子宮外妊娠の予兆とは?自覚症状はあるの?
この記事の内容
妊娠を心待ちにしている方にとって、子宮外妊娠はとても悲しいものです。
子宮外妊娠は継続することが難しい妊娠でありながら、正常妊娠と自覚症状が似ているため、病院を受診した際に発覚することがほとんどです。、着床した場所によっては、進行すると重篤な症状を伴う危険な病気でもあるので、注意が必要になります。
早期発見するために、子宮外妊娠とは何か、その兆候についてお話していきます。
子宮外妊娠って何?
子宮外妊娠とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、正常妊娠についても説明しながら、正常妊娠とこの病気の違いをご説明していきます。
正常妊娠とは?
卵巣から排卵された成熟卵が卵管膨大部で受精したものを受精卵と呼びます。
この受精卵が子宮内へと移動してきて、子宮内膜と接着し、受精卵と母体組織との間に有機的な繋がりができる過程が着床です。
このように、受精卵が正常な子宮内膜に着床することを一般的に正常妊娠と呼びます。
子宮外妊娠(異所性妊娠)とは?
受精卵が子宮内膜以外の場所に着床する、「異常妊娠」です。子宮内・外を問わず、正常な子宮内膜以外で着床することを「異所性妊娠」と呼び、その異所性妊娠の中でももっとも多いものが、子宮外妊娠です。全妊娠の約0.5%~1.5%の割合で発生しています。
最近ではクラミジアトラコマティスなどを病原体とする性感染症が原因で生じる卵管機能障害の増加や、不妊治療における生殖補助医療技術の普及に伴い、この病気の発生頻度も増加しているのです。
また、この病気は、受精卵が着床した場所によって、卵管妊娠・卵巣妊娠・腹膜(腹腔)妊娠・頸管妊娠の4つに分けられます。
このうち約95%を卵管妊娠が占めており、特に卵管膨大部に多く起こっています。
子宮外妊娠の兆候
この病気でよくみられる兆候は、下腹部痛、吐き気、出血、貧血の4つです。
それぞれの症状についてお話していきます。
下腹部痛
この病気で最も多くみられる兆候として、下腹部痛があります。
これは、受精卵が本来着床すべき子宮内膜ではなく、卵管や子宮頸管などの狭くて広がりにくい場所に着床することによって起こるのです。
このような狭くて広がりにくい場所で受精卵が成長してしまうと、周りの器官が圧迫されたり、破裂したりすることにより、下腹部痛が起こることになります。
器官が圧迫されているはじめの段階では、軽い下腹部痛のこともありますが、受精卵が成長することにより、その痛みは強くなる場合がありますので注意が必要です。
さらに、卵巣破裂などが生じた場合には、腹腔内への大量出血を伴い下腹部に激痛が生じることもあります。
吐き気
この病気が進行し、卵管が破裂した場合には激しい下腹部痛により、吐き気や嘔吐が生じる場合があります。
出血
この病気の兆候で代表的なものに、出血があります。
出血がある場合には、体の外に出てくる出血のうちのほとんどは少量のピンク色の出血の場合が多いです。
また、この病気になったことに気が付かないまま妊娠が進行し、卵管破裂などにより、腹腔内に大量出血を伴うこともあります。
不正性器出血の場合には、その他の重大な病気が隠れている可能性もあります。
貧血
卵管妊娠による卵管破裂の場合には突然の強い下腹部痛とともに、腹腔内に出血して貧血症状や時にはショック状態を伴う場合もあります。
また、少量の出血でも持続的に出血することで貧血が生じることがあるので注意が必要です。
症状がないことも
子宮内膜以外に着床していても、特に目立った症状がない例もたくさんあります。
子宮内膜以外の場所に着床したため、受精卵がうまく育つことができずに気が付かないうちに流産しているということもあります。
また、生理がいつもより遅れていて、病院で診察をしたら実はこの病気だったとわかることも多いのです。
そのため、子宮内膜以外の場所への着床かどうかを症状のみで判断することはできません。
生理が遅れている、高温期が14日以上続いている、下腹部痛や不正性器出血がある場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
子宮外妊娠の診断方法
それでは、この病気の診断はどのような方法で行うのでしょうか。
ここでは、その診断方法や診断費用についてご説明していきたいと思います。
hCG検査
妊娠検査薬を用いて、尿中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を測定します。
このhCG検査は、正常妊娠や子宮外妊娠、絨毛性疾患、hCG産生腫瘍などがあると陽性反応を示します。
採血によっても検査することができますが、通常産婦人科で妊娠の有無を調べる場合には、簡単に検査できる尿中のhCGを測定することが多いです。
超音波検査
経膣超音波検査で、胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)の有無を確認します。
胎嚢が子宮内膜に確認できれば正常妊娠、子宮外に確認されてたい場合は子宮外妊娠の診断となります。
通常、妊娠5週頃になると子宮内に赤ちゃんが入っている袋である胎嚢を認めることが多いですが、妊娠5週を過ぎても子宮内に胎嚢がない場合には、子宮内膜以外への着床を疑います。
この病気は妊娠8週頃になると流産や卵管破裂などにより、激しい腹痛や腹腔内の大量出血を起こすこともあるので、早期に発見・治療することが大切です。
診断費用は受診する医療機関によって異なりますが、hCG検査・超音波検査合わせて5000~1万円となる場合が多いようです。
通常の妊娠検査は保険適応とはならず、全額自己負担でのお支払いとなります。
子宮外妊娠を早期発見するために
この病気は、発見が遅くなった場合には、激しい下腹部痛や吐き気、腹腔内の大量出血によるショック状態など重篤な状態になる場合もあります。
そのような重篤な症状が出る前に、この病気を早期発見して治療するにはどうすればよいかについてご説明していきます。
自分の生理周期を把握する
まずは、自分の生理周期を把握することからはじめましょう。
毎月生理が始まった日をアプリでの管理やカレンダー、手帳にメモすることがはじめやすいでしょう。
生理がいつもより遅れていることに早く気がつけば、妊娠検査薬を使ったり、産婦人科を受診することによって、見えない病気への可能性にいち早く気付くことができます。
また、普段から基礎体温表をつけておくと、高温期が長く続いていれば妊娠検査薬を使う前に体調の変化を確認することができるので、おすすめです。
早めに産婦人科を受診する
妊娠検査薬が陽性であっても、それが正常な妊娠かどうかを判断することは難しいものです。
いつもよりも生理が遅れている、高温期が14日以上続いている、妊娠検査薬が陽性になった、などの症状がある場合には、早めに産婦人科を受診して、子宮内膜以外の場所に着床していないかを確認してもらいましょう。
まとめ
子宮外妊娠は自覚症状が全くない方もいるため、症状のみで特定することが難しい病気です。
生理が遅れている、高温期が14日以上続いている、妊娠検査が陽性だった、などの場合には、妊娠・子宮外妊娠の可能性があるため、早めに産婦人科を受診しましょう。
この病気は、重篤な症状が出る前に、産婦人科を受診して、治療を始めることが大切です。
参考文献
・厚生労働省 eヘルスネット – 破水