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妊婦健診のエコー検査について徹底解説!エコー写真の保存方法もご紹介

妊婦健診で行われるエコー検査。何気なく受けているけど、一体何のために行われているのか、何を見ているのか知っていますか?今回は、エコー検査について解説するとともに、記念になるエコー写真の保存方法もご紹介していきます。

妊婦健診とは

まずは基本的な妊婦健診についてお伝えしていきます。

妊婦健診の回数

妊婦健診とは、妊娠期間中に妊婦さんと胎児が心身ともに健康に過ごしているのかをみていくためのものです。基本的に妊娠期間が過ぎていくとともに妊婦健診の間隔が短くなり、回数が増えていきます。

具体的には、妊娠24未満では4週間に1回、24週〜35週では2週間に1回、36週以降は1週間に1回という間隔で行います。ただし、これは基本的な妊婦健診で、妊婦さんや胎児の状態によっては、頻繁に健診で様子をみていくこともあります。

妊婦健診で見ていること(体重・血圧、検査値、胎児心拍・成長、子宮頸管長、内診)

妊婦健診では、妊婦さんや胎児に異常がみられないか、胎児がしっかりと成長しているかを確認しています。妊娠中に妊婦さんが合併症を起こさず経過しているか、胎児に異常がなく成長しているか、などを、体重や血圧の値、尿・血液検査、エコー検査、内診・触診、NSTモニターを使用して、総合的に判断していきます。

妊婦健診のエコー検査

では、妊婦健診のエコー検査はどのようなものなのでしょうか?

エコー検査の仕組み

エコー検査とは、超音波の何かにぶつかると跳ね返るという性質を利用して、外から見ることのできない体内の状態を観察できる検査です。

装置にプローブという器具をつなぎ超音波を送り、臓器から跳ね返ってきた情報が映像として、画面に映し出されます。この仕組みによりさまざまな角度で体の断面を見ることができます。

エコー検査の種類

このエコー検査には経膣エコーと経腹エコーの2種類あります。

経膣エコー

内診台に上がり膣に細長いプローブを挿入し、子宮の口側から子宮内や卵巣の状態を観察していきます。妊娠12週以降は、切迫早産のリスクを見るため子宮頸管長を測ったり、胎盤の位置によっては診断等に使われることもあります。

経腹エコー

診察台の上に横になり、お腹の上から経腹プローブをあて、広い範囲で胎児の体を観察していきます。その際、正確にみていくためゼリーを使用し、腹部とプロープの間に空気が入らず密着していくようにしていきます。

検査の機械によっては、エコー画像を平面で写しだす2Dエコーだけではなく、立体的な形で胎児を観察できる3Dエコー、これに時間の経過を加えて動画にした4Dエコーがあります。胎児が実際に動いている様子を見ることができます。

エコー検査の役割

妊婦健診でのエコー検査は検査値や見た目からだけではわからない体内で起こっていることを確認します。

正常な状態が保たれているのか、異常に傾いてきているのか、異常な状態となっているのか、など、あらゆる推測をしながらエコー検査を行っています。

エコー検査はいつからやるのか

妊娠初期は子宮や胎児が小さいため、狭い範囲で子宮のごく近くから見ることができる経膣エコーを実施します。妊娠16週頃以降の健診では、子宮や胎児の成長もみられ、より広範囲で見ることができる経腹エコーに切り替えます。

ただし、切迫流早産、胎盤の位置の異常などがみられる場合は経膣エコーも組み合わせて確認していきます。頻度としては、病産院によりますが、2週間〜1ヶ月に1回程度のエコー検査をすることが一般的です。

妊婦健診のエコー検査で異常がわかる?

エコー検査では、体のあらゆる部位を見ていきます。

エコー検査で見ていること

経膣エコーでは

  • 胎児を包む袋の確認
  • 子宮や卵巣の異常はないか
  • 胎盤異常はないか
  • 心臓が動いているか

を主に見ています。

経腹エコーでは、広い範囲のことがわかるので

  • 心臓が動いているか
  • 胎児の向きや体勢
  • 胎児の成長具合(BPD:頭の周囲、AC:お腹周りの長さ、FL:大腿骨の長さ)
  • 体の臓器などそれぞれのパーツに問題はないか(体の表面の形などの異常)
  • 性器の形
  • 臍の緒の血流や位置など
  • 羊水の量
  • 胎盤の状態

というような経膣エコーより、多くのことを確認しています。

エコー検査でわかる胎児の異常

エコー検査でわかる胎児の異常については、命に関わるもの、見た目に関すること、普通と比べて大きめ・小さめといった機能的には問題ないものなど、さまざまな異常があります。胎児スクリーニング検査といって、しっかりと時間をかけて経腹エコー検査を行う検査も行われることがあります。今回はスクリーニング検査で知ることができる胎児の異常の一部の紹介をしていきます。

  • 身体的異常(臓器の数・大きさ・形・脱出・圧迫を受けているか、骨の欠損・短縮・変形)
  • 発育異常(成長が緩やか、止まっている)
  • 遺伝子疾患(確定診断はエコー検査だけでは行われない)

このような異常を見つけることが可能ですが、軽症なものでは見つけられないこともあります。遺伝子疾患は羊水検査を追加で行い、確定診断することができるものもあります。

エコー検査ではわからない胎児の異常

そもそも、人が生まれてくるときに持っている異常の種類は1500程度あると言われています。その中で出生前に超音波検査でわかる異常は約30%程度です。生まれて初めてわかる異常や生まれた直後ではわからない異常の方が多いということです。

例えば、

  • 代謝異常などのホルモンの働きに関与した疾患
  • 形態異常(指の数、小さなイボのようなもの)
  • 見た目に関すること(あざなど)

は経腹エコーではわからないですし、胎児の子宮にいるときの姿勢によっても身体的異常の発見ができないことがあります。臓器自体の働きや染色体の異常に関しても、胎児期と出生後の働き方が違う臓器であったり、胎児自体の細胞の情報からしかわからなかったりするため、エコー検査のみでは判断できません。

妊婦健診でのエコー写真や動画

エコー写真はそのまま保存しておくと、時間の経過とともに印字が消えてしまいます。

記念にとっておきたい方は以下の方法で保存するようにしてください。

エコー写真の保存方法

まず、エコー写真をもらったら、日に当たったり、ビニールなどひっついたりして写真自体の状態が悪化しないよう保管しておくことが大切です。

コピーをとる

手軽に手元に残すことができる方法は、コピー機でのコピーです。写真モードを選び、度を薄く設定するとキレイに写しだすことができます。コピー機やプリンターによっては感熱紙であるエコー写真が真っ黒になってしまうことがあるため、事前に不要なレシートで確かめておくと確実です。

アルバムを作成したり、ダイアリーに貼ったりして保管しておく方が多いようです。

スキャナー取り込む

エコー写真をスキャナーで取り込み、データ保存したり、CD-ROM等に書き込んだりする方法です。データとして共有したい方、普段から動画データ等で思い出を管理している方におすすめです。市販のアルバム作成ソフトや画像管理ソフトを使用すると、より見やすくなります。

写真店で複製をする

写真店に行き、紙焼き写真にプリントしてもらったり、デジタルプリントの機械を使用して自分でコピーしたりする方法です。お店によっては、超音波写真のアルバム作成サービスを実施しているところもあるため、忙しく過ごしているが記念に残しておきたい方におすすめです。

エコー動画がもらえる場合もある

病産院によっては、4Dエコーでのデータをもらえることがあります。記念としてDVDに焼いて購入できたり、プレゼントしてくれたりする病産院もあります。

ただ、エコー検査はあくまでも検査として必要なことを見ているものなので、病産院によって対応していないところもあります。どうしても記念に残しておきたいという方は、病産院に問い合わせてみてください。

エコー写真の見方

エコー写真を家に帰って見た際、「結局何が写っているのかわからない。」といったことがしばしば起こります。数値などが書いてあればその値から推測することができますが、医療者でさえ解読が難しいことがあります。ですので、エコー写真をもらった際に、医師・助産師や放射線技師に、何が写っているのかということを確認しておくのがベストです。

何が写っているかわかると、ご家族にも胎児の成長を一緒に感じてもらうことができて良いですね。

「聞き忘れてしまった」という方のために、見方のポイントをお伝えします。基本的にエコー写真は赤ちゃんのどこかの断面を写しだしています。エコー検査の超音波は、骨や脂肪を白く写し、羊水は黒く写しだすため、色で胎児なのか、周りの羊水なのかなどの判断が可能です。ただし、3Dエコーや4Dエコーであれば立体になっているため、白黒でなく写っています。

まとめ

エコー検査で何を見て、なぜ必要なのか、成長をどうやってみていくのかわかると、妊婦健診のエコー検査もより楽しみが増すと思います。胎児の健康・成長を守るためにも、定期的な妊婦健診は必ず受けていってください。

赤ちゃんが生まれてからもエコー写真や動画を見ることで、妊娠期を振り返ったり、赤ちゃんが大きくなったときの記念になったりすることもあります。長いようで短い妊娠期間を十分に楽しんで過ごしてください。