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つわりを和らげる栄養素とは?妊娠中ビタミンB6とつわりの関係性

妊娠すると、母体は胎児を育てるためにさまざまな変化が起こります。

その1つがつわりです。

つわりの症状は人それぞれですが、人によっては吐き気や嘔吐を引き起こし、日常生活が困難になります。

そこで注目なのは、つわりを和らげる栄養素です。こちらでは、つわりを和らげる栄養素について解説します。

妊娠中に必要な栄養素とは?

妊娠中は母体を介して胎児に栄養が行きわたるため、栄養バランスに気をつけなければいけません。

しかし、栄養バランスといってもどんなものを食べていいのか分からないほか、つわりで思うように食事が食べられない方もいるでしょう。

では、妊娠中に必要なカロリー摂取量と栄養素はなにか、解説します。

妊娠中に必要なカロリー摂取量はどのくらい?

一般的な成人女性の場合、1日に必要な摂取カロリーはおよそ1,900kcal/日です。

これに加えて妊娠期によって必要なエネルギーが増加します。

  • 妊娠初期:+50kcal
  • 妊娠中期:+250kcal
  • 妊娠後期:450kcal

妊娠初期はつわりで1回の食事量が減るため、小分けにして食べましょう。

妊娠中に必要な栄養素とは?

妊娠に必要な栄養素は、たんぱく質・葉酸・鉄分・カルシウム・食物繊維です。

たんぱく質は、筋肉や皮膚を作るために欠かせない栄養素です。

葉酸は水溶性ビタミンの1種で、妊娠中に摂取することで、胎児の先天性疾患を予防できます。妊娠中は貧血になりやすく、体内の鉄分が不足するので積極的に摂取しましょう。

カルシウムは、妊娠前から多くの日本人が不足している栄養素です。胎児の歯や骨を形成するのに欠かせません。

食物繊維は血糖値の上昇を抑えるほか、便秘の予防にも効果があります。

つわりの時におすすめの栄養素!ビタミンB6の働きとは

ビタミンB6は水溶性ビタミンの1種で、野菜や肉などさまざまな食品に含まれています。

このビタミンB6ですが、つわりの軽減に効果を発揮することで注目されています。

こちらでは、ビタミンB6の働きを解説するので、ぜひ参考にしてください。

皮膚や粘膜の抵抗力を高める働きがある

ビタミンBを摂取すると、皮膚や粘膜の抵抗力を高めます。

約100種類ある酵素の働きを助ける、補酵素の働きをします。

ビタミンB6が不足すると肌荒れや口内炎、舌炎の症状が現れるでしょう。

水溶性ビタミンは過剰摂取しても、多くは尿中から排出されます。

しかし、過剰摂取しすぎると骨が歪んだり筋肉が弱くなったり、神経に障害が現れる可能性があります。

18〜49歳の女性で、1日の摂取量の推奨量は1.1mg、妊娠中の方は+0.2gです。

こちらを目安に摂取しましょう。

免疫機能の正常は働きをサポート

免疫力とは、悪い菌が体内に侵入した際に体を守ろうとする防衛反応です。この免疫力はストレスや体調不良、不規則な生活ですぐに弱まります。

免疫機能を正常な働きにサポートするのが、ビタミンB6です。

ビタミンB6は免疫抗体の生成に関わっており、免疫機能を正常化するのに欠かせません。

免疫機能の正常化だけではなく、アレルギー症状を緩和すると言われています。

アミノ酸の代謝をサポート

ビタミンB6は補酵素として、アミノ酸の代謝をサポートします。

酵素とは、体の中で行われる消化・吸収・代謝に欠かすことができない成分です。

そのため、ビタミンB6が不足すると一部の酵素が上手く働きません。

ビタミンB6は、タンパク質の代謝にも深いかかわりがあります。

タンパク質からエネルギーを作り、筋肉や血液も作る重要な栄養素です。

皮膚の抵抗力を高めるほか、ヘモグロビンの合成にも関与しています。

つわりを軽減させる

吐き気や嘔吐など、つわりで日常生活を送ることが難しい方はビタミンB6を積極的に摂取しましょう。

ビタミンB6は、つわりを軽減させる働きがあります。

ビタミンB6はアミノ酸代謝に関与しており、不足することでうまく代謝が行われず吐き気を感じる可能性が高いです。

アメリカの産婦人科学会では、つわりに苦しむ妊婦さんに対してビタミンB6の投薬治療が行われています。

食事が困難な方は医師に相談し、サプリメントから補うようにしましょう。

つわりの改善が期待できる!ビタミンB6の栄養素を多く含む食品とは?

食事が摂取できない方はサプリメントから栄養を補えますが、胎児のためにもなるべく食事から栄養を補いたいところです。

そこで、食品中から効率よくビタミンB6を摂取できる食材を3つ紹介します。

ししとう

ししとうは、気温が上がり始める6月から旬を迎えます。

普段ご家庭でししとうを召し上がる機会が少ない方は、馴染みがない食材でしょう。

ししとうは緑黄色野菜の1種で、ベータカロテンを豊富に含んでいます。

ベータカロテンは、皮膚や粘膜の健康を守る重要な栄養素です。

他にもビタミンB6が含まれ、セロトニンやギャバなどの神経伝達物質の生成に関与しています。

イライラや不安感を感じている方は、積極的にししとうを食べましょう。

マグロ

昔から日本人に馴染みのあるマグロには、ビタミンB6が100gあたり1.08mg含まれています。

ビタミンB6以外にも貧血予防の鉄分や、脳疲労を回復させるイミダゾールペプチドも含まれており、妊娠中以外でもおすすめの食材です。

ただし、妊娠中のマグロの摂取量には注意が必要です。マグロに限らず、生魚には水銀が含まれています。

厚生労働省でも、妊娠中にマグロの摂取には注意をするよう促しています。

妊娠中は水銀の含まれている食品は1週間のうち1個だけにしましょう。

牛レバー

牛レバーには100g中ビタミンB6が0.89mg含まれ、ビタミンB6以外にも、牛レバーは鉄分を豊富に含んでいます。

妊娠中は体内の血液量も増え、優先的に胎児に栄養が送られるので貧血になる方が増えます。

貧血になると、めまいや立ちくらみ、動悸などさまざまな体調不良の原因になるでしょう。

つわりでなかなか食べられない方や、貧血症状のある方におすすめです。

ビタミンB6は1日にどれくらい摂取していいのか?

ビタミンB6がつわりを緩和する効果があっても、1日の摂取量は決まっています。

食べすぎてしまった場合、胎児に影響があるのか、1日の摂取推奨量と合わせて解説します。

1日の摂取推奨量は1.1g

18歳から49歳までの女性で、1日の摂取推奨量は1.1gです。

ただし妊娠中は1.3g、授乳期は1.4gとなっています。

100gのバナナをおよそ1本分食べると、1日に必要なビタミンB6を摂取できるでしょう。

摂取しすぎた場合はどうなるのか

ビタミンB6は水溶性ビタミンなので、摂取しすぎても尿から排出されます。

そのため、摂取しすぎても母体や胎児に大きな影響はありません。

過剰摂取した時に現れる症状としては、感覚神経障害や骨の痛み、筋肉の減少です。

1日の推奨量以上にビタミンB6を摂取しないよう、気を付けましょう。

つわりの時期にビタミンB6の栄養素が不足するとどうなるのか?

過剰摂取をした場合、尿中から体外へ排出されるため問題ありませんが、逆にビタミンB6が不足しても体調に変化が現れます。

不足した際の主な症状3つについて解説します。

口内炎

ビタミンB6の役割は、皮膚や粘膜の健康を維持することです。

そのため、ビタミンB6が不足すると、肌荒れや口内炎が現れます。

もし口内炎や肌荒れが起こった場合、ビタミンB6が不足しているサインなので積極的に摂取しましょう。

貧血

ビタミンB6には、血液の成分であるヘモグロビンを作る働きがあります。

不足すると血液が上手く作れず、貧血症状が現れるでしょう。

妊娠中は特に貧血症状で悩む方も多く、予防するためにもビタミンB6を摂取しましょう。

つわりが軽減されない

ビタミンB6にはアミノ酸代謝を促す働きがあり、つわりを軽減させる効果があります。

しかし、ビタミンB6が不足するとつわりは軽減されません。

つわりが辛い方こそ、ビタミンB6を積極的に摂取しましょう。

つわり中控えたほうがいい栄養素は?

妊娠中は胎児に栄養を送るため、バランスよく食べるようにしましょう。

その中でも、つわり中や妊娠初期に控えたほうがいい栄養素があります。

つわり中、控えたほうがいい栄養素3つを解説します。

塩分

妊娠中に限らず、日本人は塩分の摂りすぎが心配されています。

1日の塩分摂取量は7.0gです。

加工食品には塩分がたくさん含まれ、過剰摂取すると妊娠高血圧症候群の危険性が高くなります。

加工食品の食べすぎや、調味料の使いすぎには注意をしましょう。

ビタミンA

ビタミンAの働きは、皮膚や粘膜の健康を維持したり抵抗力を高めたりする働きがあります。

しかし、妊娠中にビタミンAを過剰摂取すると胎児に奇形を起こす可能性が高まるでしょう。

かぼちゃやレバーなど、ビタミンAをたくさん含んだ食品の食べすぎには注意をしてください。

ヨウ素

ヨウ素の働きはエネルギーの代謝や、細胞が成長するうえで欠かせない栄養素です。

しかし、過剰摂取すると胎児の甲状腺機能を低下させます。

海藻類やヨード卵の摂りすぎには注意をしましょう。

まとめ

人それぞれ症状は異なるものの、つわり中は思うように食べられないと悩む方もいます。

吐き気や嘔吐をしている方は、食事から栄養を補うのは難しいでしょう。

つわり中は食べられるものを食べ、落ち着いてから食事のバランスに気を付けながら食べるよう心掛けてください。

参考文献

・公益社団法人千葉県栄養士会-妊娠中の食事

・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所-妊娠前から始める妊産婦のための食生活指針

・公益財団法人長寿科学振興財団-ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量

・厚生労働省eJIM-海外の情報

・厚生労働省-これからママになるあなたへ

・文部科学省-01.一般成分表-無機質-ビタミン類