/ 胎児の染色体異常/

クラインフェルター症候群とは?特徴や症状・知的障害の有無を解説

クラインフェルター症候群という疾患を耳にしたことはあるでしょうか。

出生男児の中には染色体の異常をきたし、クラインフェルター症候群と診断される方もいます。

本記事では、クラインフェルター症候群の特徴や検査方法、治療方法などを解説いたします。

疾患についての向き合い方や注目されている検査方法についてもまとめておりますので、是非最後までお読みいただき参考にしてください。

クラインフェルター症候群とは

クラインフェルター症候群の概要を説明いたします。

出生男児約500のうち1人に発生するとされ、指定難病のひとつです。

性染色体異常症の中でも発生率の高い疾患であり、国内には約62,000人の患者がいるとされています。

この疾患は小児特定慢性疾患に指定されており、根本的治療法が確立されていない難病のひとつです。

難病ではあるものの、患者の多くは健常人と変わらない生活を送っている方がほとんどであり、学校生活・就職など問題なく行えます。

また、寿命においても男性の平均寿命と変わりありません。

思春期以降に発覚することが多い

出生前・出生直後にクラインフェルター症候群が発覚することは少なく、多くの患者は思春期の遅れや二次性徴の未熟がみられ、医療機関を受診したことで発見される場合があります。

また、多くの患者が生殖能力を持たないことから、成人後に不妊症を疑った段階で発覚

することもしばしばあります。

言語障害を合併する場合がある

この疾患の合併症に多いのが言語障害です。

この疾患で生じる言語障害は、理解力には問題がなく、表現が上手くいかないことが特徴です。

クラインフェルター症候群の男児では60%以上の割合で言語障害を合併するとされており、自己表現が上手くいかないことからストレスを抱えてしまう方も多いと言われています。

クラインフェルター症候群の症状と特徴

手足が長く高身長になる傾向がある

クラインフェルター症候群の患者の多くは手足が長く高身長になります。

患者は特徴的として精巣が小さく、男性ホルモン(テストステロン)が分泌されにくい方がほとんどです。

テストステロンには成長期の骨端線を閉じ、骨の成長を止める作用があります。クラインフェルター症候群の患者は、テストステロンが欠乏することにより高身長となりやすいのです。

男性ホルモンが十分に分泌されなくなる

精巣が小さいことにより、男性ホルモン(テストステロン)が十分に分泌されません。

テストステロンは男児の二次性徴を促す作用があり、筋肉量を増やしたり体毛を濃くしたりなど、男らしい体つきをつくる役割があります。

テストステロンが不十分なことにより、華奢な体つきや女性化乳房など、女性的な身体特徴がみられる可能性があります。

対策としてはテストステロンを注射で投与し、男性ホルモンを補充する治療方法があります。

無精子症や乏精子症により男性不妊が生じる

精巣が小さく形成されることにより、無精子症や乏精子症になります。

性生活には問題がないとされていますが、精子が生産されないことにより男性不妊症となるため、治療や補助医療を受診する患者も多くいます。

合併症を引き起こすリスクがある

クラインフェルター症候群の患者はしばしば合併症を引き起こします。

主な合併症は以下の通りです。

  • 肥満
  • 糖尿病
  • 慢性肺疾患
  • 静脈瘤
  • 甲状腺機能低下症
  • 乳がん
  • 骨量減少(骨粗しょう症)
  • 僧帽弁逸脱症
  • 頭髪減少

心疾患や糖尿病など、重度になると生命予後に関わる合併症もあるため、定期的な検診を受け、対症療法にて対応していくことになります。

このほかにも自閉症やうつ病、不安症などの精神的な不調に陥ることが多く、ストレスをケアすることが重要となります。

クラインフェルター症候群が生じる原因

クラインフェルター症候群の原因となる染色体異常について解説していきます。

X染色体数の異常によって生じる

遺伝性疾患の多くは、遺伝子情報を伝える性染色体の異常が原因で生じます。

ほとんどの症例でX染色体の数が多いXXY型など、過剰なX染色体を持つのが特徴です。なお、余分な染色体の数が多いほど、障害の程度が重くなる傾向にあります。

クラインフェルター症候群の治療と対処

クラインフェルター症候群の治療と対処

根本的な治療法のないクラインフェルター症候群ですが、必要に応じて対症療法が実施されています。

どのような治療方法があるのかみていきましょう。

男性ホルモンの補充療法

女性化乳房や筋肉量の減少を予防するために、男性ホルモン補充療法が行われます。

男性ホルモンであるテストステロンを筋肉に注射することで、二次性徴の発現や骨密度の増加、糖尿病リスクの軽減が期待できます。

男性ホルモン補充療法は3〜4週間に1回行い、基本的には生涯継続していくことが勧められています。

男性不妊治療

ほとんどの患者が男性不妊症になりますが、精巣内に精子がわずかでも確認される乏精子症の場合は、顕微鏡下で卵子への人工授精が可能です。

精液の中に精子が確認できない無精子症の場合は、精巣内への注射や精巣を切開して精子を採取し、人工授精を行うケースがあります。無精子症の患者のうち、約40%が精子採取にて不妊を解決できています。

言語療法によるコミュニケーション訓練

クラインフェルター症候群にしばしばみられる言語障害に対しては、言語聴覚士(ST)が介入し療育(言語療法)が行われます。

言語療法は発音を訓練するだけでなく、コミュニケーションをスムーズにとれるよう訓練を行います。考えていることの表現が苦手なまま成長してしまうと、学校生活や仕事に支障が出てしまうため、専門的な訓練を受けることは重要と言えるでしょう。

遺伝カウンセリングを受けて対策する

遺伝カウンセリングとは、遺伝性疾患を抱える患者やその家族をサポートするものです。

専門家や医師の意見を聞き、疾患に対しての向き合い方や治療方針などを決める手助けをしてもらえます。

クラインフェルター症候群のような遺伝性疾患は、根本的な治療法がなく生涯付き合う必要があります。

成長に伴って合併症が出現したり出産前に発覚したりした場合、家族や本人だけで不安を抱えるのは辛いことです。

疾患との向き合い方やアドバイスを聞くことにより、合併症への対策や生活の不安を取り除くことができるでしょう。

クラインフェルター症候群の検査方法

クラインフェルター症候群はどの段階で検査することができるのでしょうか。

遺伝子検査や、不妊についての検査を紹介いたします。

NIPTを実施することで出生前に診断できる

クラインフェルター症候群のような遺伝性疾患は、染色体を調べることで疾患の有無を調べることができます。

NIPT(新型出生前診断)は、子供がお腹の中にいる間に性染色体の異常がないかを調べる検査です。

NIPTは従来の出生前検査と比較しても精度の高い検査であり、出生前からクラインフェルター症候群の可能性を調べることができます。

出生後は血液検査で診断される

二次性徴を迎える思春期や、不妊症をきっかけにクラインフェルター症候群が疑われた場合は、血液検査を実施し、血液内の染色体を調べます。

FNAmappingによる妊娠の可否の検査

FNAmapping(FNAマッピング)とは、精巣内に精子が存在しているかどうかを調べる新しい検査方法です。

これまでの検査方法は精巣を大きく切開する必要があり、検査による精巣へのダメージから男性ホルモンの分泌量が低下するなどの後遺症がみられていました。

FNAマッピングは精巣を切開せず細い注射針で精巣内を検査することにより、検査後の精巣に与える影響を限りなく少なくしています。

この検査の精度は高く、不妊治療を希望する患者に後遺症を残さないための検査方法として有力と言えるでしょう。

まとめ

クラインフェルター症候群は男児にのみ発生する遺伝子疾患です。身体的特徴のほかに、不妊やさまざまな合併症が生じる可能性もあります。適切な治療を受ければ健常人と同じ生活を送れるため、正しい知識を身につけておき、不安であれば遺伝カウンセリングを受けたり医師の意見を聞いたりするようにしましょう。

参考文献

・日本内分泌学会 – ターナー症候群

・JCRファーマクラインフェルター症候群と腫瘍/小児から成人まで