/ 出生前診断/

出生前診断ってどんなことが分かるの?出生前診断を受ける割合を年齢別にご紹介

皆さまの中には、「出生前診断ってどんなことが分かるの?」「出生前診断ってどのくらいの人が受けるの?」といった疑問を持っている方もいるでしょう。

そこで、今回は、このような疑問を持った方のために、出生前診断で分かることや受ける方の割合を解説します。

妊娠中の胎児への心配はつきものです。

どの検査が最も受診率が高いのか、選ばれる理由についてもわかりやすくまとめておりますので、お悩みの際はぜひ参考にしてください。

出生前診断とは

出生前診断を受ける理由や年齢別の受診率をご紹介いたします。

出生前診断とは

出生前診断とは、お腹にいる赤ちゃんの成長具合や異常を生まれる前に診断できる検査であり、主に先天性疾患や染色体異常などが分かります。

なぜ出生前診断を受けるの?

出生前診断を受けることで、生まれる前から心の準備ができたり、異常を知れることで赤ちゃんの状態に合わせた分娩方法や生まれてからの治療法を事前に考えることができます。

出生前診断を受ける妊婦さんは、安心を得たいという気持ちから受診する方が多いようです。

年齢別の出生前診断を受ける割合

とあるクリニックで出生前診断を受診した約1万人の妊婦さんを年代別に分布しました。

年代人数
10代1人
20代1526人
30代前半3478人
30代後半3768人
40代1233人
50代1人

出生年齢と染色体異常の関係性

出生年齢と染色体異常は大きく関係しています。

出生年齢別の染色体異常の発症率は、以下のとおりです。

出生年齢ダウン症の胎児が生まれる確率染色体異常の胎児が生まれる確率
251250人に1人476人に1人
30952人に1人384人に1人
35385人に1人192人に1人
40106人に1人66人に1人
4530人に1人21人に1人

加齢とともに、ダウン症・他の染色体異常の発症率が上がっていることが分かるでしょう。特に35歳を超えてからは、顕著に表れています。

この理由は、卵子の老化にあります。

卵子は35歳以上になると、質・量ともに低下していくのです。

出生前診断の種類

出生前診断は、非確定検査と確定検査の2種類あります。

では、非確定検査と確定検査の違いと種類を解説していきます。

非確定検査

出生前診断の非確定検査は、以下の3つです。

  • 母体血清マーカー検査
  • コンバインド検査
  • NIPT(新型出生前診断)

非確定という言葉通り、これらの検査結果だけでは診断が確定できません。

そのため、陽性反応が出た場合は、確定検査で確定させる必要があります。

確定検査

出生前診断の確定検査は、以下の2つです。

  • 絨毛検査
  • 羊水検査

確定という言葉通り、これらの検査を行えば、診断が確定します。

非確定検査の種類比較

非確定検査は3種類あります。

では、料金・分かる疾患・検査結果が出るまでの時間・感度・リスクにどのような違いがあるのか解説いたします。

NIPT(新型出生前診断)

NIPTの料金・分かる疾患・検査結果が出るまでの時間・感度・リスクは以下のとおりです。

料金20万円
分かる疾患21トリソミー・18トリソミー・13トリソミー
対象時期妊娠10週〜
検査結果が出るまでの時間1〜2週間
精度99%
リスクなし

コンバインド検査

コンバインド検査の料金・分かる疾患・検査結果が出るまでの時間・感度・リスクは以下のとおりです。

料金3〜5万円
分かる疾患21トリソミー・18トリソミー
対象時期妊娠11〜13週
検査結果が出るまでの時間2週間
精度83%
リスクなし

母体血清マーカー検査

母体血清マーカー検査の料金・分かる疾患・検査結果が出るまでの時間・感度・リスクは以下のとおりです。

料金2〜3万円
分かる疾患21トリソミー・18トリソミー・13トリソミー神経管閉鎖不全症
対象時期妊娠15〜20週
検査結果が出るまでの時間約10日〜2週間
精度80%
リスクなし

確定検査の種類比較

確定検査は2種類あります。では、料金・対象期間・分かる疾患・検査結果が出るまでの時間・感度・リスクにどのような違いがあるのか解説いたします。

絨毛検査

絨毛検査の料金・分かる疾患・検査結果が出るまでの時間・感度・リスクは以下のとおりです。

料金10〜20万円
分かる疾患染色体異常全般
対象時期妊娠11〜17週
検査結果が出るまでの時間2〜3週間
精度100%
リスク約1%(流産・死産)

詳しくは、絨毛検査についてはこちらをご覧ください。

羊水検査

羊水検査の料金・分かる疾患・検査結果が出るまでの時間・感度・リスクは以下のとおりです。

料金10〜20万円
分かる疾患染色体異常全般
対象時期妊娠15週〜
検査結果が出るまでの時間2〜3週間
精度100%
リスク0.2〜0.3%(流産・死産)

羊水検査についてはこちら

出生前診断の費用についてはこちら

どの出生前診断がいいの?

■撮影用に製作したオリジナルのマタニティーマークです。(厚生労働省のマークは営利目的の使用は禁止されているため)■母子手帳は撮影用に作成したものです。

たくさんある出生前診断の中でもどの検査が最も受診率が高いのか、選ばれる理由は何かを解説いたします。

出生前診断で最も受診率が高い検査は何?

結論から言いますと、受診率が最も高い検査はNIPTです。

2020年における年齢別の出生前診断の受診率の割合は、以下のとおりです。

出生前診断の種類受診率
NIPT25.1%
コンバインド検査8.7%
母体血清マーカー検査16.1%
絨毛検査5.3%
羊水検査12.6%

5種類ある出生前診断の中で最も受診率が高いのは、NIPTです。

ここで、2012年〜2016年までの出生前診断の種類別の受診率をご覧ください。

NIPT母体血清マーカー検査絨毛検査羊水検査
2012年実施前約25,000件約1,000件約18,000件
2013年約6,000件約30,000件約1,000件約18,000件
2014年約10,000件約35,000件約1,000件約18,000件
2015年約13,000件約38,000件約1,000件約18,000件
2016年約15,000件約40,000件約1,000件約17,000件

NIPTは2013年4月から日本に導入されたため、2016年までは出生前診断の中で最も受診率が高い検査は羊水検査でした。羊水検査は感度が高く、絨毛検査よりも流産や死産のリスクが低いために選ばれていたと推察できます。

NIPTが開始された2013年からは、徐々にNIPTの受診率が高くなり、2022年には出生前診断の中でも最も選ばれるようになりました。

選ばれる理由は?

出生前診断の中でNIPTが最も選ばれる理由は、以下のとおりです。

  • 早期から検査可能
  • 流産や死産のリスクが少ない
  • 検査精度が高い

NIPTは妊娠10週から検査可能で、他の出生前診断に比べて早期から検査できるのが特徴です。

また、同じく検査精度が高い絨毛検査や羊水検査と比べてリスクがなく、安全なことから選ばれています。

まとめ

出生前診断は、生まれる前から赤ちゃんの成長、異常を知ることができる検査です。

出生前診断は強制ではありませんが、高齢出産や上のお子さんに障害がある方は、受ける方が多いようです。

出生前診断はNIPT・コンバインド検査・母体血清マーカー検査・絨毛検査・羊水検査の5種類あり、それぞれ対象期間や分かる疾患、料金などが異なります。

中でもNIPTは、精度が高い上に安全性も高く、最も選ばれている検査です。

赤ちゃんについて不安を感じる方は、出生前診断を受けてみてもいいのではないでしょうか。

参考記事

・厚生労働省ー女性から見た出生前検査

・厚生労働省ーNIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書

・厚生労働省ー生殖補助医療の現状からみた 特定不妊治療助成のあり方