妊娠超初期症状とお家で出来るセルフチェック
妊娠超初期と言われる受精から着床までの期間中(妊娠2〜4週)、女性の体ではさまざまな変化が起きています。
いわゆるPMS(生理前症候群)と言われる、頭痛、眠気、ダルサなど、似たような症状が妊娠超初期症状として見られることもあり、妊娠していても、その症状が妊娠超初期症状である、ということに気づかない女性も少なくありません。
そこで、妊娠超初期症状と症状が現れる時期、メカニズムを知り、自宅でできるセルフチェックを詳しく説明していきます。
この記事の内容
妊娠超初期にみられる症状とは?
妊娠超初期とは?
妊娠初期とは妊娠13週6日までのことをいいます。
その中でも特に妊娠2〜3週目までを妊娠超初期といいます。
おおよその目安としては受精から着床の期間を言い、この時期の女性の体の中ではさまざまな変化が起きています。
「妊娠超初期」という言葉は医学用語ではありませんが、既に目まぐるしく成長、発達をしている赤ちゃんと女性にとっては重要な時期とも言えます。
妊娠超初期に見られる症状とは?
以下の症状がいくつ当てはまるか見ていきましょう。
・生理よりも少ない出血(着床出血)
・お腹の張りや下腹部の違和感
・腰痛
・さらっとした水っぽいおりものの増加
・ダルサを伴う強い眠気
・頭痛
・頻尿
・胸焼けや胃もたれといった消化器症状に伴うゲップや嘔気
・微熱感
・胸の張りやちくちくとした痛み
・便秘や下痢
・イライラしたり気分が落ち込んだり情緒が不安定になる
・臭覚が敏感になり食欲が減退したりあるいは増進する
・めまいやふらつきがある
なぜ、このような症状が現れるのか?
妊娠初期に分泌される3つのホルモン
受精卵が着床した後、おもに妊娠に関係する3つのホルモンが産生、分泌されます。
そのホルモンの影響で、妊娠超初期のさまざまな症状が現れます。これらのホルモンは妊娠の継続に欠かせないホルモンになります。
胎盤や乳腺を整え、胎児の成長を促しながら、出産の準備をおこないます。
1.hCGホルモン(ヒトゴナドトロピン)
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は胎盤の絨毛組織から分泌される性腺刺激ホルモンで、胎児の成長発達には欠かせないホルモンです。
因みに、妊娠検査薬は尿中のヒトゴナドトロピンを検知する事で陽性反応がでます。
2.卵胞ホルモン(エストロゲン)
エストロゲンは受精卵が着床しやすいように子宮内膜を作り、胎芽の発育には欠かせないホルモンです。
さらに、子宮内の血流を増加させ、順調に妊娠継続できるように手助けするホルモンでもあります。
そのほかに、乳腺を発達させ、出産後の母乳分泌にも一役買っています。
3.黄体ホルモン(プロゲステロン)
プロゲステロンは子宮内膜をふかふかにして受精卵が着床しやすいように安定させ、更に基礎体温を上げ、妊娠を継続しやすように手助けしてくれます。
また、乳腺を発達させる働きもあります。
3つのホルモンと基礎体温の関係
基礎体温とは
基礎体温とは生命維持に必要な最小限のエネルギーしか消費していない状態、いわゆる安静状態のときの体温の事です。
女性の体は、ホルモンの分泌によって基礎体温が変化するのが特徴で、基礎体温を規則的に測定し、記録することで体の中で起こっているホルモンの変化についてある程度予想し、知ることができます。
正常な月経周期、排卵が行われている女性の基礎体温は、低温期と高温期の二相性に分かれています。
低温期、高温期は、排卵を挟んで、2週間程度あって、ひとつの周期になっています。
「低温期」にはエストロゲン有意となり、「高温期」にはプロゲステロンが有意となります。
例えば、月経が28日周期の女性の場合、月経の初日の1日目~排卵までの約2週間は、低温期となります。この低温期の期間は、エストロゲンが分泌され、子宮内膜が増殖していきます。
エストロゲンの分泌がピークになると、排卵を司令する黄体形成ホルモンが分泌され(LHサージと呼ばれる)、排卵が起こります。
排卵後は、プロゲステロンの分泌が始まるので、それに合わせて基礎体温が低温期より0.3~0.5℃ほど上昇し高温期になります。
高温期はおおよそ12~14日続き、それ以上高温期が続く場合は妊娠の可能性があるということになります。
基礎体温だけで、これだけの情報を得ることができます。
普段から、基礎体温を測り、記録する習慣をつけるといいですね。
妊娠超初期はなぜ、おりものが少ないこともある?
一般的には妊娠するとおりものが増える傾向にあると言われていますが、そうでない場合もあります。
おりものが増える原因として、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌に関係があります。
エストロゲンの分泌が増えると、その影響で子宮頸管から分泌される粘液が増え、その結果おりものが増えるといえます。
ただ、例外もあり妊娠していても妊娠超初期におりものがむしろ減ることもあります。
おりものが一番多い時期とは?
おりものが一番多い時期は排卵前から排卵直後の時期です。
逆にいうと、「それ以外」の時期はおりものが少ない時期と言えます。
妊娠超初期は、「それ以外」の時期に当てはまるためおりものが減ったと感じる要因の一つです。
しかし、妊娠すると(妊娠初期)エストロゲンの分泌が増加し、その影響でおりものが増えていきます。
ただ、この妊娠超初期と言われる(妊娠2〜3週)の時期はまだそれほどエストロゲンの分泌が増えていないことも多く、結果、妊娠超初期にはいったん、おりものの量が減ってもおかしくないのです。
最短で妊娠はいつわかる?
早い方であれば、妊娠3週ごろより妊娠の兆候が現れます。
基礎体温表でいうと高温期になります。
例えば、生理周期が28日の女性の場合、月経から14日目ごろに排卵します。
妊娠している場合は、排卵後、受精卵となり、子宮に着床するまでに1週間程度かかるため、21日目ごろに着床します。
この時期が妊娠3週になるため、この頃から妊娠の兆候が現れてもおかしくないと言えます。
妊娠超初期の基礎体温の変化
妊娠初期の基礎体温の特徴
正常な基礎体温は低温期と高温期の二相性に分かれており、月経開始〜排卵前までの約2週間を低温期、その後排卵が起こると高温期になり、約2週間続きます。妊娠が成立しなかった場合は、この二相性のサイクルを妊娠成立まで繰り返すことになります。
逆に妊娠が成立すると、排卵後の高温期が2週間以上続きます。その理由として、排卵後に形成された黄体が、黄体ホルモンを分泌し続けるためです。この黄体ホルモンは妊娠を継続する上で重要なホルモンです。黄体ホルモンは受精卵が成長できるように、子宮内膜を厚い状態に維持してくれます。そのため、高温期が2週間以上続く場合は妊娠の可能性があります。
妊娠検査薬はいつから使用するの?
通常、2週間以上続く高温期や前述した症状がある場合は市販の妊娠検査薬を使用して妊娠セルフチェックをおこないましょう。
妊娠が成立するとhCGホルモン(ヒト絨毛ゴナドトロピン)が大量に分泌され、尿中にも検出されるため、妊娠検査薬はその尿中のhCGホルモン(ヒト絨毛ゴナドトロピン)の反応をみることで、妊娠の陽性や陰性を知ることができます。
hCGは妊娠4週目ごろから尿中に排出されるようになりますが、ほとんどの検査薬が正しく反応するのは妊娠5週目以降と言われています。
検査のタイミングが早すぎて、妊娠していたとしても陰性と出る可能性もあります。
少しでも早く結果を知りたい!という焦る気持ちもわかりますが、慌てず、生理開始予定日から1週間経過したころを目安(妊娠5週目)に妊娠検査薬を使用するようにしましょう。
検査薬で陽性が出たら?
妊娠検査薬で陽性が出たから、「妊娠確定」とはなりません。
妊娠検査薬で陽性が出たら、妊娠6週目(月経開始予定日から2週間を過ぎたあたり)を目安に産婦人科で診察を受けましょう。超音波検査で、胎嚢の中に赤ちゃんの心拍を確認して「妊娠確定」となります。
妊娠超初期とPMSの見分け方
妊娠超初期とPMSは似たようの症状が多いため、判断しにくい場合もありますが、PMSは月経とともに症状が落ち着きます。
逆に妊娠超初期症状の場合は、つわりなどの症状へと移行したり、頻度が増すこともあり、この違いで妊娠超初期症状とPMSを見分けることができます。
妊娠超初期の注意点
妊娠すると、女性の体の中ではさまざまな変化が起きます。特に妊娠初期には赤ちゃんがお腹の中で成長、発達をはじめ特に重要な時期といえます。
目には見えませんが体の中では目まぐるしい変化が起きています。
この大事な時期をどう過ごしたらいいか、何に注意して過ごしたらいいかをみていきましょう。
お薬の内服について
妊娠がわかった時点で、体はあなた1人のものではありません。
今までは市販のお薬をかって内服していたことも妊娠中はNGになります。
自己判断せず、お薬の内服をする場合は必ず、医師に相談し、処方をしてもらったお薬を飲むようにしましょう。
日常生活で気をつけたいこと
・禁酒、禁煙
・カフェイン摂取を控える
・加熱していない肉や乳製品の摂取は控える
(リステリア菌やトキソプラズマ感染の原因となるため)
・規則正しい生活週間
・重たい物を持たない、激しいスポーツは控える
・感染予防
その他
・レントゲン(被曝の可能性があるため必ず妊娠していること、妊娠の可能性があることを伝えましょう)
・母子手帳が交付されたら、外出時は必ず持ち歩きましょう。
まとめ
妊娠超初期症状は妊娠によって起こる体の変化で、その症状が出現する時期や程度は個人差があります。妊娠することで起こる体の変化や症状で不安になる女性も多く、その体の変化やセルフチェック法を知る事で安心して妊娠初期を過ごせるようにしましょう。
参考文献
・ヘルスケアラボー基礎体温
・厚生労働省ー食品に含まれるカフェインの過剰摂取について