切迫流産の原因や治療法について解説!正しい知識で対策しよう
妊婦さんは流産という言葉を、あまり目にしたくないと思います。
しかし、万が一自分が切迫流産の可能性があった場合、知識がなければ上手く立ち回ることができません。
原因や治療法について知識を深めることで、切迫流産のリスクを回避することができます。
切迫流産について、詳しく説明しますので、見ていきましょう。
この記事の内容
切迫流産とはどういうものか
切迫流産の意味や原因、症状などご紹介いたします。
切迫流産とは
切迫流産は、簡単に言えば「流産の一歩手前の状態」のことです。
流産になってしまうと、妊娠を継続することは不可能ですが、切迫流産の状態であれば「正産期」に戻ることは可能です。
早期発見から治療を行うことで、状態を回復させることができます。
切迫流産になる原因
切迫流産は、赤ちゃんの染色体に何らかの異常が発生することが原因で生じます。
ほとんどの原因は染色体によるものですが、子宮内の異常や多胎妊娠などによる影響も考えられます。
切迫流産の症状
切迫流産の代表的な症状は、「下腹部の痛み」と「出血」です。
下腹部の痛みとしては、お腹が張る感じとは異なり強い痛みがあります。
「出血」は量が多く、長く止まらない場合が注意です。
少しでも普段と異なり、違和感を持った場合は、医師に相談することをおすすめします。
切迫流産の治療法
切迫流産と診断された場合、どのような処置をとればいいのか説明します。
有効的な治療法はない
妊娠10週目未満の場合、切迫流産に有効的に効く治療法はまだありません。
お腹の痛みや出血があっても、勝手に市販薬を服用せず医師の指示に従いましょう。
経過の様子を見ながら、安静に過ごすしか手立てがないため、切迫流産にならないように気をつけることが重要です。
12週目以降は子宮収縮抑制剤ができる
妊娠12週目以降であれば、染色体の異常だけでなく、母体に影響がある可能性が高くなるため、状況に合わせて薬を投与します。
例えば、お腹の張りが強い場合は「子宮収縮抑制剤」、出血がひどい場合「止血剤」などを使用します。
またクラミジアなどの感染症になってしまった場合は、炎症を抑えるために抗生物質を投与するなど、人によってさまざまです。
症状が軽い場合は、12週を超えていたとしても薬を投与しない場合もあります。
可能な限り安静にしておくことが重要
周期に関係なく、切迫流産と診断されればとにかく安静にしていることが一番の治療法です。
家事や買い物などはパートナーに任せ、できる限り横になっている時間を増やしましょう。
またパートナーだけでなく、家族や友達など協力してもらえる人を活用し、自分は最低限のことだけをするように心がけてください。
重症のときは入院も
基本的には自宅療法が多いですが、重症である場合は入院・手術も必要になります。
それぞれの症状によって1週間~最大1ヶ月程度、入院する可能性があります。
「頸管無力症」が原因であれば、「頸管縫縮術」という手術を行う場合もあり、感染症の疑いがある場合は、抗生物質による治療などさまざまです。
1ヶ月入院したとしても保険が適用されるため、自己負担は3割です。
切迫流産にならないようにするには
染色体による異常は、予防する方法がありませんが、お母さんによる原因は予防することができます。
切迫流産にならないようにするために、やるべきことを見ていきましょう。
ストレスになることを避ける
ストレスは自律神経やホルモンバランスが乱れる原因です。
免疫力も崩れやすくなり、細菌の感染を防げなくなってしまいます。
休息をしっかりとり、リフレッシュできる環境を維持しましょう。
「おりもの」のチェックを怠らない
感染症の経路として多いのが、膣(ちつ)からの感染です。
膣から感染するときに、おりものの色や臭いなど状態が変化するため、日々チェックしておくことが大切です。
おりものの変化にいち早く気づくことができれば、悪化を防ぎ、重症化を回避できます。
注意すべきおりものの状態としては、「色が黄色または緑」、「においが濃い」、「量が急に増えた」、このような現象が起きれば注意です。
過度な運動を避けて安静にする
過激な運動は、身体に負担がかかりストレスの原因になります。
また身体の疲労から、免疫力の低下やお腹の張りなど影響が大きいため避けましょう。
健康や体型維持のために運動することは大切ですが、無理のない程度に留めましょう。
身体のケアを入念にする
妊娠中は免疫力が低下している状態なので、身体のどこから細菌に感染するかわかりません。
切り傷や虫歯など、普段なんともないことでも、妊娠中はリスクを伴うため身体のケアを念入りに行うことが大切です。
妊娠初期に気を付けること
妊娠初期は、安定していないことから切迫流産以外にもリスクがあります。
そのため、他のリスクを避けるためにこれから紹介するポイントに気をつけましょう。
葉酸サプリを摂取する
妊娠初期に葉酸を摂取しておくことで、胎児神経管閉鎖障害の予防につながります。
葉酸は、ほうれん草や納豆からでも摂取できますが、それだけでは摂取量が不足してしまいます。
効率よく葉酸を摂取するためには、サプリメントを活用し一日に必要な摂取量を補いましょう。
喫煙・飲酒は絶対にしない
喫煙は血管の流れを悪くする働きがあります。
血管の流れが悪くなってしまうと、胎児にあげる酸素や栄養の供給に悪影響を及ぼすため絶対にしてはいけません。
また早産や流産を高める原因になります。自分が吸っていなくても副流煙により摂取してしまう可能性もあるため注意しましょう。
飲酒は、アルコール濃度がそのまま赤ちゃんへ流れてしまい、「胎児性アルコール症候群」になる可能性が高まります。
「胎児性アルコール症候群」になってしまうと、身長や体重の発育が悪くなることやうつ、学習障害などの精神疾患をわずらう恐れもあるため危険です。
栄養バランスを考えた食事を意識する
妊娠中は、食べたほうがいい食品や控えるべき食品など食生活を意識することが大切です。
例えば、食中毒になる可能性の高い「生もの」、水銀が含まれている「マグロ、キンメダイ」、鉄分が多く含まれている「レバー」など摂取量に注意すべき食べ物もあります。
逆にタンパク質に優れた「大豆」、鉄分の取れる「海藻」、食物繊維たっぷりの「きのこ類」など、これらの商品は積極的に取り入れましょう。
まとめ
妊娠10週目までは、染色体による影響で切迫流産になってしまうため、対策の施しようがないですが、12週目以降は、お母さんによる影響があるため、予防しておくことが重要です。
ストレスをかけない、おりものに注意する、過度な運動を控えるといったことに意識するだけでも大きく変わります。
切迫流産に関する知識量を増やすことで、もしもの場合にも冷静に対処できるので、本記事を参考に、知識を深めましょう。
参考文献
・公益社団法人 日本産婦人科学会ー流産・切迫流産