妊娠5か月でお腹が出過ぎてるのは子宮筋腫?症状や治療法をご紹介
妊娠5か月頃は妊娠中期に入り、お腹が大きく膨らんでくる時期です。
ついまわりの妊婦と比べて「お腹が出過ぎている」と悩んでしまう方もいるでしょう。しかし、基本的には健診で異常がみられなければ、お腹の大きさを気にする必要はありません。
本記事では、「どうして妊娠5か月でお腹が出過ぎるのか?」「快適に過ごすためにはどのような点に気をつけたらよいのか?」といった内容について解説します。
お腹の大きさでさまざまな不快感や不安を抱えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の内容
【妊娠5か月】お腹が出過ぎているのは子宮筋腫が原因?
妊娠5か月はお腹がふっくらとし始める時期ではあるものの、周囲の妊婦よりもお腹が大きいと不安に感じてしまいがちです。
お腹が出過ぎる原因の1つに「子宮筋腫」が挙げられます。
子宮筋腫の症状や特徴を把握し、当てはまらないか確認しましょう。
そもそも子宮筋腫とは?主な症状や特徴
子宮筋腫とは、子宮にできる良性腫瘍を指します。
子宮筋腫の大きさが5cmを超えると痛みを感じやすくなりますが、それ以下の場合は自覚症状がなく、検査を受けるまで気づかないケースが多いです。
子宮筋腫の大きさやできた場所を調べずに放置すると、血栓症や流産などを引き起こす可能性があるため、妊娠中は定期的に経過を見る必要があります。
妊娠中に大きな影響がなくても、出産時に胎児が出てくるのを邪魔してしまうケースもあり、そのような場合は帝王切開での分娩となる可能性が高いです。
また、帝王切開の際に、子宮筋腫の摘出を同時に行える場合と行えない場合があります。
子宮筋腫や母体の状態によって医師の診断が変わるため、出産後の治療がどうなるのかあらかじめ確かめておくとよいでしょう。
お腹が出過ぎているのは子宮筋腫の巨大筋腫?
子宮筋腫があると子宮が大きくなるため、お腹もぽっこりと膨らんだように見える場合があります。
ただし、妊娠中はもともとお腹が膨らむものであるため、妊娠5か月ほどだとお腹の大きさに影響はほとんど出ません。
妊娠中期から後期では、お腹に触れたり撫でたりしたときに、コリコリとした固いものがあることに気づくケースもあります。
しかし、初産婦だとこの固いものが張った子宮なのか、しこりなのか判断がつかない可能性もあるでしょう。
一般的に、子宮筋腫ができているとお腹がやや大きく見える可能性はありますが、巨大筋腫にならない限りはお腹が出過ぎることはないとされています。
そのため、妊娠5か月でお腹が出過ぎているからといって子宮筋腫を真っ先に疑う必要はありません。
妊娠中の子宮筋腫は治療できる?
妊娠中に子宮筋腫が見つかっても、基本的には対症療法や経過観察で対応します。
子宮筋腫が小さく、妊娠や出産に悪影響がないと判断された場合は、定期的な検査のみで治療を行わないケースも多いです。
一方で、子宮筋腫の種類や大きさなどによっては、入院治療や手術が必要になるケースもあります。
また、腹痛や炎症症状などがみられる場合も、手術で子宮筋腫を摘出する可能性が高いです。
実際に、妊娠を継続しながら子宮筋腫を摘出し、その後無事に出産している事例もあります。
痛みや出血など何らかの症状が出たら心配し過ぎず、まずは医師に相談してみましょう。
5か月目の妊婦に対する子宮筋腫の影響とは
通常、妊娠5か月で子宮筋腫が見つかっても大きな影響はありません。
しかし、子宮筋腫が妊娠継続や出産にもたらすリスク、痛みの程度を知っておいて損はないでしょう。
万が一のときは医師にすぐ相談できる準備をしておくと安心です。
子宮筋腫のリスク
妊娠中に子宮筋腫が見つかったとしても必ずしも悪影響が出るとは限りませんが、以下のようなリスクが伴います。
- 流産
- 早産
- 子宮内胎児発育遅延
- 前期破水
- 逆子
これらのリスクを最小限に留めるためにも、妊娠中や分娩時には慎重に検査・観察を行うことが大切です。
子宮内部や子宮下部に子宮筋腫ができている場合には、出産の妨げになってしまうため帝王切開を行う場合もあります。
子宮筋腫の痛み
小さな子宮筋腫では痛みを感じないケースも多いですが、妊娠中は女性ホルモンの影響で子宮筋腫が変化し、痛みを生じる可能性があります。
痛みの程度は人それぞれで、日常生活に支障がない方もいれば、座っていられないくらいに痛む方もいるようです。
妊娠中に子宮筋腫による痛みを感じる方は約13%~28%で、痛む期間は1週間~2週間とされています。
また、痛みが強くても、胎児に影響のない鎮痛剤の服用で様子をみるケースが多いです。
腹部に痛みがある場合は、医師に痛みの程度と部位を伝えて相談しましょう。
5か月目の赤ちゃんに対する子宮筋腫の影響とは
子宮筋腫があった場合、妊娠5か月の胎児に影響しないか不安になってしまう方も少なくありません。
結論からいうと、胎児への影響は子宮筋腫のサイズや場所によって異なります。
子宮筋腫のサイズや場所でどのような影響が現れるのか確認しましょう。
子宮筋腫のサイズによる影響
子宮筋腫は大きければ大きいほど注意が必要なものです。
子宮筋腫のサイズが3cm以上になると、妊娠中は以下のリスクが高まります。
- 早産
- 前期破水
- 常位胎盤早期剥離
- 骨盤痛
- 胎位異常
また、出産時には以下のようなリスクが高まるため要注意です。
- 微弱陣痛
- 胎位異常や回旋異常による帝王切開
- 出血量の増加
このような状態になるとは限りませんが、定期的に医師の診察や検査を受け、現段階で子宮筋腫によるリスクがどのくらいなのかを把握しておくことが大切です。
子宮筋腫の場所による影響
子宮筋腫の種類は大きく分けて以下の2つです。
- 漿膜化(しょうまくか)筋腫
- 筋層内(きんそうない)筋腫
漿膜化筋腫は子宮の外側についている子宮筋腫で、妊娠にも出産にも大きな影響はありません。
そのため、治療や手術は不要です。
しかし、筋腫のサイズが大きい場合は産後の出血が多くなったり、分娩時のトラブルを引き起こしたりする可能性があるため注意しましょう。
一方、筋層内筋腫は子宮内にできる筋腫です。
サイズが大きかったり、胎盤についていたりすると、逆子や胎盤剥離を引き起こす可能性があります。
妊娠5か月でお腹が出過ぎた場合の3つの注意点
お腹は妊娠5か月~6か月頃から徐々に大きくなっていくのが一般的です。
お腹の大きさには個人差がありますが、お腹が出過ぎた場合に気をつけたいポイントがいくつかあります。
ここでは、妊娠5か月頃に特に注意したい3つのポイントをチェックしましょう。
1.姿勢の乱れによる転倒や腰痛に注意する
お腹が大きくなると足元が見えづらくなります。
また、重心が前に行きがちです。
お腹を支えるために自然と反り腰になり、妊娠前と比べて腰痛を生じやすいでしょう。
腰をかばうためについついおかしな歩き方になる場合もあります。
お腹が大きくなると、今までと同じようにバランスを取るのが難しいため、姿勢に気をつけて転倒しないように注意してください。
腰痛がある場合は妊婦用の腹帯やコルセットなどを使用し、できるだけお腹を支えてあげましょう。
2.体重が増え過ぎないように管理する
お腹が目立つのを避けたいなら、体重管理を徹底することが大切です。
体重が急激に増えると、一般的な妊娠5か月の妊婦よりもお腹が出過ぎてしまうため、体重の増え方が緩やかになるよう毎日の食事や運動に気を配りましょう。
妊娠中の体重があまり変わらなかったり減ったりするのはよくありませんが、増え過ぎるのも問題となります。
母体の体重が増え過ぎてしまうと、胎児も大きく成長し過ぎる可能性があるからです。
母子共に健康的な毎日を送れるよう、適度に体重管理をしてください。
3.お腹を気にして撫で過ぎないこと
お腹が大きくなってきたら赤ちゃんの存在を感じやすくなり、ついついお腹を撫でてしまう方も多いです。
しかし、お腹を撫で過ぎると子宮を刺激してしまい、お腹が張ってしまう原因となります。
お腹が張ると自分が苦しいだけでなく胎児にも影響があるため、お腹を気にして撫で過ぎるのは避けるようにしてください。
お腹に触れたい場合は、撫でるのではなく優しく手のひらを添えるくらいがよいでしょう。
まとめ
妊娠5か月はお腹が膨らみ始める時期ではあるものの、お腹が出過ぎているのはもしかしたら子宮筋腫が原因かもしれません。
子宮筋腫は赤ちゃんの流産や母体の血栓症といったリスクをともなうため、定期的に経過を観察していく必要があります。
また、治療のタイミングや分娩方法は医師の判断によって異なるため、医師と相談しながら決めましょう。
お腹が大きくなってきたら、転倒に注意したり、腰痛予防のコルセットを使用したりすることも大切です。
参考文献
・厚生労働省-妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針
・日本産婦人科医会-必ず妊娠初期に確認! 合併異常のチェック
・日本産科婦人科学会-産婦人科診療ガイドライン