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妊娠後期の身体の変化と過ごし方

妊娠後期はいよいよ赤ちゃんと会えるという期待と共に、身体への負担が大きくなり、出産に対する不安が高まりやすい時期でもあります。

妊娠後期にどのように身体が変化していくのか、またどのように過ごすと良いのか知っておくことで、妊娠後期をより快適に過ごすことや、不安の軽減にもつながります。

ここでは、妊娠後期の身体の変化と過ごし方について詳しく解説してまいりますので、ぜひ最後までお読みください。

妊娠後期とは

妊娠後期は妊娠末期とも呼ばれますが、具体的にはどのような時期を指すのでしょうか。

また、「臨月」「正産期」は妊娠後期の中でどのような時期を指すのでしょうか。

妊娠後期はいつから?

妊娠期間は大きく「初期」「中期」「後期」の3つの時期に分けられ、妊娠28週以降を妊娠後期と言います。

この時期はお腹が大きくなり、お母さんの身体への負担が大きくなってくる時期でもあります。

身体への負担を少しでも減らし、日常生活をより快適に過ごせるように工夫をしながら過ごしていくことが大切です。

臨月とは

臨月とは、医学用語ではありませんが、一般的には赤ちゃんが生まれる予定日前の1か月前(妊娠36週0日から39週6日)を「臨月」と呼んでいます。

この言葉と似た表現のものが、「正産期」という言葉です。

正産期というのは、37週0日から41週6日までを指し、赤ちゃんがいつ産まれてもおかしくない、赤ちゃんがお母さんのお腹から外に出て、適応できる準備が整っている時期になります。

妊娠後期の赤ちゃんとお母さんの変化

ここでは妊娠後期に赤ちゃんがどのように発達し、お母さんの身体はどのように変化していくのか、妊娠後期を妊娠8か月(妊娠28週~31週)、妊娠9か月(妊娠32週~35週)、妊娠10か月(妊娠36週~40週)の3つの時期に分けて解説していきます。

妊娠8か月(妊娠28週~31週)

赤ちゃんの位置がある程度定まってきますが、胎動が激しく感じられる時期もこの時期です。

赤ちゃんを覆っていた産毛はだんだんと抜け落ち、この時期になると髪の毛が生えてきます。

お母さんの変化としては、この時期はお腹の張りを感じたり、シミができやすくなります。また、体重増加にも注意が必要です。

食事のバランスに配慮して生活することが大切です。

妊娠9か月(妊娠32週~35週)

この時期、赤ちゃんにだんだんと皮下脂肪が付いてきます。

お母さんはお腹が大きく、動くことが難しかったり、お腹で足元が見えづらかったりするので注意しましょう。

妊娠10か月(妊娠36週~41週)

赤ちゃんの臓器が出来上がり、赤ちゃんもいつ生まれてもいいように準備ができている状態です。

赤ちゃんの位置が定まり、胎動を感じづらくなります。

お母さんの方は、赤ちゃんが降りてきたことで、胃への圧迫が減り、すっきりとした感じになります。この時期になると、前駆陣痛が見られることもあります。

妊娠後期に見られる症状について

妊娠後期は妊娠の経過と共に、お母さんの身体にさまざま不快症状が現れやすくなります。

日常生活にも支障をきたすこともあるため、無理をせず少しでも辛さを軽減できるよう工夫していくことが大切です。

ここでは、妊娠後期にどのような症状が現れやすいのか、解説していきます。

胸やけ

これらの症状は、妊娠初期だけではなく、妊娠後期にも起こりやすいと言われています。

その原因は、赤ちゃんの成長と共に大きくなった子宮が、胃を押し上げ圧迫していることです。それにより、食べ物の消化が悪くなったり、また胃の中にあったものが逆流したりしやすくなります。

胃から逆流してきたものには、強い酸性である胃液が含まれているため、軽い逆流性食道炎を起こし、そこから胸やけの症状が生じやすくなります。

動悸・息切れ

妊娠期は、妊娠していなかったときよりも、身体を巡っている血液の量が増加しています。

その血液量は妊娠後期、特に28週~32週にピークを迎えそれ以降も続くため、妊娠後期には動悸が生じやすくなります。

また、妊娠中は妊娠していなかったときよりも身体が酸素を消費する量が増えます。それに加えて、妊娠後期では、赤ちゃんが成長し、大きくなったお腹が肺の下にある横隔膜を押しあげることによって、肺の一回の換気量が減り、息切れが起こりやすくなります。

便秘・痔

妊娠初期(妊娠13週頃まで)は、プロゲステロンというホルモンの影響によって、腸の働きが抑制され、便秘になりやすくなります。さらに妊娠後期では、大きくなった子宮によって腸が圧迫されたり、筋力の低下などによって便が排出されにくく、便秘になりやすくなるのです。

また、妊娠末期にかけては痔が生じやすくなります。なぜかと言うと、大きくなった子宮が肛門近くの血管を圧迫し、血液の循環が悪くなって痔が生じたり、便秘などによって便が硬く出にくくなり、肛門が切れてしまうことがあるからです。

頻尿

妊娠後期では、大きくなった子宮や降りてきた赤ちゃんの頭が膀胱を圧迫するようになります。

そのため、トイレが近くなったり、くしゃみなどをしてお腹に圧がかかったときに、尿もれを起こしたりします。

腰痛

子宮が大きくなってくると共に、お腹が前に出てくることによって、重心は身体の前に移動します。

その姿勢を続けることによって背中や腰に負担がかかり腰痛が生じやすくなるのです。

また、妊娠すると、胎盤からリラキシンと呼ばれるホルモンが分泌されます。

その影響により骨盤が緩み、腰痛の一因となります。

むくみ

妊娠後期では、身体に蓄えられている水分量が増えたり、大きくなった子宮が足の付け根を圧迫したりと、足がむくみやすくなります。

おりものの増加

妊娠期はエストロゲンというホルモンの影響によって、おりものの量が多くなります。

特に臨月は、お母さんの身体が出産の準備に入ることで、ホルモンの影響によりおりものが増えやすい時期です。

おりものの中に少量の血液が混ざる「おしるし」や、羊水が流れる「破水」との鑑別も大切になってきます。

妊娠後期の過ごし方

妊娠後期は、どのようにすればより快適に、心身への負担も少なく過ごすことができるのでしょうか。

ここでは具体的な対策を解説していきます。

適度な運動をしましょう

妊娠中は運動不足になりがちですが、適度な運動をすることで、血行が良くなりむくみが改善されたり、腸の動きが良くなり便秘が改善されたりします。

また、心がスッキリしてリラックス効果もあります。

体調が良いときは、マタニティビクスやストレッチ、ウォーキングなど、妊婦さんでも安全にできる運動を取り入れてみると良いでしょう。

ただし、中には運動を控えなければいけない妊婦さんもいるので、運動を始めるときは、医師に確認するようにしましょう。

出産に向けて準備をしましょう

お産が始まったときに慌てないように、病院に行くときの交通手段を確認し、入院に必要なものなどは準備しておくようにしましょう。

物品を一つにまとめておくことで、いざというときにすぐに持ち出すことができます。

また、家族にもそれがどこにあるかを伝えておくようにしましょう。

妊娠後期に気をつけること

妊娠後期はさまざまな異常が生じやすい時期です。

ここでは、妊娠後期に特に気を付けたいことについて解説していきます。

切迫早産・早産について

切迫早産は、妊娠22週0日から妊娠36週6日までの期間で、早産のリスクが高い状態です。具体的には子宮収縮が起こり、子宮口がわずかに開いている状態で、赤ちゃんがまだおなかの中にとどまっています。

破水や出血の症状も見られることがあります。

この時期はまだ、赤ちゃんが十分に発達しておらず、早く生まれることで赤ちゃんにさまざまなリスクが生じる可能性があります。

妊娠高血圧症候群について

妊娠高血圧症は、通常は妊娠20週から産後12週までの期間に、本来高血圧の症状がなかった妊婦が高血圧になる疾患です。

この病気は、通常、妊娠中の健康診断で血圧測定によって発見され、特に妊娠後期に発症する傾向があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

妊娠後期における身体の変化と過ごし方について理解することはできましたか。

妊娠後期はお腹も大きくなり、身体的にも負担の多い時期です。

また、いよいよ出産も近づき、不安や緊張が大きくなりやすい時期でもあります。

一人で不安を抱え込まず、医療機関で健診時に相談したり、パートナーに話を聞いてもらったりして、精神的な面でも周りの方からサポートを得ながら、妊娠後期を過ごしていきましょう。

参考文献

・厚生労働省 – 妊娠中の症状等に対応する措置