/ 妊娠初期/

妊娠超初期に飲酒をしてしまった!赤ちゃんへの影響と対処法を解説|飲酒以外にも気を付けるべきこととは?

妊娠中の飲酒はいけない行為だと分かっていたのに、お酒を飲んだあとに妊娠していると気づいた方もいるのではないでしょうか?「飲酒のせいで赤ちゃんに何か影響を与えてしまうのでは?」「生まれてから健康な子に育つ?無事に出産できる?」と、不安になってしまうかもしれません。

そこで本記事では、妊娠超初期に飲酒した場合のリスクや対処法、妊娠中の飲酒が推奨されない理由について詳しく解説します。

飲酒の他にも妊婦さんが気を付けるべき行動などをあげているので、合わせて確認しましょう。

妊娠超初期にお酒を飲んでも赤ちゃんに影響はない

結論からいうと、妊娠超初期にお酒を飲んでも赤ちゃんへの影響はほとんどありません。妊娠超初期とは、生理予定日までの期間を指します。この時期は、単純な細胞分裂のみを行っているため母体からの影響を受けにくいのです。また、4週目に入る前にアルコールの成分が抜けるともいわれています。

「妊娠超初期」ってどのくらいの期間?

妊娠超初期は妊娠2週目〜3週目にあたり、生理が終わった日から妊娠が成立するまでの時期です。受精していればちょうど着床する頃までと覚えてもよいでしょう。ただし、「妊娠超初期」は医療・医学の専門用語ではありませんのでご注意ください。

妊娠に気づくきっかけとして多いのは、生理の遅れや基礎体温の変化です。生理予定日や基礎対応を記録しておらず、無自覚で妊娠超初期を過ごすケースも多いでしょう。そのため、妊娠超初期でも普段どおりに飲酒してしまう可能性が高いといえます。

飲酒によって赤ちゃんに影響が出るのは4週目から

妊娠していると知らずに飲酒してしまった場合でも、妊娠超初期であれば赤ちゃんに影響はないとされています。これは、栄養を運ぶ胎盤が未完成のためです。

しかし、妊娠初期以降(4週目~)に飲酒をすると、栄養だけでなくアルコール成分が胎盤を通して赤ちゃんに伝わってしまいます。

お腹にいる赤ちゃんの肝臓は未完成であるため、アルコールがうまく代謝できません。そのため、何らかの障害を引き起こす可能性が高いでしょう。妊娠に気づくのが遅くなった場合でも、分かった時点で禁酒を始めることが大切です。

妊娠超初期を過ぎてからアルコールが及ぼすリスクとは

妊娠超初期に禁酒できれば、赤ちゃんに影響を与える可能性が低くなります。しかし、妊娠初期以降も飲酒を続けた場合、赤ちゃんや母体にさまざまなリスクを与えてしまうでしょう。

ここからはどのようなリスクがあるのか具体的にご紹介します。

早産や流産・死産など母体へのリスク

妊娠超初期を過ぎてからのアルコール摂取は、母体にも悪影響を与えます。また、妊娠初期だけでなく、その後の飲酒も流産や早産、死産のリスクを高めるため注意しましょう。重要なのは、妊娠に気づいた時点から出産まで禁酒することなのです。

治療法がない胎児性アルコール・スペクトラム障害

妊娠中に飲酒をすると、「胎児性アルコール・スペクトラム障害」を引き起こすリスクが高くなります。胎児性アルコール・スペクトラム障害は、低体重や脳障害などの異常が現れるのが特徴です。

また、そのうちの1つ胎児性アルコール症候群については、次のような診断基準が報告されています。

  • 特徴的な顔面(薄い上口唇、小さな目や鼻口)
  • 発達の遅れ(低体重、低身長)
  • 脳神経系の異常(精神発達の遅れ、発達障害)
  • 小頭症

成長するにつれ特徴的な顔面や低体重は目立たなくなりますが、ADHDやうつ病などが後年になって明らかになります。現在、胎児性アルコール・スペクトラム障害への治療法はありません。そのため、禁酒をすることが重要な予防策といえるでしょう。

そのほかの障害や生まれつきの病気(先天異常)

赤ちゃんの器官が形成される妊娠初期にアルコールを摂取すると、エタノールおよびアセトアルデヒドが胎盤を経由して赤ちゃんに影響を与えます。これらの成分は、胎児細胞の成長や発達を遅らせると同時に奇形を引き起こす可能性が高いです。

さらに、妊娠中期や後期でも飲酒を続けると、赤ちゃんの成長遅延や中枢神経系の障害を引き起こしてしまう恐れがあります。

「ある一定量のアルコール摂取なら安全」といった具体的な数値は定められていません。むしろ、毎日90ml以上のアルコールを摂取した場合、赤ちゃんの奇形を引き起こす確率がさらに高まるといわれています。そのため、妊娠中は全期間を通じて禁酒を心がけるようにしましょう。

飲酒だけではない!妊婦が避けるべき食品と行動

妊婦が避けなければいけないものはアルコールだけではありません。身近な食品や飲み物、ふとした行動がきっかけで赤ちゃんや母体に影響を与えてしまう可能性があります。具体的には、以下のような食品・飲み物や行動です。

  • 喫煙・受動喫煙
  • カフェイン
  • 洋酒を使ったお菓子
  • 炭酸飲料や糖分の多い飲み物

それぞれについて詳しく解説します。

妊婦による喫煙・受動喫煙

タバコに含まれているニコチンや一酸化炭素、タールなどといった酸化物質(活性酸素誘導物質)には胎児性毒性や血管収縮作用があります。妊娠中に喫煙した場合、流産や早産、胎盤早期剥離などのリスクが高くなってしまうのです。

妊婦だけでなくパートナーをはじめとした同居人がタバコを吸う場合も、受動喫煙により赤ちゃんに影響を与えてしまいます。妊婦はもちろん、同居している家族も、お腹の赤ちゃんのために禁煙をしましょう。

コーヒーや紅茶などに含まれるカフェイン

コーヒーや紅茶・緑茶などに含まれているカフェインを多く摂り過ぎてしまうと、中枢神経が刺激され、不眠や頭痛・下痢・吐き気などの健康状態をもたらす可能性があります。

また、カフェインの摂り過ぎは出生時の低体重につながる可能性があるとして、「コーヒーはマグカップ2杯まで」と制限をしている国もあるほどです。

ティータイムを楽しみたい場合は、カフェインレス・ノンカフェインのものを飲むようにしましょう。ミネラルやポリフェノールなどの栄養素が多く含まれているルイボスティーは身体を温める効果があるため、妊婦には最適な飲み物です。

洋酒を使ったお菓子

チョコレートやケーキ、ゼリーなどのお菓子にも、ブランデーやラム酒といったアルコールが含まれている場合があります。

焼き菓子は加熱するとアルコール分が減少しますが、風味付けとして表面にお酒を塗ったり、洋酒に浸したりしているお菓子もあるため注意が必要です。パッケージに「洋酒使用」「アルコール分〇%」と記載があったら食べないようにしましょう。

炭酸飲料や甘いジュース

サイダーやコーラといった甘い炭酸飲料や糖分の多い飲み物を飲むと喉が渇きやすくなり、飲めば飲むほど血糖値が高くなってしまいます。また、飲み過ぎて糖分を多く摂取すると、肥満や妊娠糖尿病のリスクが高まるでしょう。

母体が肥満や妊娠糖尿病になると、お腹の中の赤ちゃんも大きく育ち過ぎてしまいます。なるべく糖分の多い飲み物を飲み過ぎないようにしましょう。

【妊娠超初期】お酒を飲みたくなったらどうすればいい?

妊娠前からお酒を飲む習慣があったり、お酒が好きだったりする方にとっては妊娠期間中の禁酒は辛いものです。家族や友達がお酒を飲んでいるところを見ると、自分も飲みたくなってしまうかもしれません。

ここでは、どうしてもお酒の気分を味わいたい方に向けて、妊婦が飲んでも安心な飲み物をご紹介します。

妊婦にも安心なノンアルコール飲料

ノンアルコール飲料とは、アルコール度数0.00%の飲料のことです。ビールテイストや梅酒テイスト、カクテルテイストなど女性が飲みやすいノンアルコール飲料が増えています。

アルコール分0.00%のノンアルコール飲料であれば妊婦が飲んでも問題ありませんが、糖分が多く入っているものもあるため飲み過ぎには注意しましょう。

また、日本では「酒類」に分類されるのはアルコール分1%以上の飲料であり、アルコール分1%未満の飲料をノンアルコール飲料として提供している場合もあります。購入するときは必ずパッケージの成分表を見るようにしましょう。

便秘予防や栄養補給にもなる甘酒

甘酒には酒粕から作られるものと米麹から作られるものと2種類あります。酒粕から作られている甘酒はアルコールが少量含まれていますが、米麹から作られている甘酒はアルコールを含まないので妊婦が飲んでも安心な飲み物です。

また、赤ちゃんの発育に欠かせない葉酸や糖、脂質などの代謝を助けるビタミンB群など、妊婦に欠かせない重要な栄養素を補給することができます。

まとめ

妊娠中の飲酒は、赤ちゃんへさまざまな影響をもたらします。
早産や流産・死産のリスクを高めたり、胎児性アルコール症候群や胎児性アルコール・スペクトラム障害などのように、身体面や精神面での発育に問題が出たりすることもあります。

妊娠超初期は自分で妊娠していると気づきにくい期間であるため、妊娠が分かったその日から禁酒をすれば問題ありません。どうしても不安を感じるのであれば、かかりつけ医へ相談しておくと安心です。

アルコール以外にも妊婦が気をつけるべき飲み物や食品があるため、妊娠期間中はお腹の赤ちゃんのためにも注意して過ごしましょう。

赤ちゃんの生まれつきの病気(先天異常)が気になるお母さんは、NIPT検査(新型出生前診断)を受けてみるのも1つの方法です。NIPTナビに、まずはご相談してみてください。

参考文献

・厚生労働省 – 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~解説要領

・e-ヘルスネット – 胎児性アルコール・スペクトラム障害

・日本産婦人科医会・先天異常委員会委員 – 飲酒、喫煙と先天異常