/ 妊娠にまつわる疑問/

何歳から高齢出産?年齢別の自然妊娠の確率やリスクをご紹介

「高齢出産って何歳から?」「年齢ごとにどんなリスクがあるの?」このような心配事を持つ方のため、本記事では高齢出産の年齢・割合・年齢別自然妊娠率などを解説します。

妊娠・出産は、人生におけるビッグイベントです。何歳で妊娠・出産するかは、今後の人生に大きく影響を及ぼします。

年齢別の出産リスクや高齢出産のメリットもわかりやすくまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

高齢出産とは

高齢出産の割合、妊娠適齢年齢や何歳まで妊娠できるのか解説いたします。

高齢出産とは

高齢出産という言葉はよく耳にするものの、実は明確な定義はありません。ただし、一般的には35歳以上で初めて出産することを指します。

30代後半に突入する35歳以上は女性ホルモンの分泌が減り、自然妊娠の確率が低くなるほか、妊娠・出産における合併症が起きやすくなります。その注意喚起を促すために、35歳から高齢出産と言われるようになりました。

高齢出産の割合

令和3年の厚生労働省における母親の年齢別にみた人口動態統計によると、初産以外の方も含みますが、35歳以上で出産している方の割合は30%でした。つまり3人に1人は高齢出産をしているということになります。

過去に遡ると、2005年には10.8%、2016年には21.0%でした。このことから、年々高齢出産の方が増えていることが分かります。

妊娠適齢年齢

妊娠には適齢期があり、20〜35歳が妊娠に適していると言われています。寿命は年々伸びていますが、妊娠可能な年齢はほとんど変わっていません。妊娠適齢年齢はどれだけ医療が発達しても、40歳までだと予想されています。

何歳まで妊娠できる

女性は閉経とともに生殖能力を失うため、妊娠・出産にはタイムリミットがあります。ただし、妊娠できる明確な年齢は決まっていません。

なぜなら、閉経するタイミングには個人差があるからです。また生理がきていれば、必ずしも妊娠できるというわけではありません。生理がきていても、生理が始まったばかりの思春期や更年期が始まる40代後半には無排卵性の周期の可能性があります。排卵しなければ、妊娠できないため、生理があっても無排卵性の周期である場合は妊娠しません。

年齢別の自然妊娠の確率

年齢別の自然妊娠の確率は、以下のとおりです。

年齢自然妊娠の確率
25歳25〜30%
30歳25〜30%
35歳18%
40歳5%
45歳1%

妊娠・出産における年齢別のリスク

年齢が上がるにつれ、自然流産率、妊娠高血圧症候群発症率、染色体異常を持つ確率、ダウン症である確率が上昇します。

では、それらが起こる確率を年齢別にご紹介いたします。

35歳

35歳での妊娠・出産における自然流産率、妊娠高血圧症候群発症率、染色体異常を持つ確率、ダウン症である確率は、以下のとおりです。

自然流産率(35〜39歳)20.7%
妊娠高血圧症候群約4%
染色体異常を持つ確率5.2%
ダウン症である確率2.6%

35歳で出産した場合、192人に1人の割合で染色体異常、385人に1人の割合でダウン症の赤ちゃんが生まれています。

39歳

39歳での妊娠・出産における自然流産率、妊娠高血圧症候群発症率、染色体異常を持つ確率、ダウン症である確率は、以下のとおりです。

自然流産率(35〜39歳)20.7%
妊娠高血圧症候群約5.5%
染色体異常を持つ確率12.0%
ダウン症である確率7.3%

39歳での出産した場合、83人に1人の割合で染色体異常、137人に1人の割合でダウン症の赤ちゃんが生まれています。

35歳と39歳では4歳しか変わりませんが、4年間の間で妊娠高血圧症候群発症率は約1.4倍、染色体異常の確率は約2.3倍、ダウン症の確率は約2.8倍も急増しており、妊娠・出産に年齢がどれだけ影響を及ぼすかが分かるでしょう。

40代以上

40代以上での妊娠・出産における自然流産率、妊娠高血圧症候群発症率、染色体異常を持つ確率、ダウン症である確率は、以下のとおりです。

自然流産率(40代以上)41.3%
妊娠高血圧症候群約6〜15%
染色体異常を持つ確率15.2〜125%
ダウン症である確率9.4〜90.9%

35歳に比べ、40代以上での妊娠は自然流産率が約2倍にも跳ね上がります。

他のリスクにおいても35歳とはかなりの差があることが見て取れるでしょう。

高齢出産で気をつけること

高齢出産で気をつけることをご紹介いたします。

バランスの良い食事

妊娠中は食事の量よりも質が大事です。いろんな食材を使ったバランスの良い食事を心がけましょう。

適度な運動

適度な運動をすることで、高齢出産を乗り切りましょう。

ただし、激しい運動は禁物です。一駅分歩いたり、エレベーターではなく階段を使うなど、日常で無理なく続けられる範囲での運動が良いでしょう。

ストレスフリーな生活

高齢出産にはリスクが伴うため、不安に駆られることもあるでしょう。しかし、ストレスを溜めることは心身ともに良くありません。

不安な気持ちを家族や友人に聞いてもらい、ストレスを溜めないように過ごしましょう。

体重管理

年齢が上がるにつれ、代謝が落ちて消費エネルギーが少なくなります。そのため、若い頃に比べて体重管理は難しくなるでしょう。

妊娠中の体重管理は大切で、体重によって妊娠・出産におけるリスクが異なります。体重によるリスクは以下のとおりです。

妊娠前からBMIが25以上である場合

母体の影響:妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、羊水量の異常、肩甲難産、流産の可能性が高まる

赤ちゃんへの影響:神経管欠損症、心奇形、臍帯ヘルニア、形態異常、巨大児、心臓の肥大、低血糖、多血症、電解質異常、黄疸、胎児死亡の可能性が高まる

妊娠前からBMIが18.5以下である場合

母体への影響:早産の可能性が高まる

赤ちゃんへの影響:神経管閉鎖障害、子宮内胎児発育不全のリスクが高まる

高齢出産のメリット

高齢出産のメリットをご紹介いたします。

経済面の余裕

経済面の余裕が高齢出産のメリットとしてあげられます。

日本では年功序列を採用している企業が多く、一概には言えませんが、年齢が高ければ高いほど年収も高くなる傾向にあります。

そのため、若い年齢での出産に比べて体力面は劣るものの、経済的に余裕を持って子育てできるのがメリットです。また貯蓄があれば、シッターや託児施設を利用するなど、体力面を経済力で補えます。

精神面のゆとり

精神面のゆとりが高齢出産のメリットとしてあげられます。

経済面で余裕がある分、精神的なゆとりにもつながるからです。またいろんな経験をし、多くの人と出会っている分、若い頃よりも考え方が柔軟になります。

もし妊娠・出産・育児で迷うことがあっても、経験者が周りに多く、相談できることも精神面のゆとりにつながるでしょう。

キャリアがある

キャリアがあることが高齢出産のメリットとしてあげられます。

高齢出産の方には、仕事を長く続けてきた方が多いでしょう。近年の日本では、出産と共に退職、または育休を取得し、数年後に社会に復帰する傾向にあります。その場合、若い頃にキャリアを積んでいる高齢出産の方は、出産後の復職や新たな職場探しに有利と言えるでしょう。

高齢出産の事前準備・リスクを減らすには

高齢出産の事前準備・リスクを減らすには、日頃から以下のことに気を付けて生活することです。

・バランスの良い食事

・規則正しい生活習慣

・適度な運動

・ストレスフリーな環境での生活

まとめ

高齢出産は35歳以上での出産のことです。高齢出産は難産・早産・流産・病気・染色体異常などのさまざまなリスクが高まる一方で、経済的な余裕や精神面におけるゆとり、仕事でキャリアを積んだ後に出産できるというメリットもあります。

高齢出産のデメリットやメリットを踏まえ、人生設計を考えると良いでしょう。

参考文献

・厚生労働省ー結果の概要

・omron – 妊娠・出産Q&A