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逆子のリスクとは?逆子の原因や治し方を知り穏やかな妊婦ライフを!

妊婦検診で逆子を指摘され、赤ちゃんは大丈夫なのか、自分の過ごし方が悪かったのかと不安に思う妊婦さんもいらっしゃるでしょう。

この記事では逆子のリスクや原因、治し方をご紹介します。

逆子になっても、自分を責める必要はありません。

この記事で紹介する正しい知識と対処法を理解して、逆子を恐れすぎない穏やかな妊婦ライフを送りましょう。

逆子とは?

逆子は赤ちゃんが頭を上に向けている状態で、医学用語では「骨盤位」といいます。

この章では、逆子のリスクと胎動について説明します。

逆子の基本的な知識を、しっかり理解しましょう。

逆子にはどのようなリスクがある?

逆子が、胎児の成長や発達に悪影響を及ぼすことはありません。

しかし、逆子の出産は難産になる可能性が高いため、注意が必要です。

【逆子で起こりやすい4つのリスク】

  • 臨月前に破水して早産になりやすい
  • 陣痛が弱くて出産が長引きやすい
  • 出産時にへその緒が先に出ると胎児に負担がかかる
  • 出産時に胎児が怪我をする(骨折や神経損傷など)おそれがある

胎児の姿勢によっては、逆子でも経腟分娩できるケースもあります。

逆子の胎動に特徴はあるの?

逆子の胎動について、以下のような体験談を耳にするかもしれません。

  • 胎動が激しい
  • 足が下にあって膀胱を蹴られるので尿意を感じやすい
  • お腹の下の方で胎動を感じる

実際のところ、胎動の感じ方には個人差があり、これらの体験談は胎児の姿勢や妊婦さんの体型なども関係しています。

胎動の位置や強さで逆子を判断するのは難しく、明確な関連性はありません。

逆子は大きく分けて4種類

逆子は、赤ちゃんの向きにより以下の4つに分けられます。

  • 殿位(でんい)
  • 足位(そくい)
  • 膝位(しつい)
  • 横位(おうい)

4つの向きはそれぞれ分娩時のリスクが異なります。

1つずつみていきましょう。

1.お尻が下にある「殿位」

胎児がお尻を子宮口に向ける姿勢を「殿位」といい、以下の2つに分けられます。

単殿位(たんでんい)足をV字にあげている逆子の8割を占める経腟分娩も可能初産ではほぼ帝王切開を選択
複殿位(ふくでんい)あぐらや体育座りをしている足やお尻の幅が頭の幅より広いためスムーズな出産が難しい経腟分娩も可能緊急帝王切開に切り替わるケースもある

殿位は比較的リスクの低い逆子ですが、母子のリスクを避けるため、ほとんどのケースで帝王切開が選択されます。

2.足を下にのばしている「足位」

胎児が足を子宮口に向ける姿勢を「足位」といい、以下の2つに分けられます。

  • 全足位:両足で立っている
  • 不全足位:片足で立っている

足位では先に細い足が出て、最後に出る頭が産道を通らないため、胎児のリスクが高くなります。

胎児が苦しくならないように、帝王切開となるのが一般的です。

3.膝立ちをしている「膝位」

胎児が子宮内で膝立ちをする姿勢を「膝位」といい、以下の2つに分けられます。

  • 全膝位:両膝をついている
  • 不全膝位:片膝をつき、片足は上げている

膝位のリスクは足を下にのばしている足位よりはやや低いのですが、安全性を重視して帝王切開となるのが一般的です。

4.横向きの「横位」

胎児が子宮内で横向きになる姿勢を「横位」といいます。

横位での出産は肩または手が先に出るため、最後に出る頭が産道を通らず高リスクです。

妊娠中に頭が下か上を向く胎児がほとんどのため、横位のまま出産を迎えるケースは全体の0.2%~0.3%ほどです。

なぜ逆子になるの?

逆子のリスクをあげる原因はいくつかありますが、原因が明らかなケースは全体のごく一部です。

遺伝による影響や年齢、寝るときの姿勢のような生活習慣との関連性はなく、決して妊婦さんの過ごし方のせいではないので、ご安心ください。

この章では、逆子のリスクをあげる原因を母体側と胎児側に分けて説明します。

1.母体側の原因

ほとんどの逆子の原因は不明ですが、母体側に以下のようなリスクがあるケースもあります。

  • 骨盤の幅が狭い
  • 子宮筋腫がある
  • 前置胎盤・低置胎盤である
  • 前回の出産が帝王切開だった
  • 羊水の量が多いまたは少ない

東洋医学では「冷え」が逆子に関係するといわれます。

しかし、冷えは子宮収縮にはつながりやすいものの、逆子になる根拠はありません。

過度に心配してストレスをためないのが大切です。

2.胎児側の原因

次は、胎児側に逆子のリスクがある例を4つ紹介します。

  • 胎児に形態異常(無脳症・水頭症など)がある
  • へその緒が短いまたは絡まっており位置を変えにくい
  • 双子・三つ子などで動けるスペースが狭い
  • 胎児の発育が遅く非常に小さい

主治医は妊婦検診で胎児の形態異常やへその緒の状態などを入念にチェックし、状況に応じた対処法や分娩方法を決定するので、ご安心ください。

逆子の分娩方法は2種類

赤ちゃんが逆子といわれて、分娩方法に不安をいだく方もいらっしゃるでしょう。

赤ちゃんと妊婦さんの状態や妊娠経過により、逆子の分娩方法は帝王切開と経腟分娩の2種類から選択されます。

元気な赤ちゃんを産む方法を、1つずつみていきましょう。

1.一般的には「帝王切開」

分娩時のリスクを避けるため、逆子の分娩方法はほとんどのケースであらかじめ手術日を決める「予定帝王切開」です。

麻酔の使用によるリスク、母体に傷が残るなどのデメリットはありますが、分娩時のトラブルが少なく、胎児の安全性が高いメリットがあります。

陣痛が起きる前に出産できるよう、妊娠経過や胎児の成熟具合に応じて37週~39週頃に予定帝王切開を行います。

2.条件によっては「経腟分娩」

以下の条件を満たす場合は、経腟分娩ができるケースもあります。

  • 産道が充分に広い
  • 胎児の状態がよい
  • 妊娠経過がよく合併症がない
  • 逆子の経腟分娩に対応できる設備・スタッフが揃っている
  • 本人や家族の分娩リスクへの理解と緊急帝王切開への同意がある

実際は胎児のリスクを減らすため、ほとんどのケースで帝王切開となります。

逆子の治し方は4種類

この章では、逆子を治す4つの方法を紹介します。

4つの方法はそれぞれ特徴があり、妊娠経過や赤ちゃん、妊婦さんの状況に応じた対応が取られます。

順番にみていきましょう。

1.自然に治る

胎児が元気に動く中で、自然に逆子が治るケースもよくあります。

妊娠週数と逆子の割合をまとめた、下の表をご覧ください。

およその妊娠週数28週30週36週
逆子の割合約30%約15%約7%

このように、28週頃には3割ほどいた逆子も、36週では大半が治っています。

30週以降は主治医が胎児の向きに注意して診察するため、逆子に関する不安や不明な点もどんどん質問しましょう。

2.昔から行われてきた「逆子体操」

妊娠30週頃になると、医師から「逆子体操」をすすめられるケースがあります。

「体操」といいますが、胎児が自分で回転するのを助けるためのストレッチの一種です。

逆子体操の体位を3つ紹介します。

  • 胸膝位(きょうしつい)
  • ブリッジ法
  • 側臥位(そくがい)

逆子体操は昔から行われてきた逆子治療法です。

しかし、医学的な有効性は証明されていないため、妊婦さんにすすめるかは医師によって考えが異なります。

自宅で簡単にできる逆子体操ですが、お腹が張ることがあるため、必ず主治医の指示に従ってください。

3.医師の連携により治療実績のある「鍼灸」

鍼灸は、保険診療外ですが、鍼灸院での逆子治療も選択肢の1つです。

産科医と連携した鍼灸師の施術により、逆子の治療率が高まった旨の論文も発表されています。

足にある有名な逆子治療のツボである「三陰交」や「至陰」に対する施術が代表的で、妊娠週数が早いと効果が高いといわれています。

鍼灸による逆子の治療は医学的治療とは異なるため、主治医に相談したうえで行うとよいでしょう。

4.お腹の外から赤ちゃんを動かす「外回転術」

外回転術はお腹の上から胎児を触って回転させる、重篤なリスクの発生確率も低い方法です。

実施時期36週~37週以降
メリット医学的根拠が高い(アメリカやイギリスのガイドラインで推奨)
必要な条件胎児が成熟している妊婦に帝王切開既往がない緊急帝王切開の同意がある

外回転術を受けられる医療機関は限られるため、施術を希望するなら主治医に相談しましょう。

まとめ

逆子は妊娠中の過ごし方のせいではなく、赤ちゃんの発達が遅れることもありません。

「何かが悪かったのかも」と自分を責めるのはやめましょう。

自然に逆子が治るケースも多く、もし逆子が治らなくても、医師や助産師が安全な出産を全力でサポートします。

逆子の正しい知識と対処法を理解し、穏やかで楽しい妊婦ライフを送ってください。

参考文献

・日本産科婦人科学会-産婦人科診療ガイドライン産科編2020

・臨床婦人科産科-横位の病因と頻度(対応策も含む)

・日本東洋医学系物理療法学会-骨盤位矯正を目的に実践された病鍼連携の成果