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妊娠超初期に下腹部に張りを感じる時は何が起こっている?原因や対処法について解説

妊娠中のお腹の少しの変化で、「チクチクする」「お腹が引っ張られる感じ」など、感じ方は人によって異なります。妊娠超初期に下腹部の張りを感じると、「大丈夫かな」「流産してしまうのではないかな」と不安に感じる方も多くいらっしゃると思います。妊娠検査薬で陽性が確認できるのは妊娠4週目頃からですが、早い方では、その前に下腹部の張りなど自覚症状を感じることがあります。妊娠超初期には、体の中で何が起こっているのでしょうか?下腹部の張りの種類や原因、対処法から注意すべき下腹部の張りについて詳しく解説していきます。

妊娠超初期に起こる下腹部の張りとは

まず、妊娠超初期とはいつのことを指すのでしょうか。妊娠超初期の下腹部の張り、感じ方にも、種類や個人差があるようです。

妊娠超初期はいつ?体の中で何が起きている?

妊娠超初期とは、妊娠2週~3週頃のことを指しますが、医学的には定義されていません。

妊娠0週目:生理の初日を妊娠0~6日目として1週間をカウントします。

妊娠1週目:排卵に向けて卵子が発育する時期です。

妊娠2週目:排卵します。このタイミングで卵子と精子が出会うと受精卵となります。

妊娠3週目:受精卵が子宮内膜に着床して、妊娠が成立する時期です。

上記のように、生理初日から妊娠検査薬で陽性が確認できる前の期間のことを「妊娠超初期」と呼んでいます。

市販の検査薬はかなり鋭敏で、3週でも薄く反応することがあるようですが、一般的には生理予定日から1週間以上たってから使用するのが、妊娠検査薬を使用する最適なタイミングです。

妊娠中の全期間の分類は、妊娠初期(~13週)、妊娠中期(14~27週)、妊娠後期(28週~)と定義されています。

下腹部が張るってどういう感覚?

妊娠の可能性がある時、「これが張っている感覚なのかな?」と自分の症状に戸惑う方もいると思います。妊娠超初期に下腹部の張りを実感した方の体験談を見てみましょう。

・チクチクとした下腹部の痛み

・ズキズキとした下腹部の鈍痛

・生理前に似た痛み

・太ももの付け根あたりの違和感

・便秘や下痢の時のような下腹部の痛み

・なんとなく下腹部が重く感じる

張る、痛みとして感じる、違和感など、自覚症状には個人差があるようです。

妊娠超初期では、お腹が張っている感覚に気付かない方が多い一方、子宮のあたりがチクチクしていてもうすぐ生理が来るのではないか、と生理前の腹痛と間違ってしまう方もいます。

チクチクとした腹痛の後、生理が一週間ほど確認できなかった場合、妊娠検査薬を使用してみましょう。

妊娠超初期に下腹部が張る原因は

では、なぜ妊娠超初期に下腹部が張るのでしょうか。妊娠成立に伴う体の変化と一緒に詳しく見ていきましょう。

着床による痛み

妊娠3週目頃に、受精卵が子宮内膜(子宮のベッド)に入り込むことを着床といいます。

着床痛には医学的な根拠はありませんが、ちょうど着床した時期に痛みを感じる方が多いため、着床痛はあると考えられています。着床痛を感じなかったという方も多くいらっしゃいます。

便秘やガスだまり、下痢による張り

妊娠が成立すると、女性ホルモンの影響で腸の運動が鈍ります。便やガスが腸に溜まることで、下腹部の張りを感じることがあります。

また、尿がたまった際にもお腹の張りを感じることもあるようです。

子宮が大きくなることでじん帯が引っ張られる

子宮は、着床後、数週間でひと回り以上大きくなります。妊娠3週目が着床の時期であり、その頃から子宮の周辺にある膀胱や腸への刺激を痛みとして感じる可能性があります。

また、子宮は左右からじん帯で支えられています。子宮が大きくなると、そのじん帯が引っ張られ、両足の付け根や下腹部に軽い痛みを感じやすくなります。これによって違和感を持つ方もいるようです。

妊娠超初期に下腹部が張るときの対処法は

妊娠超初期に、下腹部の張りを自覚したときはどうすれば良いのでしょうか。すぐに実践できることを紹介します。

十分に休養する

妊娠中は、体に大きな負担がかかっているため、日常生活でも無理をしてはいけません。お腹に張りを感じたときは、座った状態で安静にしてお休みしましょう。睡眠時間をしっかり取り、体をいたわるようにしてください。

栄養バランスの取れた食事を取る

便秘気味やガスだまりがあるときは、栄養バランスの取れた食生活を意識してみましょう。

妊娠中は腸の動きが鈍くなってしまうので発酵食品や、食物繊維の入った食材などを取り入れるのがポイントです。

発酵食品:味噌、酢、納豆、ヨーグルトなど

食物繊維の多い食品:ごぼう、ほうれん草、切り干し大根など

お腹を締め付けない、圧迫しない

ウエストの締まった服を着ると、お腹まわりの血流が滞り、下腹部の張りを感じやすくなる場合があります。妊娠超初期は、お腹の大きさに大きな変化はありませんが、ゆったりとした服を着て、体に負担をかけないようにしましょう。

病院へ受診する

妊娠超初期は、妊婦さんの体調が安定していない時期です。下腹部の張りが数時間たっても続く場合や、次第に痛みが強くなってくるとき、出血が止まらないときは、病院を受診してください。

妊娠超初期の下腹部の張りで注意すべきものは

妊娠超初期の下腹部の痛みで、我慢できないような強い痛みを感じる場合は、危険な状態になっている場合もあります。

休んでも収まらない張り、強い痛み、出血がある

下腹部の張りが、休んでも収まらず、強い痛みを感じる場合は、異所性妊娠(子宮外妊娠)や絨毛膜下血腫(胎盤や絨毛の一部が子宮からはがれて起こる)の可能性があります。

異所性妊娠とは、本来なら子宮内膜に着床するはずの受精卵が、子宮内膜以外の場所に着床してしまうことを言います。着床する場所はさまざまですが、子宮外妊娠を放置すると、卵管破裂や卵管流産を引き起こし、多量の出血など母子ともに危険な状態に陥る可能性があります。迷ったら病院へ相談、受診しましょう。

妊娠超初期の下腹部の張りと化学流産の関係性

妊娠超初期の下腹部の張りに関連し「化学流産」というワードを目にすることがあります。下腹部の張りと化学流産は関係があるのでしょうか。

化学流産とは

化学流産とは、受精卵が着床する頃に起こる流産のことです。受精はしたけれど、着床ができなかったため、受精卵が膣から流れ出てしまう症状です。

妊娠超初期に、早期妊娠検査薬を使用して陽性が確認できたけれど、病院で胎嚢が確認できないことから化学流産が判明することが多いようです。

原因は詳しくわかっていませんが、多くは、受精卵の染色体異常と言われています。治療の必要がなく、臨床的に妊娠回数に数えられないため流産の回数には入りません。

化学流産の症状の一つに下腹部の張り、痛みがある

化学流産の症状の一つに、下腹部の張りと痛みがあります。妊娠準備をしていた子宮内膜が受精卵と一緒に剥がれ落ちるため、一時的に強い痛みを伴い、数センチの血液の塊として外にでてきます。妊娠検査薬を使用しておらず、化学流産に気づかない方は、「遅れてきた重い生理だったな」と認識する場合もあるようです。

まとめ

妊娠超初期に下腹部が張るときの原因や対処法について解説してきました。

超音波検査で赤ちゃんの胎嚢、心拍が確認できるまでの間、無事妊娠できているのかとても不安だと思います。妊娠超初期の体の変化は、気づきにくいものがほとんどですが、人によって感じ方はさまざまです。症状が出たときはしっかりと対処しながら、赤ちゃんの心拍が確認できるまではゆっくりとした気持ちで待ちましょう。

参考文献

・産婦人科診療ガイドライン – 産婦人科 診療ガイドライン ―産科編 2020

・公益社団法人 日本産科婦人科学会 – 前置胎盤