妊娠9週目の流産確率は?流産の原因・染色体異常の検査も解説!お母さんと赤ちゃんの状態は?
「妊娠9週目で流産を起こす確率はどのくらいあるの?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。本記事では妊娠9週目ごろに起こるママや赤ちゃんの変化、流産が起こる原因や確率などについて解説していきます。
また、合わせて染色体異常についても解説しています。
この記事を最後まで読むことで、妊娠9週目ごろのママや赤ちゃんの状態が分かり、流産への不安を和らげるのに役立つでしょう。
妊娠9週目ごろの流産を心配している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の内容
妊娠9週目の身体に変化は感じられる?
妊娠9週目は妊娠3か月にあたり、胎動はまだ感じられません。しかし、ママの体調の変化がはっきりと感じられる時期です。
妊娠前は鶏卵サイズだった子宮の大きさは、妊娠8週目にはガチョウの卵、妊娠3か月
が終わるころには握りこぶしサイズになります。また、エストロゲンの働きによって乳腺が活発になり、乳房が大きくなってきます。
妊娠5週目ごろから始まるつわり(悪阻)は、ちょうど9週目ごろがピークです。
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妊娠9週目の過ごし方は?
妊娠9週目ごろの流産は、ママの行動が原因になるケースは少ないといわれています。いつも通りの仕事や家事をして問題ありませんが、胎盤が安定する妊娠15週〜16週までは無理せず過ごしてください。
つわりがある時期は脱水を防ぐために水分を摂り、食べやすいものを食べて乗りきりましょう。心身にストレスをかけないように、リラックスして過ごすのも有効な方法です。
もしも、嘔吐が頻回で尿の回数が減る、唇が乾くなど脱水症状がある場合はすぐ病院に相談しましょう。
妊娠9週目の胎児の成長はどれくらい?
妊娠初期である9週目の母体は、体調が不安定になりやすい時期です。そのため、妊娠9週目の赤ちゃんはどのくらい成長するのか、気になっているママは多いのではないでしょうか。
ここでは、妊娠9週目での胎児の成長、胎児の性別が分かる時期についてご説明します。
妊娠9週目の胎児の成長
妊娠9週目の胎児の大きさ、器官の発達は以下のとおりです。
頭からお尻までの長さ | 約2cm~3cm |
体重 | 約1g~3g |
胎嚢の大きさ | 約5.7cm |
器官の発達 | 耳や鼻など顔の感覚器官ができる生殖器の発達が始まる目の網膜の色素ができる舌に味を感じる細胞ができる |
また、赤ちゃんの心拍が最も早くなる時期でもあります。妊娠5週目ごろの心拍は、90回~100回/分です。徐々に早くなり、9週ごろに170回~180回/分とピークを迎え、16週ごろに150回/分くらいに落ち着くでしょう。
胎児の性別はいつから分かる?
胎児の性別は、妊婦健診時のエコーであれば、男の子は14週〜15週ごろ、女の子は17週〜18週ごろに判明します。また、そのほかの方法で赤ちゃんの性別を調べるには、NIPTを検討してみましょう。
NIPTは染色体を調べる過程で、性染色体がXY(男の子)かXX(女の子)なのかを知ることが技術的に可能です。
しかしNIPTは本来、赤ちゃんの先天性異常を調べるための検査であり、日本産婦人科学会の認証施設では性別の告知は行っていません。非認証施設のなかには赤ちゃんの性別を調べられるところがあります。
NIPTを受けられるのは妊娠10週目からなので、9週6日までは男の子か女の子か想像しながら楽しみに待ちましょう。
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妊娠9週目で流産が起きやすいのはなぜ?
妊娠初期のママにとって、「流産のリスクが怖い」と感じる方は多いのではないでしょうか。流産とは、妊娠後に母体の中で胎児が死亡することです。
死亡時期が22週までの場合を流産といい、23週以降の場合を死産といいます。ここでは、妊娠9週目で流産が起きやすい理由を解説します。
流産の多くは染色体異常が原因
流産の70%以上は、ダウン症を始めとした染色体異常が原因です。染色体異常による流産の場合、9週より前の重要な器官・神経系を作る時期に成長が止まり、9週ごろに流産が確定するケースが多いです。
もしも胎児の成長が著しく遅い、あるいは止まっている場合、2週間程度あけて再度診察をしてから、稽留流産と確定診断されます。
流産の兆候で起こる症状
胎児が母体の中で亡くなると、母体が死亡した胎児を排出しようとする体の働きにより、出血・腹痛などの流産の兆候となる症状が起きます。
また、つわりの変化で流産の兆候に気づけると考えている方もいるかもしれませんが、つわりで判断するのは困難です。妊娠が順調でも、つわりがない方もいる一方、流産していても完全に胎児が母体から排出されるまでつわりが続く方もいます。
つわりがあるからといって安心せず、流産の兆候が見られた場合は安静に過ごし、翌日以降に産婦人科の受診を検討しましょう。
9週で流産となる確率は?
病院で確認される流産は約15%といわれています。妊娠9週目は、「魔の9週」「9週の壁」ともいわれ、流産が分かる頻度が高い時期です。
ここからは、9週の時期に流産となるリスクはどのくらいあるのかや、全流産死産のうちの初期流産の割合、心拍確認後の流産率を解説します。
流産・死産の80%以上が妊娠初期
令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業の調査研究によると、流産死産のうち85.7%が13週までの妊娠初期に起きています。また、10.6%が妊娠中期(14週~27週)、3.7%が妊娠後期(28週~)です。
染色体異常があると、器官形成期に心臓、神経などの重要臓器がうまく作られず、生命活動が存続できないために、早い時期に流産となりやすいでしょう。
心拍確認後の流産率
妊娠初期の流産のなかでは、心拍確認前に起こる流産が高い割合を占めています。
海外の研究によると、心拍確認後の胎児で、切迫流産の兆候がないケースにおける流産率は1.6%でした。また、心拍確認後の流産率は、妊娠6週では9.4%、妊娠9週では0.5%、さらに週数が進むにつれ、流産率が下がることが分かっています。
心拍確認後9週目まで順調なケースの流産率は、妊娠初期の流産全体と比較して低いといえるでしょう。
妊婦検診で染色体異常はわかる?
染色体異常は、妊娠初期の流産以外にも、妊娠中期以降の流産や死産、生後間もなくの死亡、生涯にかけて残る障害が生じるおそれがあります。染色体異常の有無が分かれば、流産や死産、特定の障害の可能性を予見するのに役立つでしょう。
そこで、妊婦検診の検査内容や染色体異常の有無を調べられるNIPTについて解説します。
妊婦検診の検査内容
妊婦健診は、母体の健康状態や赤ちゃんの発育状態を確認するために大切です。妊婦検診では、以下の項目の検査を行います。
毎回 | 診察 | 産婦人科医が妊婦と胎児の状態を確認 |
血圧測定 | 妊娠高血圧症候群をフォローするため行う | |
体重(身長は初回のみ計測) | 肥満は帝王切開、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病のリスク要因のため体重管理を行う | |
必要時 | 保健指導 | 助産師による食事生活指導 |
血液検査 | 感染症検査、血算などを検査 | |
血糖測定 | 妊娠糖尿病を調べるため、妊娠中期に行う | |
エコー検査 | 胎児の体の形、血流など異常がないか確認 | |
子宮頸がん検診 | 20代30代の罹患率が多いため実施 | |
性器クラミジア検査 | 分娩時の胎児への感染予防のため行う |
妊婦検診の検査は、それぞれ重要な目的があります。妊娠期間中は欠かさず受診することが大切です。
エコーで染色体異常が分かる場合もある
染色体異常を疑う特徴は、エコーによって見つけられるときもあります。ダウン症児では、以下のようなエコー所見があります。
- 胎児の首の後ろのむくみ(NT)
- 鼻骨が短い
- 頭が大きい
- 心臓の血流が逆流している
ダウン症のエコー上の特徴は健常児と判別しづらいケースもあり、出産までダウン症だと分からないこともあります。エコーでダウン症が疑われた場合、羊水検査を行い確定診断されます。
NIPTなら染色体異常が早期に分かる
エコーは、胎児の成長過程で異常が発生した段階で染色体異常を見つけるため、発見が遅くなる場合があります。早期に高い精度で染色体異常が分かるのは、染色体にフォーカスした検査のNIPTです。
NIPTは、non-invasive prenatal genetic testing(無侵襲的出生前遺伝学的検査)の略称で、母親の血液中にある胎児血液のDNAを調べる検査です。NIPTは10w0dから実施できるため、早期に染色体異常が分かります。また、胎児や母体への負担が少なく、羊水検査のように流産のリスクを上げないメリットもあります。
まとめ
本記事では、妊娠9週のママと赤ちゃんの状態や流産確率、染色体異常の検査について解説しました。
流産の80%以上は妊娠初期に起こり、妊娠9週目でも流産は起こり得ます。しかし、妊娠9週目まで順調で心拍確認もできている場合は、流産の確率は低いといえるため、過度に心配する必要はありません。
妊娠初期の流産は、大部分が赤ちゃん側の要因で、ママが防ぐのは難しいです。無理をせず気持ちを楽にして過ごしましょう。
参考文献
厚生労働省HP-「令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業