【妊娠5か月】最適な運動や運動のメリット・デメリット
妊娠5か月は妊娠16週にあたり、俗に安定期といわれる時期です。
つわりがおさまり初期流産のリスクが減ることから、妊娠初期よりも体が動かしやすくなり運動しやすい体の状態になります。
体を動かす機会が減ると血行不良で腰や背中の痛みが増す、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスク上昇などのデメリットがあるので、注意が必要です。
運動不足で起きやすいトラブルを防ぐためにも、無理なく続けられる運動を取り入れてみましょう。
この記事の内容
妊娠5か月(妊娠中期)が運動するに最適な理由
妊娠中期は14週から27週6日までをさします。
この時期は子宮内に胎盤が完成し、ホルモンバランスも妊娠初期よりかなり安定するため、つわりが治まり、体が動かしやすくなっています。
つわりなどで思うように体が動かせなかった妊婦さんには、運動するのに最適な時期です。
妊娠5か月のお母さんと胎児の状態
妊娠5か月のお母さんはホルモンバランスが整い、基礎体温も下がり熱っぽさやだるさが減ります。
また胎児は神経が発達し、自分の意思で体を動かし始めます。
妊婦さんによっては胎動を感じ始めるでしょう。
腎臓や膀胱などの器官も完成するので、羊水を飲んでおしっこも始めます。
胎児の身長は平均25cm、体重は約280gですが、超音波検査では手足をバタバタさせる愛らしい姿も見えます。
妊娠初期の運動不足解消・病気予防
妊娠初期には熱っぽさやだるさ、腰痛、つわりなどにより思うように動けなかった妊婦さんもいます。
運動したくてもできなかった妊娠初期に比べ、中期はホルモンバランスも安定し、運動しやすくなるのが特徴です。
運動不足を解消することで妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の予防が期待できます。
体力が必要な出産に向けての準備
出産・育児には体力が必要です。
じっとしていると筋力がだんだん低下し「いざ出産!」となった場合に思うように体が動かなくなるかもしれません。
その後の育児も、赤ちゃんの抱っこや真夜中の授乳などかなり体力が必要なので、安定期の運動は大切です。
血液循環が良くなり腰痛予防になる
腰痛の原因にはいくつかありますが、血液循環が悪くなることで筋肉が固く縮むと痛みを感じやすくなります。
運動をすることで血行が促進され、腰痛予防になります。
血液循環がよくなることで、新鮮な酸素を体に取りいれてストレス解消にもつながるのです。
妊娠中に運動をするメリット・デメリット
妊娠中は妊娠中期に比べて体調が整い、初期流産などのリスクが減り、ある程度安心して体が動かせる時期です。
ただし良いことだけではありません。
妊娠中に運動をするメリットとデメリットをチェックしていきましょう。
メリット
体を動かすことで妊婦さん特有の病気を予防でき、腰痛予防や体力アップ、さらにストレスの軽減になります。
つわりや体調不良でじっとしていた妊婦さんは、身体にストレスがたまっていることも多いでしょう。
身体を動かすことで酸素を多く取りいれ、心身ともにリフレッシュできます。
デメリット
妊娠中であることに変わりはないため、激しい運動をするとお腹が張り、流産や早産へつながる危険性があります。
また真夏や真冬に無理に運動をすると、妊婦さんの体調不良や病気、熱中症などを引き起こすことがあります。
「頑張りすぎない」が基本です。
妊娠5か月 最適な運動とは?
妊娠5か月の妊婦さんに最適な運動とは、一体どのようなものでしょうか?
ここではできるだけ「一人でできる・お金をかけずにできる・いつでもできる」を基準に最適な運動をご紹介しています。
手軽にできるウォーキング
ウォーキングはいつでもどこでもでき、しかも特別な器具も必要ありません。
用意するものはタオルと転びにくい靴、水筒くらいでしょうか。
有酸素運動なので効率的に脂肪燃焼が期待でき、血行も促進され酸素をしっかり取りこめるのが魅力です。
ゆっくり歩けば転倒の危険も低減できます。
体に無理のないマタニティーヨガ
ウォーキングは屋外での運動になりますが、マタニティーヨガは自宅で簡単におこなえます。
DVDやネット動画などを見て簡単に運動できるのがメリットです。
自宅であれば天候に左右されず、いつでも始められます。
お腹を圧迫するような無理な動きはカットされているので安心です。
妊娠5か月 おすすめできない運動とは?
安定期でもおすすめできない運動があります。
母体と胎児の安全がなによりも優先されますので、激しい運動やケガの危険がある運動(スポーツ)は絶対に避けてください。
詳しくチェックしていきましょう。
勝敗にこだわるスポーツ
ウォーキングやマタニティーヨガなどはゆったりした動きで、妊婦さんに大きな負担はかかりません。
ところがバトミントンや卓球など、勝敗にこだわるスポーツはつい勝負に熱中し、無理な動きをしてしまいます。
綱引きなども体全体の力が必要ですし、勝敗がハッキリしたスポーツです。
このような運動は避けてください。
激しい動きや転落、ケガの心配があるスポーツ
転落やケガのリスクがあるスポーツ、運動もおすすめできません。
サッカーは相手とぶつかる可能性があり、お腹を圧迫するためとても危険です。
またサイクリングも自転車から転落する危険があり、ケガの可能性もあります。
スキューバダイビングやスカイダイビング、標高の高い山に登るなどリスクの高い運動も避けましょう。
妊娠5か月 運動をやめた方がいいサイン
運動不足解消は妊婦さんにとって大事なのですが、おなかには赤ちゃんがいるため、無理は禁物です。
「運動をやめた方がいい」と体からサインが出たときは、すぐに運動をやめて安静にしましょう。
また医師から「運動しないよう」指導されたときも同様です。
おなかの張りや出血を感じたとき
おなかが張っているときは、子宮が収縮しています。
妊娠中の子宮収縮は珍しくありませんが、あまりに強い場合は早産につながる危険があります。
もしおなかの張りを感じ、横になってすぐに収まるなら問題ありません。
ところが横になっても周期的に痛みを繰り返す、1時間以上痛みが続く、さらに出血や破水などの症状がでたら緊急事態です。
すでに陣痛が始まっていることもあります。
すぐに医療機関を受診してください。
切迫流産や切迫早産が指摘されたとき
医師により切迫流産や切迫早産の可能性が指摘されたときは、安静に過ごすのが基本です。
「ちょっとくらい大丈夫だろう」と無理に体を動かすと、大変なことになるかもしれません。
出血や破水の症状がみられたら、すぐに医療機関を受診してください。
状況によっては入院する場合もあります。
自宅でできる簡単ストレッチ法
ウォーキングは有酸素運動で転倒の危険もすくなくおすすめですが、屋内で気軽に運動がしたい方向けに簡単ストレッチ法をご紹介します。
これらストレッチ法にバランスボールやヨガマットなどの用具は必要ありません。
背中を後ろにそらす運動
妊婦さんは腰痛に悩む方が多いので、背中を後ろにそらす運動が有効です。
とくにおなかが大きくなる妊娠後期では前かがみの状態が続くため、背中をゆっくり後ろにそらせる運動をしましょう。
足を広げてまっすぐに立ち、両手をお尻の位置に当てます。
ゆっくり背中を後ろにそらしますが、深い角度まで無理にそらす必要はありません。
斜め上が見える程度にとどめ、約20秒程度同じ姿勢を維持します。
同じ動作を、4〜5回程度繰りかえします。
座ったまま腰をひねる運動
あぐらをかいた姿勢で床に座り、片手をひねる方向と反対の膝のうえに置きます。
ゆっくりと腰を動かしてひねりますが、無理な角度まで動かす必要はありません。
同じ姿勢を数秒維持し、もとに戻ったら今度は反対側に腰をひねります。
この動作を、5回程度繰り返します。
まとめ
妊娠中の運動は病気予防や肥満解消、ストレス解消になりますが、無理をするとトラブルの元になります。
無理をせずうっすら汗をかく程度にとどめ、おなかの張りを感じたら、すぐに体を休めましょう。
参考文献
・日本臨床スポーツ医学会産婦人科部会-妊婦スポーツの安全管理基準(2019)
・厚生労働省-妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~
・厚生労働省-マタニティエクササイズ(またにてぃーえくささいず)