蛍光のDNAの断片を染色体にくっつけて、蛍光顕微鏡で特定の染色体異常の検査をすることができます。

この方法で診断が確定できるのは大きな染色体欠損と重複であり、染色体の異常や変異が遺伝子レベルのような細かい部分を調べることはできません。

羊水検査後の過ごし方②検査の流れ

羊水検査はどのような流れで行われるのでしょうか。

事前に検査の流れを知っておくと、当日も安心して検査が受けやすいです。

ここでは、検査の流れを超音波で赤ちゃんを確認するところから、説明していきます。

超音波で赤ちゃんの位置を確認する

まず、エコーで赤ちゃんの様子を確認します。

心拍や発育だけでなく、羊水量や胎盤の位置まで確認をしていきます。

特に、赤ちゃんと胎盤の位置を確認するのは、安全な場所に針を刺して羊水を吸引するために重要なことです。

羊水を吸引

羊水の吸引は羊水穿刺という手法が取られます。

羊水を吸引するときには、皮膚の局所麻酔を行う病院もあり、あまり痛くないと言われます。

麻酔がなかったとしても採血よりも痛くないとされており、麻酔がなくても不安に思う必要はないでしょう。

20mlほどの羊水を採取したら吸引は終了です。

培養して染色体検査をする

羊水の中に含まれている染色体の数は少量しかありません。

そのため、羊水の採取が終了しても、すぐに検査の結果は出ません。

染色体を2週間ほど培養して細胞を増やしてから染色を行って判定となります。

多くの病院では検査から結果が出るまでに2~3週間ほどかかるため、次の対応がしやすいように15〜18週の早い時期が良いでしょう。

羊水検査後の過ごし方③検査が終わった後

羊水検査が終わったら、赤ちゃんを守るためにどのように過ごせばよいのでしょうか。

検査後の過ごし方として気を付けなければならない3つのポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

検査後20~30分後にエコー検査をする

検査が終わったら、母体の様子を確認するためにも30分ほど安静に過ごします。

その後、エコーで赤ちゃんの心拍や様子を確認し、針を刺した箇所の状態を確認し、問題がなければ帰宅できます。

1日の管理入院をする病院もたまにありますが、最近は日帰り検査の病院が大多数です。

3日間は抗生剤を飲む

検査の後は、感染症対策と子宮の収縮抑制のために抗生剤が処方されます。

特に体調に異変がないと、これらを飲み忘れがちです。

必ず処方された日数は飲まなければなりません。

また、抗生剤でアレルギー症状がある場合には、種類の変更のお願いをすることを忘れないようにしましょう。

検査当日は入浴を控える

検査当日は感染症予防のためにも、湯船に入るのは控えた方がよいでしょう。

シャワーは可能なので、エコーでお腹のべたつきが気になった場合はシャワーで体を洗う程度にしておくのが望ましいです。

1日~2日は安静に過ごし、異常がなければ普段どおりの生活に戻せます。

羊水検査後から出産までの流れ

羊水検査の結果で異常なしと判断されれば通常どおりの妊娠期間を経て、出産となります。

しかし、異常があると分かった場合には、遺伝カウンセリングなどで専門家に相談する、治療可能な専門的な施設のある病院に転院するなどの対応をします。

また、障害の程度や、異常の種類など、結果の内容によっては中絶を考えるかもしれません。

中絶は、お母さんの体への負担と倫理的な観点から、母体保護法で妊娠22週未満しかできないと決められているため、これより前に中絶しなければなりません。

結果の内容を直接中絶の理由とすることはできませんが、異常がある状態がお母さんへの身体的苦痛に繋がる場合には、中絶が認められます。

異常が見られた場合に中絶も検討する可能性がある方は、妊娠15週〜18週の期間で検査をし、考える時間を確保しておくと良いでしょう。

また、0.3%程度の確率で検査後に出血や感染、破水、流産などの異常が起こる場合があります。

検査後に異常を感じたら、すぐに病院に問い合わせてください。

出産から産後までの流れ

出産はお母さんの体に大きなダメージを与えます。

子宮の大きさが元に戻ったり、ホルモンバランスが整ったりと母体が元通りになるには、2か月ほどかかります。

無理をすると、回復にさらに時間がかかる可能性があるため安静に過ごすことが大切で、入院するのはそのためです。

出産後の入院期間は分娩方法により異なり、自然分娩の場合は4日~5日間ほど入院します。

帝王切開の場合は、お腹を切り開いているため、1週間〜10日程度になるでしょう。

また、初産か経産婦かでも入院期間は異なります。

自然分娩の場合、産後1日は体力の回復のため休みます。

その後赤ちゃんへの授乳や沐浴などの赤ちゃんのお世話をはじめ、数日後に検査で異常がなければ退院です。

一方、帝王切開の場合では、同様に1日目はゆっくりと過ごしたのち、歩行の練習から開始します。

歩行ができるようであれば、授乳や沐浴など赤ちゃんの世話ができるようになるでしょう。

入院期間中は採血や体重測定など術後の検査も並行して行われ、縫合した傷や体調に問題がなければ退院となります。

まとめ

母体のためにも、お腹の赤ちゃんのためにも羊水検査をして2〜3日は安静にすることが大事です。

その際は、処方された抗生物質の服用を忘れないようにしましょう。

とくに上にお子さんがいるお母さんは、無理をしがちなので、お気を付けください。

パートナー、ご自身の親御さん、兄弟姉妹などにサポートを頼むのも良いです。

そして、万が一異変があった場合は、すぐにかかりつけの病院へ行くようにしてください。