/ 妊娠にまつわる疑問/

妊娠中に立ちくらみはなぜ起こる?立ちくらみとめまいの違いは?原因と対処法を解説

妊娠中は動悸や貧血など体調の変化が起こりやすい時期と言われていますが、その中でも立ちくらみは妊娠中に起こりやすい症状の1つです。

立ちくらみが起こるとふらついてしまい、立ち上がって動くことや日常生活を送るうえでも支障を来すでしょう。

今回は、立ちくらみとめまいの違いから妊娠中の立ちくらみの原因、起こった時の対処法や予防方法をご紹介します。

立ちくらみに悩んでいる妊婦さんは、ぜひ参考にしてみてください。

「立ちくらみ」と「めまい」の違いとは?めまいの種類について

一見すると、立ちくらみとめまいは同じように捉える方もいるでしょう。

しかし、立ちくらみとめまいの症状はそれぞれ異なります。

こちらでは、症状の違いや種類について解説します。

立ちくらみとは?

立ちくらみとは、立ち上がった際に急にクラッとしたり、目の前が目の前が真っ暗になったりする症状です。

自覚症状もあり、血圧が低い方は立ちくらみが起こりやすいでしょう。

めまいとは?

めまいの症状には、回転性と浮遊性の2つの種類があります。

回転性とは自分の周りがぐるぐる回ったり、自分自身がぐるぐる回ったりするような感覚があります。

主な原因は耳の内耳の異常や脳梗塞、脳出血が原因です。

浮遊性は体がふわふわとした感覚があり、脳の病気が原因で起こります。

妊娠初期に起こる立ちくらみの原因とは?

妊娠中に起こる立ちくらみの原因は3つあります。

放置すると、日常生活を送ることが困難になり、胎児に影響が出る可能性もあるでしょう。

では、妊娠中に立ちくらみが起こる原因について解説します。

ホルモンバランスの変化によるもの

妊娠中に立ちくらみが起こる主な原因として、ホルモンバランスの変化が考えられます。

妊娠すると体内では卵子を成熟させて妊娠に適した体をつくる黄体ホルモンや、子宮内膜を育てて流産しにくくするプロゲステロン、着床した後はhCGホルモンが増加します。

体内のホルモンバランスが崩れることで、自律神経も乱れるため体調の変化が起こりやすく、立ちくらみもその1つです。

起立性低血圧

起立性低血圧とは、立ち上がった時だけ起こるものでほとんどの方は自覚症状があり、立ち上がった際に目の前がクラっとする症状が現れます。

日常生活でも起立性低血圧は起こりやすいのですが、妊娠中はホルモンバランスの乱れから特に起こりやすいです。

理由は、妊娠中は血液の量が増えたりホルモンの影響で欠陥が拡張したり、その影響で血圧にも変化があるからです。

血圧が高くなる「妊娠高血圧症候群」になる方や、反対に血圧が低くなる「起立性低血圧」が起こる方もいます。

貧血

妊娠すると妊婦さんは胎児に血液を送るため、鉄分が必要不可欠となります。

鉄分は血液を作る働きがあり、特に妊娠中は意識して食事から摂取しなければいけません。

しかし、妊娠前に貧血気味だった方は妊娠中さらに貧血症状は進みます。

そのまま放置すると、鉄欠乏性貧血になる可能性があり、発育不足や早産の原因になるでしょう。

鉄分を多く含む食品はレバーやほうれん草、海藻類なので積極的に摂取してください。

ただしビタミンAの過剰摂取は先天異常の原因になるため、注意をしましょう。

妊娠中期から後期に起こる立ちくらみの原因とは?

妊娠中期になると安定期に入り、つわりも無くなる方も多いため妊娠初期よりも日常生活を過ごしやすいでしょう。

とはいえ、妊娠中期でも引き続き体調の変化には気を付けなければいけません。

こちらでは、妊娠中期から起こる立ちくらみの原因について解説します。

貧血

妊娠中期は初期と比較し、胎児も急激に成長します。

それに伴い、胎児はお母さんから血液を介してさまざまな栄養を吸収します。

しかし胎児に栄養を吸収されるので、今まで貧血症状がなかった方でも貧血になりやすいです。

貧血になると酸素を運ぶ血液が作れなくなり、早産のリスクが上がります。

妊娠初期と同じく基本は食事から栄養を補いますが、中には胎児が胃を圧迫し食事の量が減っている方もいるでしょう。

その場合は、サプリメントや医師に相談すれば薬を処方してもらえます。

仰臥位低血圧症候群

仰臥位低血圧症候群とは、妊婦さんが仰向けになった状態で寝ることで胎児が下大静脈を圧迫し、それによって脳や心臓に送られる血液が少なくなります。

これにより、頻脈や悪心、めまいや顔面蒼白などの症状が現れます。

改善策として、めまいや立ちくらみを感じたら左を向いて楽な姿勢をとりましょう。

血流が戻ることで、症状を緩和できます。

貧血による立ちくらみを予防する食事

妊娠前は貧血とは無縁の女性でも、妊娠中は貧血になりやすいです。

妊娠中は胎児に栄養が優先的に運ばれるため、意識して鉄分を補う必要があります。

とくに妊娠中は日常生活の中で、鉄分を意識して食べるようにしましょう。

鉄分が多い食品とは?

妊娠中とくにおすすめの食べ物が3つあります。

  • 豚レバー50g(鉄分6.5mg)
  • 干しひじき10g(鉄分5.5㎎)
  • 高野豆腐30g(鉄分2.8㎎)

鉄分には非ヘム鉄とヘム鉄に分けられますが、このうち吸収しやすいのはヘム鉄です。

ただし、ヘム鉄を含む食品は癖のあるものがあるため、妊娠中は食べやすいものを選びましょう。

妊娠中に必要な鉄分の量とは?

妊娠中の女性の1日に必要な鉄分は妊娠初期で9mg、妊娠中期から後期は16mg摂取する必要があります。

ただし鉄分の過剰摂取は胃の不快感や便秘になる可能性があるので、注意をしましょう。

鉄分の吸収を阻害するものとは?

せっかく鉄分を積極的に摂取しても、その吸収を阻害するものを摂取しては効果を得ることが難しいでしょう。

鉄分の吸収を阻害するものはコーヒーやウーロン茶、紅茶に含まれるタンニンという成分や、玄米やおからに含まれる不溶性食物繊維です。

どうしても紅茶やコーヒーを飲みたい場合は、食事の1時間前に摂取することで影響を受けにくいと言われています。

妊娠中に立ちくらみが起こった時の対処法とは

立ちくらみが起こった際、無理に体を動かすのはお勧めできません。

体のバランスを崩し、転倒の危険性があるからです。

頭をぶつけただけではなく、流産や早産の危険性も高くなるでしょう。

こちらでは、立ちくらみが起こった際の対処方法について解説します。

安静にする

まずは楽な姿勢で横になりましょう。

おすすめはシムスのポーズです。

体の左側を下にして横になりますが、胃腸の負担を軽減したり腰痛予防になったりさまざまな効果があります。

U字の抱き枕があると、腰とお腹の両方を支えてくれます。

立ちくらみが起こったら、まずは無理をせず安静にしましょう。

食事内容を見直す

立ちくらみが改善されない方は、食事内容を見直してみましょう。

食事の中には吸収されにくい鉄分、非ヘム鉄があります。

この非ヘム鉄の吸収を助ける栄養素がビタミンCです。

野菜や果物はビタミンC含有量が高いので、鉄分の高い食事と一緒に食べるようにしましょう。

医師に相談する

安静にしたり食事改善をしたり、これらのことを行っても症状が改善されない場合は医師に相談しましょう。

立ちくらみは貧血だけではなく、ホルモンバランスの乱れからも起こりやすいです。

妊娠中、何度もこの立ちくらみで悩んでいる方は検診の際医師に相談しましょう。

ゆっくり立ち上がるようにする

一気に立ち上がると血圧が低下し、起立性低血圧が起こりやすくなります。

起立性低血圧を予防する方法として、ゆっくり立ち上がることで立ちくらみが起こりにくくなります。

妊娠中に立ちくらみを予防する薬は?

つわりや体調不良が続くと、食事から鉄分や水分を摂取することは難しいでしょう。

そのような場合は医師に薬を処方してもらったりサプリメントから栄養を補ったりできます。

鉄剤を処方してもらう

貧血や立ちくらみが酷く、日常生活に差し支えている方は医師に相談して薬を処方してもらいましょう。

市販の薬は自己判断で服用してしまうと、母体を通して胎児が薬の影響を受ける可能性があるためお勧めできません。

薬を服用する際は、医師に処方してもらった薬を飲むようにしましょう。

まとめ

食事からの栄養摂取が困難な場合、サプリメントで不足した栄養素を補うことができます。薬と違い、飲むタイミングは決まっていないため気になるときに服用できるところがメリットです。

ただし、薬と同じく妊娠中は自己判断で服用することはお勧めできません。

医師に相談し、許可が出たサプリメントを服用しましょう。

まとめ 妊娠中に立ちくらみで悩んだら迷わず病院へ

妊娠中は体が胎児を育てるため、ホルモンバランスが変化します。

その影響で、つわりはもちろん立ちくらみや貧血なども起こりやすくなるでしょう。

まずは無理をせず安静に過ごし、食事の栄養バランスを見直すことで立ちくらみや貧血を予防できるでしょう。

体調不良で悩んだら無理をせず、すぐにかかりつけの病院を受診するようにしてください。