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新型出生前診断とは?種類や検査結果ごとの対応について解説!

近年、安心して出産するために新型出生前診断を受ける方が増えています。

しかし「新型出生前診断で何が分かるの?」「費用はどのくらい?」など、わからないことも多くて、一歩踏み出せない方もいるでしょう。

そこで本記事では、新型出生前診断の特徴や種類、検査結果ごとの対応を詳しく解説します。

新型出生前診断を受けようか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

新型出生前診断(無侵襲的出生前遺伝学的検査)とは

新型出生前診断(NIPT)とは、胎児が次の3つの疾病にかかる危険性がないかを調べるための検査です。

  • ダウン症候群(21トリソミー)
  • エドワーズ症候群(18トリソミー)
  • パトウ症候群(13トリソミー)

採血のみで検査ができるため、胎児へのリスクもほとんどなく、安心して受けることが可能です。

ここでは新型出生前診断で調べられる疾病の種類を解説します。

新型出生前診断の費用相場もまとめて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

ダウン症候群(21トリソミー)

ダウン症候群(21トリソミー)とは、21番目の染色体が1本多くなることで生じる染色体異常症です。

症状としては知的障害や身体的発達の遅れが挙げられます。

また、心疾患や消化器疾患など、さまざまな合併症のリスクも高まります。

赤ちゃんがダウン症候群として生まれる確率は高齢出産になるほど上がるため、高齢出産で不安な方は事前に新型出生前診断で染色体の検査をしておくのがおすすめです。

新型出生前診断なら、妊娠10週から検査ができ、感度・特異度99.9%と非常に高精度な診断ができます。

エドワーズ症候群(18トリソミー)

エドワーズ症候群とは、本来2本の18番染色体が3本存在することで生じる染色体異常症です。

エドワーズ症候群には、低身長や先天性心疾患、小頭症といった身体的特徴や先天的疾患など、さまざまな症状を引き起こすリスクがあります。

また、生まれて1年の生存率が10%未満とかなり深刻な疾病です。

医学の進歩により、少しずつ生存率は向上していますが、それでも合併症を患う場合が多く、流産の危険性もあります。

そのため、早めに検査を受けて対策を講じることが重要です。

新型出生前診断なら、採血をするだけでエドワーズ症候群を高確率で早期発見することができます。

早期発見ができれば、出生後の治療やサポートの準備を行うこともできるのです。

パトウ症候群(13トリソミー)

パトウ症候群とは、本来2本であるはずの13番目の染色体が1本多くあったり、一部が重複したりしている染色体異常症のことです。

パトウ症候群は、胎児期から生後期にかけて多くの異常を引き起こします。

主な症状は出生体重の軽さ、小さな頭のサイズ(頭蓋縮小)、目の形態の異常、耳の形状の異常、心臓病、脳の形態の異常などです。

また、パトウ症候群では、比較的重い知的・発達障害がみられるのも特徴です。

パトウ症候群は早期の支援や医療管理が重要になります。

そのため、13番染色体を調べられる新型出生前診断がおすすめです。

新型出生前診断の費用相場

新型出生前診断の費用はクリニックによって多少異なりますが、15~21万円ほどです。

また、検査結果で陽性や判定保留になった場合は、再検査や確定検査が必要になります。                                                                                                       

新型出生前診断に確定検査が必要になった場合の費用も含まれているクリニックもありますが、各機関によって異なるため、事前に確認することが大切です。

新型出生前診断以外の検査費用相場は、絨毛検査や羊水検査で10~20万円、超音波検査は妊婦健診でも行われますが2~3万円が相場になります。

出生前検査の種類

出生前検査には非確定的検査と確定的検査の2種類があります。

確定検査は非確定的検査で陽性の結果が出た場合に受ける検査です。ここでは、各検査の内容について詳しく解説します。

非確定的検査

新型出生前診断は非確定検査になります。非確定的検査の種類はおもに4つです。

  • 新型出生前診断
  • エコー検査
  • クアトロ検査
  • コンバインド検査

ここでは、4つの非確定検査について詳しく解説します。

新型出生前診断

新型出生前診断は、採血のみでできる非侵襲的な出生前検査のひとつです。

母体のDNAを分析し、ダウン症候群と18トリソミー、13トリソミーの可能性を検出します。

10週目以降なら受けることができるため、染色体異常を早期に発見できる点が魅力です。

また、染色体異常の種類などにもよりますが、40歳の妊婦さんを対象として21トリソミー(ダウン症候群)を調べた場合の感度・特異度は99%であるなど、非常に精度が高いことでも知られています。

ただし、新型出生前診断は確定的検査ではないことから、もっと確実な結果を得るためには、絨毛検査や羊水検査等などの追加検査が必要です。

エコー検査

エコー検査は、音波を使って胎児の構造や発育を確認する非侵襲的な検査です。

母体の腹部に機械を当てて、胎児の心拍や臓器の形状、異常の兆候などをチェックします。

安全性が高いこともあり、他の出生前診断と一緒に妊娠中の検査として利用されています。

クアトロ検査

クアトロ検査とは、母体の血液中にある構成物を計測し、特定の疾病の確率を算出できるスクリーニング検査です。

ダウン症候群、エドワーズ症候群、開放性神経管奇形である確率を算出できます。

クアトロ検査は母体の血液を採取するだけでできるため、胎児に影響を与えるリスクが低い点が魅力です。

ただし、あくまで非確定検査なため、もっと詳しい結果が知りたいのなら確定的検査を受ける必要があります。

コンバインド検査

コンバインド検査は、エコー検査と母体の血液検査を組み合わせた出生前検査です。

ダウン症候群と18トリソミーのリスクを確認できます。

2つの検査を組み合わせ、妊婦や家族の疾病歴などの情報も加味して算出するため、高い精度がある点が魅力です。

確定的検査

確定的検査には次の2種類があります。

  • 絨毛検査
  • 羊水検査

子宮内の羊水には、胎児に関する細胞が存在しています。そのため、羊水検査では、超音波画像のガイドのもと妊婦のお腹に針を刺して羊水を採取して検査を行います。

絨毛検査は、将来胎盤になる絨毛と呼ばれる部分に針を指し、細胞を採取して行われる検査です。染色体の形と数の変化を確認することができます。

ただし、絨毛検査と羊水検査はどちらも破水や出血、子宮内感染、早産などのリスクを伴います。

そのため、非確定的検査で陽性が出た場合や、特定の疾病が疑われる場合に推奨されている検査です。

新型出生前診断の検査結果の種類

新型出生前診断の検査結果により、次に行うアクションは異なります。ここでは陰性、陽性、再検査に分けて説明します。

もし、新型出生前診断で陽性が出た場合でも慌てずに対処できるよう、事前に確認しておきましょう。

陰性の場合

新型出生前診断をおこなった結果、陰性と出た場合は、胎児がダウン症候群やエドワーズ症候群、パトウ症候群の可能性は低いということです。

新型出生前診断は、陰性的中率99%を誇るため、陰性の結果が出た場合はほぼ心配ないと思ってよいでしょう。

ただし、あくまで確率の話しなので、なかには生まれた際に陰性判定が偽陰性だったことが分かったケースもあります。

陽性の場合

新型出生前診断をおこない陽性反応が出た場合は、胎児がダウン症候群やエドワーズ症候群、パトウ症候群のいずれかの疾病である可能性が疑われます。

そのため、検査結果が陽性であった場合は、確定的検査をおこない、結果を明確にするのが一般的です。

そうすることで生まれる前に心構えができ、治療やサポートの体制を整えることにも役立ちます。

再検査の場合

新型出生前診断を受けても、陽性または陰性の判定ができず、再検査が必要になるケースもあります。

再検査になる原因としては、母体の血中にある胎児のDNA量が少ないことや、服薬中の薬が原因で検査ができない場合などがあります。

再検査になった場合は、検査時期を検討する必要があるため、医師と話し合って決めていきましょう。

まとめ

新型出生前診断は、胎児がかかるリスクのある3つの疾病(ダウン症候群、エドワーズ症候群、パトウ症候群)について、出産前に調べることが可能です。

10週目以降なら受けられるため、胎児の疾病を早期発見するのに役立ちます。

費用はおよそ15〜21万円と安くはありませんが、採血のみで安全性も高いことから、リスクを減らして出産したい方におすすめです。

参考文献

・厚生労働省-NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書

・厚生労働省-NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書資料4

・出生前検査認証制度等運営委員会-お腹の赤ちゃんの検査の種類

・日本医学会臨床部会運営員会-「遺伝子・健康・社会」検討委員会