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不妊治療で妊娠する確率は?流産率と流産後のケアも併せて解説!

不妊治療で妊娠・流産をする確率は、年齢によって大きく異なります。しかし、年齢ごとの確率は、どのくらいの差があるのかご存知ない方も多いのではないでしょうか?

本記事では、年齢ごとの妊娠確率や流産の原因、ケア方法などをご紹介します。また、覚えておきたい不妊治療の種類についても解説しているため、不妊治療を検討している方はぜひ最後までご覧ください。

不妊治療で妊娠する確率

妊娠確率は年齢ごとに変化し、若ければ若いほど妊娠しやすい傾向があります。不妊治療においても、年齢が妊娠確率に大きくかかわっているといわれています。

不妊治療による妊娠確率を年齢別で確認しましょう。

年齢妊娠確率
25歳から29歳19.9%~20.9%
30歳から39歳10.2%~19.9%
40歳から45歳0.6%~7.7%

20代の妊娠確率はほぼ横ばいですが、30代以降になると年齢とともに妊娠確率が低くなっていることが分かります。また、妊娠できたとしても、ダウン症の子どもが生まれる確率が上がるため注意が必要です。

40代を迎えると、妊娠確率がグッと下がります。44歳では38人に1人の割合でダウン症の子どもを出産するとのデータもあり、新型出生前診断(NIPT)を検討する方が多いです。

不妊治療で流産になる確率

流産とは、妊娠22週未満で妊娠が終了することをいいます。妊娠12週未満の流産を「早期流産」、妊娠12週以降22週未満の流産を「後期流産」と呼びます。流産は不妊治療を行っているかどうかにかかわらず、約8%〜15%の確率で起こるといわれており、防ぎようがないケースが多いです。

続いて、年齢別の流産確率を確認しましょう。

年齢妊娠確率
25歳から29歳13.1%~18.3%
30歳から39歳16.3%~30.4%
40歳から45歳35.1%~64.6%

年齢とともに妊娠確率は下がり、流産確率が上がっていきます。そのため、不妊かもしれないと気になり始めたら、できるだけ早めに産婦人科で調べて治療を開始しましょう。年齢が若いほど不妊治療の効果が現れ、流産の確率を抑えられます。

流産が起こる原因

初期に起こる流産のほとんどは、胎児の染色体異常が原因とされています。染色体異常の場合は胎児側の問題であるため、母体の健康状態や生活環境は関係ありません。一方で、母体が強いストレスを感じたり、腹部に衝撃を与えたりしてしまうと、流産に至る可能性もあるでしょう。

後期流産の場合は、子宮頸管無力症や子宮内感染などの子宮異常や生活環境によって起こるケースが増えます。「薬の服用をしたり、酒・タバコを嗜んでいたりすると流産する」と見聞きした妊婦も多いかもしれません。

しかし、薬や酒、タバコが必ずしも流産を引き起こすわけではありません。とはいえ、これらの要因で胎児に異常がみられたり流産の原因につながったりする可能性はあるため避けた方がよいでしょう。

流産が起こりやすい時期

流産が起こりやすい時期は妊娠初期です。流産全体の約70%以上が、超音波検査で胎児心拍を確認する前であるとされています。妊娠初期は妊娠6週〜7週未満を指し、原因は胎児の染色体異常であるケースがほとんどです。

胎児の心拍確認後に流産となるのは約5%、妊娠12週以降22週未満の後期流産は、妊娠全体の約1.5%といわれています。つまり、妊娠12週頃になると流産の可能性が低くなり、安心して妊婦生活を送れるようになるのです。ただし、妊娠年齢が上がると流産の確率も上がるため、妊婦の年齢も加味して流産に注意しましょう。

流産後のケアについて

流産と診断されたとき、妊婦の多くは気持ちが落ち込んだり、事実が受け入れられずインターネットでの検索に依存したりします。しかし、流産したからといって胎児や子宮内容物が自然に排出されるわけではなく、手術によって取り除かなくてはいけないケースも多いです。子宮内に残存物がある状態を稽留流産や不全流産といいます。

子宮内容物を取り除く流産手術は、医療機関で診断を受けて計画的に行われます。手術後は体調を崩す可能性もあるため、2日〜3日は自宅で安静に過ごすことが大切です。しばらく出血が続くため、収まるまでは動き過ぎないようにしましょう。

子宮内の状態や生理周期が元に戻り、医師の許可が得られたら次の妊娠を考えても問題ありません。ただ、流産のショックから長期的に気分が落ち込み、妊娠について考えられない方もいます。無理をせず、自然と前を向けるまで待つ時間を大切にしましょう。

不妊治療って何するの?4つの治療方法を解説

不妊治療とは、自然妊娠の兆候がない方に行われる治療を指します。病院を受診し、不妊検査をして不妊の原因を確認しましょう。そのあと、原因に応じた不妊治療を行うのが一般的です。

不妊治療には主に4つの方法があります。

  • 人工授精
  • 体外受精
  • 顕微鏡授精
  • タイミング法

それぞれの治療方法では、どのようにして妊娠を目指すのか確認しましょう。

1.人工授精【身体への負担が少なく費用が安い】

人工授精は文字どおり、人工的に受精させる方法です。男性から採取した精液を子宮内に注入する方法で、不妊治療のなかでもスタンダードな方法といえるでしょう。

女性側にも男性側にも明らかな不妊要因がなく、年齢が若い場合には体外受精より先に提案されるケースが多いです。また、人工授精は子宮内膜症性不妊症や軽度男性不妊症などに有効とされています。費用が安く済み、なおかつ体への負担が少ないのが魅力です。

2.体外受精【高い確率で妊娠が期待できる】

体外受精は人工授精よりも妊娠確率が高いため、人工授精がうまくいかない場合に勧められるケースが多いです。この方法では、卵巣から卵子を採取し、その卵子と精子を体外で受精させ受精卵をつくります。受精卵を胚移植させ、受精しやすい状態にして子宮に戻す方法です。

受精卵をつくり、育ててから、妊娠しやすい時期に子宮に戻すため、全工程が人工的になっています。高額な費用がかかりますが、より妊娠確率を高めるためには検討すべき治療方法だといえるでしょう。

3.顕微授精【精子と卵子が1つあれば受精できる】

顕微授精とは、顕微鏡で精子と卵子を確認しながら受精させる方法を指します。1つの精子を卵子に直接注入して受精させるのが基本です。

体外受精と大きく異なる点は、必要な精子の数です。体外受精では多数の精子が必要であり、男性側に不妊要因がある場合は難しいとされています。一方、顕微授精では必要な精子はたった1つです。精子が少ない乏精子症や無精子症などでも受精可能であるため、ほかの不妊治療すべてで失敗してしまった場合に医師から勧められます。

ただし、顕微授精の適応条件は「男性不妊や受精障害など、顕微授精以外の治療によって妊娠する可能性がないか、極めて低いと判断される夫婦」となっています。この条件を満たしていない場合は、チャレンジできないため注意が必要です。

4.タイミング法【医師の指導によるタイミングで性交渉を行う】

タイミング法では、妊娠しやすい日を狙って性交渉を行います。無計画に妊活を行う場合よりも妊娠確率を上げられるでしょう。ご自身でタイミングを計ることもできますが、より効果的なのは医師にタイミングを見極めてもらう方法です。

対象となるのは自然妊娠が可能な夫婦です。女性側にも男性側にも不妊要因がないと確認できてからタイミングを指導されます。医師は超音波検査や血液検査によって、排卵日を正確に予測してくれるため、排卵検査薬や基礎体温計を使ってタイミング法を行い、失敗した方におすすめです。

まとめ

妊娠中はどの時期でも流産の可能性があります。しかし、流産確率が高い時期を把握することで流産を防げるケースもあるでしょう。本記事でご紹介した流産しやすい時期や年齢を参考にし、できる限り気をつけてお過ごしください。

また、不妊治療による流産確率は自然妊娠と変わりません。不妊治療中の方や、これから不妊治療を始める方は、流産に敏感になり過ぎずリラックスして挑みましょう。

参考文献

・一般社団法人 日本生殖医学会-Q8.不妊症の治療にはどんな方法があり、どのように行うのですか?

・公益社団法人 日本産科婦人科学会-不妊症

・NPO法人SIDS家族の会-流産について