妊娠中にお腹を押したりしてはいけない?胎児への影響は?胎教についても解説
妊娠初期にはほとんど目立たなかったおなかが、時間を経るうちにどんどん大きくなるのはとても嬉しいことです。
胎動を感じるとなおさら、赤ちゃんが愛おしく感じられることでしょう。
けれど大きくせり出してくるおなかが、気になることもあります。
また赤ちゃんへの愛情から、ついついおなかをさすりたくなってしまうかもしれません。
このおなかをさする・押す行為にはやや注意が必要です。
お腹をさするうえでの注意点も載せてますので、詳しい解説をご覧ください。
この記事の内容
妊婦がおなかを押す、さするのは大丈夫?
妊娠中期ごろから、妊婦さんのおなかは日に日に大きくなっていきます。
中期から後期にかけては、大きくなったおなかをさすることで赤ちゃんの存在を感じ、愛おしく感じられるでしょう。
さするだけなら良いのですが、無理に押す行為は避けましょう。
子宮や赤ちゃんに負担をかけてしまうためです。
妊娠中はお腹を押したりさすっったりしてはいけないの?
妊娠中はおなかの赤ちゃんに声をかけたり、赤ちゃんの存在を確認したくておなかをさすったります。
またときどき感じるおなかの張りを心配して、おなかをさする妊婦さんも少なくありません。
優しくなでる、そっと手をそえる程度の刺激では問題ありませんが、何度もなでる行為にはリスクがあります。
必要以上に何度もさすることは、子宮収縮を促すため、早産や出血などのリスクにつながるのです。
「それ以上押さないで、さすらないで」のサイン
何度もおなかをさする、おなかの皮膚が動く・皮膚が寄れるほどさするのは避けてください。
子宮収縮を誘発し、おなかの赤ちゃんに大きな負担を与えます。
もし以下のような症状がでたら、すぐにさするのをやめて安静にしてください。
・おなかの張り、おなかがカチカチに固くなる感覚、痛み
・いつもと違う違和感(おなかがチクチクする、おなかが重いなど)
横になって1時間以上症状が続くときは、すぐにかかりつけ医に相談し指示を受けてください。
お腹を圧迫する行為は極力避ける
おなかをさするだけではありません。
おなかを圧迫する行為も避けた方が良いです。
膝をつくことなく床に置いた荷物を取ろうとすると、それだけでおなかを圧迫します。
満員電車では周囲から圧迫され、とくに危険です。
また上のお子さんが妊婦さんのおなかを押すこともあります。
「おなかを押す」と言っても程度問題ですが、できるだけリスクの高い環境に身をおかないこと、危険な行為を把握して早めに対応することが大切です。
妊娠中にお腹を押したりさすったりすることによる影響
妊娠中は赤ちゃんが大きくなることで子宮がふくらみますが、元に戻ろうと子宮が収縮することがあります。
これは一過性の収縮のため、おなかに外部から無理な力がかかることで、どのようなリスクが考えられるのでしょうか?
・子宮収縮により、切迫流産や早産のリスクが高まる
・まれに常位 胎盤早期剥離が起きることがある
・妊娠後期では前駆陣痛の可能性もある
お腹の張りは要注意のサイン
はじめて妊娠した方は「おなかの張り」と言われても、あまりピンときません。
そのためおなかが張っても「たいしたことはない」と軽く考える可能性があります。
おなかが張るという状態についてチェックしましょう。
お腹が張るとはどんな状態?
おなかが張る状態については、実際に感じた方によっていくつか特徴があります。
以下のような声が多く聞かれます。
・おなかを触ると表面がカチカチに固くなっている(石を触っているような感覚)
・おなかがギューッと縮むような感覚
・まるで生理痛のように、下半身がズーンと重い感覚
・おなかのなかから強く押されているような感じ
このような状態になると、実際に子宮が収縮しています。
普段はおなかの表面がカチカチになることはありません。
おなかの痛みや重さ、押されるような感覚があれば、すぐに安静にしてください。
お腹が張る原因とは?
おなかが張る原因はいくつかあります。
まず、おなかのさすり過ぎや圧迫、そして大腸に便がたまることにより子宮を圧迫することから「便秘」も原因になります。
また長時間同じ姿勢を続ける(立つ・座る)こともおなかの張りの原因になります。
さらに胎児が子宮内で活発に動くことにより、おなかが張ることもあるようです。
妊婦さんのストレス、運動しすぎによる疲れ、冷えなどにも注意してください。
お腹を押す以外に気を付けたい行動
おなかを圧迫することが、おなかの張りの原因になることをご説明しました。
ただ外部からの刺激以外にも、張りの原因になるものはほかにも複数あります。
妊娠したら、生活全般について見直すとよいでしょう。
ストレスを溜め込まない
おなかの張りは、妊婦さんがストレスを感じることでも起きます。
妊娠中は仕事や上の子どものお世話、家事などで忙しいものです。
「あれもこれも」と焦っても、なかなか体がついてきません。
心理的に苦しくなるとストレスがたまり、子宮収縮を起こす可能性があります。
家事は一気に片づけようとしない、つらいときは家族に家事をお願いする、ストレス解消で気分転換するなどして、ストレスを溜め込んでしまわないようにしましょう。
喫煙やアルコール、カフェインは避ける
妊娠中に煙草を吸う、お酒を飲む、などの行為や、カフェインの入った飲料や食べ物も避けてください。
すべてリスク要因ですが、煙草はニコチンの作用により血管が細くなり、結果的に胎児に運ばれる酸素や栄養が少なくなります。
一酸化炭素が発生し血液中の酸素と結合することで胎児に運ばれる酸素量も減少するのです。すると胎児が酸欠状態になり、早産リスクもアップします。
アルコールやカフェインも、できるだけ避ける方が賢明です。
その他生活で注意したいこと
ストレスやおなかへの圧迫以外にも、以下のような動作は子宮収縮をうながします。注意してください。
・乳首マッサージ
・おなかを締め付ける洋服の着用
・おなかを圧迫する体勢での性行為
・コンドームを使用しない性行為(精子が子宮収縮の一因になります)
・激しい運動
・重い荷物を持ち上げる
ご夫婦で相談しながら家事を分担し、性行為に関しても臨月には中止するなど注意してください。
妊婦さんの内臓は赤ちゃんの成長でどんどん圧迫される
赤ちゃんが子宮のなかで成長するにつれ、妊婦さんの内臓がどんどん圧迫されていきます。
とくに子宮の近くにある膀胱が押され、尿漏れや膀胱炎などのリスクがアップします。
ほかにも注意すべき点をチェックしていきましょう。
尿漏れや便秘、痔には要注意
子宮が膀胱以外にも大腸や肛門を圧迫するため、便秘に悩まされる妊婦さんも少なくありません。
圧迫された腸は血流が悪くなり水分代謝も悪化するため、便秘になりやすくなるのです。
便が固くなると痔になることがあり注意が必要です。
膀胱の尿を完全に排出できないと残った尿に雑菌が繁殖することがあるため、膀胱炎にも気をつけてください。
赤ちゃんが胎動を始める時期や最適な胎教は?
妊婦さんが胎動を感じ始める5~6か月ごろから、おなかの赤ちゃんに絵本を読んで聞かせたり、クラシックの名曲を聞かせたりして胎教を始める方がいます。
胎教を始める時期や胎教についてチェックしていきましょう。
胎教とは?
胎教と聞くと「胎児の知能を高めるための早期教育」というイメージがあるかもしれませんが、現在は「胎児と妊婦さんとの交流」を目的に実施されています。
ふれあいですから、音楽や英会話を聞かせなければならない、絵本を読み聞かせるなど教育的な内容である必要はありません。
妊婦さんがリラックスして胎児に話しかける、おなかをなぞるなどの行動でも十分です。
胎動を始める時期は?
胎教を始める時期は、胎動を感じ始める5〜6か月頃がおすすめです。
声をかけたときに胎児の動きがわかると、まるで胎児が反応してくれているように感じて嬉しくなります。
妊婦さんと胎児のコミュニケーションという意味では、妊娠中期からが最適です。
赤ちゃんによい胎教とは?
赤ちゃんにクラシック音楽や英会話等を聞かせた結果が公表されていますが、知能面に大きな影響は認められていません。
良い胎教とは妊婦さんがリラックスでき、胎児に愛情を感じられる時間をつくることではないでしょうか。
まとめ
大事な命を育んでいる妊娠期は、おなかを圧迫したりさすり過ぎたりする行為はもちろん、喫煙や飲酒などリスクのある行為は避けましょう。
妊婦さんがリラックスできる時間をつくり、胎児と交流できる時間をもつことで、赤ちゃんに対する愛情が増すはずです。
参考文献
・厚生労働省一般社団法人女性労働協会 妊娠中の女性労働者への対応
・厚生労働省-女性の喫煙・受動喫煙の状況と、妊娠出産などへの影響
・厚生労働省心身障害研究会-妊産婦をとりまく諸要因子と母子の健康に関する研究」妊
・厚生労働省-働きながら安心して妊娠・出産を迎えるために