妊娠期間の数え方とは?受精から出産までについて解説
妊娠をしたら、「いま妊娠何か月ですか?」と聞かれることが多いと思います。
妊婦検診に行くと何か月という言い方はあまりせず、「〇週〇日」と伝えられることが多いと思います。そのため自分が何か月であるか分かりにくいかもしれません。
では妊娠期間の数え方についてこの記事で解説していきたいと思います。
この記事の内容
排卵〜着床までについて
まず、妊娠成立までの体の状態について説明します。
女性の体は28日前後の周期で排卵をしています。排卵された卵子と外部からやってきた精子が結合し受精卵となります。それが子宮の中で着床し育っていくことで妊娠が成立します。
排卵
排卵とは成熟した卵胞から飛び出した卵子が、卵巣から卵管采をへて卵管へと移動することです。
受精
膣内に射精された精子は卵子に出会うため移動します。卵管で卵子と精子が結合し、受精卵となります。受精卵は成長をくり返しながら7日ほどかけて子宮へと移動します。
着床
子宮にたどり着いた受精卵は、厚くふかふかの状態になっている子宮内膜にもぐり込みます。子宮内膜の中でも成長を続けます。これが「妊娠成立」した状態です。
妊娠週数別の症状について
妊娠週数は「妊娠〇〇週〇〇日」と表します。最後に生理になった日の初日を「妊娠0週0日」とします。出産予定日は「妊娠40週0日(10か月、満280日)」です。
妊娠期間において、1ヵ月は4週間(28日)と定義されています。
妊娠の時期は初期中期後期に分けることができます。
妊娠初期 | ~15週6日 |
妊娠中期 | 16週0日~27週6日 |
妊娠後期 | 28週0日~ |
妊娠初期
妊娠初期は15週6日までの期間です。これは排卵される前、着床する前の期間も含まれています。この期間を「妊娠超初期」と呼ぶこともあります。
妊娠初期の代表的な症状として「つわり」があります。つわりは妊娠5~6週目ごろから始まります。なんとなく匂いに敏感になる、食欲がわかないという症状から、逆に食欲が増してしまう方もいるなど、つわりの症状は個人差があります。食欲だけでなく、匂いに敏感になる方もいます。大体の方が妊娠8~10週目ごろにつわりのピークを迎えることが多く、その後徐々に症状が軽減し、16週目ごろには落ち着く方が多いです。しかし出産直前まで続く場合もあり、症状だけでなく終わる時期についても個人差があります。
他にもホルモンの影響から便秘になったり、眠気を感じる、胸の張り、気持ちが不安定になるなどの症状があります。
妊娠初期の期間は何ヶ月くらい?
妊娠期間において、1か月は4週間(28日)と定義します。
妊娠初期は15週6日までを示すため4カ月となります。
妊娠中期
妊娠中期になると、胎盤を通して赤ちゃんへ血液が運ばれるため、全身の血液循環量が増えます。そのため貧血になりやすく、めまい、動悸、息切れなどの症状がみられる方もいます。鉄分を多く含む食品を取るよう心がけるなど、貧血予防をしていきましょう。
妊娠中期に便秘になる妊婦さんも多いでしょう。これはホルモンの変化が胃腸の働きを弱めてしまうこと、お腹が大きくなることで大腸を圧迫し引き起こされます。水分を多くとるよう気をつけ、食物繊維の多いものを摂取するなどバランスの良い食事を心がけましょう。
他にも腰痛、皮膚の痒み等の症状があります。
この時期はつわりが落ち着き、初期流産のリスクも減るため、一般的に「安定期」とよばれています。
妊娠中期の期間は何ヶ月くらい?
妊娠中期は27週6日までを示すため、5か月〜7か月となります。
妊娠後期
膨らんだ子宮が他の臓器を圧迫するために出現する症状があります。それが尿漏れや胃のむかつきです。
お腹が大きくなり、上半身が沿った姿勢で過ごすことが多くなり、腰痛を訴える方もいます。ストレッチをしたり、骨盤ベルトを使用するのがお勧めです。
妊娠後期には、体内の循環血液量が増えることで、血液の中のミネラルバランスが崩れ「こむら返り」が起きやすくなります。こむら返りを起こした時は、つま先をお腹に向けるようにすると治りやすくなります。
他にも
- むくみ
- 息切れ
- 肌の痒み
などの症状があります。
妊娠後期の期間は何ヶ月くらい?
正常な妊娠持続期間は、10か月= 40週(280日)とされています。これは予定日として算出される日にちです。
妊娠後期は8か月~10か月の間といわれています。
妊娠をする前に知っておきたいこと
これから妊娠を考える方へ、妊娠前に知っておきたいことを説明します。
葉酸ってなに?飲まなきゃいけないの?
葉酸は水溶性のビタミンB群の一つです。妊娠中は、葉酸を1日に400㎍摂取することが望ましいといわれています。これは神経管閉鎖障害(無脳症、二分脊椎、髄膜瘤)を予防するためです。神経管ができる時期は妊娠6週目頃のため、妊娠が分かった時点ではすでに完成していることになります。そのため妊娠を希望する段階から葉酸を摂取しましょう。
1日に400㎍の葉酸とはどれぐらいの量なのでしょう?葉酸400㎍とは妊娠前の必要摂取量に比べて約1.8倍となります。茹でたほうれん草だと1日に約1束摂取することになります。毎日継続してこれだけの量を摂取するのは難しいため、サプリメントの服用がおすすめです。
風疹の検査をしましょう
風疹とは、風疹ウィルスに感染する事で起こる感染症です。春から初夏にかけて流行しやすく、咳やくしゃみなどの飛沫感染や接触感染で起こり、感染力が強いことが特徴です。
妊娠20週ごろまでに妊婦さんが風疹ウィルスに感染すると、先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれる可能性が高くなります。先天性風疹症候群とは耳(難聴)、目(白内障、緑内障、網膜症)、心臓に障害を持つ可能性があります。
感染した妊娠週数 | 赤ちゃんが先天性風疹症候群になる確率 |
妊娠1ヵ月(~4週) | 50%以上 |
妊娠2ヵ月(5週~8週) | 35% |
妊娠3ヵ月(9週~12週) | 18% |
妊娠4ヵ月(13週~16週) | 8% |
風疹の抗体価が低くても、妊娠中は予防接種を受けることができません。妊娠を希望したらまず抗体価を調べて、低い場合はワクチン接種を検討しましょう。ワクチン接種後は2か月避妊が必要です。
また妊娠を希望する女性の周りの方、同居家族も、風疹に感染しないように予防またはワクチン接種をするようにしましょう。男性の方で昭和37年~53年生まれの方は公的な風疹の予防接種がおこなわれていないため、 無料で抗体検査と予防接種が受けられます。お住まいの自治体に確認しましょう。
禁煙をしましょう
妊娠すると禁煙しましょうと言われますが、この理由は何なのでしょう?
妊娠した女性が喫煙、受動喫煙することによって、低体重児が生まれやすくなります。ほかにも早産や乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが増加するのです。
赤ちゃんだけでなく母体への影響もあります。子宮外妊娠、常位胎盤早期剝離、前置胎盤を起こす可能性があるといわれています。
妊娠中だけ禁煙をすれば良いと言うわけではありません。出生後も受動喫煙によって赤ちゃんが呼吸器感染や喘息を発病したり、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが増えると言われています。
妊娠を希望したら、早めに禁煙するようにしましょう。
健康的な生活を心がけましょう(食生活、睡眠、運動)
妊娠を考えたときに気をつける、健康的な生活について説明します。
まず食生活です。バランスの良い食事をとることが大切ですが、その中でも積極的に取って欲しい栄養素があります。それは
- 葉酸
- 鉄分
- カルシウム
です。
赤ちゃんがママから栄養をもらい始めるのは胎盤が完成する妊娠16週(5ヶ月)頃からですが、それ以前から食事に気を付けた生活を送る習慣をつけましょう。
妊娠中に運動を始めても良い時期は安定期とよばれる妊娠中期からです。激しい運動は避け、軽めの有酸素運動を意識しましょう。オススメなのはウォーキング、ヨガ、水中ウォーキングスイミングなどです。
適度な運動を行う事は良質な睡眠にもつながります。他にも出産に向けて筋力低下を防ぐことや、体重管理の意味もありますが、血液の流れが良くなることで赤ちゃんへ多くの酸素を送ることができます。ママだけでなく、お腹の赤ちゃんにもとっても効果的と言えるでしょう
妊娠確率を上げる方法
妊娠の確率を上げるためには、普段の生活を見直しましょう。
- 食生活
- 禁煙
- カフェイン
- 適正体重
これらは妊娠の確率を上げるため、日ごろから気をつけていきたいことです
食生活:栄養バランスの整った食事に気をつけることで、ホルモンバランスが整います。
禁煙:喫煙をすると、卵巣の老化を早め妊娠率も低下します。
カフェイン:カフェインの過剰摂取は、妊娠率に悪影響を及ぼします。コーヒーだけでなく、栄養ドリンクにもカフェインが多く含まれているため注意が必要です。1日のカフェイン摂取量は500㎎(コーヒー6~7杯分)以下を心がけましょう。
適正体重:世界保健機構(WHO)から示されている標準BMIは18.5~25未満ですが、その中でもBMI19~22.9が妊娠率が高いとされています。
まとめ
妊娠期間とは妊娠が成立する前の段階から数えていきます。
また、妊娠前からの生活が赤ちゃんへ影響することも伝わったでしょうか?
妊娠を希望したら、風疹の検査を受けること、葉酸などの食生活の見直しをして生活を整えていきましょう。