子宮外妊娠は繰り返す?妊娠は控えた方がいい?その後の自然妊娠に影響はある?
子宮外妊娠での流産が起こると、その後は自然妊娠できるのか不安になるかもしれません。子宮外妊娠を繰り返すのではないか、と妊活に消極的になるのも当然です。ここでは、子宮外妊娠後、自然妊娠にどのような影響があるのかご紹介します。
そもそも子宮外妊娠とは何かというのも解説してますので、合わせて参考にしてみてください。
この記事の内容
そもそも子宮外妊娠とは
すでにご存じのことも多いかもしれませんが、念のため子宮外妊娠のことをおさらいしておきましょう。
子宮外妊娠は異所性妊娠の一種
通常、受精卵が着床するのは正常な子宮内膜であり、これを正常妊娠と呼びます。しかし、まれに子宮内膜とは別の場所に受精卵が着床することもあり、これを異所性(いしょせい)妊娠と呼びます。
すべての妊娠のうち、異所性妊娠になる確率は約0.5%~1.5%ですが、もともと異所性妊娠のリスクが高い方とそうでない方とでは、確率も変わってくるでしょう。
子宮外妊娠は異所性妊娠の一種にあたり、その多くは卵管に着床する卵管妊娠です。
妊娠初期では判断が難しいケースもあるが早期発見が重要
子宮外妊娠の診断は、エコー検査で子宮内に胎嚢が見られるかどうかで判断されます。ただ、妊娠検査薬で早期に妊娠が分かった場合、タイミングによっては胎嚢がまだできておらず、はっきりしたことが分からないこともあることを覚えておきましょう。
この場合においても、医師からは「子宮外妊娠かもしれない」と伝えられることが多く、妊婦さんにとっては非常に不安がつきまとうものです。子宮外妊娠の発生率は約0.5%~1.5%ではあるものの、万が一のことを想定した場合、治療が遅れるとお母さんの命にも影響することから、用心のために伝えられるのです。
子宮外妊娠を予防するのは困難
子宮外妊娠のリスクを高める要因はさまざまあり、完全に予防することは困難だと考えられています。しかし、喫煙習慣やクラミジア感染症は、日頃から気を付け改善したり、治療したりできる要因です。
また、高齢妊娠や体外受精、過去の卵管形成手術や帝王切開なども子宮外妊娠のリスクを高めるとされており、これらの選択をせざるを得ない場合、完全に予防することは困難となっております。
子宮外妊娠をした後に繰り返す?
子宮外妊娠では、赤ちゃんが大きく十分に育つことができません。そのままにしておくと、お母さんの命に関わる重大な症状が起こる危険があるため、状態に応じた適切な治療が必要です。
このような経験をすると、次の妊娠について不安を感じる方も多いでしょう。子宮外妊娠を経験したことのある妊婦さんと、そうでない妊婦さんとでは、再発率などが変わってくるのかご紹介します。
子宮外妊娠の発生率と繰り返す割合
結論から言うと、子宮外妊娠をしたことがある方は、そうでない方に比べて再発率が高まります。一般的に、0.5%~1.5%の割合で起こるとされる子宮外妊娠ですが、再発率に関しては10%程度となると言われています。
子宮外妊娠の治療の内容と考えられるリスクの関係
子宮外妊娠の治療は、手術か薬物療法、待機療法があります。手術には、開腹手術と腹腔鏡手術とがあり、その多くは子宮の一部だけを切除し修復する方法がとられますが、具体的な治療の内容は状況により変わるでしょう。
薬物療法は、子宮の全摘出のリスクや身体的な負担が減らせる点がメリットです。しかし、効果が出ない可能性があることや、保険が適用にならない点を知っておく必要があるでしょう。
入院日数や費用は、治療の内容によって変わります。その点についても、よく説明を受けておくと安心です。
卵管を切除した場合の妊娠成功率
子宮外妊娠の大半は、卵管に着床する卵管妊娠であることが分かっています。したがって、手術では着床した受精卵ごと卵管を切除するのが確実ですが、卵管がなくなると、手術後に妊娠の可能性がどのくらい少なくなるのか心配になるでしょう。
卵管を片方切除しても、妊娠することは可能です。その確率は半分になるのでは、と思われるかもしれませんが、残っている卵管が問題なければ妊娠成功率が20%~30%低下する程度と言われています。
体外受精でも子宮外妊娠を繰り返しやすい?
体外受精という選択をした場合、子宮外妊娠の可能性が高まるのでしょうか。子宮外妊娠を繰り返している方にとって、これもまた重要な情報となるでしょう。
体外受精では子宮外妊娠の既往の有無で有意差はない
子宮外妊娠の経験者とそうでない方、妊娠の既往がある方を比較し、体外受精で子宮外妊娠の確率がどう変わるのかを調べた研究が行われています。その研究では、体外受精を行った2,892名の女性が対象となり、子宮外妊娠の既往がある方・出産や流産を含む子宮内妊娠の既往がある方・妊娠した経験のない方の3つのグループに分けて、体外受精による子宮外妊娠の発生率を比較しています。
この研究では、3つのグループで子宮外妊娠になる割合に差は見られず、その他の妊娠率や流産率、生産率についても大きな差がなかったということです。
子宮外妊娠のリスクは自然妊娠よりも体外受精の方が高い
自然妊娠と体外受精とを比べた場合、子宮外妊娠になる可能性は少し違ってきます。先程もご紹介したように、全妊娠における子宮外妊娠の可能性は約0.5%~1.5%ですが、体外受精の場合は2%~5%です。
子宮外妊娠の治療後、妊娠は控えるべき?
子宮外妊娠をしても、その後妊娠し出産する方はたくさんいます。ただ、次の妊娠までには身体の回復を待ち、万全となるまで様子を見る必要はあるため、確認しておきましょう。
子宮外妊娠の治療後は通常2か月~3か月で生理が再開する
生理が再開するまで、術後2か月~3か月はかかります。早い方はこれよりも短い期間で生理が再開しますが、個人差があるため一概には言えません。
もともと、生理が順調だった方と、不規則な生理が続いてきた方とでは、生理が回復する時期も違ってくるでしょう。次の妊娠を予定しているにも関わらず、4か月以上も生理が戻らない場合は、医師に相談されると良いでしょう。
子宮の回復速度は個人差がある
子宮の回復速度は、個人によるところも大きいです。次の妊娠を楽しみにしている方もいるでしょうが、用心に越したことはありません。赤ちゃんをいつから迎えられるのかは、医師と相談すると安心です。
最短でも生理が戻って3ヶ月は空けて計画する
生理が戻るということは、妊娠状態からもとの体に戻り、ホルモンの数値も安定してきたことを示します。しかし、次の妊娠の計画は、一般的には生理の再開後3か月以上、医師によっては半年以上空けるよう言われることも珍しくありません。
まとめ
子宮外妊娠をしたことがある人は、繰り返す可能性もあり、おおよそ10%程度と言われています。とはいえ、その後自然妊娠をして子どもを産む方も少なくないことから、諦める必要はありません。お母さんの身体を守るためにも、医師と相談しながらすすめていきましょう。
参考文献
・日本産科婦人科学会 – 異所性妊娠
・日本医科大女性診療科 – (3)子宮外妊娠(異所性妊娠)