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不妊治療とは?妊娠率と治療方法について詳しく解説!

「妊活してるのになかなか赤ちゃんが出来ない」「不妊治療したほうが良いのかな」など、妊活中の悩みは尽きないものです。

不妊は繊細な悩みでもあるため、身近な方にも相談しにくいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、不妊治療を開始すべきタイミングや方法、妊娠率について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

不妊治療とは?

不妊症には定義があることをご存じでしょうか。

まずは不妊症の定義や治療開始のタイミングについてご紹介します。

不妊の定義

日本産婦人科学会より、「不妊とは、妊娠を望むカップルが避妊なしで性交しているにも関わらず、一定期間妊娠しないこと」と定義づけられています。

一定期間といっても、年齢によって不妊症とみなされる期間は異なります。

同じ不妊期間でも、若い夫婦と年齢が高い夫婦では、その後に自然妊娠する可能性が異なるということです。

不妊治療を開始するタイミング

治療開始するタイミングはカップルそれぞれです。

1年未満で早々に治療開始するカップルもいれば、ゆったりと自分達のペースで進めるカップルもいます。

このように、治療開始するタイミングは特に決まっていないため、いつから始めても大丈夫なのです。

ただし、年齢を重ねるほどに妊娠できる確率が下がっていくことには注意しておいた方がいいでしょう。

不妊の原因

不妊の原因には、女性側因子と男性側因子があります。

これらの因子は、さらに不妊の原因となっている事が多いものから、そうでもないものまで、更に細かく分けられます。

女性側因子

排卵障害

基本、生理周期の基礎体温は体温が低い時期と高い時期(低温期より0.3〜0.5度高い)の二相性になります。

排卵すると体温が高くなり、高い時期が続くと妊娠、下がると生理が開始する仕組みです。

しかし、月経不順で生理周期がバラバラだったり、男性ホルモンが多く作られることで卵胞の成長がゆっくりになると、スムーズな排卵が難しいこともあります。

排卵ができていなければ、体温の変化はありません。

基礎体温をつけていない方は、排卵ができているか知るためにもつけてみることをおすすめします。

卵管・頸管因子

卵管は精子と卵子の通り道であり、受精する場所です。

性感染症であるクラミジアに感染したり、過去に感染歴がある人は卵管が詰まっている可能性があります。

卵管は左右に2つありますが、どちらも詰まっていると受精する場所がないため、自然妊娠は難しくなります。

頸管は、子宮の出口部分で、おりものといわれる頸管粘液が分泌されるところです。

おりものが少なかったり、おりものの状態が悪いと精子が子宮に進入しにくくなるため、結果として不妊の原因となります。

子宮因子

受精卵が子宮内膜へ埋没することを着床といいますが、着床場所に筋腫があると着床を妨げてしまう可能性があります。

筋腫だけでなく子宮ポリープも妊娠を妨げ、不妊の原因の一つです。

また、子宮は一人一人形が異なりますが、子宮が丸い形ではなく、変形した形をしていると流産の可能性が高くなりやすいといわれています。

免疫因子

女性の中には、何らかの免疫異常により、抗精子抗体を生み出してしまっているという方がいます。

抗精子抗体は、精子の進入を妨げるものです。

どんなに元気な精子でも、この抗体があると卵子と出会う前に阻害されてしまい、不妊の原因となります。

原因不明

上記の4つに関しては問題がなかったとしても、妊娠まで至らないケースもあります。

近年、晩婚化が注目されていますが、晩婚化により妊活年齢も上がってきています。

年齢に伴い卵巣機能も衰えてしまい、上記に問題がなかったとしてもなかなか妊娠できないといった原因不明の因子もあるのです。

男性側因子

運動率の問題

妊娠するためには、精子の運動率も大事な要素の一つですが、人によっては、元気な精子がいなかったり、精子の数が少ない場合があります。

その場合、しっかり射精できていても、卵管に辿り着く前に力尽きて卵子と出会うことができません。

ストレスや、座りっぱなしの作業など、睾丸に長時間熱が加わることも、運動率を低下させる要因となります。

性機能障害

性機能障害には勃起障害(ED)と射精障害の2つがあります。

勃起障害の原因はいくつかありますが、プレッシャーを感じてしまうなどといった心因性のストレスが大きいといわれています。

射精障害は、射精はできているのに精液が膀胱に逆流したり、射精するまでに時間がかかる遅漏、逆にすぐ射精してしまうといった早漏があげられます。

病的な要因もありますが、勃起障害と同じくストレスなどの心理的問題も原因となるでしょう。

無精子症

精子は造られているのに、射精に至るまでの通り道が細かったり、詰まっているなど精子の通過に障害をきたしていると、精液中に精子が出てきません。

また、精子の通過は問題ないが、精巣に何らかの問題がある場合は、精子が造られないため、無精子症となります。

この場合、射精では精子を放出できないため、手術により精子を回収する必要があります。

不妊治療後の年代別妊娠率

女性は、年齢を重ねる毎に卵巣機能も衰えていくため、妊娠率が低下します。

出典:一般社団法人日本生殖医学

年代別の妊娠率は上記のグラフの通りですが、詳しく解説します。

20代の妊娠率

20代の健康な夫婦が避妊なしに妊活を1年間行った際、20~24歳で86%、25~29歳で78%の妊娠率です。

20代前半と後半でさほど差はありません。

20代で妊活をスタートすると、7〜8割の方が自然妊娠できると言えるでしょう。

30代の妊娠率

20代の夫婦と比較すると妊娠率は低下し、30~34歳で63%、35~39歳で52%の確率です。

30代前半は6割の妊娠率ですが、35歳を過ぎると、一気に妊娠率は低下しています。

このうち、不妊治療をして赤ちゃんを授かる確率は30歳で19.9%、35歳で16.3%となります。

40代の妊娠率

40代ではさらに妊娠率が低下し、40~44歳では36%、45歳以降では5%と非常に難しい確率です。

不妊治療した際の妊娠できる確率は、40歳で7.7%、45歳以降では0.6%と急激に低下します。

40代での自然妊娠はどんなに健康な夫婦でも難しく、時間がかかるでしょう。

年齢が上がると妊娠率が低下するのは、卵巣機能の衰えも原因のひとつですが、年齢が上がるにつれ、子宮筋腫や子宮内膜症など、子宮に関わる病気を発症する可能性が高くなることも原因の一つでしょう。

年齢を重ねる毎に妊娠率が低下することから、不妊治療をスタートするタイミングとしては少しでも年齢が若い方が有利です。

しかし、年齢が若くても、女性側と男性側に何らかの問題があれば自然妊娠は難しくなります。

不妊治療では、原因を突き止めながら、その方に合った妊活方法を提案してくれます。

「年齢が若いからまだ大丈夫」とは思わず、一定期間妊娠しなければ、受診してみても良いのではないでしょうか。

具体的な不妊治療の方法とは?

不妊治療といっても、具体的に何をするかイメージがつかない方もいらっしゃるかもしれません。

採血や検査など、原因を追及する方法はたくさんありますが、主な治療法やそれぞれのメリット、デメリットについて説明します。

タイミング法

タイミング法は、エコーで卵胞の大きさを見て、排卵しそうな時期を予測する治療法です。

自分達でタイミングをとる方法と似ていますが、エコーで確認することで、確実に排卵しそうな時期が分かります。

卵胞の成長がゆっくりだったり、排卵が難しかったりする場合は、内服薬や注射で成長や排卵を促すこともあるでしょう。

メリット

  • 最も自然に近い方法のため、身体的負担が少ない。
  • 来院回数が少ないため、仕事や家庭と両立ができる。
  • 費用の負担が少ない。

デメリット

  • タイミングの日にちを決められることで、人によっては精神的なストレスを感じることがある。
  • 精液検査の結果が不良の場合、結果に繋がりにくい。

人工授精(AIH)

人工授精では、タイミング法と同じく、排卵しそうなタイミングをエコーで確認します。

タイミング法と異なるのは、排卵日近辺にチューブを使用して精子を子宮の中に人工的に注入するという工程があることです。

精子は自宅で旦那さんに採取してもらうことが多く、採取した精子を病院へ持っていきます。

病院にて細菌を除いたり、より運動率が良い精子を厳選するといった処置を経て、人工授精が行われます。

人工的に精子を注入するため人工授精といわれますが、注入後、妊娠に至るまでの過程はタイミング法と変わりはありません。

メリット

  • 人工授精に至るまでの通院回数は2〜3回のため(個人差はあるが)、仕事をしながらでも受診がしやすい。
  • 精子を調整しているため、より元気な精子を子宮内に送り込むことができる。
  • 痛みはほとんどなく、身体的にも負担が少ない。

デメリット

  • タイミングと比べ、人工授精にかかる費用は高い。
  • 卵胞の成長速度で人工授精日が決定するため、仕事の調整が難しい可能性がある。
  • 複数個の卵胞の成長を助ける役割のある排卵誘発剤を使用すると、多胎になるリスクがある。

体外受精

体外で受精が行われる方法を体外受精といいます。

タイミング法と人工授精は体内で受精が行われることに対し、採取した卵子と精子を人工的に受精させる方法です。

受精が出来れば、受精卵を体内に戻し、着床すれば妊娠となります。

体外受精のやり方は病院により異なるため、詳しい方法は近隣の施設で確認することをおすすめします。

メリット

  • 必ず妊娠するわけではないが、タイミングや人工授精と比べると、妊娠率は高くなる。
  • 卵管が詰まっているなど、卵巣に問題がある方に適している。

デメリット

  • 通院回数が増える。
  • 注射や手術など、身体的負担や金銭的負担が大きい。
  • 1度の採卵で受精まで至るかはやってみないと分からない。

不妊治療をはじめる前に

不妊は一人だけの問題ではなく、夫婦の問題です。

不妊治療をスタートする前にぜひ、やっていただきたいことをご紹介します。

夫婦で話し合う

不妊治療は、これまでの妊活と比べ、身体的にも金銭的にも負担がかかるため、夫婦の助け合いが必要です。

治療をスタートする前に、「夫婦それぞれの気持ち」や「不安なこと」、「いつまでに妊娠したいか」など夫婦でじっくり話し合うことをおすすめします。

話し合うことで、より一層夫婦の絆も深まるでしょう。

病院の選び方

治療をするにあたり、病院選びは大切です。

距離が遠いと通院が億劫に感じてしまう方もいるため、自宅や職場から通いやすいところが良いかもしれません。

多種多様な不妊治療の病院から決めるのは難しいかもしれませんが、主治医との相性も大切です。

不安を解消し、安心して治療できる病院がおすすめです。

どこの病院も不安を軽減するよう努めていると思いますが、調べる際は口コミなども参考にしてみると良いでしょう。

身近に治療している方がいるのであれば、おすすめの病院を聞いてみても良いかもしれません。

まずは検査だけでもOK

不妊治療と聞くと、すぐに治療をスタートしなければいけないと思ってしまうかもしれませんが、ブライダルチェックのような検査だけでも大丈夫です。

不妊の原因はいくつかあるように、自分の体が妊娠しても問題ないかなど、調べることが大切です。

同様に、旦那さんにも精子に問題がないか精液検査を受けてもらい、結果次第で今後の方針を相談しても良いでしょう。

まとめ

妊活は非常に繊細な悩みであり、一人で抱え込むものではありません。

まずは、相談からといった軽い気持ちで受診してみることもおすすめです。

みなさんが、出来るだけ早く妊娠できますよう願っています。