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NIPTによる出生前診断ではどんな結果が出る?陽性だった時の対応もあわせて解説

妊婦さんなら胎児に何らかの疾患や異常があるか、事前に知りたい方もいらっしゃるでしょう。何らかの疾患や異常を発見するために、出生前診断という方法があります。

いくつか種類がある出生前診断のなかでもNIPT(新型出生前診断)は、妊婦さんにとって低リスク且つ高精度であることから注目を集めています。

「NIPTの検査結果はどう出るの?」「受けたけど結果の見方が分からない」という方も多いのではないでしょうか?

検査を受けたからには、検査結果をしっかり理解して、その後の対応も検討したいものです。

この記事では、NIPTの検査内容や検査結果の見方、陽性だった時の対応について紹介します。

出生前診断を受けた方や、受けるか悩んでいる方もぜひご覧ください。

まずは低リスクのNIPTから

出生前診断には超音波検査や採血から可能性を判断する非確定診断と、腹部から直接羊水や絨毛を採取する確定診断があります。

確定診断は稀に合併症や流早産の原因になるとされ、リスクを伴う検査です。

一方、非確定診断に分類されるNIPTは流産のリスクがありません。

そのため近年では、確定診断を受ける前に低リスクのNIPTを受けることが推奨されています。

NIPTは妊婦さんの採血だけで終わる

NIPTはお母さんの血液だけで、赤ちゃんの染色体異常の一部を検査できます。

妊婦さんの腕から10〜20ml程度採血するだけなので、負担や危険性もほとんどなく短時間で終了する検査です。

採血した妊婦さんの血液から、胎児に染色体異常があるかを調べます。2週間程度で検査結果が出ることが多いです。

染色体検査結果の見方

NIPTでは何らかの染色体異常があるかを検査し、21トミソリー(ダウン症)や18トミソリー(エドワーズ症)、13トミソリー(パトウ病)である可能性を調べます。

結果は可能性が高い場合は陽性、低い場合は陰性と示されます。

NIPTはあくまでも妊婦さんの血液中に存在する赤ちゃんのDNA

NIPTは妊婦さんの血液の中に含まれる、胎児のDNAの断片を分析し、何らかの染色体の異常があるか調べる検査です。

最初にDNAの断片の情報を一つずつ読み取っていき、何番の染色体由来か決定し分類後、量的な割合をみていきます。

その結果、特定の染色体の変化を、標準値と比較して陽性か陰性か判断します。

NIPTの検査結果とは

次にNIPTの検査結果の出方について詳しく解説します。

検査結果を理解し、検査に臨みましょう。

検査結果は、陽性・陰性・再検査(保留)の3つのうちいずれか1つで表されます。

陽性

陽性は胎児が何らかの染色体異常である可能性があることを示しています。

ただしNIPTでは可能性しか分からないので、確実な結果を知りたいなら確定診断の受診が必要です。

陰性

陰性の場合、胎児が染色体異常である可能性は限りなく低いことを示します。

誤って陰性が出ることも稀にありますが、その確率は0.01%と非常に低いので、陰性が出ればひとまず安心できるでしょう。

再検査

また1%弱の確率で判定保留のため再検査になる可能性があります。

再検査になった事例は、妊娠週数が早すぎて胎児のDNA断片が少ない場合や、服薬中だった時などです。

その場合、時間をおいてから再検査をします。

NIPTが陽性だったら?

陽性と診断されたら検査結果を信じていいのか、その後どうしたら良いか分からない方もいるでしょう。

そこで陽性と診断されて実際に何らかの染色体異常を持っている確率はどのくらいいるのか、陽性だった時どうしたら良いのかについて解説します。

陽性的中率は調べる染色体によって変化する

陽性的中率とは、陽性と診断された胎児が実際に産まれた時に何らかの染色体異常である確率のことです。陽性的中率は染色体によって異なります。

日本産婦人科学会のデータによると陽性的中率は21トミソリー(ダウン症)で97.2%、18トミソリー(エドワーズ症)は89.1%、13トミソリー(パトウ病)は54.9%です。

NIPTはダウン症に対して陽性的中率が特に高く、ほぼ正確な診断が可能です。

50人に1人は陽性と出ている

2020年3月までに実施された検査数のうち陽性と判定された確率は約1.8%でした。

検査を受けたうち50人に1人が陽性と判定されていることになります。

ただし、陽性だからといって診断が確定する訳ではありません。

その中には実は陰性だった偽陽性も混ざっています。

陽性的的中率は母体の年齢・妊娠週数が進むにつれて上がる

陽性的中率は妊婦さんの年齢が上がるごとに高くなります。陽性的中率を年齢別にみると、25歳なら79.32%、35歳なら93.58%です。

理由は、35歳以上の高齢妊娠は、卵子や精子の老化が始まり、染色体異常の胎児ができる確率が上がるためです。

また妊娠週数が進むほど、妊婦さんの血液中に含まれる胎児のDNA断片が増加するので陽性的中率が上がります。

羊水検査を受けましょう

NIPTはあくまでスクリーニング検査という位置付けです。

そのため陽性症例を誤って陰性にしてはいけないというルールがあり、染色体異常である可能性が高いと判断されれば、陽性と判定されます。

ただし、あくまで何らかの染色体異常がある可能性があるということしか分からないので、確実に知りたい方は羊水検査も受けましょう。

検査結果が偽陰性・偽陽性となる場合がある

陽性・陰性の結果が必ずしも正しいとは限りません。

稀に陰性と診断されたにも関わらず、実際に産まれた子が陽性だったり、その逆で陽性と診断されたが実際に産まれた子が陰性だったりすることがあります。

このように実際と反対の検査結果が出ることを「偽陰性」や「偽陽性」と呼びます。

偽陰性とは

検査結果が陰性であっても、実際に産まれた子が染色体異常であることが稀にあります。本来は陽性なのに陰性と出ている結果のことを偽陰性と呼びます。

偽陰性である確率は0.01%と10,000人に1人の確率なので、かなり稀なケースです。

原因は検査した週数が早すぎて、血液中の胎児の染色体の量が少なかったことが挙げられます。心配な方は受ける週数を遅らせるか、羊水検査などの確定診断を受けた方が良いでしょう。

偽陽性とは

検査結果が陽性であっても、産まれた子に染色体異常がないことがあります。本来、陰性であるのに陽性と出ている結果のことを偽陽性と呼びます。

日本産婦人科学会のデータによると、ダウン症の場合に偽陽性が出る確率は2.7%程度です。

また年齢が若い程、偽陽性である確率は高くなり、年齢が高い程低くなります。

特に若い方は、検査結果を鵜呑みにせず、羊水検査などの確定診断を受けた方が良いでしょう。

まとめ

NIPTの診断結果の見方についてお分かりいただけたでしょうか?

採血だけで検査が完結するNIPTは、流産のリスクが無いこともあって近年注目を集めています。妊娠9〜10週目から検査できるので、他の出生前診断と比較して早くから検査を受けられます。

ただし検査を受けて陽性が出た場合でも、偽陽性である可能性があるため、羊水検査や絨毛検査の確定検査を受けた方が良いでしょう。

NIPTの検査結果は出るまで2週間かかるため、確定検査も受けるならNIPTを早めに受診することをおすすめします。

また出た結果について思い悩む方は専門機関のカウンセリングを受けたり、家族と話し合ったりして、1人で悩まないようにしましょう。

参考文献

・日本産婦人科学会ーNIPT受検者のアンケート調査の結果について

・昭和大学医学部産婦人科学講座ーNIPT: noninvasive prenatal testing 無侵襲的出生前遺伝学的検査

・出生前検査認証制度等運営委員会ーNIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)