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NIPTで陽性判定が出る確率は?陽性判定後の検査とNIPTを受ける前の心構えを解説

妊娠が分かったとき、赤ちゃんに障害がないか調べる検査にNIPTがあります。

障害なく生まれてほしいと願うお母さんの手助けになる検査の1つですが、実際に陽性と出る確率はどれくらいなのかご存じでしょうか?

本記事ではNIPTの内容や検査精度の項目の意味、結果の見方と陽性判定がでる確率、さらに陽性が出たら受ける検査やNIPTを受ける前に知っておきたい心構えについて解説します。

NIPTを検討している場合に、ぜひ参考にしてください。

出生前診断の1つ・NIPTとは?

NIPTとはどういった検査で何が分かるのか知らない方もいらっしゃると思います。

まずは検査内容や調べられる染色体異常の種類、他の出生前診断との違いをおさえておきましょう。

NIPTの内容と調べられる遺伝子異常の種類

NIPT(新型出生診断)は妊娠中のお母さんから採取した血液を検査し、赤ちゃんに染色体の異常がないか調べる検査です。

検査できるのは21トリソミ―(ダウン症)・18トリソミー症候群・13トリソミー症候群で、一部の染色体しか検査できません。

NIPTの特徴

NIPTは非確定的検査の1つで、複数ある検査の中でも精度が高い検査の1つです。

感度は約99%で非常に高い数値で、異常があるか正確に検知できるといえるでしょう。

21トリソミーの感度で比較すると、妊娠中期に行う母体血清マーカートリプルテストは約69%、ソフトマーカーでの超音波検査は11週~13週に検査した場合だと約64%~70%なのでいかに高い精度なのか違いが分かります。

NIPTと他の出生前診断の違い

NIPTは妊娠初期である10週0日以降で検査できます。

初期母体血清マーカーや超音波検査は病院によりますが、11週以降からしか検査できないので、早い段階で赤ちゃんに異常があるか知りたいと考えているお母さんには最適の検査といえるでしょう。

検査方法も採血のみなので、母体に負担が少なく比較的安全に行える検査です。

検査精度を表す指標

検査精度は大きく分けて4つの指標で示されています。

指標を正しく理解していないと間違って認識してしまうので、検査を受ける前に指標の意味について理解を深めましょう。

感度と特異度とは

感度は染色体異常があると検査結果が正しく陽性と判断される確率で、特異度は染色体異常がないと検査結果が正しく陰性と判断される確率を指します。

NIPTコンソーシアム(出生前診断の知識や経験が豊富な専門家が結成した組織)によると3つの染色体異常においてNIPTは感度も特異度も約99%とされているので、高精度な結果が得られるでしょう。

的中率

NIPTで大切な指標なのは的中率ですが、赤ちゃんの持っている疾患によっては的中率が下がってしまうので注意が必要です。

的中率は2つに分けられており、陽性的中率は陽性の場合に判定が正しい確率で、陰性的中率は陰性判定の場合には異常がないとされる確率を指します。

的中率は年齢によって左右され、高齢妊娠ではない妊婦さんだと陽性的中率が低く出る可能性があるので気を付けましょう。

検査結果の見方と陽性判定の確率

結果で重要なのは判定保留になった場合や、偽陽性や偽陰性が出る可能性です。

陽性が出る確率についても解説しますが、染色体によっても確率のばらつきがあるのであくまで参考にしてください。

陽性と陰性と判定保留

結果で陽性判定が出た場合、染色体異常を持つ可能性があります。

必ず異常があるというわけではなく、異常を持つ可能性があるという診断なので、その後検査をするかどうか家族や担当医と相談しましょう。

陰性と判定されたら、染色体異常を持つ可能性は低いといえます。

その後の検査を受ける必要はありませんが、陰性でも染色体異常がゼロではありません。

検査結果が陽性・陰性と判定ができない判定保留となる場合があります。

原因はお母さんが特定の疾患を持っている・特定の疾患の治療をしている、お母さんの血液中に赤ちゃんが持つDNAが少ない場合などがあるので再検査を行いましょう。

陽性が出る確率

2013年から2021年に行われたNIPTコンソーシアム内でのNIPT検査数約10万件のうち、陽性判定が出たのは1827件なので確率は約1.8%、約50人に1人です。

陽性判定のうち21トリソミー(ダウン症)が最も多く、その後確定検査を受けた方の中でダウン症と確定されたのは約97%ですので、陽性判定が出ても必ず疾患を持っているわけではありません。

偽陽性と偽陰性

NIPTは約99%と非常に高い感度ですが、約1%間違った結果が出てしまいます。

偽陽性は陽性と判定されたが実際には染色体異常がない、偽陰性は陰性であっても染色体異常がある場合を指します。

先ほど説明した陽性判定のうち約97%は陽性でしたが、残り約3%は偽陽性と判定されており赤ちゃんには異常が見られませんでした。

陽性判定が出たら行う検査

陽性判定が出ても偽陽性の可能性が少なからずありますので、確定検査を受けて本当に疾患を持っている可能性があるのか調べましょう。

確定検査は2種類ありますが、検査を受けられる週数や採取部位が異なりますので気を付けてください。

羊水検査

羊水検査は妊娠15週以降に受けられる検査で、お母さんのおなかに針を指し羊水を採取し羊水の中に含まれる赤ちゃんの染色体を調べます。

羊水検査は直接母体に針を指して検査するので、流産のリスクがあると認識しておきましょう。

絨毛検査

絨毛検査は病院によって異なりますが妊娠10週から受けられる検査で、お母さんの下腹部に専用針を指し、胎盤にある絨毛組織を採取し染色体異常や先天性疾患を調べます。

絨毛検査も羊水検査同様に流産のリスクがあり、検査を受けられる機関が限られているので、絨毛検査を受ける場合には産婦人科の担当医に相談してみましょう。

NIPTを受ける前に必要な心構えとサポート体制

NIPTは誰でも受けられる検査ではありますが、赤ちゃんに異常がある可能性を認識しておかなければいけない必要もあります。

その後の妊娠生活に大きな影響を及ぼしますので、検査を受ける前に心構えをしておきましょう。

NIPTが命の選別とされている現実

NIPTで陽性判定が出た方の中には、確定検査を受ける前に人工中絶を選ぶ方もいるので検査が命の選別とされている現実があるのを知っておいてください。

確定検査を受ける前に中絶を選んでしまう方は、確定検査に適切に案内されていなかったり理解がない場合が多いとされています。

確定検査を受けて中絶を選んでしまう方は、障害を持った子どもを育てる不安や社会的サポートが不十分と感じてしまう場合に、多くの方が中絶を希望されています。

遺伝カウンセリング

NIPTはとてもデリケートな検査で、その後の妊娠継続するかどうかを決めてしまう場合があります。

気軽に検査を受けるのではなく、検査前に専門家による遺伝カウンセリングを受けましょう。

検査後もカウンセリングを受けてさらに検査を受ける必要があるのか、今後の方針についてもしっかりと話し合いましょう。

まとめ

NIPTは約99%と高い数値で染色体異常を発見できます。

しかし必ず染色体異常を持っているというわけではなく、偽陽性や偽陰性など間違った判定になる可能性が出る場合についても頭に入れておきましょう。

検査結果によっては妊娠継続をあきらめる方もいるので、検査前後で専門家と相談して検査を受けるべきか判断してください。