妊活・妊娠中の理想的、適切な体重増加について
妊娠すると体には大きな変化が起こります。女性は妊娠すると、赤ちゃんを子宮の中で約10か月間育み、体重や見た目の変化が生まれます。その中で妊娠中の女性の体は産後に備え変化し、体重増加が起こります。
今回は、妊娠前からどのくらいの体重の変化があるのか、理想的・適切な体重増加はどの程度か、またそもそも妊娠を考えるようになったときからの体作りの大切さを詳しく解説していきたいと思います。
この記事の内容
妊活中の理想的なBMI値とは?
妊活をするにあたって、ご自身の体重を意識されている方は多くないかもしれません。でも実は、妊娠・出産に向けて、妊娠中から、ではなく、妊娠前からの体づくりが重要となります。
妊活中の理想的なBMI値
妊活中の理想的なBMIというのは、標準のBMI(適正範囲内)です。ただし、BMIだけではなく、基本的な生活習慣を整えることも必要となってきます。
体重と不妊の関係性
標準のBMIを大きく外れた場合、以下のような不妊の原因となる症状が現れることがあります。
生理不順
痩せすぎや太りすぎによって、女性ホルモンの分泌が乱れ、生理周期が乱れてしまうことがあります。生理周期が乱れると、排卵日の予測がしづらくなり、性交渉のタイミングが取りづらくなってしまうなど、妊活中にはデメリットが大きいです。
排卵障害
排卵障害とは、排卵させるまでの過程で異常がおきて、卵が育たない、または、育ってもうまく排卵できないことをいいます。太りすぎ、痩せすぎともに起こるため、適正体重となりホルモンの分泌を整えることが必要です。
妊活中に積極的に摂取すべき栄養素
妊娠を考えたときに摂ってほしい栄養素は、葉酸です。葉酸摂取は赤ちゃんの神経管閉鎖障害発症リスク低減に効果的といわれています。妊娠7週までの超初期から摂ることが望ましく、妊活中からの摂取が勧められています。
妊活中のダイエット方法
妊活中にダイエットする場合、BMIを適正範囲内を目標にしましょう。
まず、食事のバランスを整える、その上で基礎代謝に合ったカロリー量となるよう食事量を調整する、さらに運動をして筋肉を維持しながら痩せるという3点に気をつけていきます。妊活中は健康的に痩せるということが最も重要となるため、糖質制限などの食事のバランスが崩れるようなものは控えましょう。
妊活中の体重増加方法
逆に、痩せている方は体重を増加させていきます。痩せている人の中には、そもそも1回の食事量が少ない、たくさん食べられない、胃がもたれる、などの理由で痩せている方もいらっしゃいます。そういう方は、食事を1日5〜6回に分けて食べる、消化に良い栄養バランスの良いものを食べる、良質な脂質でカロリーを補うという3点に気をつけていきます。
消化機能が弱い方は、料理の具を細かくしたり、汁物に具をたくさん入れて摂るようにしたりするのが、栄養の吸収もしやすくおすすめです。
妊娠中の理想的な体重増加とは?
妊娠中の体重増加って赤ちゃんの3kgくらいじゃないの?と思うかもしれませんが、他にも様々な要素により体重増加が起こります。
妊娠中の体重増加の内訳
妊娠中の体重増加の内訳は以下の通りです。
- 胎児の重さ:約3kg
- 胎盤の重さ:約0.5kg
- 羊水の重さ:約0.5kg
- 妊娠により増大する子宮・乳房・血液などの重さ:約4kg
ここまでで「約8kg」の増加ですが、さらに妊娠によるホルモンバランスの変化で脂肪の増加や水分の蓄積が起こり、計10kg前後の増加となります。
なぜ正しい体重増加が必要?
太りすぎでリスクがあること
妊娠中の太りすぎは、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの妊娠中の合併症のリスク、遷延分娩で難産になるリスクなどを増大させます。妊娠中の合併症は妊婦本人だけでなく、胎児へも影響を及ぼします。
痩せすぎや体重が増えないことでリスクがあること
妊娠中の痩せすぎや妊娠中の体重増加がないことも、妊婦本人だけでなく、胎児への将来的な影響もあるといわれています。日本で小さく生まれる赤ちゃんの割合は、先進国の中でも高い割合にあります。生まれる約10人に1人が低出生体重児であり、その原因は妊娠中の体重増加不良にあるといわれています。そして、低出生体重児は4,000g以上で生まれた巨大児より将来、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病になるリスクが高いと言われています。
正しい体重増加の目安
望ましい体重増加量は、避妊時の体重によって異なります。一体どの程度のものなのでしょうか?
BMIの計算方法
まず、避妊時のBMIを計算にて算出していきます。
BMIとはBody Mass Indexの略で、身長と体重から肥満や痩せなどの測定に用いられる指標です。以下のような式で算出することができます。
・BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例えば、身長160㎝、体重55kgの人のBMIは
・55(kg)÷1.6(m)÷1.6(m)=21.5
のように計算することができます。
体重増加量の目安
次に、体重増加量の目安についてお伝えします。
妊娠中の体重増加量の目安は、先ほど計算した避妊時のBMIから判断します。
避妊時のBMIが「痩せ」にあたるBMI18.5の場合であれば、妊娠期間中を通しての増加量の目安は12〜15kgとなります。
具体的に週にどのくらいの目安で増える想定か
全期間を通して、1週間に増えても良い体重の目安は500g以下と言われています。
実際、避妊時のBMIから、全期間でトータルの体重増加量がどの程度必要か把握しましょう。そこから1ヶ月何kg程度の増加があり、どの程度の制限や負荷をかけていいか知ることができ、体重管理もしやすくなります。
もしも現時点で、体重増加量がオーバーしている場合、現在の体重から急激に増えることがないよう、横ばいの体重変化で過ごせるようにしましょう。ただし、胎児の発育も共に緩やかになってはいけませんので、妊婦健診でしっかりと胎児の成長を見ていきましょう。
理想的な体重管理をする方法
では、理想的な体重管理とはどのようなものでしょうか。
以下、5つはぜひ取り入れてほしい方法ですので、ぜひ一緒にチェックしてください。
体重測定をする
毎日、体重を測り可視化することで、食事と体重の関係に意識が向きます。体重が増えたときには原因を探したり、食事内容や量について考えたりするなど、自然と行動が変わっていきます。
1ヶ月、1週間単位での体重増加量
具体的に「どのくらいの期間でどのくらいの体重増加があっても良いのか」を知っておくのも、体重管理には重要です。妊娠前のBMIが「痩せ」や「標準」な体型であった場合(BMI25未満の方)は、1ヶ月に1kg、1週間で300〜500g程度の増加が望ましいと言われています。個人によっても異なるため、妊娠全期間を通して必要な体重増加量を、1ヶ月、1週間単位に逆算してみると管理しやすいです。
1日3回の食事、間食について
妊娠中は妊婦自身の健康維持に加え、胎児の発育に必要な栄養を取るため、必須となるエネルギー量や栄養素が増えます。これらを1日2食の食事で補うのは難しく、3食の食事をしっかり食べることが重要になります。
また、妊娠中の血糖値は避妊時と比べ上がりやすい状態にあります。1日3回の規則正しい食事は血糖値の安定にもつながります。
食事内容、量
食事内容は、主食、主菜、副菜をバランスよく組み合わせることが大切です。現代は、麺やパンなど手軽に簡単に食べられるものも多いですが、そういった食事は糖質や脂質が多くバランスが偏ってしまいます。主食を白米や雑穀米とし和食を中心な献立にすると、バランスの良い食事となりやすいです。
間食はやめられるのであれば、やめるのがベストですが、「どうしても止められない。」という方は、ナッツやドライフルーツなどをうまく利用されると良いかもしれません。
また、食べる量が多い方は、満腹中枢がしっかりと働くよう、「よく噛む」「一口ずつ箸をおきながら食べるようにする」「ながら食べをしない」の工夫でも、食べ過ぎを抑えることができます。
運動習慣
運動習慣をつけることは、体重管理だけでなく出産や産後に向けた体力向上にも役立ちます。安定期と言われる妊娠中期以降からは、体調に合わせてしっかりと運動を行っていくことがおすすめです。医師の指示のもと、ウォーキングや階段昇降などの普段の生活でできる動きから変えていかれると取り入れやすいです。
まとめ
妊娠中の適切な体重増加は、妊娠している女性にとっても、生まれてくる赤ちゃんにとっても、いかに重要であるか理解していただけたかと思います。妊娠前の体重から、妊娠中の適切な体重増加量を知り、妊婦本人と赤ちゃんの健康について、意識して過ごしましょう。体重が急激に増加したり、増加が見られず赤ちゃんの発育を妨げることなく、健康な妊婦生活を送ってくださいね。