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妊娠超初期の症状にはどんなものがある?いつまで続くのか

生理が遅れると、「もしかして妊娠?」と考える方もいるでしょう。妊娠のごく初期には、生理が遅れる以外にも、体調の変化がみられる場合があります。個人差はありますが、風邪のような微熱や倦怠感の症状が出る方が多いようです。

妊娠超初期は、体がデリケートになっている時期です。今回の記事では、妊娠超初期によくある症状や風邪との違いなど、「こんなときどうしたら」というポイントを解説します。

生理の遅れや、風邪ではなさそうなのに微熱や倦怠感があるなど、気になる症状がある方は、ぜひ参考にしてください。

妊娠超初期症状とは|よくある症状例3つ

生理が予定通りに来ないことで、妊娠に気づく方がほとんどでしょう。生理が1週間〜10日ほど遅れ、「もしかしたら妊娠しているかも」と気づくのが妊娠5週〜6週あたりです。

妊娠週数は、実際に妊娠が成立する前から数え始め、最後に生理が来た日を0週0日とします。排卵日を妊娠2週目として数え、受精卵が子宮に着床して妊娠が成立する頃が妊娠3週目です。「妊娠超初期症状」とは、この妊娠2週目から3週目にかけて起こる症状を指します。

今回は、妊娠超初期に起こりやすい症状のうち、代表的な3つをご紹介します。

少量の出血

受精卵が子宮に着床したときに起こる出血を、「着床出血」といいます。妊娠したら必ず起こる症状ではなく、着床出血があるのは4人に1人といわれています。1日〜4日程度、おりものに血が混ざるなどの少量の出血があったら、着床出血かもしれません。

「生理が来た」と思っても、いつもよりも出血量が少なく、また短期間で終わったときには、生理ではなく着床出血の可能性があるでしょう。

頭痛や微熱っぽさが続く

女性の基礎体温は排卵から2週間ほど高温期が続き、生理が始まると低温期になります。しかし、妊娠した場合には、低温期に入らず高温期が持続します。これにより、常に微熱があるような感覚になる方も多いでしょう。体のだるさや頭痛も出やすいので、風邪をひいたと勘違いしてしまうかもしれません。

日頃から基礎体温を測っている方で、14日以上高温期が続き、体の倦怠感や熱っぽさがある場合は、妊娠している可能性があるでしょう。

常に眠気やだるさを感じる

これまであまり日中に眠気を感じなかった方も、妊娠超初期は時間に関係なく眠気に襲われる方が多くなるでしょう。

妊娠すると、お腹で赤ちゃんを育てるために、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増えます。黄体ホルモンは女性ホルモンの1つで、体を妊娠しやすい状態に整えて体温を上げる作用があります。普段よりも体温が高くなる影響で、眠気やだるさを感じる方も多いでしょう。

妊娠すると、ホルモンの働きが大きく変化し、赤ちゃんを育てる準備を始めます。多くのエネルギーが必要になり、体力を少しでも回復させようと眠くなるのです。

妊娠超初期の微熱はいつまで続くの?

妊娠すると、ホルモンバランスの影響で高温期が続きます。個人差があり、37℃台の微熱が出る方もいますが、平熱より0.2℃〜0.3℃高い場合がほとんどです。

高温期は、妊娠12週〜13週頃までは続きます。妊娠14週の中期に入ると、胎盤が出来てきて少しづつ体温は低くなっていきます。

妊娠超初期に微熱を経験する方は多いものです。なんとなく熱っぽくてボーっとしたり、倦怠感があったりするのは、妊娠超初期の特徴的な症状といえるでしょう。

妊娠超初期症状と風邪の見分け方法

微熱に体のだるさと、妊娠超初期と風邪の初期症状には、共通する症状があります。風邪だと思って薬を飲んだら、実は妊娠していた……などのケースは多く見受けられます。

風邪のひき初めの症状として多いのは、微熱や体のだるさのほか、のどの痛み・鼻水・咳などではないでしょうか。妊娠している場合には、咳や高熱といった症状はなく、体のだるさや微熱が続きます。風邪と妊娠超初期を見分けるには、微熱以外の症状があるかどうかが判断基準になるでしょう。

早い方は、妊娠超初期からつわりの症状である胃のもたれ、ムカムカ感などが始まります。微熱以外に、つわりのような症状があるときには、妊娠の可能性を考えましょう。

妊娠超初期に風邪をひいてしまった場合の対処方法

妊娠超初期は、赤ちゃんの体の重要な器官が形成される時期です。この時期の薬の内服はできるだけ避けたいものです。妊娠超初期に風邪をひいてしまったときには、どのように対処したらいいのでしょうか。

まずは、体を休めて体力を回復させましょう。妊娠超初期は、妊娠の維持のために体が大きく変化する時期で、眠気を感じやすくなっています。「疲れた」と感じたら、休むようにして、ゆったりと過ごしましょう。

食事や水分もしっかりと摂りたいところですが、なかにはつわりが始まっている方もいるでしょう。水分は少量ずつこまめに摂取し、食事は栄養があって消化のいいものを選んでください。

あまりにも風邪の症状がつらいときには、自己判断で薬を飲まずに、病院を受診し、妊娠しているかもしれないと伝えて診察してもらいましょう。

妊娠超初期の風邪を予防する方法とは?

妊娠中は体の免疫力が下がるため、普段よりも風邪をひきやすい状態になっています。インフルエンザが流行する時期には、不安を感じる方もいるでしょう。風邪やインフルエンザのウイルスが、直接赤ちゃんに影響するわけではありません。しかし、妊娠中は免疫力が低下し重症化する可能性があるため、注意が必要です。

妊娠超初期に風邪やインフルエンザを予防するには、次のような方法が有効です。

  • 帰宅後の手洗い、うがい
  • 食事や睡眠など、生活習慣を整える
  • 人ごみをできるだけ避ける

特別な予防法ではなく、基本的な感染対策を行うだけでも、風邪やインフルエンザの予防に十分効果があります。

妊娠初期に重要な女性ホルモン3つ

妊娠初期には、3つの女性ホルモンのバランスが大きく変化します。妊娠初期に表れる症状は、これらのホルモンが影響を与えているのです。

受精卵が着床して妊娠が成立すると、ホルモンバランスは変化し、妊娠中にしか産生されないホルモンも分泌され始めます。

ここからは、妊娠初期に活躍する3つのホルモンの働きを解説します。

hCGホルモン(ヒト絨毛ゴナドトロピン)

胎盤から分泌するホルモンで、妊娠中の女性のみが産生します。

妊娠5週〜6週頃から分泌量が増え、一番分泌の多い時期が8週〜10週頃です。

hCGホルモンの分泌が増加すると、妊娠検査薬が陽性に反応を示すようになります。尿中の濃度を測定しますが、hCGの分泌量が多過ぎても少な過ぎても、異常妊娠の可能性があります。

妊娠の判定はもちろん、正常な妊娠かどうかを判定するためにも必要なホルモンです。

卵胞ホルモン(エストロゲン)

卵胞ホルモンと黄体ホルモンは相対した関係にあり、一方が増えると一方が減り、バランスを取りながら女性の体で働いています。

妊娠してhCGの分泌が増えると、卵胞ホルモンも妊娠の維持のために分泌量が増加します。

妊娠初期に多くの妊婦さんが悩まされるつわりは、この卵胞ホルモンの影響によるものです。卵胞ホルモンが増加すると、吐き気・嘔吐などのつわりの症状がでてきます。

黄体ホルモン(プロゲステロン)

黄体ホルモンは、子宮内膜を厚くし、受精卵が着床しやすい状態にして妊娠しやすい体を作る働きがあります。

また、腸の働きにも黄体ホルモンが関係しており、腸の動きが弱まることがあります。妊娠中、腸内にガスがたまりやすくなったり、便秘になったりするのはこのためです。

ほかにも、水分を体内にため込む作用もあり、妊娠中にむくみやすくなるのはこの影響があります。

まとめ

赤ちゃんを育て、妊娠を継続するために、妊娠にまだ気がつかないうちから体は大きく変化していきます。

微熱や体のだるさといった症状は、妊娠超初期の特徴的な症状です。妊娠を待ち望んでいる方は、ささいな変化でも「もしかしたら?」とドキドキしているかもしれません。

妊娠超初期に起こる症状は、風邪の症状とよく似ています。不用意な薬の内服を避けるためにも、代表的な症状のポイントを押さえておくとよいでしょう。

参考文献

・日本産婦人科学会-産婦人科診療ガイドライン産科編2022

・国立研究開発法人科学技術振興機構-妊娠と基礎体温(1)