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妊娠9か月の特徴|外出・旅行はどこまで大丈夫?妊娠後期に気をつけたいトラブルや外出の注意点を解説

妊娠9か月(妊娠32週~35週)になると、妊娠後期に入り正期産までもうすぐです。

出産を間近に控え、不安や緊張・期待が高まっている方も多いでしょう。

反対に、もう出産のみと安心しきっている方もいるかもしれません。

本記事では、妊娠9か月の胎児・母体の特徴、妊娠9か月に入ってもまだまだ気をつけておきたいトラブルなどについて解説します。お産はいつ何があってもおかしくありません。

また、妊娠後期の外出や旅行に関するよくある悩みについてもご紹介します。

母子ともに健康な出産への参考にしてください。

【妊娠9か月】胎児と母体の特徴は?

妊娠後期に突入した妊娠9か月は、出産をリアルにイメージし始める頃ではないでしょうか。

正期産を目前に控えた妊娠9か月の胎児と母体、それぞれの特徴を解説します。

胎児の成長

妊娠9か月ともなると、個人差はありますが、身長は約40cm~45cm程度、体重は1700g~2500g程度まで大きく成長しています。

またほとんどの臓器が完成してくる時期です。

それにより、以下のさまざまな各機能の発達が見られます。

  • 母体の外でも自分で呼吸ができる
  • 自律神経が発達し、交感神経と副交感神経のバランスが整ってくる
  • 起きているときには目を開けるなど表情がでてくる
  • 睡眠の質が上がり1日のリズムが整ってくる

しかし、体温調節をはじめとした未熟な機能もあるため、もう少しお腹の中で十分に成長を続ける必要があります。

母体の変化

赤ちゃんの成長にともなってお腹もさらに大きくなり、自宅の中を移動するだけでも大変な方もいるでしょう。

赤ちゃんの成長により、内臓が圧迫され頻尿になったり、胃がつかえて胃酸が上がってきたりします。

また、女性ホルモンの影響により、おりものの量が増える方も少なくありません。

妊娠後期に入ると、赤ちゃんの成長や女性ホルモンの影響によって母体に起こる症状も変化します。

妊娠後期のつらいマイナートラブルや、出産予定日が近づいてくる不安などから、マタニティブルーに陥るケースもめずらしくありません。

不安やつらい症状は1人で抱え込まず、家族やかかりつけの産婦人科に相談しましょう。

【妊娠9か月】後期に気になるトラブルは?

妊娠後期に入ると、赤ちゃんの成長に伴い、みぞおちあたりまで子宮が広がります。

母体・胎児の変化も著しく、これによりさまざまなマイナートラブルが起こる可能性が出てきます。

ここからは、安心して出産に臨むためにも、妊娠後期に特に気をつけたい3つのトラブルについてご紹介します。

早産

早産とは正期産(妊娠37週0日~妊娠41週6日)より前の出産を指し、日本では妊娠22週0日~妊娠36週6日の期間における出産のことを言います。

早産より前の妊娠22週未満の出産は流産と呼ばれ、早産とは異なります。

早産になると、赤ちゃんはまだ母体の外に適応できるだけの十分な機能が備わっておらず、重篤な障害が残る可能性が高くなります。

正期産に近い時期の早産であっても、呼吸障害などを残す例も報告されており、決して油断はできません。

早産になりやすい要因の例は以下の通りです。

  • 経産婦
  • 未成年・35歳以上
  • 子宮頸部を切り取る手術を受けた
  • 多胎妊娠(双子や三つ子)
  • 細菌性腟症(腟内の感染)
  • 早産の経験
  • 喫煙 など

これらの要因に当てはまる方は、早産の兆候でもある出血や持続するお腹の張りなどには注意して意識を向けておきましょう。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群は、妊娠中に高血圧を発症する病気です。

妊娠前に高血圧があるかどうかは関係なく、誰にでも起こる可能性があります。

しかし、自覚症状があるケースは少なく、妊婦健診で診断を受ける場合がほとんどです。

軽度であれば、通院しながら食事・生活指導で経過をみますが、一般的には入院管理を受けます。

また、血圧を下げるお薬を使うと、胎児へ酸素や栄養が届けにくくなり低酸素や低栄養を引き起こすケースも少なくありません。

妊娠中の降圧剤使用は、医師の厳重な管理に従いましょう。

妊娠高血圧症候群では、胎児発育不全や常位胎盤早期剥離など、母体・胎児共にリスクをともなう可能性があります。

妊婦健診をしっかりと受診し、重度のむくみなどの異常を感じたら早めにかかりつけの産婦人科に相談しましょう。

動機・息切れ・むくみ

妊娠中は赤ちゃんの分や出産時の出血に備えて血液量が多くなります。

その量は妊娠前の約1.5倍ともいわれています。

しかし、赤血球の量は変わらないまま血液量が増えるため、血液が薄くなり「鉄欠乏性貧血」を起こしやすい状態になってしまっていま

鉄欠乏性貧血によって起こる症状を確認してみましょう。

  • 血液量増加による動悸・むくみ
  • 貧血による息切れ・倦怠感・めまい・動悸

また、妊娠中の血流量は臨月に近づくにつれて増えるため、出産前まで悩まされる妊婦は多くいます。

症状がつらい場合、貧血に対しての鉄剤の内服や注射もあるため、一度かかりつけの産婦人科へ相談してください。

【妊娠9か月】外出・旅行の悩み・注意点とは?

出産予定日も近づいてきた妊娠9か月になって、出産前にもっと外出や旅行を楽しんでおけばよかったと考える方もいるでしょう。

ここでは、この時期のお出かけに関する悩みや注意点について解説します。

妊娠の経過には個人差があるため、必ずかかりつけの産婦人科医に確認や相談を行うことが大切です。

外出は普段通りしても大丈夫?

妊娠9か月だからといって外出を控える必要はありません。

しかしこの時期は、お腹も大きくなり体に負担がかかりやすいため、移動や外出がつらい方もいるでしょう。

また、出産に備えて子宮収縮が起こりやすいため、これまでよりもお腹の張りを感じることも増えます。

無理をするとお腹に負担がかかり、外出中に急な状態変化が起こることもあるため、外出はできるだけ近場の方が安心です。

「調子が良いので少し遠出したい」といった場合には、できるだけ短時間で、家族や友人など誰かと一緒に行動するようにしましょう。

妊娠9か月で飛行機に乗っても大丈夫なの?

妊娠中の飛行機の利用は、比較的状態が安定している妊娠中期が適しています。

そのため、旅行の計画を立てるなら妊娠中期がベストです。

妊娠後期に飛行機に乗ってはいけない決まりはありませんが、以下のようなリスクがともなうことを理解しておきましょう。

  • 酸素濃度の低下による子宮圧迫
  • 気圧の変化によって起こる減圧症(めまい・しびれ・呼吸困難など)
  • エコノミークラス症候群のリスクが高い

多くの航空会社では、出産予定日から28日以内になると、飛行機の利用が問題ないことを証明する医師の診断書が必要です。

里帰り出産などの場合も、できるだけ妊娠中期のうちに飛行機移動を済ませておくと安心です。

遅過ぎる里帰りはリスクをともなうため、遅くとも34週ごろまでに帰省しておきましょう。

妊娠後期の外出での注意点

妊娠後期になると状態変化も起こりやすく、急に陣痛や破水が起こる可能性もあります。

外出時のトラブルに備えて、以下のような準備を日頃からしておきましょう。

  • 家族に日頃から入院バックの場所を伝えておく
  • 外出はかかりつけの産婦人科へ通える距離を意識しておく
  • 近場の外出でも、常に母子手帳や健康保険証、診察券を持ち歩く
  • 外出先での破水に備え、夜用ナプキンやタオルを持っておく
  • 携帯電話にかかりつけの産婦人科・タクシーの連絡先を登録しておく
  • 感染症を予防するため人混みを避け、手洗いうがいをしっかり行う

出産前に体調を崩さないように、特に冬の外出時はマスク着用するとよいでしょう。

また、外出時に何かあっても、備えをしっかり行っていればある程度落ち着いた対応ができます。

まとめ

妊娠後期にあたる9か月になると、出産も間近に迫り緊張や不安・期待感も大きくなります。

しかし、出産が間近に迫った時期にも、早産や貧血・妊娠高血圧症候群などの気をつけなければならない症状があります。

母子ともに元気な出産とするためにも、健診をしっかりと受け、かかりつけの産婦人科とも連携をとりながら、出産へ向けて心も体も準備を整えておきましょう。

参考文献

・公益社団法人日本産科婦人科学会 – 早産・切迫早産

・公益社団法人日本産科婦人科学会-妊娠高血圧症候群

・厚生労働省 – 低出生体重児保健指導マニュアル