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羊水検査とは?リスクや検査内容・手順について詳しく解説

「羊水検査はどのように行われるの?」「検査が原因で早産や流産のリスクが高まるのは本当?」など、出産を控える夫婦のなかには羊水検査について詳しく知りたい方もいるでしょう。

羊水検査は出生前診断の1つで、羊水を採取し、生まれて来る赤ちゃんの染色体異常を確認する検査です。

この記事では、羊水検査の内容やリスク、精度についてご紹介します。

羊水検査を受けようか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

そもそも出生前診断とは?

出生前診断は、お腹にいる赤ちゃんに先天性疾患や染色体異常がないか調べる検査です。

赤ちゃんの発育状態や疾患が分かれば、生まれる前から医療や療育など支援できる環境を作れるでしょう。

また、出生前診断は、超音波検査・NIPT・羊水検査などの方法があり、妊娠中から赤ちゃんの病気や疾患について把握できます。

それぞれ検査時期や分かる疾患が異なるのが特徴です。

羊水検査(羊水染色体検査)で分かることは?先天性疾患リスクの診断

人間は通常2本1組の常染色体22組44本と、性別を決定する性染色体1組2本の合計23組46本を持っています。

しかし、1組2本の染色体が1本または3本の場合、先天性疾患を持って生まれるリスクが高まる傾向にあります。

羊水検査で分かる先天性疾患は以下、表のとおりです。

ダウン症21番目の染色体の数が3本ある「21トリソミー」が原因身体の特徴・発育や知能に遅れ・心臓や呼吸器系に障がいが生じる
18トリソミー13トリソミー18番目または13番目の染色体が1本多い染色体異常流産・胎内死亡の傾向が高い発達障がいや心疾患が重度になる寿命が短命
ターナー症候群X染色体の全部または一部の欠失が原因女性のみに出現低身長・特徴的身体・卵巣機能不全が生じる

羊水検査は羊水に含まれる胎児の細胞を採取して細かな染色体の異常を観察します。

幅広い先天性疾患を見つけられる特徴がある検査です。

羊水検査の3つの検査方法

出生前診断の1つである羊水検査は、主に以下3つの方法で胎児の先天性疾患を調べます。

  • Gバンド分染法(G-band分染法)
  • FISH法
  • マイクロアレイ法

採取、培養された羊水にどのような検査が行われるのか、それぞれの方法について解説します。

①Gバンド分染法(G-band分染法)

白血球細胞を培養し、ギムザ染色を行い染色体の縞模様のバンドを評価する検査方法です。

一般的な染色体検査の手法で、染色体の本数や構造に異常がないか調べます。

②FISH法

FISH法は蛍光染色で特定領域の染色体を染め、異常がないか調べる検査方法です。

常染色体13・18・21番と性染色体X・Yについて分析し、染色体異常を診断します。

③マイクロアレイ法

マイクロアレイ法は新しい遺伝子解析方法です。

従来の検査方法であるGバンド分染法やFISH法で解析できなかった詳細な遺伝子情報を読み取り、染色体異常を調べます。

羊水検査・羊水穿刺方法の流れ

羊水検査の手順は、以下のとおりです。

  1. 超音波(エコー)を使用し、胎児の位置や発育状態、胎盤の位置、羊水量などを確認
  2. 胎児に当たらないように細い針でお腹に穿刺
  3. 15秒〜20秒の穿刺時間で、約20mlの羊水を採取
  4. 15分~30分の安静後、胎児に異常がないか超音波で確認して検査終了

子宮内部に細い針を刺し入れるため、痛みをともなう場合があります。

穿刺時の痛みには個人差がありますが、筋肉注射や採血をしたときと同程度です。

また、病院によっては局所麻酔を使用する場合もあり、不安な場合は事前に病院に確認してみましょう。

羊水検査の所要時間は約1時間で、日帰り可能です。

羊水検査を受けるリスクと検査時期・結果は?

一般的に羊水検査は、妊娠9週〜10週以降に行われる新型出生前診断NIPTで染色体異常が疑われた場合の確定診断として実施されます。

羊水検査は、新型出生前診断NIPTとは違いリスクや検査スケジュールが異なるため注意しましょう。

羊水検査を受けるリスク

羊水検査で最も注意すべき点は、早産や流産のリスクが生じることです。

お腹に刺穿するため、羊水の漏出や感染、子宮収縮が起こりやすくなり破水の恐れがあります。

約1/300〜1/500で流産する確率があるといわれています。

超音波を利用して胎内を観察しながら刺穿しますが、急に赤ちゃんが動き、針の先で傷をつけてしまう可能性も否定できません。

検査は妊娠前半(妊娠15週~18週)に可能

羊水検査は羊水が十分に溜まり、赤ちゃんの動きが少ない妊娠15週以降に実施可能です。

妊娠初期は検査に必要な羊水量を採取するには不向きで、また後半になると赤ちゃんが動く可能性が高まるため、妊娠15週〜18週のタイミングで実施します。

検査結果が分かるまで約1ヵ月

医療機関によって異なりますが、検査結果が分かるまでに約3週間〜4週間かかります。

結果が分かるまでに時間がかかる理由は以下手順に沿って検査を行うためです。

  1. 羊水採取後、胎児の細胞を増やすため約2週間培養する
  2. 培養後、染色処理を行い、染色体の識別が可能な状態になる
  3. 顕微鏡で細かく染色体の検査を実施する

すぐに結果が出ないため、あらかじめ診断に時間がかかると把握しておきましょう。

羊水検査の精度はほぼ100%

検査は羊水に含まれる胎児細胞を用いるため、精度は非常に高くほぼ100%です。

しかし微細な染色体異常を見落とす可能性は少なからずあります。

そのため検査結果が正常であっても、生まれて来た赤ちゃんがダウン症と診断される場合もあると理解しておきましょう。

羊水検査で分かる染色体異常・疾患は?羊水検査とNIPTの違いとは

羊水検査とNIPTは検査の種類が異なります。

羊水検査確定的検査(赤ちゃんのDNAから直接診断)検査対象は染色体疾患全般妊娠周期が遅くなるほど、精度は高い流産・早産のリスク妊娠15週以降に検査可能
NIPT非確定的検査(母親から採血して、スクリーニング検査)検査対象はダウン症候(21トリソミー)・18トリソミー・13トリソミーダウン症に関する精度は99%血液検査のため、流産や死産のリスクが少ない妊娠周数の早い段階で(妊娠9週〜10週)検査可能

羊水検査とNIPTでは、検査内容が違うため受診する前に理解しておきましょう。

羊水検査は高額・保険適用外

羊水検査は全額自己負担の自由診療で、医療費控除や高額療養費制度も対象外です。

自由診療のため医療機関により検査費用は異なりますが、約10万円〜20万円と高額です。

また、羊水検査を実施できる医療機関は限られており、妊婦健診している病院で検査できない場合があります。

その場合には、検査をするために別の医療機関で検査を受けることになります。

医療機関によっては、13・18・21番の常染色体とX・Yの性染色体数のみを検査し、結果を早く知る方法もあるため、羊水検査の内容について事前に確認をしましょう。

検査については夫婦間の話し合いが大切

羊水検査を受ければお腹の中にいる胎児に先天性疾患があるのか調べられます。

しかし、検査を受けるべきか悩む夫婦も多いのが現状です。

羊水検査に対する考え方や感じ方は夫婦でもそれぞれ違い、立場や年齢によっても変わるでしょう。

検査を受けるかどうかは1人で決めるのではなく、パートナーがどのように考えているか知るのも重要です。

また赤ちゃんに先天性疾患があると分かった場合、夫婦や家族の悩みはとても大きくなり「生まない」選択も考えられます。

夫婦や家族の間で検査をする目的や検査内容、結果が判明したとき、どのような選択をするのか考えておきましょう。

まとめ

羊水検査には早産や流産のリスクが少なからず伴います。

また、検査で異常が見つからなくても、先天性疾患が認められるケースもあります。

検査を希望する医療機関から説明をしっかりと聞き、検査方法や内容について、十分に理解して検査を受けてください。

出産には、さまざまな考え方があります。

それぞれの持つ考えを事前に知るのも大切です。

また、カウンセリングを取り入れている施設もあり、羊水検査への悩みや不安がある方は相談するのも1つの手段です。

「結果をどのように考え、受け止めるのか」「どのような選択をするのか」など、前もって夫婦で話し合い、納得のいく出産を迎えられるよう準備しましょう。