生理前はどうして体温が上がるの?基礎体温と妊娠の関係性
「生理前になると熱っぽく感じる」「生理前に微熱が出る」そんな経験はありませんか。
女性の体では、さまざまな変化が周期的にくり返されています。
その代表的なものが月経であり、体温も月経の周期に一致して上がったり下がったりと、一定の変化をくり返しています。
体温がどのように変化しているかが分かると、次にいつ生理が来るか、次の妊娠しやすい時期はいつかを、ある程度予測することが可能となります。
周期を把握する上で、ポイントとなるのが基礎体温です。
今回は生理や妊娠の判断にも用いられる基礎体温について詳しく解説していきます。
この記事の内容
基礎体温について
基礎体温という言葉を聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。
ここでは、基礎体温とは何か、またそれが月経周期と連動してどのように変化していくのかを解説していきます。
基礎体温とは
基礎体温とは、体温が安定しているとき、つまり朝、目を覚ましてまだ体が活動していないときに測定した体温のことです。
基礎体温はどのように変化する?
基礎体温は低い時期と高い時期の2つの時期に分かれ、それぞれ低温相、高温相と呼ばれています。低温相がしばらく続いた後、約2週間ほど高温相が続きます。
低温相の日数は不定である一方、通常、高温相の日数は約2週間と一定しているのが特徴です。
基礎体温はなぜ変化する?
基礎体温の変化には、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが関係しています。
このうちプロゲステロンは体温を上昇させる性質を持っており、エストロゲンが優勢なときは「低温相」、プロゲステロンが優勢なときは「高温相」となります。
排卵や月経はいつ起こる?
排卵や月経には先ほど説明したエストロゲンとプロゲステロンが関係しています。
まず、生理が終わると、エストロゲンの分泌が増加し始めます。
やがてエストロゲンの分泌がピークになり排卵が起きます。
排卵を境に、体温を上昇させる働きのあるプロゲステロンが分泌され高温相となります。
その後妊娠していない場合は、プロゲステロンの分泌が減少し、高温相が約2週間続いた後、再び体温が下がり月経が始まります。
受精卵を守り育てるベッドのような役割をする組織を子宮内膜と言い、プロゲステロンはこの子宮内膜を分厚くします。妊娠していない場合はこれが剥がれ落ち、月経となります。
基礎体温の測定方法と測定上の注意について
ここでは実際に基礎体温を測定する方法や、測定し記録したグラフの解釈について気をつけるべき点などを解説していきます。
実際に測定してみましょう
基礎体温を測定するために、次のことを毎日くり返して行います。
①夜、寝る前に婦人体温計を枕元に用意します。
婦人体温計はわずかな体温の差が拡大されて表示される専用の体温計です。
②毎朝同じ時間に測ります。
③目が覚めたときに起き上がらずに寝たままの状態で、体温計を舌の下に入れ、口をしっかり結んでそのまま5分間くわえておきます。
④5分たったら取り出して体温計の目盛りを読み、ノートや専用のアプリなど、グラフにつけましょう。
⑤測定時間がずれたとき、体調の変化などもあわせて記入しておきましょう。
基礎体温測定時に気をつけること
低温相、高温相とはいっても、決して毎日同じ体温であるわけではなく、そのときの体調、睡眠時間、測定時間の違いなどにより、少なからず変動します。
そのため、グラフがガタガタになるからといって心配することはありません。
わずかな差にはこだわらず、大きな傾向として体温の差をみるようにすると良いでしょう。
基礎体温を測定するメリット
毎日基礎体温を測定することは、生理周期の把握だけではなく、日々の体調管理にも繋がります。
これにより、自身の健康状態の把握や病気の早期発見にもつながります。
生理と基礎体温の関係性
ここでは基礎体温から生理に関してどのようなことが分かるのか解説していきます。
次の生理の予定が分かる
基礎体温を測定することでいつ排卵が起こったのかを知ることができます。
排卵が起こった後、高温相となってから約2週間で生理が来るため、排卵後の次の生理の予定を予測することができます。
無排卵性月経の可能性
排卵が起こって初めて高温相となります。
そのため高温相がみられずに低温相だけで月経がみられる場合は、排卵を伴わない無排卵性月経が考えられます。
妊娠と基礎体温の関係性
ここでは基礎体温から妊娠に関してどんなことが分かるのか、詳しくみていきましょう。
高温相が続くのは妊娠したから?
高温相は約2週間と一定であり、妊娠していない場合は、その後低温相に戻り月経が起こります。
高温相が2週間以上続くようなときは妊娠している可能性もあるため、妊娠検査薬などで検査を行いましょう。
妊娠しやすい時期はいつ?
卵子や精子の寿命を考慮すると、排卵日1日前〜2日前が最も妊娠しやすい時期と言われています。
一方基礎体温が高温相になって4日目からは、妊娠する可能性の低い時期となっています。しかし、排卵は個人差があり予定外に突然起こることもあるため、避妊を希望する場合は注意が必要です。
妊娠初期症状と生理前の違い
妊娠初期症状と生理前の症状はとても似ており、見分けがつきにくいことがあるかもしれません。
これらの違いを知ることで、もしもの時にいち早く対応できるようにしましょう。
生理前の症状について
生理前に月経前症候群(PMS)と呼ばれる、自律神経症状が見られることがあります。PMSは月経前に毎月あるイライラや抑うつ、もしくは頭痛、腹痛、胸のはりなどの心身の不調のことです。
妊娠初期症状と共通する点の多いPMSですが、月経10日前〜3日前から見られ、月経が始まると症状は落ち着きます。
風邪とも間違えやすい妊娠初期症状
妊娠初期に見られやすい症状としては、吐き気や、頭痛、倦怠感、眠気、食欲不振などの症状があげられます。
これらは、妊娠に特有のものではないため、体調不良や風邪と間違えられることがあります。
また妊娠初期症状は、先ほど説明したPMSの症状とも類似しています。
生理が来ない、高温相が続いているなど、妊娠初期特有の症状があるか確認することで、生理前の症状と区別することができます。
妊娠検査薬で確認しましょう
「妊娠かも?」と思ったときは、妊娠検査薬で確認してみましょう。
生理周期が順調な場合は、生理予定日のおおむね1週間後から検査が可能です。
場合によって妊娠初期では検査薬の反応に利用されているホルモンの分泌が少なく、陰性や不明瞭な結果を示すことがあります。
このような結果が出てから、およそ1週間経っても生理が始まらないときは、再検査をするか、医療機関に受診しましょう。
まとめ
今回は生理前になるとなぜ体温が上がるのか、基礎体温について触れながら解説してきました。
自分自身の月経周期を把握すると同時に、月経周期に伴う身体の変化を知ることが大切です。
基礎体温を測定することは、次の月経の予測や妊活に活かしたり、日々の体調管理や病気の早期発見などにつながります。
基礎体温の測定結果をあまり気にし過ぎる必要はありませんが、測定する中で不安に思ったことや、いつもと違うと感じたときには気軽に医療機関へ相談してみましょう。
参考文献
e-ヘルスネット:女性の喫煙・受動喫煙の状況と、妊娠出産などへの影響
ヘルスケアラボ:基礎体温