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多胎妊娠とは?多胎妊娠の妊娠中から出産までのポイントを解説

“まさか自分が三つ子を妊娠していた…?”   妊婦健診にて多胎妊娠の診断を受け不安に思ってる妊婦さんに向けて、少しでも不安を解消し出産の日を迎えられるよう、この記事では多胎妊娠中に起こりうる身体の変化や、出産までの流れについて詳しく解説していきます。

多胎妊娠とは?

まず、多胎妊娠発覚から出産に至るまでの妊娠中のことについて解説していきます。

双胎妊娠が発覚!双子と診断される時期

多胎の妊娠はどのようにして発覚するのでしょうか。

まず、妊娠検査薬で多胎かどうかは分かりません。検査薬で分かるのは妊娠の有無のみであり、多胎の妊娠が分かるのは病院でエコーをしてもらってからになります。

双子の妊娠が発覚するのはいつになるのでしょうか。

双子には、1つの卵子から受精卵が2つに分かれる一卵性(一絨毛膜双胎)、2つの卵子に対して2つの精子が受精する二卵性(二絨毛膜双胎)の2種類があります。

妊娠中5週頃には胎嚢(胎児を包む袋)が確認できるようになるため、二卵性の場合、この時期に胎嚢が2つ確認されることで双胎妊娠が発覚するのです。

一方で、一卵性の場合は胎嚢はひとつであり、その中に胎児がふたり入っています。そのため、胎児の心拍が確認できる妊娠6−7週頃になると双胎妊娠であることが分かるのです。

母子手帳は何冊必要?申請方法について

母子手帳は胎児の数だけ貰うことが可能です。

そのため、双子の場合は2冊、三つ子の場合は3冊もらうことができます。

病院で妊娠を診断されたら、お住まいの自治体にて妊娠届出書を提出し、母子手帳を受け取りましょう。

多胎妊娠の場合、1冊目の母子手帳の発行後に多胎妊娠であることが発覚したときは、追加で受け取ることができます。

外出時でも必ず全員分の母子手帳を持ち歩き、妊婦健診の際も忘れずに持参しましょう。

妊婦健診はどうなる?健診の内容と頻度

単胎妊娠の場合、妊娠6ヶ月までは4週間に1度の間隔で妊婦健診を行いますが、多胎妊娠は単胎妊娠に比べてリスクが高くなるため、2週間に1度のペースであることが一般的です。

毎回超音波検査を実施し、胎児の発育状態や子宮に何かトラブルがないかなどを慎重にみていきます。

妊婦健診についての詳細は以下の記事をご参照ください。

多胎妊娠は通常の妊娠と何が違う?妊娠中の身体の変化

妊娠発覚後の流れは少しイメージできましたか?

それでは次に、多胎妊娠の身体の変化を、単胎妊娠と比較しながら解説していきます。

単胎と多胎でお母さんの身体はどう変わる?

まず、多胎妊娠ではひとつの子宮の中に入っている胎児の数が多くなるため、お母さんの子宮は単胎の場合より大きく増大します。子宮が大きくなることに伴い、子宮の出口にかかる負担が大きくなり、切迫早産のリスクが高くなるのです。また、マイナートラブルが通常よりも重くなるケースも考えられます。

多胎妊娠はいつ発覚する?

多胎妊娠は妊娠初期の超音波検査によって胎嚢(赤ちゃんを包む袋)や胎児の心拍などから総合的に判断していきます。

先ほどお伝えした、一卵性、二卵性といった分類だけではなく、胎盤と羊膜(赤ちゃんや羊水を包む膜)を共有しているか、あるいは胎児それぞれにあるかによって、さらに3種類に分類されるのです。

その3種類のうち、胎児が胎盤と羊膜どちらも共有している“一絨毛膜一羊膜双胎”が最もリスクが高いと言われています。この分類は、妊娠10週までに診断される場合が多いです。

多胎妊娠での母体リスクとは?

つわりの強さ

つわりは、妊娠5週頃から起こる食欲不振や吐き気、嘔吐といった症状で、妊娠12〜16週頃まで症状が続くことが多いです。多胎妊娠では、つわりが重くなりやすいと言われています。

多胎妊娠では通常よりも子宮が大きくなるため、胃腸が圧迫されて動きが悪くなり、吐き気や嘔吐を引き起こしやすくなると考えられているのです。また、妊娠を維持する働きのある絨毛性ゴナドトロピンというホルモンはつわりを引き起こす性質もあり、このホルモンの分泌量が増加することも、つわりが重くなる理由とされています。

早産

切迫早産は、早産の手前の状態です。

こちらも、子宮が大きくなることが要因となることが多く、単胎妊娠の場合よりもリスクが高くなります。多胎妊娠の場合は、この切迫早産によって入院管理が必要となる場合も多いです。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群の原因は未だに解明されていませんが、多胎妊娠はリスクが高いとされています。

高血圧や蛋白尿などの症状から総合的に診断され、20人に1人の割合で起こる疾患であり、珍しくない合併症です。治療が遅れてしまうと母子共に命にかかわることもあるため、慎重な管理が必要となります。

妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群(HDP))についてはこちら

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠中に発症し妊娠期間のみ症状が出る糖尿病のことで、妊娠前から糖尿病だった方は含まれません。多胎妊娠では、単胎妊娠より血糖値が下がりにくい身体になるため、妊娠糖尿病のリスクが高いとされています。

妊娠糖尿病についてはこちら

バニシングツイン

バニシングツインとは、双子のうちのひとりがお腹の中で亡くなり、子宮に吸収されることで、ひとり消えて見える現象のことをいいます。

胎児が子宮に吸収されることで、母体への影響はほぼないと言われています。しかし、一卵性双胎の場合、ひとつの胎盤をふたりで共有しているため、片方の赤ちゃんが亡くなると栄養の配分バランスが悪くなり、生きている方の赤ちゃんに影響が出るリスクがあるのです。

バニシングツインについてはこちら

多胎の出産方法

それでは続いて、多胎の出産方法について解説し、帝王切開について説明していきます。

多胎の出産方法

双胎妊娠では、条件を満たせば経膣分娩が可能な場合もありますが、多くの病院で帝王切開が選択されるケースが多いのが現状です。また、三つ子以上の出産の場合、原則帝王切開となっています。

産院によって条件は異なりますが、経膣分娩ができる場合の条件として

・妊娠週数

・赤ちゃんの胎位

・推定体重

・母体の合併症

・これまでに子宮手術をしたことがあるか

主にこれらが条件にあげられることが多いです。

しかし、

・双子の場合、ふたりの赤ちゃんがともに頭が下である確率が低い(ふたりとも頭が下であることを経膣分娩可能の条件としている病院が多いため)

・子宮が大きく伸びていることで出血のリスクが高くなる

・多胎妊娠では早産になるリスクが高いことに加え、正期産でも低出生体重になりやすく、新生児科医の措置が必要になる場合が多い

これらの理由から、母子にとって安全に出産を迎えるために万全な医療体制を整えられるよう、多胎妊娠の出産では帝王切開を選択する産院が多くなっています。

帝王切開の流れ

帝王切開を事前に予定している場合には、多くは手術の予定日前日に入院し、手術の準備を進めていきます。帝王切開の方法や流れは、多胎妊娠でも単胎の場合と同様です。

産院によっては、好きな音楽をかけたりアロマを使用したりするなど、お母さんがリラックスして過ごせるようなケアを行っているところもあります。出産する産院が決まったら、ぜひ先生や助産師さんに確認してみてくださいね。

帝王切開についてはこちら

帝王切開のメリット・デメリット

帝王切開のメリットとしては、

・赤ちゃんの胎位にかかわらず安全に出産できる

・微弱陣痛でお産が長引くことなく短時間で出産できる

・小児科を併設している病院では、産科と小児科の医師が協力し、生まれた後の赤ちゃんをサポートする準備を万全に整えられる

・予定帝王切開の場合は出産日が明確であり、家族の予定が組みやすい

など、主には安全面でのメリットがあげられます。

またデメリットとしては、

・開腹手術になるため、経膣分娩に比べて出血が多くなる場合が多い

・お腹に傷が残ってしまう

・次の出産の際も、基本的には帝王切開となる

・術後合併症(肺塞栓症など)のリスクがある

これらがあげられます。

出産までにしておくべきことは?

ここまで、出産までの流れについて説明してきました。

それでは最後に、妊娠中にできる産後に向けた準備について解説していきます。

妊娠中にやっておくべき準備

多胎の妊娠がわかったら、妊娠中から産後の生活についてのイメージをしてみましょう。

ふたり以上の赤ちゃんを同時に育てていくことは想像以上に大変です。自治体では、ホームヘルパーやファミリーサポートなどのサービスや親同士が交流できる場を設けています。ぜひ多胎の妊娠が分かったら窓口に相談し、利用できるサービスについて妊娠中から調べておきましょう。

そして妊娠中に両親学級に参加し、育児をスムーズに始められる準備をしておきましょう。実際にやってみないとわからないことも多く、どのご家庭でも育児をしながら慣れていくものです。それでも、ミルクの作り方や授乳の仕方、オムツの替え方、お風呂の入れ方など、イメージを膨らませて練習しておくだけでも産後はすごく役立つはずです。実際にご家庭の中で、どの場所で赤ちゃんと過ごし、どんな物品を使っていくかなど、具体的に考えておきましょう。

多胎妊娠に必須の育児用品

退院直後に赤ちゃんを連れて買い物に出かけることは大変なことです。育児で必要だと思われるものは、出産前に買い揃えておきましょう。

・赤ちゃんの服は多めに用意しておきましょう。

新生児期では服が汚れることが多いことにくわえて、育児が始まると思ったように洗濯ができなかったり、時期によって服が乾きにくかったりするため服が足りなくなることがよくあります。安価なものやリサイクルのもの、もらいものなどで良いので多めに用意しておきましょう。

・ミルクと哺乳瓶を買っておきましょう。

完全母乳を希望していたり母乳が出る場合でも、多胎の場合はミルクが必要となる場合が多いです。

赤ちゃんそれぞれで授乳のタイミングが異なることやお母さんがひとりで母乳を与え続けることは大きく体力をつかうため、母乳のみで育児を行うことは現実的にすごく難しくなります。

ひとり子に母親が母乳を与えている間、他の子には家族がミルクをあげるなど、家族で協力しながら授乳を行うことがおすすめです。また、お母さんの母乳の分泌が多い場合には、哺乳瓶に搾乳してあげることもできます。

・チャイルドシートを赤ちゃんの数分用意しましょう。

自家用車をお持ちの場合は、赤ちゃんひとりに1台ずつのチャイルドシートが必ず必要になります。退院後にすぐ車に乗る場合が多いため、出産の前に必ず赤ちゃんの数分を購入し車に設置しておきましょう。

・移動手段に合わせ、ベビーカーや抱っこ紐の準備をしましょう。

双子用のベビーカーや抱っこ紐を購入するか、あるいはひとり用のものを1つあるいは2つ用意するかなど、ご家庭で相談し必要な分を購入しておきましょう。

・寝具を用意し、実際に整えておきましょう。

退院直後、お母さんの身体はまだ回復していないため、布団を敷いていつでも休める状態にしておくことがオススメです。しかし、上の子がいる場合や家事で目を離さなければならない瞬間がある場合などは、ベビーベットがあると便利です。また、実際にご家庭の部屋で寝具を用意することで、家事をする際やお風呂に入れる際の動線をイメージしやすくなります。また、赤ちゃんの敷布団については、布団に埋もれて窒息するリスクがあるため、硬めの敷布団を用意しましょう。

育児用品は、実際に家庭で育児する様子を具体的にイメージしながら揃えることが大切です。初めての育児の場合は、イメージがわかないことが多いため、地域のコミュニティなどに参加し先輩ママや先輩パパに相談してみましょう。

まとめ

多胎妊娠の件数は年々増加しています。予期せぬ双子の妊娠によって不安を抱えている方も多いです。また、周りに双子や三つ子育児をしている友人がいないと中々悩みを相談できないこともしばしば。しかし、ここで少しでも疑問が解消し心と身体の準備ができれば、赤ちゃんを迎えてあげることへの楽しみが生まれるのではないでしょうか?ぜひ、出産と産後の育児をイメージをし、準備を整えて赤ちゃんを出迎えてあげましょう。

参考文献

・MSDマニュアル – 多胎妊娠

・国立成育医療研究センター – 多胎妊娠外来