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妊娠初期の【めまい】はなぜ起こる?原因と効果的な対処法を解説

妊娠すると今までと違う体調の変化を感じる方も多いのではないでしょうか。特に、妊娠初期に生じるめまいも妊娠中に起こる体調の変化の1つに挙げられます。

そこで、この記事ではめまいの原因や赤ちゃんへの影響、めまいを起こさないための対処法などについて解説していきます。妊娠初期のめまいに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

妊娠初期にめまいが起こるのはどうして?

妊娠中のめまいは思いがけない事故につながるおそれもあるので、できるだけめまいを起こさないように注意が必要です。ここでは、まず妊娠初期によく起こるめまいの原因について詳しくご紹介します。

ホルモンバランスの変化

妊娠すると、妊娠の継続や出産に大切な女性ホルモンが多く分泌されます。

  • 卵胞ホルモン(エストロゲン)
  • 黄体ホルモン(プロゲステロン)
  • hcgホルモン(ヒト絨毛ゴナドトロピン)

これらのホルモンには子宮内膜を分厚く保つなどの効果や、妊娠の継続を助けたり、母乳を作るために乳腺を発達させたりする効果があります。この変化は、赤ちゃんの成長や産後の備えのために欠かせない変化です。

しかし、急速にホルモンバランスが変化するため、自律神経のバランスも乱れ、めまいを始めとしたさまざまな体調の変化も起きてしまいます。

脱水

妊娠中は、妊娠前と比べてより多くの水分を必要とします。その理由は、以下のとおりです。

  • 女性ホルモンの影響で血管が広がり、多くの血液が必要になる
  • 赤ちゃんの成長を維持するため、母体の血液量が増加する
  • 代謝量が上がるのにともない、発汗量が増加する
  • 羊水量を保つために水分が必要になる

したがって、妊娠前と同じ量しか水分補給をしていないと、脱水症状になりやすいといえます。脱水症状になるとめまいや立ちくらみ、頭痛などの症状があらわれやすいので注意が必要です。

起立性低血圧

立ち上がると、体内の血液は下方へ流れるため血圧が下がります。その際、通常は調整機能が働くので、血圧は正常に保たれます。

しかし、妊娠中は自律神経の乱れから、立ち上がったときの血圧を調整する機能が鈍くなりがちです。これによって、立ちくらみやめまいの症状が起きやすくなります。

通常、妊娠初期に血圧は低下し始め、妊娠中期には妊娠前とほぼ同じに、そして32週以降は分娩に向けて上昇する傾向にあります。そのため、妊娠初期は低血圧になりやすいのです。

鉄欠乏症貧血

妊娠中は赤ちゃんを育てるために、胎盤へ血液を送る必要があります。その結果、妊娠すると体内を循環する血液量が増加します。このとき、血液中の水分は比較的容易に増えますが、赤血球の増加がなかなか追いつきません。

赤血球に含まれ、体内に酸素を供給するヘモグロビンを生成するのが鉄です。妊娠中は赤血球を増やすために妊娠前よりも多くの鉄分が必要となることから、貧血になりやすいのです。このような貧血を、鉄欠乏症貧血と呼びます。鉄分の不足によってヘモグロビンを作れなくなると、血中の酸素が不足し、以下のような症状があらわれます。

  • 動悸や息切れ
  • 頭痛
  • めまい
  • 倦怠感
  • 顔色が悪くなる

また、貧血を解消せずにいると、赤ちゃんの発育に影響を及ぼしかねません。出産時には微弱陣痛や出血多量、産後の母乳不足なども心配されます。

妊娠中期に起こるめまいとは?

妊娠中期に起こるめまいの主な原因は貧血です。お母さんと赤ちゃんの2人分の血液が必要となるので、鉄分も多く摂取しなければなりません。そのため、妊娠前と同じ食生活をしていると、鉄欠乏症貧血になるリスクが高くなります。

お母さんが貧血になると、赤ちゃんに送られる血液が不足してしまうおそれがあります。食生活の改善や鉄分のサプリメントの摂取、病院で鉄剤を処方してもらうなどして対策を講じましょう。

妊娠後期に起こるめまいとは?

妊娠後期に起こるめまいの原因の1つとして、仰臥位低血圧症候群があります。仰向けで寝ているときに赤ちゃんの重みでお腹が圧迫されてしまい、心臓や脳に届ける血液が少なくなるために起きる症状です。

お昼寝や就寝時のみではなく、歯科治療や、美容院などでもあお向けになる場面があります。もしも苦しくなったり、めまいを感じたりした場合には、我慢せずに伝えるようにしましょう。

仰臥位低血圧症候群の症状が出現した場合は、体の左側を下にして横向きになると血流が回復し、めまいも改善されます。

妊娠初期からめまいを起こさないためには?

妊娠超初期や、妊娠初期は流産しやすいとてもデリケートな時期です。ふらついて転倒してしまったり、お腹を打ってしまったりする危険性があります。

そこで、妊娠初期からめまいを起こさないための注意点をご紹介します。

脱水症状に注意する

妊娠初期は母体の血液量が増え、羊水量を保つために多くの水分が必要です。そのため、こまめな水分補給が大切になります。しかし、妊娠初期はつわりの症状で食べ物や飲み物を口にできない方も多いです。

つわりの影響で嘔吐すると、水分と電解質を失い脱水症状に陥る可能性があります。経口補水液やスポーツ飲料は電解質を大腸で素早く吸収できるので、嘔吐してしまっても脱水症状の改善に効果があります。

十分な水分を摂取するのが難しい状態が続くようであれば、かかりつけの産婦人科を受診しましょう。

鉄分を摂取する

貧血によるめまいを起こさないようにするためには、鉄分を摂取すると効果的です。鉄分には動物性のヘム鉄と、植物性の非ヘム鉄があり、ヘム鉄の方が吸収率が高いのが特徴です。

ヘム鉄を多く含むレバーは、妊娠初期に過剰摂取すると赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があるといわれるビタミンAも多く含んでいます。そのため、週に1回程度で少量の摂取を目安にしましょう。

非ヘム鉄を多く含む食材としては、乾燥ひじき・切干大根・納豆・小松菜やほうれん草などがあります。ヘム鉄と一緒にとることで吸収率がよくなるため、肉や魚と一緒にバランスよく摂取するとよいでしょう。

ゆっくり立ち上がる

妊娠すると血管の収縮や拡張が不安定になるため、起立性低血圧が起こりやすく、特に妊娠初期に発症しやすいといわれています。

血液が一気に下方に流れると立ちくらみやめまいを起こしやすいため、急に立ち上がらないようにしましょう。また、長時間同じ姿勢でいることは避けましょう。起床時においても、急に起き上がらずゆっくり体勢を変えることが大切です。

妊婦健診はしっかり受ける

妊婦健診では、毎回血圧を図り、必要に応じて血液検査が行われます。きちんと健診を受けていれば、低血圧や鉄欠乏症貧血の有無といった母体の健康状態が分かります。普段の生活で注意したいポイントや、適切な過ごし方などの知識も身につくでしょう。

もしも、体の不調や不安に感じていることがあれば、妊婦健診は解決するのに絶好の機会だといえます。遠慮せずに医師や助産師、看護師に質問しましょう。自分の体の状態を把握しておけば、普段の生活で気をつけるべき点も意識できるでしょう。

病院を受診すべきめまいや立ちくらみとは?

めまいや立ちくらみは妊娠中に起こりやすい症状の1つではありますが、必ずしも妊娠と関係があるとは限りません。なかには脳や心臓の病気などが隠れている場合もあるので注意しましょう。

ここでは、緊急性を要する症状を2例ご紹介します。病院を受診する際の目安としてお役立てください。

頭痛やろれつが回らないとき

ふわふわ浮いているようなめまいや、地震のようにまっすぐ歩けないようなめまいを感じたら、脳の疾患の可能性があります。めまいを生じる病気には脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、多発性硬化症などがあります。よくある症状は以下のとおりです。

  • 吐き気や頭痛
  • ろれつが回らない
  • 意識障害
  • 複視
  • 手足のまひやしびれ

これらの症状が出た場合は脳の病気が強く疑われるため、早めに医療機関を受診しましょう。

動悸や息切れがひどいとき

動悸とは、心臓の拍動を感じられる状態で、心拍が速い・遅い・大きく強く感じる、脈が飛ぶ・乱れるなどがあります。激しい運動ではなく、軽い運動や日常のなかで動悸が起こるようなら、心臓の働きが悪くなっている可能性があるので注意が必要です。

女性の場合は、貧血やホルモンバランスの乱れによって動悸が起こる場合もあります。動悸にふらつきやめまいがともなう場合には、血圧低下が起こっていると考えられるため、早急に医療機関を受診しましょう。

まとめ

めまいの原因となる脱水や鉄欠乏症貧血は、お母さんと赤ちゃんの両方に悪い影響を与える場合があります。しかし、正しい予防策や解決策を取り入れれば、症状を抑えたり、和らげたりするのに役立つでしょう。

めまいの症状を改善するには、こまめな水分補給や鉄分の摂取が大切です。また、急に立ち上がるとめまいを起こしやすいため、ゆっくり立ち上がるようにしましょう。時間や気持ちにゆとりを持って生活するとよいでしょう。

もしも、めまいに関して不安なことや心配なことがあれば、妊婦健診の際に主治医や看護師、助産師に相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献

・日本赤十字社ー貧血について

・文部科学省ー食品成分データベース

・日本救急医学会ー仰臥位低血圧症候群