妊婦さんのお腹が張りやすい原因とは?対処法や受診の目安を解説
妊娠中は、「お腹がよく張るんだけど大丈夫かな?」「張りがひどい場合は病院へ行った方がいい?」
など、不安に思う方がいるかもしれません。
この記事では妊娠中にお腹が張る原因や病院を受診する目安を解説します。
張りを楽にする方法も併せてご紹介しますので、ぜひお役立てください。
この記事の内容
妊婦さんのお腹が張るとはどんな感じ?張る原因や感覚を解説
妊娠すると子宮が大きくなる影響で、お腹に違和感を覚えます。
ここではお腹が張る原因や張る感覚にくわえて、妊娠初期、中期、後期の週数ごとの張りの頻度を併せて解説します。
お腹が張る原因とは?
妊娠前、子宮は鶏の卵ほどの大きさですが、妊娠すると子宮筋が伸びて臨月にはスイカくらいまで大きくなります。
お腹の変化として、子宮を支えるじん帯が大きくなるときに引っ張られたり、子宮が収縮したりするとお腹に力をいれたときのように固くなります。
この引っ張られる感覚やお腹が固くなる現象が「張り」です。
さらに長時間の外出や、立ちっぱなしの姿勢が多いのも原因となります。
お腹が張る感覚とは?
妊娠初期はまだ子宮の大きさに変化がないため、張る感覚はありません。
張る感覚はないものの、下腹部痛があったりお腹がパンパンになっていたりするのが張っている状態といえます。
妊娠中期は安定期に入り外出などで体を動かす機会が増えるため張りやすくなります。
症状は張っている場所を指で押さえると、皮膚がへこまず固い状態です。
また妊娠後期にかけては、中期の症状にくわえてお腹がピーンと張っている感覚になります。
さらに張る頻度は妊娠後期から臨月にかけて増えていくでしょう。
お腹が張りやすい妊婦さんの特徴
ここでは子宮が大きくなる以外で、お腹が張る原因を解説します。
主な特徴は以下の3つです。
- 冷え
- 疲労・ストレス
- 便秘・ガス
1つずつ詳しくみていきましょう。
冷え
体の冷えは血流悪化や子宮収縮につながります。
血流が悪くなると、へその緒へ送る血液の流れが滞り、赤ちゃんに十分な栄養を送れません。
また筋肉でできている子宮は、冷えると固くなり張りやすい状態になります。
さらにお腹が冷えると、腸の動きも鈍って便秘になりやすくなります。
ぬるめのお風呂にゆっくりつかったり、腹巻きやブランケットなどを使用したりして、日ごろから冷え対策をしていきましょう。
疲労・ストレス
妊娠中はホルモンバランスや睡眠不足により、精神的に不安定になったり、疲れやすくなったりします。
子宮の筋肉は平滑筋といって自律神経の影響を受けやすい筋肉です。
ストレスや疲労などで自律神経の1つである交感神経が優位になると、緊張状態が続き子宮が収縮しやすくなります。
また体への緊張も増すため、体に負担がかかり子宮への栄養が行き届きにくくなります。
疲れやストレスを感じたら、すぐに横になり休むようにしましょう。
便秘・ガス
妊娠するとホルモンの1種であるプロゲステロンの分泌が増えるため、腸のぜん動運動が抑制されます。
また子宮が大きくなるときに大腸を圧迫することで、さらに腸の動きが鈍くなり便秘の原因となります。
腸内に便やガスが溜まると、お腹が圧迫されて張りを感じやすくなるでしょう。
食物繊維を多く含む海藻や根菜、腸内環境を整える発酵食品などを摂取するのが効果的です。
また適度に運動するのもおすすめです。
無理のない程度に取り入れてみてください。
お腹が張るときに妊婦さんが病院を受診する目安
妊娠中の安全な張りは、妊娠29週までは1時間に2回、妊娠30週以降は1時間に4回です。
しばらく横になって収まるようであれば心配ありません。
ただし以下の3つの症状があれば、病院を受診する必要があります。
- 張りが収まらない
- 出血がある
- 激痛が伴う
1つずつ詳細をみていきましょう。
張りが収まらない
安静にしていても張りが収まらない場合は、何かしらの異常があるかもしれません。
妊娠30週未満の方は1時間に3回以上、30週以降の方は1時間に5回以上張りがあると危険です。
また普段より張りが強いと、子宮の血流が悪くなっていたり、感染症を引き起こしたりしている可能性があります。
ご自身での判断が難しい場合は、1度病院へ連絡してみましょう。
出血がある
妊娠中に出血がある場合は受診するのが望ましいでしょう。
妊娠初期の出血は茶色のおりもの状やうすいピンク色、赤色などさまざまで、流産の恐れがある出血です。
妊娠中期の出血は切迫早産やポリープなどの恐れがあります。
さらに妊娠後期は「常位胎盤早期剥離」や「前置胎盤」などが心配される時期です。
出血とともに痛みを伴いますので、早めの受診が必要です。
激痛が伴う
お腹の張りとともに激痛が伴う場合は非常に危険です。
妊娠22週未満に起こる切迫流産や妊娠22週~37週未満に起こる切迫早産は強めの下腹部痛があります。
また妊娠後期に起こる常位胎盤早期剥離は、妊娠24週以降に子宮の中で胎盤が剥がれてしまうことで、苦痛を伴う痛みが襲います。
酷い痛みがある場合はすぐに病院を受診しましょう。
妊婦さんがお腹の張りを抑える対処法
妊婦さんが張りを感じたら、さすったり、押したりするのはやめましょう。
以下の張りを抑える3つの対処法を試してみてください。
- 楽な姿勢で安静にする
- 体を締め付けない
- 薬を処方してもらう
1つずつ詳しくご紹介します。
楽な姿勢で安静にする
お腹の張りを感じたら、楽な姿勢になって休憩しましょう。
妊娠中はお腹が大きくなるため、妊娠前なら普通にできていた日常の家事や買い物が負担になる場合もあります。
負担が増えると疲れたり、ストレスを感じたりしやすくなります。
無理をすることなく、張りが気になればすぐに休むようにしましょう。
体を締め付けない
妊娠中は血行の良い状態を保つことが重要です。
体を締め付ける服やウエスト部分を圧迫すると、お腹周りや骨盤の血行が悪くなります。
妊娠初期のお腹が目立たない時期でも、体に負担がかからないような服装が望ましいです。
またお腹に下着の跡が残ったり、息苦しく感じたりするなら、お腹を圧迫している可能性がありますので、なるべく締め付け感のない、ゆったりした服を身につけましょう。
薬を処方してもらう
張りが酷い場合は薬を処方してもらう方法もあります。
病院で処方される薬は、なんらかの原因で子宮が収縮している状態を抑える働きがあります。
とはいえ、張りが酷いからといって市販薬を自己判断で飲むのは危険です。
また張り止め薬は動悸や息切れなど副作用が出る場合があります。
かならず病院を受診し、医師とよく相談のうえ服用してください。
まとめ
妊娠中のお腹の張りは子宮が大きくなることによる突っ張りが原因です。
また冷えやストレスなどで張りが強くなることもあります。
休んでも収まらなかったり、出血があったりする場合は病院の受診が必要です。
お腹の張りが気になるときは、無理をせずに横になったり、体を締めすぎない楽な服を選んだりして身体をいたわりましょう。