妊娠初期の流産しやすい行動とは?流産しやすい時期や兆候もご紹介
皆さまの中には「妊娠初期の流産の可能性はどのくらい?」「妊娠初期の流産しやすい行動は?」といった疑問を持っている方もいるでしょう。そこで、今回は、このような心配事を持つ方のため、妊娠初期の流産の原因・確率などを解説します。
妊娠初期の流産しやすい行動もわかりやすくまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の内容
妊娠初期の流産
流産しやすい時期、妊娠初期の流産の確率などをご紹介いたします。
流産とは
流産は、妊娠してお腹にいる赤ちゃんが出産前に亡くなってしまうことです。妊娠22週以前に妊娠が終わるすべてを流産と呼ぶように定義づけされています。
流産と死産の違い
流産と死産は、胎児が死亡する時期が異なります。
定義付けは以下のとおりです。
流産:妊娠21週6日までに赤ちゃんが母体の外に出ること
死産:妊娠22週0日以降に、赤ちゃんが亡くなった状態で出産すること
流産しやすい時期
妊娠中の流産の確率は、以下のとおりです。
時期 | 流産の確率 |
妊娠初期 | 85.7% |
妊娠中期 | 10.6% |
妊娠後期 | 3.7% |
妊娠初期が最も流産しやすい時期であることが分かるでしょう。
妊娠初期の流産の確率
厚生労働省流產死產報告書によると、妊娠初期の流産の確率は85.7%にものぼり、8割以上が妊娠12週未満の妊娠初期で流産していることが分かります。
流産の種類
流産の種類と症状を解説いたします。
自然流産
自然流産とは、人工流産以外のすべての流産の総称です。
人工流産
人工流産とは、人工中絶手術を行うことです。
切迫流産
切迫流産とは、胎児が子宮内に残っており、流産一歩手前のことです。
他の流産は妊娠を継続できませんが、切迫流産の9割は回復して妊娠を続けられます。
進行流産
進行流産は、出血や腹痛の症状が見られ、子宮外に赤ちゃんや胎盤が出てきている状態のことです。完全流産と不完全流産を総じて進行流産といいます。
完全流産
完全流産は、赤ちゃんや胎盤のすべてが子宮外に出ている状態のことを指します。腹痛や出血などの症状も治っている場合がほとんどです。
不完全流産
不完全流産は、赤ちゃんや胎盤の一部が子宮内に残っている状態のことです。完全流産が腹痛や出血といった症状が治っているのに対し、不完全流産はまだそのような症状が見られます。
稽留流産(けいりゅうりゅうざん)
稽留流産は胎児が死亡しているものの、腹痛や出血といった一般的に見られる流産の症状がなく、気づかないことの多い流産です。
感染流産
感染流産とは、細菌感染をともなった流産のことです。母体死亡のリスクが高い流産だと言われています。
反復流産
反復流産は、流産を2度繰り返すことです。頻度は少なく、2~5%と言われています。
習慣流産
習慣流産は、流産を3度以上繰り返すことで、その頻度は極めて少なく、1%と言われています。
原因不明の場合が多いものの、夫婦に染色体異常や疾患、子宮の奇形など、何らかの原因がある可能性も考えられるため検査が必要です。
化学流産
化学流産は、妊娠検査薬では陽性反応が出たものの、妊娠のかなり早い段階で流産した場合で、病院での超音波検査では妊娠の確認ができないことを言います。
妊娠初期の流産しやすい行動
妊娠初期の流産しやすい行動を説明いたします。
重いものを持ち上げる
重いものを持ち上げると、お腹の張り・出血・早期流産のリスクを高めます。早期流産リスクは1日の持ち上げ回数、1日あたりの持ち上げた総重量にともない、増加したとの研究結果も出ているため、妊娠が発覚してからはなるべく重いものを持ち上げないようにしましょう。
おなかを圧迫する
おなかを圧迫すると、お腹の張り・流産を引き起こす危険性があります。妊娠初期だけに限らず、妊娠中は長時間同じ体勢でいることやお腹を締め付けるような服装はやめましょう。
過労・過度な運動
立ち仕事や過度な運動はお腹の赤ちゃんの負担になります。
また、転倒の恐れもあるため、妊娠初期に限らず、妊娠中は過労や過度な運動は避け、マタニティ用のエクササイズに切り替えましょう。
体を冷やす
体が冷えることで、感染症にかかりやすくなります。感染症にかかると、流産・早産を引き起こすリスクが高まるため、長時間クーラーがききすぎた部屋にいたり、寒いところにいるのはやめましょう。
コンドームを着用しない性行為
コンドームを着用しない性行為は、感染症にかかる可能性があります。妊娠中に感染症にかかると、先天性異常・流産を引き起こすこともあるため、性交渉の際はコンドームを装着して行いましょう。
喫煙
喫煙は胎児奇形・低体重・流産・新生児死亡の危険性を高めます。妊娠がわかったら、禁煙をしましょう。
また妊婦さん本人だけでなく、受動喫煙も流産を招く恐れがあります。妊婦さんの周りにも禁煙をしてもらいましょう。
アルコール摂取
アルコールは胎盤を通して赤ちゃんに届くため、低体重・奇形・脳障害・流産の危険性を高めます。妊娠が発覚した時点で禁酒しましょう。
偏った食生活
妊娠初期は胎児の体や内臓が形成され、骨格の基礎ができる時期です。そのため、偏った食生活をしていると、成分となる栄養素が不足する可能性があります。
妊娠初期に特に必要となる栄養素は、たんぱく質・カルシウム・ビタミン・ミネラルです。たんぱく質は体や内臓、カルシウムは骨格、ビタミンやミネラルは葉酸となります。これらを積極的に取り、食生活には気をつけましょう。
カフェインの大量摂取
カフェインの大量摂取は、低体重・流産の危険性が高まります。カフェインによる身体への影響は個人差が大きいため、明確な量は決まっていませんが、1日にコーヒーや紅茶は1〜2杯程度にとどめましょう。
妊娠初期の流産の原因
妊娠初期の流産の原因や兆候をご紹介いたします。
妊娠初期の流産の原因
妊娠初期の流産の原因は、以下の2つが考えられます。
・赤ちゃんの染色体異常
・子宮収縮
ほとんどの場合が赤ちゃんの染色体異常です。この場合、受精時から流産することが決まっており、母体の責任ではありません。
また、母体の動きすぎや長時間立ちっぱなしによるお腹への負担や感染症で子宮収縮し、流産が引き起こされるケースもあります。
妊娠初期の流産の兆候
妊娠初期の流産の多くは兆候がなく、病院で初めて流産したことを知る方が多いです。
ただし、中には以下のような兆候があるケースもあります。
・鮮血や暗赤色の少量の出血
・つわりが急に落ち着く
・下腹部の痛みや張り
しかし、お腹の張りやつわりが楽になることは、妊娠中でも起こりうる症状なので、判断が難しいと言われています。
妊娠初期に気をつけること
妊娠初期は胎盤が完成しておらず、身体的にも精神的にも不安定な時期です。妊娠初期には以下のことに気をつけましょう。
・ストレスを溜めない
・バランスの良い食事を摂る
・体を冷やさない
・適度な運動をする
・禁煙
・禁酒
・過剰なカフェイン摂取をしない
・重いものを持たない
・お腹を圧迫する姿勢をとらない
・コンドームなしでの性行為はしない
もし妊娠初期に流産したら
妊娠初期に流産してしまった場合の診断方法と治療法をご紹介いたします。
診断方法
エコー・内診・超音波検査・血液検査で行われます。
先ほどお話したように、妊娠初期の流産の多くは兆候がなく、エコーや内診で気付くケースが多いです。
治療方法
流産の種類によって治療の方法は異なります。治療法は、以下のとおりです。
・完全流産・化学流産:治療の必要なし
・稽留流産・不完全流産:体調が悪い場合を除き、自然に排出されるのを待つ。自然に出てこない場合は外科的処置、陣痛誘発剤を使用
・感染流産:胎児と胎盤を取り除き、抗菌剤の注射を打つ
・反復流産・習慣流産:不育症の専門家に受診して、それに応じた治療を行う
まとめ
流産しやすいと言われている妊娠1〜4ヶ月にあたる妊娠初期は、特に流産の可能性を高める行動には気をつけ、兆候があったらすぐに医療機関を受診しましょう。
流産の種類はさまざまで、母体の行動が原因となる場合もありますが、妊娠初期の流産の場合は赤ちゃん側に原因があることも多いです。
もし妊娠初期に流産してしまったとしても、自分を責める必要はありません。次の機会を楽しみに前向きに過ごしましょう。
参考文献
日本産科婦人科学会ー流産・切迫流産
塩尻市役所ー妊娠時の食事について