妊娠検査薬のしくみや使用方法を解説!正しく使って正確な判定を
妊娠検査薬はドラッグストアや薬店で入手でき、適正に使用すれば精度は99%以上といわれています。気軽にセルフチェックできるのが魅力ですが、検査するタイミングや方法により正確な判定が出ないことも多いようです。
この記事では、妊娠検査薬のしくみと判定の見方を解説し、より正確な判定を得るための情報をお伝えします。ぜひ最後までお読みください。
この記事の内容
妊娠検査薬はどんなしくみ?なぜ妊娠がわかるのか
妊娠の確定診断のためには産婦人科の受診が必要ですが、判定のしくみや用法を理解した上で妊娠検査薬を適正に使用すれば、十分な目安となります。
妊娠検査薬とは?
妊娠検査薬は、尿に含まれる女性ホルモン「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」の濃度により、生理予定日の1週間後から妊娠の有無を判定できます。
「生理が遅れている・来ない」という場合に検査をすれば、早期に妊娠に気づき、対処することができます。
市販の妊娠検査薬の精度
子宮に受精卵が着床すると胎盤からhCGが分泌され始め、これが尿からも検出されます。
妊娠検査薬はこのhCGの検出濃度により妊娠を判定するので、使用時期が的確であれば、ほぼ正確な判定が期待できます。
しかし、正常に妊娠しているかどうかは、医療機関での確定診断を待たねばなりません。
妊娠検査薬の使用方法
妊娠の兆候はさまざまですが、生理が予定どおりに来ない場合にその可能性を考える方が多いのではないでしょうか。
生理開始予定日を1週間を過ぎても経血が見られなければ、検査のタイミングです。
妊娠が成立した場合はこの時期がおよそ妊娠4週目にあたり、hCGの分泌量が増える時期と重なるため、正確な判定結果を得やすいのです。
それでは使用方法を確認しましょう。
(1)指定されている部分に尿をかけるか、紙コップに採尿してひたす
尿をかける(ひたす)秒数が短か過ぎても長過ぎても正確な判定はできません。製品により異なりますので添付文書を確認しましょう。
(2)検査薬を水平な場所に置いて判定を待つ
多くの製品は、判定サインとは別に「判定終了」を示すサインが表示されます。
判定が終了するまでは、動かしたり手を触れたりしないようにしましょう。
また、放置時間が長すぎると判定サインが消えるものもあります。注意事項を添付文書で確認しましょう。
(3)判定結果を確認する
製品により多少の違いはありますが、判定窓に縦のラインが出れば陽性、出なければ陰性と判断されます。判定ラインは非常に薄い場合もあるので、注意深く確認しましょう。
使用方法については以上ですが、必ず添付文書をよく読み内容を理解してから検査をしましょう。
産婦人科での検査との違い
妊娠検査薬の結果はあくまでも目安です。
妊娠の確定は産婦人科での検査結果により診断されます。
産婦人科では、
・妊娠診断薬を用いた尿検査
・触診、内診
・超音波検査
といった流れが一般的です。
胎嚢(胎児が入っている袋)の存在と胎児の心拍が確認されると、妊娠が確定します。
妊娠検査薬で陽性判定が出たら
妊娠検査薬で陽性判定が出たら、産婦人科で検査を受けましょう。
胎嚢の存在および胎児の心拍が確認されなかった場合は再検査が必要になります。
検査に適した時期は、前回の生理初日から5週半〜6週半頃なので、妊娠検査薬によるセルフチェック後1週間程度が目安となるでしょう。
陽性判定が出たら産婦人科へ受診を
前述のとおり、妊娠は産婦人科での診断をもって確定されます。
妊娠初期は、胎児の発育にとって大切な時期です。
胎児に悪影響が出るおそれがある生活習慣や食生活を見直すなど、早期に妊娠が判明することで得られるメリットは非常に大きなものです。
妊娠検査薬で陽性判定が出たら、早めの受診を心がけましょう。
陰性となった場合
妊娠検査薬による判定が陰性であっても、妊娠の可能性はゼロではありません。検査方法が誤っていたり、少し時期が前後するだけでも陰性となる場合があります。
また、多胎児(双子やそれ以上)を妊娠した場合にはhCG分泌量が非常に多くなるため、検査薬の反応上限を超えてしまい陰性判定となる可能性があります。
さらに、妊娠以外にも子宮や卵巣の異常、ストレスや過度なダイエットなどの影響で生理が止まってしまうことがあります。その場合は妊娠はしていませんので、判定は陰性となります。
大幅に生理が遅れたときや体調の変化が見られたときは産婦人科を受診しましょう。
偽陰性と偽陽性
妊娠検査薬の判定で、妊娠しているのに陰性となる「偽陰性」、その反対の「偽陽性」ということが稀に見られ、原因としては次のようなことが考えられます。
誤った判定が出る可能性
尿中のhCG量が増えていれば、基本的には妊娠した状態であると判断できます。
しかし、次のような場合にも陽性の判定がでます。
・異所性妊娠(子宮外妊娠)が起きた場合
子宮外に着床してしまった状態でも、妊娠には違いありません。このままの状態では妊娠を継続することはできないため、一刻も早く治療が必要です。
・化学流産が起きた場合
受精卵ができても着床せず、後に経血とともに排出されてしまうことがあります。この場合、妊娠は成立しませんが、一時的にhCG量が増え、判定が陽性となることが考えられます。
偽陰性とは
妊娠しているにもかかわらず、妊娠検査薬の判定が陰性となることが稀にあります。
検査の時期が早過ぎる場合、検査時にかける尿の量が適当でなかった場合には誤判定が出ることがあります。
生理周期が不安定な方の場合は生理予定日の特定が難しく、検査に適した時期が予想できないこともあるので注意が必要です。
妊娠の可能性が高いと考えられる状況であれば、さらに1週間程度時間を置いて再度検査薬を使用するか、産婦人科を受診しましょう。
偽陽性とは
妊娠していないのに陽性の判定が出るのが偽陽性です。
正常な妊娠でない場合(異所性妊娠)、卵巣腫瘍や絨毛性疾患によるhCG上昇などで陽性の判定が出るケースがあります。
いずれの場合でも、陽性判定が出たら放置するのは得策ではありません。
妊娠検査薬の種類について
妊娠検査薬は、どの製品も尿中に検出されるhCGの濃度により妊娠の有無を判定しますが、使用時期により2つのタイプに分けられます。
妊娠検査薬の種類
妊娠検査薬には下記の2つのタイプが存在し、それぞれ検査可能な時期と精度が異なります。
・通常タイプ(第2類医薬品)薬局やドラッグストア、通信販売で購入可能
生理予定日の1週間後から使用できるタイプです。精度は99%以上と非常に高く、適正に使用すれば、ほぼ正確な判定が期待できます。
・早期タイプ(医療用体外診断用医薬品)薬剤師による対面販売
通常タイプの検査薬が反応するhCG濃度は50mIU/mlであるのに対し、早期タイプではその半分の濃度でも反応が見られるため、生理予定日当日から検査が可能です。
精度が通常タイプと比べて劣ることを理解した上で使用しましょう。
妊娠検査薬の選び方
妊娠検査薬は製造元により仕様の違いがありますが、
・価格
・判定の見やすさ
・デザイン
といった要素は、判定をする上では大きな差はありません。
初めて妊娠検査薬を使う場合は、採尿カップが付属しているものや時間が経っても検査結果が残るもの・判定結果がデジタル表示されるものなどが使用しやすいのでおすすめです。
フライング検査とは
フライング検査とは、一般的な検査時期である「生理予定日から1週間後」を待たずに検査をすることです。
通常の時期の検査ほどの精度は期待できませんが、少しでも早く検査をする必要がある場合には「早期タイプ」の妊娠検査薬を使用すれば生理開始日から判定ができます。
安心してマタニティライフを送るために
早めの検査でその後に備えましょう
妊娠初期には胎児の脳や神経など、大切な部分が形成されます。
妊娠が早期に判明すれば、激しい運動を控える、飲酒・喫煙などの生活習慣の見直しや食生活の改善に取り組むことができます。
ふだん何気なく服用している薬やサプリメントなども胎児への影響がある可能性があるので、自己判断で使用せず医師に相談しましょう。
大切な妊娠初期を安心して過ごすために
個人差はありますが、妊娠初期には多くの方が心身に変化を感じます。
つわりの症状が強く仕事や日常生活に支障が出ることもありますので、いざという時にひとりで悩むことのないよう、あらかじめ周囲に報告や相談をしておくことも大切です。
長い妊娠期間を通して、ストレスは大敵です。生まれてくる赤ちゃんのために穏やかに過ごせる環境づくりを心がけましょう。
まとめ
早い段階で妊娠に気づくことは、その後の生活においても大きなメリットがあります。
簡単に入手できて気軽にセルフチェックができる妊娠検査薬を活用し、妊娠の可能性を見逃さないようにしましょう。
参考文献
・株式会社アクラス – 妊娠週数と尿中hCG濃度
・シスメックスプライマリケア – ヒト絨毛性ゴナドトロピン・hcg値