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PMSと妊娠初期症状の違いとは?

PMS(月経前症候群)は、生理周期に伴って女性ホルモンの分泌量とバランスが変化することにより起こる、心身の不調のことです。

妊娠を望んでいる方にとっては、その初期症状との見分けがつきにくく、対処の仕方に悩まれることも多いのではないでしょうか。

この記事では、PMSと妊娠初期症状それぞれの特徴に加え、それらとの向き合い方もご紹介いたしますので、ぜひご一読ください。

どう見分ける?PMSと妊娠初期症状

PMS(月経前症候群)、妊娠初期症状ともに女性ホルモンの分泌量が急激に変化することにより起こる心身の不調です。両者は症状が似ており、現れる時期も重なることが多く判別が難しいといわれます。

症状を抑える薬もありますが、妊娠している場合には服用に当たって注意が必要です。妊娠の可能性が考えられるのであれば、早めに産婦人科を受診しましょう。

PMSとは

PMS(月経前症候群)は、生理前3日〜10日頃に、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が急激に変化することにより心身に起こる不調であり、5割〜8割の女性が経験するといわれています。

生理前およそ1週間前後の時期に

・胸の張り

・眠気、倦怠感

・腹痛や腹部の違和感

・イライラ、不安感

・食欲の変化

などが現れる場合、PMSである可能性が高いです。

PMSの症状は、生理の開始と同時に軽くなるか、なくなる場合がほとんどです。

妊娠初期症状とは

妊娠初期症状とは、妊娠16週未満に現れる体の変化のことです。

代表的な症状は

・胸の張り

・微熱、眠気、倦怠感

・下腹部痛、お腹の張り、腰痛

・気持ちが不安定になる

・食欲の変化

など、PMS症状と非常に似ており時期も重なるため、見分けるのは難しいものです。

特に妊活をされている方は、性行為後1〜2週間後の体調の変化に注意しましょう。体に変化を感じたら妊娠検査薬でのセルフチェック、産婦人科受診など早めの対応をおすすめします。

どちらも似た症状が出る

以上のように、PMSの症状と妊娠初期症状は非常に似ています。

予定どおり生理が来れば妊娠ではなかったということになります。

ただ、少数ですが着床出血がある方もみられ、多くの場合は生理予定日と重なるため、

これらの判別も難しいようです。

この時期は妊娠検査薬を使用しても正確な判定が出ない可能性が高く、着床出血以外の不正出血の可能性も考えられます。変化を感じたら早めに産婦人科を受診しましょう。

PMSと妊娠初期症状はどう違う?

いずれも女性ホルモンの影響で自律神経が乱れて起きる不調であり症状も似通っていますが、大きく異なるのは基礎体温です。基礎体温は通常、28日の生理周期のうちに高温期と低温期を繰り返します。一般的には妊娠が成立すれば高温期が続き、妊娠していなければ低温期に入り、生理が来ます。

PMSと妊娠初期症状は似ていますが、基礎体温に関しては決定的な違いが見られます。

妊娠の可能性

生理が遅れたり、生理とは様子が違う出血が起きた場合は妊娠の可能性があります。

妊娠検査薬を使用しても時期が早いと陽性反応が出ないこともあり、自己判断で妊娠していないと断定するのは危険です。

妊娠の心当たりがある場合は、産婦人科を受診しましょう。

妊娠したかも?と思ったら

妊娠検査薬の使用と産婦人科受診

妊娠検査薬は正しく使用すれば精度は99%以上といわれ、簡単に入手でき気軽にセルフチェックを行うことができます。

しかし、あくまで妊娠の有無を確定するものではなく、早い段階で妊娠に気づき医療機関を受診することが本来の目的です。早期に受診することで妊娠が明らかになれば、胎児にとって極めて大切な妊娠初期を適切に過ごすことができるからです。

妊娠していたら

妊娠したことがわかったら、生活習慣や食事の内容を見直すことに加え、さまざまな準備が必要になります。

まずは自治体に妊娠届出書を提出し、母子手帳の交付を受けましょう。妊婦健診費の助成や出産一時金などの制度の利用方法を確認するとともに「プレママ教室」「母親学級」などを活用して準備を進めます。

定期的に妊婦健診を受診して健康状態をチェックし、勤務先への相談や休暇申請なども忘れないようにしましょう。

心配な場合は産婦人科を受診

PMSや妊娠初期症状以外にも、心身の不調や生理日以外の出血が見られることがあります。

婦人科系疾患や異常妊娠の可能性もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。

検査で異常が見つからなくても、たびたび不正出血がある場合は要注意です。

不安な症状がある場合は検査を行い経過観察を続けることが病気の早期発見と治療に繋がります。

PMSの原因と対処法

PMSという言葉は、日本においてはそれほど認知度が高くないイメージがありますが、欧米での研究の歴史は長く、1930年代にアメリカで研究が始まり、1953年にはイギリスの医学誌に疾患名が発表されています。

日本では「生理のことを人前で話すのはタブーである」という風潮から、学校教育の現場でも十分な知識が与えられず、10代の頃から人知れず悩んでいるという方も多いようです。

PMSはなぜ起こる?

PMSの原因そのものは明らかになっていないようですが、女性ホルモンの一種である黄体ホルモンが関係していることは分かっています。

黄体ホルモンは排卵後に多く分泌され、子宮内膜を厚くして着床に備える働きがあります。食欲が増す、基礎体温が上がる、水分の排出が抑えられるといった体の反応は黄体ホルモンによるもので、妊娠が成立しないと、黄体ホルモンの分泌は急激に減り、不要になった子宮内膜を体の外に排出することで月経が起こります。この黄体ホルモンの増減がPMSの身体症状となり、精神症状をもひき起こす原因となると考えられています。

PMSに対する周囲の理解

製薬会社の調査で、生理を経験した方の約7割が、PMSや生理痛の症状がつらくても「我慢していつもどおりに過ごしている」と回答したことが分かっています。

異性に打ち明けることはもちろん、女性同士であっても、つらい症状を経験したことがない相手に対しては相談することを躊躇してしまう場合もあるようです。

性別や症状の有無を問わず、正しい知識を得て、我慢しない・させない環境づくりが大切です。

PMSとPMDD

PMSの症状の中で、精神症状がとりわけ強く現れるケースがあります。それはPMDD(月経前不快気分障害)といわれ「抑うつ症状群」のひとつと見られています。

イライラ、不安、気分の落ち込み、無気力といった症状に繰り返し悩まされる場合はPMDDが疑われます。

重度の場合は抑うつ剤や経口避妊薬を用いた治療をすることもあります。精神的な症状は自力で解決することが難しい場合が多いので、我慢をせずに婦人科や心療内科を受診しましょう。

PMSとの付き合いかた

PMSにはさまざまな症状があり、同じ人でも月によって症状の重さに違いがあるものです。

疲労やストレスによって症状が増悪する可能性がありますので、仕事や外出のスケジュールを調整したり、気分転換やリラックスするための時間を作ることも大切です。

治療薬とセルフケア

医療機関を受診する時間を作れない、症状がさほどつらくないという場合は、市販薬やサプリメントを服用するのもひとつの方法です。薬剤師や登録販売者のアドバイスを受けながら、ご自身の体質や症状に合ったものを見つけてみましょう。

喫煙、飲酒、カフェインや塩分の過量摂取を控えるだけで症状が軽くなる方もいるようです。アロマオイルやハーブティーなどを取り入れてゆったりとした時間を過ごすのもおすすめです。

つらい時には無理をしない

PMSや生理といった女性特有の問題は、診断名が付く病気とは異なり理解されにくいため「職場に迷惑をかけられない」「甘えていると思われたくない」と遠慮してしまい、ひとりで抱え込みがちです。

つらい症状は無理をせず、医療機関を受診するとともに周囲の人に事情を話して理解を求める勇気も時には必要です。

まとめ

PMSは妊娠が成立しなかったために不要となった子宮内膜を排出した際に現れる症状であり、妊娠初期症状は受精卵の着床に伴って胎児を育てる準備が始まったことによるもの、という決定的な違いがあります。

前述したとおり、妊娠している場合とそうでない場合では対処法が異なるので注意が必要です。疲労やストレスが症状を重くするという点に気をつけて、日頃から基礎体温を管理するなどして体の変化に目を向けておくことが大切です。