着床とは?着床後の体の変化やおりものの変化について解説
妊娠をするためには排卵期に射精が行われ、受精卵ができて着床するという過程が必要です。
着床して初めて妊娠が成立し、その後は妊娠初期症状と言われる身体のだるさや発熱、精神的な不安やイライラなどさまざまな症状が起こります。
妊娠超初期症状では身体に変化が起こるだけでなく、おりものの状態も生理前とは違います。
年齢によって異なる着床率や妊娠の種類についてまとめました。
この記事の内容
着床とは
妊娠が成立するまでの過程は下記の通りです。
①排卵
➁射精
③受精
④着床
この4つの段階について、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
排卵
排卵は「排卵日」に起こります。月経の日数は人によって異なり、3日~7日です。月経の後に卵胞期があり、排卵はその後で黄体期の直前です。これが女性の1か月の体の変化となっています。
黄体期は高温期と低温期の境目にもなり、黄体形成ホルモンによって卵巣から卵子が飛び出します。女性が妊娠できるのはこの時期のみです。
射精
通常、膣内に射精される精子の数は数千万~1億超といわれています。女性は排卵日の3日ほど前から頚管に粘り気のある液が溜められていき、精子はその中を通っていくのです。
精子は子宮腔から卵管へと移動しますが、その多くの射精された精子のなかで卵管膨大部へ到達できるのは千個未満とごくわずかです。到達できない精子は優秀ではなく、奇形など問題のあるものはたどり着けないでしょう。
受精
受精は精子が卵細胞質のなかに入り、精子と卵子の核が融合することから誕生します。これによって、受精卵という新しい細胞となるのです。
着床
受精卵は成熟後に、子宮内膜へ入って着床します。女性が妊娠できる時期は決まっていて、子宮内膜はインプランテーション・ウインドウと呼ばれる状態に変わります。
この時期は排卵から5日~7日の短期間で、ほかの時期には射精をしても卵子との融合ができないため妊娠できません。排卵から着床までは複雑な過程があるように思えますが、そのスピードは極めて早く7日程度でこの工程が完了します。
着床後の母体の症状
妊娠が成立したら、母体にはどんな症状があらわれるのでしょうか。着床後の母体の症状について解説します。
着床出血
着床出血は受精卵が着床する際に起こる出血です。妊娠初期で起こる出血で最も多いとされています。受精卵が定着するときには絨毛という組織を受精卵から伸ばしていきます。そして、その際に子宮内膜が傷つくと、着床出血を起こすのです。
ただし、これは妊婦さん全員にあらわれる症状ではなく、4人に1人以下だと言われています。
腰痛
妊娠超初期に起こる腰痛を「着床腰痛」と呼んでいます。妊娠期間は着床腰痛だけではなく、腰痛を感じる方が少なくありません。
着床腰痛はホルモンや子宮内膜の変化によって起こり、痛みの度合いや場所には個人差があります。なかには、ヘルニアかと勘違いしてしまうくらいひどい痛みを感じる方もいます。
体温が高くなる
受精卵が着床すると、高温期と呼ばれる体温が高い状態が続くでしょう。妊娠が成立していなければ体温は下がっていきますが、この体温の高さが妊娠の判断基準にもなります。
普段から基礎体温をつけていれば、熱が下がらないことで着床に気づけるでしょう。
着床後のおりものはどのように変化するのか
おりものとは、膣内や子宮からの分泌物が液体化したもので、女性を妊娠しやすくしたり外部からの菌の侵入を防ぐ役割を担っています。そのおりものは、月経から1か月の間にも変化があり、性病などにかかったときにも異常としてあらわれます。
着床後、いつものおりものとはどのような違いがあるのか、おりものの量・色・臭いの変化をそれぞれ知っておきましょう。
おりものの量
そもそもおりものは、卵胞ホルモンの分泌量で増減するものです。したがって、着床をすると卵胞ホルモンの分泌量が増えていくため、それに伴い受精から着床までの間にはおりものの量が増加します。
ただし、おりものが増えたことを気にして膣を洗いすぎてしまうと、必要な常在菌まで落としてしまい、細菌が侵入する恐れがあるので注意しましょう。
おりものの色
着床完了するのは、妊娠3週頃です。着床すると腟のpHが変化し、おりものは水っぽくサラサラして半透明や乳白色、薄茶色になります。
着床出血をすると、おりものに血が混じって色は薄いピンクや茶色へと変化します。
おりものの臭い
卵胞ホルモンのエストロゲンの分泌によって、おりものの量が増加するのが着床です。もし、着床をしなければいつも通り生理が始まります。
着床出血が起これば、おりものは少し酸っぱい臭いになることもあります。
着床する確率はどのくらい?
着床する確率は年齢によっても変わり、36歳・37歳での着床率は21%、40歳以上になると6.5%です。この低下の原因は染色体異常がほとんどであるといわれており、40歳の早期流産で96%に達するとされています。
自然妊娠・人工授精・体外受精のどれかによってもその確率は変わるでしょう。
加齢によって妊孕性が低下
出生児には200万個もあるとされる卵胞は、年齢とともにその数が減っていきます。卵胞は卵巣のなかにあり、その数は思春期は30万個にまで減少します。そして、その後は月単位で数百個ずつ減っていき、45歳には数千個とほとんど残っていません。
卵胞の数の低下とともに妊孕性(にんようせい)も下がり、月経不順や染色体の異常が増えてきます。卵胞が少なくなると、質の良い卵は排卵できません。
自然妊娠
妊活によって自然妊娠する確率は、1年以内で80%近いといわれています。これは、夫婦ともに生殖機能に問題がない場合を指します。
ただし、20代で1年以内に自然妊娠ができる確率は80%以上とされていますが、30代後半では60%台と低くなっています。
そして、1周期あたりで見ても、20代~30代前半が25%~30%であるのに対し、45歳ではなんと1%というわずかな確率となっているのです。
人工受精
人工受精では、子宮内に直接精子を注入します。妊娠できる場合は5回目までに90%の確率で成功しますが、5回で結果が出ない場合はそれ以上行ってもあまり意味がありません。
体外受精
体外受精は精子と卵子をそれぞれ採取し、体の外側で受精させる方法です。卵が何個とれるかによって受精率は変わり、たとえば5個採取してそのうち4個が受精に成功すれば、80%の受精率になります。
体外受精の平均は、70~80%程度の成功率です。
まとめ
妊娠を成立させるためには夫婦の生殖機能に問題がなく、受精に成功しなければいけません。どちらにも問題がなかったとしても、1回の受精で着床に至ることができない可能性も多くあります。
また、不妊などの問題がある場合は体外受精で卵を作る方法もあります。年齢が上がれば上がるほど、妊娠に至るまでの方法を変えてみても着床する確率は低下するでしょう。
流産をしないためにも着床をしたら、おりものや体の変化にもよく注意し、それに早く気づくようにしましょう。
参考文献
・厚生労働省-令和2年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業
・ヘルスケアラボ-不育症